2020.02.20 発行
◆抗菌:クレハとJAXAが原子状酸素照射による材料の抗菌活性発現を発見(2月14日)
◆抗菌:リケンテクノスが抗ウイルスフィルム「RIKEGUARD FILM」を新たに上市(2月14日)
◆フィルム:クラレが欧州における水溶性ポバールフィルムの生産設備を新設(2月13日)
◆電子材料:三菱ガス化学が台湾で原料過水から超純過水までの一貫生産体制を構築(2月13日)
◆電池材料:日本触媒が全固体ポリマー電池用電解質膜の高性能化に成功(2月13日)
◆電池材料:BASFがドイツに電池材料の新たな生産拠点の設立を発表(2月12日)
◆非鉄金属:JX金属、三井金属鉱業、パンパシフィック・カッパーが銅合弁事業運営体制を見直し、子会社を設立(2月12日)
◆セメント:三菱マテリアルと宇部興産がセメント事業などの統合に関する基本合意を締結(2月12日)
◆無機:昭和電工が球状アルミナの生産性および品質安定化に寄与するAI画像解析システムを開発(2月12日)
◆フィルム:ユニチカが環境配慮型食品包装用ナイロンフィルムを開発(2月12日)
◆水素:千代田化工建設が豪州Hazer社とメタンから水素およびグラファイトを生産するプロセスの日本展開に関する覚書を締結(2月12日)
◆価格改定
・アイカ工業が工業用フェノール樹脂を3月2日出荷分より値上げ
・昭和電工がアンモニアを4月1日納入分より値上げ
・宇部興産が硝酸製品を4月1日出荷分より値上げ
・タキロンシーアイが塩ビ製雨どい、サイホン雨どいシステム ジェットライン、
雨どい製品用副資材を4月6日出荷分より値上げ
◆抗菌:クレハとJAXAが原子状酸素照射による材料の抗菌活性発現を発見(2月14日)
クレハは、宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)とともに、原子状酸素をプラスチック材料表面に照射することにより生じる微細な表面形状変化によって抗菌性能が発現することを発見したと発表した。
クレハとJAXAは2017年より、原子状酸素によって変化した材料表面の抗菌性能発現にかかる共同研究を行ってきた。今回の方法では、本来は材料自体に含まれない抗菌剤などを添加することなく、材料表面の微細形状を変化させることで抗菌性を付与できることから、抗菌持続性や耐性菌対策などの安全性の観点から利用範囲の拡大が期待される。
両者は引き続き共同研究を進め、実用化に向けた応用展開に取り組むとしている。
◆抗菌:リケンテクノスが抗ウイルスフィルム「RIKEGUARD FILM」を新たに上市(2月14日)
リケンテクノスは抗ウイルスフィルム「RIKEGUARD FILM(リケガードフィルム)」を新たに上市したことを発表した。
RIKEGUARD FILMの「RIVEX(リベックス)」グレードは、抗菌・抗ウイルス性および安全性を認証するSIAAマークを取得した世界で初めてのウィンドウフィルムである。同社のコーティング技術を応用することで高い透明性を持たせつつ、フィルム表面のウイルスの数を大幅に減少させることが可能となった。ウィンドウフィルムとしても、モバイル端末などのディスプレイ表面の保護用途としても使用可能である。
また、同フィルムは耐傷つき性にも優れるため、病院や学校の窓、タッチパネル、案内板、電車の窓など様々なシーンに展開できる。さらに同社では、表面の硬度を上げたRIKEGUARD FILMの「REPTY(リプティ)」についても、SIAAマークの取得を準備しているとしている。
◆フィルム:クラレが欧州における水溶性ポバールフィルムの生産設備を新設(2月13日)
クラレは、洗剤や薬剤などの個包装用フィルムとして需要が拡大している水溶性ポバールフィルムの生産設備をポーランドに新設すると発表した。
水溶性ポバールフィルムは、洗剤、化粧品、食品、農薬、薬剤などの個包装用フィルムとして、世界的に需要が伸長しており、今後も市場の拡大が見込まれている。水溶性ポバールフィルムを製造・販売する、クラレ米国子会社モノソルは、米国中西部を中心に生産拠点を有しているが、今回ポーランドに生産拠点を新設し、グローバルサプライチェーンの最適化とともに欧州における販売の拡大を図る。
今回の投資額は約50億円、稼働時期は2022年央の予定としている。
◆電子材料:三菱ガス化学が台湾で原料過水から超純過水までの一貫生産体制を構築(2月13日)
三菱ガス化学は、半導体の製造工程で使用される超純過酸化水素(以下、超純過水)事業の更なる伸長を目指し、台湾子会社における工業用過酸化水素(以下、工薬過水)製造設備の建設を決定したと発表した。
超純過水は、主に半導体のウエハやデバイスの製造工程で、洗浄・エッチング・研磨剤として使用される。台湾ではファウンドリー(受託生産会社)において、世界最先端の技術を採用した巨大半導体工場建設が相次ぎ、今後も大型の投資が予定されており、高品質な超純過水の需要が急増している。
これらの需要に応え、供給安定性・高品質・コスト競争力を伴った超純過水の製造販売を実現し事業拡大を推進するため、今回建設する工薬過水製造設備から稼働中の超純過水設備へ、原料となる工薬過水を供給することで、原料過水から超純過水までの現地一貫生産体制を実現する。
台湾工薬過水の設備における過酸化水素の生産量は4万トン/年(100%濃度換算)、総投資額は47億ニュー台湾ドルで2023年1月運転開始の予定としている。
◆電池材料:日本触媒が全固体ポリマー電池用電解質膜の高性能化に成功(2月13日)
日本触媒は、全固体リチウムポリマー電池用電解質膜の高性能化に成功したことを発表した。
ポリマー電解質を用いた全固体電池は、有機溶媒を用いず高温で安定なことから、長寿命、高安全性などの特徴を有しているが、ポリマー電解質はリチウムイオンの伝導性に乏しいことから、電池温度を50℃以上に加温する必要があった。今回開発した新規電解質膜は、室温でも高いリチウム伝導性を有することから、電池の作動温度を室温近くまで下げることが可能になり、全固体ポリマー電池の新しい用途展開が期待できる。
本技術は、全固体ポリマー電池用の電解質膜として、さらには無機電解質の界面形成材などへの活用も目指して、サンプル出荷を進めて用途開拓を行うとしている。
◆電池材料:BASFがドイツに電池材料の新たな生産拠点の設立を発表(2月12日)
BASFは、欧州の電気自動車(EV)バリューチェーンを支援するための多段階投資計画の一環として、ドイツシュヴァルツハイデに電池材料の新たな生産拠点を設けることを発表した。
最新鋭の工場では正極材(CAM)を製造し、年間約40万台のEVを供給できる規模の初期生産能力を有する。
シュヴァルツハイデ工場の増設可能な設計およびインフラにより、迅速な生産能力の向上が可能になり、BASFは欧州のEV市場で高まる顧客の需要に応えることができる。シュヴァルツハイデ工場では、既に発表しているフィンランドのハルヤヴァルタの工場で製造した前駆体(PCAM)を使用する。両工場の操業開始は2022年の予定としている。
◆非鉄金属:JX金属、三井金属鉱業、パンパシフィック・カッパーが銅合弁事業運営体制を見直し、子会社を設立(2月12日)
JX金属、三井金属鉱業、パンパシフィック・カッパー(PPC)の3社は、2019年12月に合意した『銅合弁事業運営体制の見直しに関する基本合意』に基づき、製錬子会社『JX金属製錬』と『日比製煉』を設立したと発表した。
また同基本合意に基づき、PPCの資源事業について3社間で協議を行った結果、JX金属および三井金属が直接出資する資源新合弁会社『ニッポン・カセロネス・リソーシズ』に、チリ共和国・カセロネス銅鉱山関連事業を移管することとなった。
なお、他の探鉱を中心とする資源案件については、PPCからJX金属へ移管又は売却する予定としている。
◆セメント:三菱マテリアルと宇部興産がセメント事業などの統合に関する基本合意を締結(2月12日)
三菱マテリアルと宇部興産は、2022年4月を目途に両社のセメント事業およびその関連事業等の統合を実施することに向けた具体的な協議・検討を開始することを決議し、基本合意書を締結したと発表した。
本統合の範囲は、両社の国内・海外のセメント事業および生コンクリート事業、石灰石資源事業、エネルギー・環境関連事業、建材事業その他の関連事業とすることを予定している。
今後、本統合に向けた具体的な協議・検討を進め、2020年9月末を目途に、本統合に関する最終契約書を締結することを予定している。統合の方法に関しては、両社の折半出資により、統合のための新会社を設立し、新会社を存続会社、宇部三菱セメントを消滅会社とする吸収合併を実施する予定としている。
◆無機:昭和電工が球状アルミナの生産性および品質安定化に寄与するAI画像解析システムを開発(2月12日)
昭和電工が、BLUE TAGと共同で、AIを用いた球状アルミナの画像解析システムを開発し、本年4月より生産ラインでの活用を開始すると発表した。
球状アルミナは流動性や充填性に優れていることから、電子部品の放熱シート等の充填材やブラスト材等に使用されている。生産工程では、球状不良の有無を目視判定していたが、球状不良の形状は種類が多く、粒子状態の判定は運転員の経験に基づく判断で行っていた。今回、従来型の解像解析ソフトでは困難であった熟練運転員の経験知を可視化し、AIによる画像解析システムを開発した。
本システムの導入テストでは約20秒で熟練運転員と同等レベルの判定ができており、充分な判定能力を備えていることを確認した。また、本システムは再学習に向けたデータ構築機能を併せ持つため、生産ラインでの運用を通じてさらに迅速な精度の向上が可能としている。
◆フィルム:ユニチカが環境配慮型食品包装用ナイロンフィルムを開発(2月12日)
ユニチカは、ケミカルリサイクルによる再生資源を有効活用した食品包装用ナイロンフィルム「エンブレムCE」の開発に成功したと発表した。
「エンブレムCE」の特長としては、ケミカルリサイクルナイロンとフィルムの製造工程内で発生した端材等を利用したマテリアルリサイクルを併用することで、機械物性、印刷適性などを損ねることなく、再生材料の利用比率を50%以上にすることが可能である点がある。すでに宇治事業所内の既存生産設備にて生産方法を確立しており、顧客へのマーケティング活動を開始している。
今後の展開については、2020年4月から実機での生産を開始し、2022年度以降、500トン/年の販売を目指す。また、現在はグループの製造工程内で発生したフィルム、樹脂を再生材料の原料としているが、今後はフィルムの販売先である印刷・加工メーカーとの取り組みにより、再生材料の回収も検討していくとしている。
◆水素:千代田化工建設が豪州Hazer社とメタンから水素およびグラファイトを生産するプロセスの日本展開に関する覚書を締結(2月12日)
千代田化工建設は、豪州Hazer社とHazer社が開発したメタンから水素およびグラファイトを高効率で生産する『HAZER Process』の日本における商業展開について覚書を締結したと発表した。
『HAZER Process』は、天然ガスおよび類似のメタン原料に鉄鉱石触媒を利用して水素およびグラファイトに効率的に転換するプロセスであり、低コストかつ二酸化炭素の排出が少ない環境負荷の低い水素生産技術である。
千代田化工建設とHazer社は同プロセスを活用し、日本国内における未利用バイオマスや他のメタン資源などから水素とグラファイトを生産する設備の開発、および水素社会構築の一環としての地産地消型水素サプライチェーンのビジネスモデルの構築に取り組んでいくとしている。
◆価格改定
・アイカ工業が工業用フェノール樹脂を3月2日出荷分より値上げ
値上げ幅は、固形・粉末品:30円/㎏、液状品:30円/㎏の固形分換算
・昭和電工がアンモニアを4月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、液化アンモニア(ローリー扱い):20円/kg以上
液化アンモニア(ボンベ扱い):40円/kg以上
アンモニア水(ローリー扱い):8円/kg以上
・宇部興産が硝酸製品を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、濃硝酸(98%):6円/㎏、希硝酸(62%):6円/㎏
希硝酸(67.5%):6円/㎏、希硝酸(ポリ缶):10円/㎏
・タキロンシーアイが塩ビ製雨どい、サイホン雨どいシステム ジェットライン、
雨どい製品用副資材を4月6日出荷分より値上げ
値上げ幅は、10%以上