2021.08.05 発行
◆電子材料:日産化学が韓国に半導体材料生産工場を設立(7月30日)
◆電子材料:トクヤマが先進技術事業化センター内に窒化ケイ素製造設備を竣工(7月30日)
◆水素関連:千代田化工建設と三菱商事がロッテルダム港湾公社、クーレターミナル社と商業規模水素輸入に向けた共同調査の覚書を締結(7月30日)
◆樹脂:ENEOS NUCが超高圧・高圧電線絶縁用ポリエチレンの生産能力を増強(7月29日)
◆電子材料:ENEOSが次世代高速通信に対応した低誘電LCPパウダーの販売を開始(7月28日)
◆バイオマス:アイカ工業がバイオマスUV硬化型ハードコート剤とハードコートフィルムを開発(7月27日)
◆メディカル:日本曹達が医薬品添加剤「NISSO HPC」の増産設備を竣工し、製品出荷を開始(7月26日)
◆バイオ:藤森工業が独自開発の細胞培養技術活用によるiPS細胞の超大量増殖培養に成功(7月26日)
◆価格改定
・東亞合成がアクリックスC-1(化学品名:アクリル酸2-メトキシエチル)を8月1日出荷分より値上げ
・昭和電工が合成樹脂エマルジョン、溶液系樹脂を8月16日出荷分より値上げ
・東ソーが芒硝を9月1日出荷分より値上げ
・ADEKAが油脂加工製品を9月1日出荷分より値上げ
◆電子材料:日産化学が韓国に半導体材料生産工場を設立(7月30日)
日産化学は、韓国のグループ会社であるNCKが韓国産業団地公団と入居契約を締結したと発表した。
NCKは、2001年に設立された半導体材料、ディスプレイ材料の研究・製造・販売を行っている日産化学のグループ会社である。
日産化学及びNCKは、5G(次世代移動通信システム)やリモートワークの浸透による電子機器の需要増、EV(電気自動車)の普及により、世界的に半導体の需要が増加している中、新たに借用する産業団地に工場を新設し、半導体材料の供給体制を強化するとしている。
◆電子材料:トクヤマが先進技術事業化センター内に窒化ケイ素製造設備を竣工(7月30日)
トクヤマは、先進技術事業化センター内の窒化ケイ素製造設備の建設工事完了に伴い、竣工式を開催したと発表した。
窒化ケイ素は、環境対応型自動車などに搭載されるパワー半導体モジュールの絶縁・放熱材料として使用されている。同社が開発した窒化ケイ素の製造プロセスは、低エネルギーかつ有機溶剤を使用しないソルベントフリーの、先進的で環境に配慮した独自のプロセスを採用している。
完成した製造設備では、原料の高純度窒化ケイ素粉末から窒化ケイ素セラミックス板までを一貫生産することで、安定的に付加価値の高い製品の提供が可能になるとしている。
◆水素関連:千代田化工建設と三菱商事がロッテルダム港湾公社、クーレターミナル社と商業規模水素輸入に向けた共同調査の覚書を締結(7月30日)
千代田化工建設と三菱商事は、オランダのロッテルダム港湾公社(Port of Rotterdam Authority:POR)、クーレターミナル社と、千代田化工の水素貯蔵・輸送技術(SPERA水素)を活用したロッテルダム港への水素輸入による国際間サプライチェーン構築に関する共同調査を実施することに合意し、4社間で覚書を締結致したと発表した。
PORは2020年5月に水素マスタープランを公表し、北西ヨーロッパのグリーン水素のサプライチェーン構築を促し、且つ水素輸入のハブになることを目指しており、2050年までに年間2,000万トンの水素をロッテルダム港で取り扱うことを目標に2025年に10万~20万トン、2030年には30万~40万トンの水素取扱量を目指し取組みを推進している。
本覚書に基づき、欧州の長期CO2排出量削減に向け、競争力のある持続可能な未来に向けた水素の輸入と利用を進める事業の実現を目指し、4社で協力しながら、技術および商務面の評価・検討を進めていくとしている。
◆樹脂:ENEOS NUCが超高圧・高圧電線絶縁用ポリエチレンの生産能力を増強(7月29日)
ENEOSの子会社ENEOS NUCは、再生可能エネルギーの電源開発を背景に需要が増加する超高圧・高圧電線の絶縁用途に使用されるポリエチレンの生産能力を増強することを発表した。
近年、再生可能エネルギーの電源開発が世界規模で進む中、洋上風力発電など、需要地までの距離が長い分散化型電源の開発が加速しており、これに伴い、送電線として使用される超高圧・高圧電線の絶縁用ポリエチレンの需要が拡大している。
今回NUCは、約120億円の新規設備投資を行い、川崎工業所の生産能力を約3万トン増強する。商業運転開始は2023年12月の予定としている。
◆電子材料:ENEOSが次世代高速通信に対応した低誘電LCPパウダーの販売を開始(7月28日)
ENEOSは、世界最高レベルの低誘電特性を有するパウダー状の液晶ポリマー(LCP)「XYDAR LF-31P」を商用化し、販売を開始したと発表した。
近年、次世代通信技術の発展により、通信量が増加していることから、伝送損失を抑えた高効率な通信回路を確立することが求められている。その為、電子機器に使用される素材には、伝送損失を抑える要素である「誘電正接」性能を高めることが要求されている。
今回販売を開始する「XYDAR LF-31P」は、平均粒径が5~7μmの微細かつシャープな粒度分布が特徴のLCPである。機能面では、同社独自の技術・配合により低誘電正接の値がDf=0.0007という世界最高レベルの低誘電性を実現し、伝送損失を抑える高い効果が期待される。さらに、高耐熱性および低吸水率を併せて持つことから、高速通信の電気電子材料として競争優位性を有するとしている。
◆バイオマス:アイカ工業がバイオマスUV硬化型ハードコート剤とハードコートフィルムを開発(7月27日)
アイカ工業は、植物由来のバイオマス原料を一部使用したUV(紫外線)硬化型のハードコート剤「アイカアイトロンZ-962シリーズ」を開発したと発表した。
同製品は、バイオマス度30~40%を実現し、透明性や耐久性を有するほか、防汚性や屈曲性などの各性能を付加できる。また、バイオマスフィルムに同製品をコーティングしたハードコートィルム「ルミアートHCシリーズ」も開発しており、同時発売を予定している。両製品とも各種ディスプレイの保護フィルムや自動車内装加飾などに適している。
販売開始時期は、2021年9月の予定で、年間販売目標は3億円としている。
◆メディカル:日本曹達が医薬品添加剤「NISSO HPC」の増産設備を竣工し、製品出荷を開始(7月26日)
日本曹達は、医薬品添加剤「NISSO HPC」の生産体制について、50億円を投資し二本木工場(新潟県)の生産能力を30%増強したと発表した。
日本曹達の医薬品添加剤「NISSO HPC」は、錠剤の硬度を高める結合力や、溶けにくい有効成分の溶解性改善、徐々に有効成分を放出する徐放性など高い機能を有しており、とりわけ固形製剤の結合剤として使用されている。また、同社の独自銘柄である「NISSO HPC-SSL SFP(超微粒子品)」は、極めて高い圧縮成形性により、健康食品錠剤などの食品分野における採用も拡大している。
今回の生産能力増強により、販売が拡大している銘柄の増産体制が整備されるとともに、その他の銘柄についても効率的な生産が可能になるとしている。
◆バイオ:藤森工業が独自開発の細胞培養技術活用によるiPS細胞の超大量増殖培養に成功(7月26日)
藤森工業と大阪大学の共同研究チームは、同社のシングルユース製品「バイファス」および槽振とう型培養装置を活用することで、ヒトiPS 細胞の分化能を維持した状態で110億個まで増殖培養することに世界で初めて成功したと発表した。
同研究は、日本医療研究開発機構における「細胞製造性に基づくスケールアップ技術の研究開発と製造技能・技術の伝播を目指した人材育成システムの開発」での成果であり、再生医療の産業化のために必要なヒト iPS細胞の大量製造プロセスの構築に繋がるものとしている。
◆価格改定
・東亞合成がアクリックスC-1(化学品名:アクリル酸2-メトキシエチル)を8月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、25円/㎏以上
・昭和電工が合成樹脂エマルジョン、溶液系樹脂を8月16日出荷分より値上げ
値上げ幅は、エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン:25円/kg
酢酸ビニル系エマルジョン:20円/kg
アクリル系エマルジョン:30円/kg
スチレン-アクリル系エマルジョン:21円/kg
溶液系樹脂「コーガム」「ビニロール」「ポリフィックス」:47円/kg
・東ソーが芒硝を9月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、10円/kg以上
・ADEKAが油脂加工製品を9月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は:ショートニング 30円/kg以上、マーガリン:24円/kg以上
ファットスプレッド18円/kg以上、ハードバター:50円/kg以上
ホイップクリーム30円/kg以上、フィリング:30円/kg以上
マヨネーズ類:30円/kg以上
・日本板硝子が国内建築用板ガラス製品を10月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、板ガラス製品、鏡製品:15~35%
建築用機能ガラス製品:15~20%