2020.01.16 発行
◆研究開発:大阪有機化学工業が新研究棟の建設を開始(1月9日)
◆バイオ:帝人がプロバイオティクス素材の販売を開始(1月9日)
◆電子材料:昭和電工が上海に電子材料用高純度ガス事業の第二工場を建設(1月8日)
◆電子材料:三菱マテリアルが銅部材に無加圧で接合可能な次世代型パワーモジュール向け焼結型接合材料を開発(1月8日)
◆製紙材料:荒川化学工業がベトナムにおける子会社の設立手続きを完了(1月6日)
◆電子材料:信越化学工業が5G関連製品の市場投入を開始(12月26日)
◆表面処理薬:JCUが中国で初の自社工場・テクニカルセンターを完成(12月25日)
◆触媒:住友化学がPP、POのライセンスビジネス強化に向けて、千葉工場で触媒の新プラント稼働を開始(12月24日)
◆3Dプリンター材料:JX金属がOxMet Technologies Ltd.の株式を取得(12月24日)
◆エンジニアリング:千代田化工建設の米国グループ会社が液化天然ガスの生産を開始(12月24日)
◆IoT:AGCがRPAの本格展開を開始、2020年に年間10,000時間以上の業務時間削減を目指す(12月24日)
◆建材:三菱ケミカルがグループの建築・建材関連事業を統合、三菱ケミカルインフラテック社に事業集約化(12月24日)
◆リサイクル:JXTGホールディングスとBYDジャパンがEVバス向け蓄電池の循環モデル構築に向けて協業(12月23日)
◆価格改定
・JXTGエネルギーがベンゼンの契約価格を改定
・住友化学がポリエチレン及びポリプロピレンを1月20日納入分より値上げ
・JNCがオキソ誘導品を1月21日出荷分より値上げ
◆研究開発:大阪有機化学工業が新研究棟の建設を開始(1月9日)
大阪有機化学工業は、大阪事業所内において、2020年11月の開所を目指して、新たな研究棟の建設に着工したと発表した。
現在、同社では大阪研究所と金沢研究所の両拠点にて、特殊アクリル酸エステルの合成・応用技術を基軸とした高品位で高機能な材料開発に取り組んでいる。しかし、近年さらに急速に変化する外部環境の中、さらなる挑戦的・独創的な研究開発に取り組んでいくため、大阪事業所にある大阪研究棟を刷新することにした。
新研究棟は、同社の中核をなす研究施設として既存事業の研究開発に留まらず、新規事業の創出拠点としての機能も兼ね備えた最新鋭の研究施設とする方針としている。
◆バイオ:帝人がプロバイオティクス素材の販売を開始(1月9日)
帝人は、世界的なバイオサイエンス企業であり、プロバイオティクスのリーディングサプライヤーであるChr. Hansen Holding A/S(以下「クリスチャン・ハンセン社」)と、日本における健康食品用途および育児用調製粉乳用途へのプロバイオティクス原料の販売代理店契約を締結したことを発表した。
販売代理店契約の締結により、同社はクリスチャン・ハンセン社が製造するプロバイオティクス関連製品を、日本市場における健康食品用途(タブレット、カプセル、粉末スティックなど)および育児用調製粉乳用途への原料として輸入販売する権利を取得する。
これにより同社は、これまで展開してきたプレバイオティクス素材に加え、プロバイオティクス素材の販売を開始し、機能性食品素材事業のさらなる強化を図るとしている。
◆電子材料:昭和電工が上海に電子材料用高純度ガス事業の第二工場を建設(1月8日)
昭和電工は、電子材料用高純度ガス事業強化のため、上海にある製造拠点、上海昭和電子化学材料有限公司(SSE)の隣接地に第二工場用地を取得し、高純度N2O(亜酸化窒素)および高純度C4F8(オクタフルオロシクロブタン)の製造設備と、高圧ガス危険物倉庫を建設すると発表した。
高純度N2Oは主に半導体やディスプレイ製造時の酸化膜の酸素源として、高純度C4F8は主にその酸化膜の微細加工(エッチング)などに使用される特殊ガスである。昭和電工は拡大する市場に対し安定供給などの対応力を高めるため、新たな製造設備を建設する。
また、中国において年々化学品への規制が強化される中、中国上海に自社所有の高圧ガス危険物倉庫を確保・拡充することで、サプライチェーンを強化する。さらに、半導体市場は台湾でも同様に拡大が見込まれるため、「台湾昭和化学品製造」においても高純度C4F8の製造設備を新設する。
中国のSSE第二工場の生産能力は、高純度N2Oが1,000トン、高純度C4F8が600トンで稼働開始は2021年下半期を予定している。また、台湾の新設製造設備の生産能力は高純度C4F8が150トンで稼働開始は2020年春を予定している。投資額は、上海・台湾を合わせ、約30億円になるとしている。
◆電子材料:三菱マテリアルが銅部材に無加圧で接合可能な次世代型パワーモジュール向け焼結型接合材料を開発(1月8日)
三菱マテリアルは、次世代型パワーモジュール用絶縁基板(以下「基板」)で使用される銅部材に、高温半導体素子を無加圧で直接接合できる焼結型接合材料(以下「新製品」)を開発したことを発表した。
ハイブリッド自動車や電気自動車の高出力モーター電源制御用インバータをはじめとする次世代型パワーモジュール向け銅部材に高温半導体素子を接合する場合、従来は基板表面に金や銀などの貴金属メッキを施し、加熱しながら加圧する必要があった。新製品は、基板表面の銅部材へ貴金属をメッキすることなく無加圧で接合でき、かつ従来品と同等の接合強度(30MPa以上)と耐熱性(200℃以上)を発揮する。
さらに、パワーモジュールで採用されることの多い高温半導体素子のサイズ(10mm角)において、従来品より大幅にボイドが少ない接合層を実現した。こうした優位性により、新製品は高い耐熱性と信頼性が求められる次世代パワーモジュール向けの焼結型接合材料としての利用拡大が見込まれるとしている。
◆製紙材料:荒川化学工業がベトナムにおける子会社の設立手続きを完了(1月6日)
荒川化学工業は、ベトナムにおいて製紙用紙力増強剤などの製造および販売を行う子会社の設立手続きを完了したと発表した。
生産能力は約40千トン/年を想定しており、2021年中に稼働開始の予定としている。
◆電子材料:信越化学工業が5G関連製品の市場投入を開始(12月26日)
信越化学工業は、活発化している5G時代の需要を取り込むため、新たな製品の市場投入を開始したことを発表した。
5Gの高周波帯域で使用される電子デバイスや回路基板、アンテナ、レーダードーム向けに『石英クロス』と『熱硬化性低誘電樹脂』を新たに開発、更には、従来から手掛ける放熱シートの品揃えを拡充した。なお、今回の開発にあたり、NOVOSET.LLCとの間で同社が開発した熱硬化性低誘電樹脂の製造、販売に関するライセンス契約を締結した。
同社は、5Gの展開に資するために新規製品の開発に取り組んでいくとしている。
◆表面処理薬:JCUが中国で初の自社工場・テクニカルセンターを完成(12月25日)
JCUは、中国の湖北省で約30億円を投資して建設を進めていた表面処理薬品の工場とテクニカルセンターが完成し、試生産を始めたと発表した。
本格稼働は工場が4 月、テクニカルセンターは7月を見込んでいる。これにより、JCUグループ売上高の3分の1を占める中国市場での表面処理薬品の供給体制・顧客サポート体制が強化される。委託生産は併存し、供給リスクを回避しながら、インドなどアジア新興国への販売・サポートも担う戦略拠点となる。なお、JCUの現地自社工場は韓国、タイ、ベトナム、メキシコに次いで5カ国目となる。また、テクニカルセンターには、顧客先に設置されているラインに近い大型のパイロットプラント装置を導入し、現場を想定した評価試験を可能としている。
生産予定量は2020年に1,200トン、2021年に2,000トン、2025年に4,300トンを見込み、2025年には中国での自動車・電子向け総販売量予定9,400トンのうち46%を新工場から供給する計画としている。
◆触媒:住友化学がPP、POのライセンスビジネス強化に向けて、千葉工場で触媒の新プラント稼働を開始(12月24日)
住友化学は、ライセンスビジネス強化のため、ポリプロピレン(PP)およびプロピレンオキサイド(PO)製造技術ライセンス先での需要増加に伴い、千葉工場において触媒の製造設備2系列を新設し、稼働を開始したと発表した。
住友化学のPP製造技術は、自社の千葉工場および関係会社であるシンガポールのザ・ポリオレフィン・カンパニー社、サウジアラビアのペトロ・ラービグ社での運転実績のほか、韓国のS-OIL社などにライセンス供与しており、多くのプラントで高い運転安定性を示し、高品質な製品を製造している。
また、PO製造技術は、自社の千葉工場とペトロ・ラービグ社での運転実績のほか、S-OIL社やタイのPTTグローバルケミカル社の子会社にライセンスを行っており、本年7月には、インドのバーラト・ペトロリアム社ともライセンス契約を締結した。
ライセンス先への触媒の販売は、技術ライセンスの実績に応じて需要が増加していくことから、市場環境の影響を受けにくく安定的な収益が期待できる事業である。住友化学では、技術ライセンスにより一時的に対価を得るだけではなく、ライセンス後も触媒販売や技術的な支援を行うなど継続的な収益の確保に取り組んでいくとしている。
◆3Dプリンター材料:JX金属がOxMet Technologies Ltd.の株式を取得(12月24日)
JX金属は、金属3Dプリンター向けの合金設計等の事業を行う英国のスタートアップ企業OxMet社の株式25.1%を620万ポンド(約9億円)で取得する契約を2019年12月に同社と締結したと発表した。
OxMet社は、2017年に設立された英国オックスフォード大学発の企業で、チタンおよびニッケルを主体とした金属3Dプリンター向けの合金設計、設計した新合金のライセンスビジネス等を行っている。さらにOxMet社は、今回の契約締結にあわせ、同じく金属3Dプリンター装置のための独自ソフトウェア開発を行う英国スタートアップ企業Betatype Ltd.の全株式を取得する予定としている。
金属3Dプリンターは、今後の市場規模の拡大が期待されており、その材料となる金属粉末材料のニーズも高まることが予想されるが、その製造開発にあたっては、金属3Dプリンティング特有のプロセスに最適な合金設計および、造形装置を制御するためのソフトウェア開発が鍵となる。今後の出資を機に、こうした領域の先端技術を保有するOxMet社と、長年培ってきた多様な金属材料の製造開発力に強みを持つ自社グループとが密に連携することで、顧客の幅広い要望にワンストップで対応できる体制を構築し、成長を目指すとしている。
◆エンジニアリング:千代田化工建設の米国グループ会社が液化天然ガスの生産を開始(12月24日)
千代田化工建設は、同社の米国グループ会社である千代田インターナショナル社と米国McDermott社がジョイントベンチャーを設立し遂行中の、米国ルイジアナ州Cameron LNGのプロジェクト第2系列において、液化天然ガス(LNG)の生産が開始されたと発表した。
2014年の契約締結以来、同ジョイントベンチャーはCameron LNGプロジェクトの設計・調達・建設業務に従事してきた。2019年12月に発表した第2系列への原料ガスの注入に続き、LNGの生産開始に至った。本案件は3系列のLNGプラントを含み、3系列全てが完成するとLNGの年間輸出量は1,200万トン超となり、世界最大級のLNG生産設備になるとしている。
◆IoT:AGCがRPAの本格展開を開始、2020年に年間10,000時間以上の業務時間削減を目指す(12月24日)
AGCは、2020年1月よりRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の本格展開を開始し、2020年末までに、年間10,000時間以上の業務時間削減を目指す発表した。
近年企業の競争力を高めるために、デジタル技術を用いた業務プロセスの高効率化が重要になってきており、PC上の定型業務をロボットにより自動化するRPAの活用が注目されている。AGCは、経理、調達、研究開発などの間接部門を中心に計70台のロボットを導入し、会計システムにおける伝票入力業務や、購買管理システムにおける検収管理業務を自動化すること等により、2019年9月末時点で導入前と比較して、年間4,200時間の業務時間削減に成功した。
AGCは、展開地域は日本国内の拠点だけでなく、欧州・米州・アジアの各拠点に広げるとともに、対象業務は間接部門を中心とした業務から工場の生産管理部門の業務等へ拡大することで、2020年末までに年間10,000時間以上の業務時間削減を目指すとしている。
◆建材:三菱ケミカルがグループの建築・建材関連事業を統合、三菱ケミカルインフラテック社に事業集約化(12月24日)
三菱ケミカルは、グループの建築・建材関連事業の強化を目的に、建築・建材関連事業及びグループ会社を2020年4月1日付でグループ会社の三菱ケミカルインフラテック以下「MCIT」)に統合すると発表した。
MCITに統合する事業としては、機能成形複合材事業(アルミ樹脂複合板、樹脂フィルム積層鋼板、工業用プレート、採光建材、ウレタン、雨どい他)及びアクリルシート(アクリライト)国内事業であり、統合されるグループ会社はアルポリック、菱琵テクノである。
三菱ケミカルは、統合の目的として、それぞれがこれまでに培った素材開発力や樹脂成形・複合化技術等を相互活用することによりシナジーを創出し、また、材料から成形加工品に至るまで建築資材に関するソリューションのワンストップサービス化を推進することで、更なる事業の拡大を図るとしている。
◆リサイクル:JXTGホールディングスとBYDジャパンがEVバス向け蓄電池の循環モデル構築に向けて協業(12月23日)
JXTGホールディングスと比亜迪(BYD)の日本法人BYDジャパンは、基本合意書を締結し、EVバス向け蓄電池の「リース・ リユース・リサイクル」循環モデルの構築に向けた協業を開始することを発表した。
両社は、2020年春からバス運行会社と共同で、EVバス運行の実証実験を開始し、運行データや蓄電池の消耗度など、EVバス向け蓄電池 リースに向けた情報収集を行う。また、実証実験で使用するEVバスをはじめ、 BYDジャパンより提供されるEVバスの使用済み蓄電池を定置用蓄電池として活用するリユースの実証実験も併せて実施する。
本協業の開始によって、両社は循環モデル実現に向けた一歩を踏み出し、リサイクルの技術・運用を含めて2025年を目途に本モデルの確立を目指すとしている。
◆価格改定
・JXTGエネルギーがベンゼンの契約価格を改定
1月契約価格は、735$/t(前月比+70$/t)、国内価格換算想定値は85.9円/kg
・住友化学がポリエチレン及びポリプロピレンを1月20日納入分より値上げ
値上げ幅は、14円/㎏以上
・JNCがオキソ誘導品を1月21日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15円/㎏以上
対象製品は、ノルマルブチルアルデヒド(NBA)、イソブチルアルデヒド(IBA)、オクタノール(OA)、ノルマルブタノール(NBO)、イソブタノール(IBO)、CS-12、CS-16、CS-202、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、イソ酪酸イソブチル(IBIB)、酢酸イソプロピル(IPAC)、オクチル酸、DMH