メールマガジン

11月25日号

2021.12.16 発行

HEADLINE

◆電子材料:日本製鋼所及び三菱ケミカルが4インチGaN結晶の成長を確認、2022年度から市場供給開始予定(11月19日)
◆炭素繊維:東レがラージトウ炭素繊維の生産設備を増強(11月18日)
◆二次電池:日本電気硝子が世界初のオール酸化物全固体ナトリウムイオン二次電池を開発(11月18日)
◆リサイクル:三井化学がマイクロ波を用いた廃プラスチックのダイレクト・モノマー化の取り組みを開始(11月18日)
◆リサイクル:三菱マテリアルとエマルションフローテクノロジーズが金属リサイクル技術の開発に着手(11月18日)
◆フィルム:東レが5G通信用の新規透明耐熱フィルムを創出(11月17日)
◆エンジニアリング:日揮ホールディングスのサウジアラビア法人がNGLプラント増強工事を受注(11月16日)
◆燃料電池:宇部興産が連続・自動合成法でPEFC向け高性能触媒の合成に成功、高効率合成も実現(11月15日)
◆化粧品原料:長瀬産業がヘアケア・スタイリング剤向け新原料を発売(11月15日)
◆価格改定
・DICが可塑剤を11月25日納入分より値上げ
・日本ポリプロがポリプロピレンを12月1日納入分より値上げ
・JNCがシリコーン製品を12月1日出荷分より値上げ
・昭和電工がエマルジョン製品を12月1日出荷分より値上げ
・日本軽金属が水酸化アルミニウム・アルミナ製品を12月1日出荷分より値上げ
・クラレが耐熱性ポリアミド樹脂を12月1日出荷分より値上げ
・デンカが特殊混和材製品を12月1日納入分より値上げ
・東ソーが炭化水素系高機能洗浄剤を年12月15日出荷分より値上げ
・トクヤマが固体苛性ソーダを1月1日出荷分より値上げ
・トクヤマが珪酸ソーダカレットを1月1日出荷分より値上げ
・堺化学工業が酸化チタンを1月1日納入分より値上げ
・昭和電工が電子材料用高純度ガスを1月1日納入分より値上げ
・日本製紙が液体用紙容器を4月1日納入分より値上げ
 
 

WEEKLY NEWS

◆電子材料:日本製鋼所及び三菱ケミカルが4インチGaN結晶の成長を確認、2022年度から市場供給開始予定(11月19日)
日本製鋼所及び三菱ケミカルは、NEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」において、パワーエレクトロニクス用大口径バルク窒化ガリウム(GaN)基板の実証開発に取り組んでおり、今回、4インチGaN結晶が計画通りに結晶成長していることを確認したと発表した。
窒化ガリウム(GaN)は、高い耐久性を持つ超高効率デバイスの実現を可能とする素材で、大幅な消費電力の削減によりCO2排出量の削減につながることから、環境負荷の低減が期待されている。このため、さらなる省エネルギーを実現する高輝度・高出力レーザや、高効率照明、新世代ディスプレイへの応用のほか、情報通信、パワー半導体などさまざまな分野での応用が見込まれている。
日本製鋼所及び三菱ケミカルでは、今後さらなる実証実験を行い、2022年度初頭からの市場供給を開始する予定としている。

◆炭素繊維:東レがラージトウ炭素繊維の生産設備を増強(11月18日)
東レは、米国の子会社Zoltek Companies(以下:Zoltek)において、ラージトウ炭素繊維の生産設備増強を決定したことを発表した。
近年、環境負荷が少ない再生可能エネルギーとして風力発電の新規導入が進められている。また、発電効率向上を目的とした発電翼の長尺・軽量化要求が強まり、比重が低く、比強度・比剛性が高い炭素繊維の使用比率が増加している。このような状況を背景に、ラージトウ炭素繊維は今後も中長期的な市場成長が見込まれている。
今回の設備増強では、Zoltekのメキシコ工場の生産能力を現行の年産1万3千トンから2万トンに増強する計画であり、ハンガリー工場の1万5千トンの生産能力とあわせてZoltek全体で年産約3万5千トンの生産能力となる。設備投資額は約130百万USD(約140億円)であり、2023年からの生産開始の予定としている。

◆二次電池:日本電気硝子が世界初のオール酸化物全固体ナトリウムイオン二次電池を開発(11月18日)
日本電気硝子は、開発を進めていた全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池について、新たに結晶化ガラスを用いた負極材の開発を行い、結晶化ガラス正極、固体電解質と一体化したオール酸化物全固体Naイオン二次電池の駆動に世界で初めて成功したと発表した。
今回開発した全固体Naイオン二次電池は出力電圧が3Vで、現行のリチウムイオン二次電池に匹敵する高い実用性を有している。
日本電気硝子の全固体Naイオン二次電池の技術は、資源量の豊富なナトリウムや鉄を材料に用いており、従来の電池技術で資源確保が問題とされているリチウムやコバルト、ニッケル等の希少金属元素を必要としない。また、安定な物質である酸化物材料で構成されているため、釘やナイフが刺さっても発火や有害ガスの発生がない。
今後は、製品化に向けた取り組みを加速するとしている。

◆リサイクル:三井化学がマイクロ波を用いた廃プラスチックのダイレクト・モノマー化の取り組みを開始(11月18日)
三井化学及びマイクロ波化学は、マイクロ波技術を用いて、これまでリサイクルが難しかったポリプロピレンを主成分とする混合プラスチックであるASR(自動車シュレッダーダスト)やバスタブや自動車部品などに使用されるSMC(熱硬化性シートモールディングコンパウンド)などの廃プラスチックを、直接原料モノマーにケミカルリサイクルする技術の実用化を目指した取り組みを開始したと発表した。
両社はこれまで様々な化学プロセスへのマイクロ波技術の活用について検討を進めており、今回新たに、ASRやSMC製品について、マイクロ波化学の開発するマイクロ波プラスチック分解技術「PlaWave」を用いて直接原料モノマーに分解するケミカルリサイクル技術の実用化を目指した取り組みを開始する。本技術で直接原料モノマーに分解することにより、廃棄プラスチックをオイルに戻してからモノマー化する油化手法よりも効率的であるとともに、将来的に分解プロセスに使用するエネルギーを再生可能エネルギー由来の電気を使用することでCO2排出量の削減が可能にもなる。
2021年度内にマイクロ波化学のベンチ設備での検証を行い、今後本格検討を進め、早期に実証試験を開始する予定としている。

◆リサイクル:三菱マテリアルとエマルションフローテクノロジーズが金属リサイクル技術の開発に着手(11月18日)
三菱マテリアルは、日本原子力研究開発機構(JAEA)発のベンチャー企業であるエマルションフローテクノロジーズとの間で、先進的な溶媒抽出法である「エマルションフロー法」を用いた金属リサイクル技術の共同研究を開始したことを発表した。
エマルションフロー法は溶媒抽出法の一つであり、液の混合状態を工夫することで、高効率な抽出と環境負荷の大幅な低減を可能とした革新的な手法である。特色として、従来の溶媒抽出法と比較して、装置の小型化や制御の自動化が容易であること、ランニングコストを低減できること、装置が密閉構造であるため無臭の作業環境が実現できること、油水分離能力が高く排水による環境負荷が小さいこと等が挙げられる。
今後は、条件最適化、プロセス設計や装置開発を進め、事業化を見据えながら高効率で環境負荷の低いリサイクルプロセスの構築に取り組んでいくとしている。

◆フィルム:東レが5G通信用の新規透明耐熱フィルムを創出(11月17日)
東レは、優れた耐熱性や難燃性と5G通信に適した誘電特性を保持しながら、高い透明性を実現した透明耐熱フィルムを創出したと発表した。
5Gは、高周波数帯域の特性上、電波が遠くまで届きにくいことから多数のアンテナが必要とされる。現在、透明回路基板として用いられているPETフィルムや透明ポリイミドフィルムは、誘電正接が高く、5G通信の信号ロスが大きいことが課題となっている。
一方、2軸延伸PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルム「トレリナ」は、耐熱性や難燃性、電気絶縁性、温湿度変化に対して安定した低誘電正接などの5G回路基板に適した特性を有しているが、高耐熱ポリマー特有の黄色みがある不透明なフィルムだった。これはフィルム内部の極微小なボイドにより光が散乱し、透明性が低くなることが原因である。そこで、新たに極微小なボイドをなくす新技術を開発した。これによりPPSフィルムの優れた特性を保持しつつ、黄色みを低減し、透明性を大幅に高めることに成功した。
さらに透明FPCや透明ヒーター基材などの電子部品用途、透明性と難燃性を活かした建材用途、検査や位置合わせに必要な視認性を確保でき耐薬品性や耐熱性が求められる工程離型フィルム用途など、幅広い用途への展開も期待できるとしている。

◆エンジニアリング:日揮ホールディングスのサウジアラビア法人がNGLプラント増強工事を受注(11月16日)
日揮ホールディングスは、サウジアラビア現地法人であるJGCガルフ・インターナショナルがサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコから、既設NGL(天然ガス液)プラントの増強工事を受注したと発表した。
本プロジェクトでは、サウジアラムコがペルシャ湾岸側にあるアブカイク地区に有する既設NGLプラントに、天然ガス露点調整設備を建設する。
本設備は、湿性ガスの輸送パイプライン内における液体の凝縮、蓄積を防止するため、出荷元において水分除去及びコンデンセート留分を回収し、ガスの露点を調整するものであり、2024年に完工予定としている。

◆燃料電池:宇部興産が連続・自動合成法でPEFC向け高性能触媒の合成に成功、高効率合成も実現(11月15日)
宇部興産は、産総研、ADMATと共同でNEDOの「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」に取り組んでおり、固体高分子型燃料電池(PEFC)向けの高性能コアシェル型触媒の合成に成功し、その高効率合成も実現したと発表した。
同時に、1日当たり数十種の触媒を連続・自動合成することが可能なハイスループットフロー合成装置を用いて、短時間で最適なコアシェル構造を有する触媒合成条件を確立した。また、プロセス条件を最適化し、従来比10倍以上の本触媒の高効率合成プロセスを実現することで、これまで課題であったコアシェル型触媒の生産性を抜本的に向上させることに成功した。
これらの成果によってPEFCで課題となっている高い白金コストを大幅に低減することが可能となり、引き続き白金の利用効率の向上を可能にする新規触媒開発を加速させ、コアシェル型燃料電池触媒の実用化を目指すとしている。

◆化粧品原料:長瀬産業がヘアケア・スタイリング剤向け新原料を発売(11月15日)
長瀬産業は、ヘアケア・スタイリング剤向け新原料『リセナーレ』を発売することを発表した。
同製品は、グループの製造機能の中核を担う林原の酵素技術により開発・製造されたものである。
近年、化粧品市場においては、自然派・ナチュラル志向が高まりつつある中、肌や髪への安全性、環境への配慮、さらに機能性を高めた付加価値のある天然由来原料の開発が求められている。
『リセナーレ』は、でんぷんを原料とし、独自の酵素技術によって作られたイソマルトオリゴ糖を主成分とし、数種類の糖質が組成された液状タイプの製品である。この糖組成により、スタイリング機能と傷んだ髪の補修機能の両立を実現している。今後、長瀬産業の顧客ネットワークを活用して国内外の化粧品・ヘアケア製品メーカー向けに幅広く展開していくとしている。

◆価格改定
・DICが可塑剤を11月25日納入分より値上げ
 値上げ幅は、ポリエステル系可塑剤:61円/kg以上、アジピン酸系可塑剤(DOA、DINA):54円/kg
 トリメリット酸系可塑剤:69円/kg以上、特殊可塑剤:64円/kg以上
・日本ポリプロがポリプロピレンを12月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、15円/kg以上
・JNCがシリコーン製品を12月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、20%~40%以上
・昭和電工がエマルジョン製品を12月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、エチレン-酢酸ビニル系:20円/kg、酢酸ビニル系:15円/kg
・日本軽金属が水酸化アルミニウム・アルミナ製品を12月1日出荷分
 より値上げ
 値上げ幅は、20%以上
・クラレが耐熱性ポリアミド樹脂を12月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、フィラー強化銘柄:40円/kg、0.40US$/kg、ガラス繊維強化ハロゲン難燃銘柄:60円/kg、0.60US$/kg
 ガラス繊維強化ノンハロゲン難燃銘柄:150円/kg、1.50US$/kg
・デンカが特殊混和材製品を12月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、30%以上
・東ソーが炭化水素系高機能洗浄剤を年12月15日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、30円/L 以上
・トクヤマが固体苛性ソーダを1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、25円/kg以上
・トクヤマが珪酸ソーダカレットを1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15円/kg以上
・堺化学工業が酸化チタンを1月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、45円/kg
・昭和電工が電子材料用高純度ガスを1月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、20%以上
・日本製紙が液体用紙容器を4月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、エヌピーパック:12%以上、フジパック:5%以上

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