2021.10.28 発行
◆電子材料:三菱ケミカルが高性能プリント配線基板用熱可塑性樹脂フィルムの新グレードを開発(10月22日)
◆電子材料:日本電気硝子が低損失LTCC用材料を開発(10月21日)
◆電子部品:京セラが鹿児島国分工場に新工場2棟を建設(10月20日)
◆インキ:東洋インキがパッケージ印刷の脱溶剤を加速する水性グラビアインキを開発(10月20日)
◆リサイクル:ダウが循環型プラスチックの生産能力を世界的に拡大(10月20日)
◆電子材料:東レが感光性導電材料RAYBRIDの低抵抗化技術を開発(10月20日)
◆樹脂:日本触媒が高吸水性樹脂の旧型製造設備を停止(10月20日)
◆樹脂:住友ベークライトが低VOC完全水溶性フェノール樹脂を開発(10月19日)
◆フィルム:綜研化学が自動車向け加飾フィルム貼合せに適した粘着剤を商品化(10月19日)
◆複合材料:帝人が航空機向け高耐熱の熱硬化プリプレグの生産を増強(10月19日)
◆リサイクル:帝人フロンティアがタイでポリエステルリサイクルチップの生産を開始(10月18日)
◆価格改定
・昭和電工が酢酸および酢酸ビニルを10月20日出荷分より値上げ
・JNCが酢酸を11月1日出荷分より値上げ
・日本触媒がアクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸特殊エステル類を11月1日出荷分より値上げ
・日本触媒が(メタ)アクリル酸ヒドロキシモノマーを11月1日出荷分より値上げ
・カネカが液体苛性ソーダを11月1日出荷分より値上げ
・東亞合成がリン酸塩類製品を11月1日出荷分より値上げ
・東亞合成が重炭酸カリ工業用を11月1日出荷分より値上げ
・ダイセルが電子材料溶剤製品を11月1日納入分より値上げ
◆電子材料:三菱ケミカルが高性能プリント配線基板用熱可塑性樹脂フィルムの新グレードを開発(10月22日)
三菱ケミカルは、プリント配線基板用熱可塑性樹脂フィルム「IBUKI」について、電気特性を向上させ、高周波領域における伝送損失を低減した新グレード「New-IBUKI(仮称)」を開発したと発表した。
新グレードは、接着剤を用いずに一括多層プレス加工を容易にした、プリント配線基板用熱可塑性樹脂フィルムであり、優れた寸法安定性、高周波特性、低温加工性、耐熱性、加水分解特性を有する。
5Gなどの次世代通信においては波長が短い高周波が使われるため、新素材の開発が求められている。同品は高周波領域における伝送損失を軽減させた製品で、次世代通信用の配線基板材料として活用が期待できるとしている。
◆電子材料:日本電気硝子が低損失LTCC用材料を開発(10月21日)
日本電気硝子は、5G通信に用いられる部品やデバイスに適した誘電正接の低いLTCC用材料の継続的な開発により2020年に製品化したラインアップの特性を飛躍的に向上させ、業界最高の特性を達成することに成功したと発表した。
昨年開発・製品化した3タイプ(高膨張、高強度、低誘電率)のLTCC用材料に関して、特性を向上させた。特に高膨張タイプにおいては、その誘電正接が目標としていた0.0010以下を大幅にクリアし、現行品比75%低下となる業界最小の低誘電正接0.0003を達成した。また高強度タイプについても、現行品比57%低下となる誘電正接0.0006まで特性を改善した。低誘電率タイプにおいては、実用化へ向けて課題となっていた強度を130MPaから150MPaに約15%向上させ、比誘電率4未満の材料としては業界最高の強度を達成した。
同社は今回開発した製品で新たな市場ニーズに対応し、次世代の通信機器の性能向上に貢献するとしている。
◆電子部品:京セラが鹿児島国分工場に新工場2棟を建設(10月20日)
京セラは、ファインセラミック事業の更なる拡大および他事業の将来的な設備増設を見据えた生産スペースの確保を目的として、鹿児島国分工場に新たに第7-1工場、第7-2工場を建設すると発表した。
現在、IoTの進展や通信5Gの普及に伴い、パソコンやスマートフォン、データセンター、自動車をはじめ、あらゆる製品に使用される半導体の需要が急速に高まっており、今後も継続した市場成長が期待されている。それに伴い、半導体製造装置に使用されるファインセラミック部品についても大幅な増産が求められており、鹿児島国分工場における同製品の生産能力を従来の約2倍にする計画である。
京セラでは、2021年11月より新工場の建設を開始する予定で、投資総額は約110億円である。第7-1工場は2022年10月、第7-2工場は2023年10月から順次生産を開始し、生産計画は34億円/年(2023年4月~2024年3月)としている。
◆インキ:東洋インキがパッケージ印刷の脱溶剤を加速する水性グラビアインキを開発(10月20日)
東洋インキは、環境にやさしいハイソリッド水性グラビアインキ「アクワエコール SX」(以下、同製品)を開発、販売を開始したことを発表した。
新たに開発した同製品は、インキの超高濃度化による溶媒分の削減と、グラビア版の浅版化によるインキ塗布量削減の2つのブレイクスルー技術で乾燥性を向上させることで、既存の標準的な印刷設備でも従来のグラビアインキに匹敵する高い生産性を確保することに成功した。
一般的に顔料比率を上げると、塗膜物性、印刷適性が劣る傾向にあるが、同社独自の顔料分散技術および樹脂設計技術を用いて解消したほか、グループ会社の東洋FPPが持つグラビアシリンダーの浅版化技術を融合させることで、少ないインキ塗布量でも従来品同等の印刷品質を実現している。
本製品は、OPP、PET、NY等の各種フィルム基材に対し、スナック用途からレトルトまでの幅広い用途に適合できるとしている。
◆リサイクル:ダウが循環型プラスチックの生産能力を世界的に拡大(10月20日)
ダウは、ハルダートプソー社と協力し、循環型製品の生産に使用する廃棄プラスチック由来の熱分解油原料を精製するため、ダウのテルネーゼン(オランダ)の拠点における年産1万トンの市場開発用装置(MDU)の設計、エンジニアリング、建設を促進すると発表した。
今回の新しい精製MDUは、精製された廃棄プラスチック由来の熱分解油原料から循環型ポリエチレンを生産する予定である。ハルダートプソーと協力することにより、循環型ポリエチレンの主要な生産者となるための戦略を加速することができる。さらに、プラスチックの循環型経済を推進することにより、プラスチックがバリューチェーン全体にもたらすサステナビリティー上の便益を最大化するとともに、プラスチック生産に伴うフットプリントを大幅に削減することができるとしている。
◆電子材料:東レが感光性導電材料RAYBRIDの低抵抗化技術を開発(10月20日)
東レは、感光性導電材料RAYBRIDのシート抵抗を従来比1/8に低減する低抵抗技術を開発したと発表した。
RAYBRIDは、独自の粒子分散技術と感光樹脂設計により微細配線の形成が可能な材料で、スパッタや蒸着による銅などの金属薄膜の配線加工と比較して、シンプルな工程が適用できるという特長がある。しかし、非接触タッチパネルに向けた高感度化や、更なる大画面化に向け配線の伸長が進むために、一層の低抵抗化が必要である。
東レは、ナノ導電粒子をさらに緻密に充填することで、シート抵抗を従来品対比1/8に低減し、可視光透過率90%以上の透明度に優れたメタルメッシュパターンにおいて、シート抵抗2Ω/□と金属メッシュ並の低抵抗化を実現した。
本技術を適用したRAYBRIDは、大型化が進む車載用タッチパネルに加え、5G通信用透明アンテナや透明ヒーターへの展開が期待できるとしている。
◆樹脂:日本触媒が高吸水性樹脂の旧型製造設備を停止(10月20日)
日本触媒は、姫路製造所およびベルギー子会社NIPPON SHOKUBAI EUROPEにおいて、吸水性樹脂製造設備のうち生産効率の低い旧型製造設備合計6万トン/年を停止することを発表した。
同社は今後、高効率生産技術を導入した既存設備にて、市場動向に応じて応分の能力増強を順次実施するとしている。
◆樹脂:住友ベークライトが低VOC完全水溶性フェノール樹脂を開発(10月19日)
住友ベークライトは、フェノール樹脂に含まれる残存原料であるフェノール、ホルムアルデヒドを0.1%未満まで低減し、有機溶媒を使用せずに、VOC(揮発性有機化合物)を大きく低減した完全水溶性レゾール型フェノール樹脂を開発したと発表した。
フェノール樹脂のレゾール型は、多くは溶液状で取り扱われ、各種繊維やフィラーなどの基材と高い接着性を示すため、有機繊維、金属、ガラスなどさまざまな基材のバインダーとして使用されている。しかし、有機溶媒系では設備の防爆対策やVOCといった作業環境が問題となる。
同社では、遊離モノマーが0.1%未満、20倍以上に水希釈が可能で、粘度やアルカリ性が実使用上問題にならないようなレゾール型フェノール樹脂を、濃度違いで2品番開発した。
現在はエポキシ樹脂やアクリル樹脂などが使用されている用途でも、高耐熱性や高強度など付加価値要求が高まっている自動車や航空機関連部材をはじめ、建材用コーティングや接着剤など、様々な産業分野への適用・実績化を目指し、国内外の各種産業分野への利用展開を図るとしている。
◆フィルム:綜研化学が自動車向け加飾フィルム貼合せに適した粘着剤を商品化(10月19日)
綜研化学は、複雑なデザインを付与出来る加飾フィルムの自動車業界のニーズに対応するため、凝集力が高く、糊残りの無い加飾フィルム用粘着剤を製品化したと発表した。
同製品はベタ付きが少ない良好な作業性と、長期間経過後も剥がれにくいという特徴を有している。
CO2排出量削減が求められる昨今、自動車製造工程でCO2排出量の30%程度を占める塗装工程において外装の加飾工法を塗装加飾フィルム(ドライ)へ置き換える動きが進んでいる。綜研化学は、電気自動車産業の部材で樹脂の使用が増えるのと同時に、樹脂部材への加飾工法でフィルム貼付けが主流になると考えている。また、同製品は様々な材質に適用できるため、自動車以外の販路拡大が可能である。
今後は、綜研化学の強みであるポリマー設計技術により、高透明性・耐候性以外にも低誘電率、水蒸気バリア性などの様々な機能を同製品に付与出来るとしている。
◆複合材料:帝人が航空機向け高耐熱の熱硬化プリプレグの生産を増強(10月19日)
帝人は、米国のグループ会社のRenegade Materials Corporation(以下「レネゲード社」)が高耐熱プリプレグの生産能力を約2.5倍へと増強すると発表した。
レネゲード社は航空・宇宙用途向け高耐熱熱硬化プリプレグメーカーであり、低毒性原料によるポリイミド樹脂を用いて高耐熱性および熱サイクル耐性に優れるプリプレグを製造できるため、欧米をはじめとする航空機メーカーや航空機用エンジンの関連メーカーなどから採用実績を得ている。
高耐熱熱硬化プリプレグは、航空機用途でのさらなる需要拡大が見込まれており、使用温度が極めて高い航空機のエンジン部品を中心に、引き続き採用が拡大している。
レネゲード社は、需要拡大への対応力強化や産業用途への拡大展開を目的として2019年12月に生産増強を決定し、増設設備が完成した。現在実施している試運転を経て、2022年1月より商業生産を開始する予定としている。
◆リサイクル:帝人フロンティアがタイでポリエステルリサイクルチップの生産を開始(10月18日)
帝人フロンティアは、タイでポリエステル繊維の製造・販売を展開するグループ会社テイジン・ポリエステル(TPL)において、タイ国産のリサイクル原料(ボトルフレークス)を使用し、高品質なポリエステル長繊維の生産に用いるマテリアルリサイクルチップの自社製造設備を新設すると発表した。
同社は世界的なリサイクル素材の需要の高まりを受け、ポリエステル繊維製造の中核拠点であるTPLに洗浄設備や最新型のリペレット機を導入し、タイ国産のボトルフレークスから高品質な長繊維用マテリアルリサイクルチップの生産を可能にした。
今後、新設備で生産したリサイクルチップは差別化ポリエスエステル長繊維に使用し、リサイクルチップにより生産したポリエステル原糸は、同社グループを通じてリサイクル繊維「エコペット」ブランドとして展開していく。この設備は、2022年1月より生産を開始する予定としている。
◆価格改定
・昭和電工が酢酸および酢酸ビニルを10月20日出荷分より値上げ
値上げ幅は、酢酸:30円/㎏、酢酸ビニル:30円/㎏
・JNCが酢酸を11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、50円/kg以上
・日本触媒がアクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸特殊エステル類を11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、40円/kg以上
・日本触媒が(メタ)アクリル酸ヒドロキシモノマーを11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(BHEA):15円/kg以上、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA):15円/kg以上、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル(HPA):30円/kg以上、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル(HPMA):30円/kg以上
・カネカが液体苛性ソーダを11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、20円以上/kg(固形換算ベース)
・東亞合成がリン酸塩類製品を11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、ピロリン酸四カリウム:170円/㎏以上、ピロリン酸銅:240円/㎏以上、ピロリン酸銅カリ液:100円/㎏以上
・東亞合成が重炭酸カリ工業用を11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、60円/㎏以上
・ダイセルが電子材料溶剤製品を11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、エチルジグリコール(EDG):80円/kg、エチルジグリコールアセテート(EDGAC):50円/Kg、ブチルグリコールアセテート(BMGAC):50円/Kg、ブチルジグリコールアセテート(BDGAC):50円/Kg
・日本ポリエチレンがポリエチレンを11月11日納入分より値上げ
値上げ幅は、15円/kg以上