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2020年5月28日号

2020.05.28 発行

HEADLINE

 

◆ウイルス対策:AGC Biologicsがタカラバイオから新型コロナウイルスDNAワクチン中間体の製造を受託(5月21日)

◆ウイルス対策:東ソーが新型コロナウイルス抗体検出試薬の開発に着手(5月21日)

◆炭素繊維:東レが新規高弾性率炭素繊維を創出(5月21日)

◆ナノファイバー:日本触媒が化粧品素材キチンナノファイバーに関する業務提携契約をマリンナノファイバー社と締結(5月20日)

◆リサイクル:東洋紡が飲料用ペットボトル由来のリサイクル樹脂を使用したフィルム製品群の展開を強化(5月20日)

◆太陽電池:三菱マテリアルが京都大学発ペロブスカイト太陽電池のスタートアップ企業へ出資(5月20日)

◆黒鉛製品:東洋炭素が大口径等方性黒鉛製品を増強(5月19日)

◆ウイルス対策:富士フイルムがAI技術を用いた新型コロナウイルス肺炎の診断支援技術開発を開始(5月19日)

◆LNG:千代田化工建設が米国キャメロンLNGプロジェクト第3系列において液化天然ガスの生産を開始(5月19日)

◆フィルム:東レがポリプロピレンフィルムの生産能力を増強(5月18日)

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆ウイルス対策:AGC Biologicsがタカラバイオから新型コロナウイルスDNAワクチン中間体の製造を受託(5月21日)

AGCは、CDMO事業子会社(製造受託に加え、製造方法の開発を受託・代行する会社)であるAGC Biologicsが、タカラバイオから新型コロナウイルス向けDNAワクチン中間体の製造を受託したことを発表した。

DNAワクチンは、危険な病原体を一切使用せず、安全かつ短期間で製造できる特徴がある。対象とする病原体のたんぱく質をコードする環状DNA(プラスミドDNA)を接種することで、病原体タンパク質を体内で生産し、病原体に対する免疫を付与する。弱毒化ワクチンなどとは異なり、病原性を全く持たないため、安全であるとされる。

同ワクチンは大阪大学およびアンジェスが有するDNAプラスミド製品の開発実績をもとに開発され、タカラバイオがその製造を担うとしている。

 

◆ウイルス対策:東ソーが新型コロナウイルス抗体検出試薬の開発に着手(5月21日)

東ソーは、同社の全自動化学発光酵素免疫測定装置AIA-CLシリーズ向けの専用試薬として、新型コロナウイルスに対するウイルス抗体検出用の検査試薬の開発を開始したと発表した。

東ソーは、免疫測定検査試薬の特徴であるモノテスト&凍結乾燥技術をベースとした迅速、高感度な検査試薬の開発を進めている。全自動装置であるAIA-CLシリーズと組み合わせることで、簡便かつハイスループットな測定環境を提供することを目指す。また、遺伝子検査法の一種であるTRC法を用いた新型コロナウイルス検査キットの開発に関しても、体外診断用医薬品としての上市を目指すとしている。

 

◆炭素繊維:東レが新規高弾性率炭素繊維を創出(5月21日)

東レは、産業用に広く用いることができる新しい高弾性率炭素繊維と、その炭素繊維を使用した射出成形加工に最適な樹脂ペレットを新たに創出したと発表した。

今回、ナノレベルでの構造制御技術をさらに発展させ、直径7ミクロンの繊維1本の内部構造を均一に制御することで、弾性率390GPaのコストパフォーマンスに優れる高弾性率炭素繊維の開発に成功した。

この炭素繊維を使用した射出成形用樹脂ペレットであるトレカペレットは、従来の高弾性率タイプに比べて成形後の炭素繊維を長く維持する効果も得られることから、弾性率が41GPa(比重1.4)という、マグネシウム合金に匹敵する弾性率を軽量で実現できる。この新規トレカペレットを用いることで、軽量で複雑な形状の部品を射出成形により生産性良く得られ、成形部品の軽量化に大きく貢献することが期待される。

今後、次世代モビリティ対応に向け車体の軽量化がますます重要となる自動車部品用途や一般産業用途など幅広く産業用途に展開していく予定である。今後、3年以内の製品化を目指し、研究・技術開発を進めるとしている。

 

◆ナノファイバー:日本触媒が化粧品素材キチンナノファイバーに関する業務提携契約をマリンナノファイバー社と締結(5月20日)

日本触媒は、マリンナノファイバー社と化粧品用素材に関する業務提携契約および代理店契約を締結したことを発表した。

マリンナノファイバー社は、鳥取大学発のベンチャー企業であり、カニ殻由来の新素材「マリンナノファイバー」に関する製品を研究開発・製造販売を行っている。「マリンナノファイバー」は、カニ殻の主成分であるキチンおよびその加水分解物を超極細繊維として抽出したキチンナノファイバーおよび部分加水分解キチンナノファイバーである。従来のキチン粉末では分散性・配合性が課題であったが、「マリンナノファイバー」は、化粧品素材として分散性および配合性が良好である、被膜形成力に優れるなど、種々の特徴的な効果効能を有する画期的な天然素材である。この素材により、化粧品に様々な機能を付与することが期待される。

日本触媒では、これらの特徴的な効果効能を実験データにより明確化するとともに、各化粧品用途に向けた処方を開発することにより市場を開拓するとしている。

 

◆リサイクル:東洋紡が飲料用ペットボトル由来のリサイクル樹脂を使用したフィルム製品群の展開を強化(5月20日)

東洋紡は、飲料用ペットボトルからリサイクルされた原料を使用したフィルム製品群について、「Beverage Bottles to Film-BB2F」という商標のもと、環境に配慮した製品のラインアップを拡充し、グローバル市場への展開に注力することを発表した。

近年、世界的に環境意識が高まる中、消費者によって使用されたプラスチックをリサイクルした(PCR)原料を使ったフィルム製品の需要が増加している。

2012年に上市したリサイクル原料使用率80%を実現した包装用フィルム「サイクルクリーン」に加えて、薄肉タイプのシュリンクフィルムや、高いバリア性能を付与したフィルムについても、リサイクル原料に飲料用ペットボトル由来のPCR原料だけを使用した新製品の開発を加速し、ラインアップを拡充するとしている。

 

◆太陽電池:三菱マテリアルが京都大学発ペロブスカイト太陽電池のスタートアップ企業へ出資(5月20日)

三菱マテリアルは、ペロブスカイト太陽電池の製品化を目指す京都大学発のスタートアップ企業であるエネコートテクノロジーズ社へ出資することを発表した。

ペロブスカイト太陽電池とは、ペロブスカイト結晶(チタン酸カルシウムと同じ構造の結晶)の層等を基板に塗布して形成する太陽電池であり、現在一般的に使用されている結晶シリコン太陽電池よりも軽量で厚みを約100分の1にできるほか、折り曲げて多様な場所に設置することも可能なため、次世代の太陽電池として普及が期待されている。

エネコートテクノロジーズでは、現在、より高い発電効率と耐久性を併せ持つペロブスカイト太陽電池の開発に取り組む一方、同太陽電池に含まれる鉛を代替材料に置き換え、鉛フリーの太陽電池の開発も進めている。

三菱マテリアルはエネコートテクノロジーズへ出資するとともに、ペロブスカイト太陽電池の耐久性の向上技術や鉛フリー化に必要な周辺材料等の開発に関して協業するとしている。

 

◆黒鉛製品:東洋炭素が大口径等方性黒鉛製品を増強(5月19日)

東洋炭素は、シリコンウエハーの製造工程などのエレクトロニクス分野に用いられる等方性黒鉛製品の需要増加に備えるため、詫間事業所(香川県)に大口径黒鉛製品製造能力増強に向けた設備投資の実施を決定したと発表した。

IoT、AIなどの進展により半導体需要増加に備え、半導体デバイスの土台となるシリコンウエハーは生産性向上のため大口径化が進み、大口径等方性黒鉛製品の需要が高まっている。

今回の投資額は約35億円、稼働時期は2021年8月の予定としている。

 

◆ウイルス対策:富士フイルムがAI技術を用いた新型コロナウイルス肺炎の診断支援技術開発を開始(5月19日)

富士フイルムは、AI技術を用いた新型コロナウイルス肺炎の診断支援技術の開発を開始したと発表した。

同社の間質性肺炎の定量化技術は、AI技術を用いて設計したソフトウエアが、CT画像から肺野内の気管支、血管、正常肺など肺の7種類の病変性状を識別し、自動で分類・測定することで、間質性肺炎の病変を定量化するものである。同社が開発した間質性肺炎の定量化技術を、京都大学が保有する症例データに適用し、識別性能の評価と改善のフィードバックを繰り返し実施し改良することで、高精度な識別性能を実現した。

同社と京都大学が共同開発した間質性肺炎の病変を定量化する技術を応用し、新型コロナウイルス肺炎患者の経過評価や治療効果の判定などをサポートする診断支援技術の開発を目指す。本開発は、新型コロナウイルス肺炎の患者を受け入れている国内の医療機関との共同開発で推進するとしている。

 

◆LNG:千代田化工建設が米国キャメロンLNGプロジェクト第3系列において液化天然ガスの生産を開始(5月19日)

千代田化工建設は、同社の米国グループ会社である千代田インターナショナル社と米国McDermott社がジョイントベンチャーを設立し遂行中の、米国ルイジアナ州Cameron LNGプロジェクト第3系列において、液化天然ガス(LNG)の生産を開始したことを発表した。

2014年の契約締結以来、同ジョイントベンチャーはCameron LNGプロジェクトの設計・調達・建設業務に従事し、すでに第1系列は2019年8月、第2系列は2020年2月から商業運転を開始している。このCameron LNGプロジェクトは、3系列のLNGプラントを含み、年間輸出量は1,200万トン超となり、世界最大級のLNG生産設備になるとしている。

 

◆フィルム:東レがポリプロピレンフィルムの生産能力を増強(5月18日)

東レは、電動化車両(xEV)市場の拡大を背景とした車載コンデンサ用フィルムの需要拡大に対応するため、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)「トレファン」の生産能力を増強すると発表した。

トレファンはプラスチックフィルムの中でも軽く、強靱性・電気特性・機械的特性に優れたフィルムで、一般工業用・コンデンサ用・包装材料用などに広く利用されている。主力用途であるフィルムコンデンサは家電・IT機器向け電子部品のほか、xEVのモーターを駆動させるパワーコントロールユニット(PCU)のインバーター回路に使用されている。

土浦工場(茨城県)に生産設備を増設し、車載コンデンサ用フィルムの生産能力を現行比1.6倍にする。稼働開始は2022年の予定としている。

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