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2021年9月30日号

2021.09.30 発行

HEADLINE

◆二次電池:旭化成が中国におけるリチウムイオン二次電池用乾式セパレータの合弁会社設立を発表(9月22日)

◆電子材料:JSRがシンガポールに半導体材料事業の現地法人を設立(9月22日)

◆複合材料:三菱ケミカルが遮炎機能を持つ熱可塑性複合材料(FRTP)を開発(9月21日)

◆リサイクル:三菱ケミカルがリサイクル性に優れた耐熱ポリスチレンシートを開発(9月17日)

◆複合材料:日本製紙がCNF強化樹脂の実証生産を本格化(9月17日)

◆包材:凸版印刷が包材向けのハイバリア紙を開発(9月17日)

◆メディカル:JSRのグループ会社が中国広東省に臨床検査薬の開発および製造新拠点を開所(9月17日)

◆フィルム:アイカ工業が自動車外装専用の3次元加飾ハードコートフィルムを開発(9月15日)

◆リサイクル:BASFがプラスチックのメカニカルリサイクル向けの添加剤パッケージを上市(9月14日)

◆メディカル:AGC BiologicsがmRNAとその原料であるpDNAの生産設備を新設・増強 (9月14日)

◆水素関連:トクヤマとパナソニックが純水素型燃料電池の実証を開始(9月14日)

◆CO2回収:戸田工業がCO2固体回収材の開発を開始(9月13日)

◆自動車部品:豊田合成が米国で自動車内外装部品の生産能力を強化(9月13日)

◆電子材料:昭和電工がパワー半導体向けSiCエピタキシャルウェハーについてロームと長期供給契約を締結(9月13日)

◆価格改定

・東亞合成がカセイカリ製品を9月21日出荷分より値上げ

・石原産業が酸化チタンのアジアパシフィック地域向け輸出価格を10月1日出荷分より値上げ

・トクヤマは、乾式シリカ及び四塩化珪素を10月1日出荷分より値上げ

・大日精化工業がオフセット印刷用インキを11月1日出荷分より値上げ

・アイカ工業が化粧板などの建装建材商品を11月1日受注分より値上げ

・東洋インキがUV硬化型インキ製品を11月1日出荷分より値上げ

WEEKLY NEWS

◆二次電池:旭化成が中国におけるリチウムイオン二次電池用乾式セパレータの合弁会社設立を発表(9月22日)

旭化成は、100%子会社であるPolypore International LP(本社: 米国、以下「Polypore」)が、中国において上海恩捷新材料科技(本社:中国、以下「SEMCORP」)とリチウムイオン電池(LIB)に使用される乾式セパレータの合弁会社(JV)を設立し、事業を開始することを発表した。

Polyporeは、本年1月、SEMCORPとLIBに使用される乾式セパレータのJVを設立することで合意し、関係各国の競争法当局に申請をしており、今回JVの設立について各国当局より許可が得られた。

このJVはPolyporeの子会社であるCelgardからライセンス供与される乾式ポリプロピレン(PP)製セパレータに関する技術と知的財産権に基づいて、エネルギー貯蔵システムや電気自動車向けLIBに使用される高品質・高性能な乾式セパレータを中国において製造・販売する。

JVの生産能力は、2022年上期に1億㎡/年から立上げ2028年頃に10億㎡/年とする計画としている。

 

◆電子材料:JSRがシンガポールに半導体材料事業の現地法人を設立(9月22日)

JSRは、シンガポールを中心とした東南アジアにおける半導体材料事業の営業・マーケティング活動の強化の為、シンガポールに現地法人「JSR Electronic   Materials Singapore」を設立すると発表した。

シンガポールには欧米や台湾の主要半導体メーカー、ファウンドリ―、OSAT(後工程の請負製造サービス)が大規模な生産工場を有しており、新規メモリやパワー半導体向けなどで新たな事業機会の獲得が期待される市場となっている。

JSRでは、これまで欧州のJSR Micro N.V.のシンガポール支店を通してシンガポールでのビジネスに注力してきたが、今回の現地法人設立により、グローバルでの半導体材料事業の連携を強化し、東南アジア地域におけるマーケティングと顧客対応力強化を図る。稼働開始は12月頃の予定としている。

 

◆複合材料:三菱ケミカルが遮炎機能を持つ熱可塑性複合材料(FRTP)を開発(9月21日)

三菱ケミカルと子会社である三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズは、遮炎機能と高い生産性やリサイクル性を両立した熱可塑性複合材料(FRTP)を開発したと発表した。

EVに代表される電動モビリティのバッテリーシステムは、搭乗者の安全を確保するための高い遮炎性と、省エネのための軽量化が求められている。従来、難燃機能の付与が比較的容易であり、軽量化を実現できる熱硬化性複合材が使用されてきたが、生産サイクルが長いこと、リサイクル性が低いことが課題となっていた。

本開発品は、熱可塑性樹脂をベースに繊維や樹脂の組成を工夫することで、強度・剛性や軽量性と加工性、リサイクル特性を両立させた製品である。加えて難燃機能も向上させ、実験では1,000℃以上の火炎を5分以上遮炎することを確認している。現在、一部の顧客との間でサンプルワークを進め、バッテリーパックの外装など用途開拓にも取り組んでいくとしている。

 

◆リサイクル:三菱ケミカルがリサイクル性に優れた耐熱ポリスチレンシートを開発(9月17日)

三菱ケミカルは、リサイクル性に優れた耐熱二軸延伸ポリスチレンシート(耐熱OPSシート)を開発し、量産体制を整えたことを発表した。

OPSは軽量ながら強度があり、透明性や成形加工性にも優れるため、弁当容器のフタなど食品包装容器として広く使用されている。OPSを成形加工する工程では、シートを打ち抜く際に端材が発生するため、従来から原料としてリサイクルする取り組みが行われてきた。しかし、電子レンジで使用可能な耐熱性の高いOPSは、端材を溶かしても混ぜ合わせにくいため再シート化が難しく、リサイクルに適さないことが課題となっていた。

今回、こうした顧客の課題意識を踏まえ、原料メーカーと共同で開発に取り組むことで、顧客の製造工程内でリサイクル可能な耐熱OPSを開発した。既に複数の顧客との間でサンプルワークを進め、一部で採用も決まっているとしている。

 

◆複合材料:日本製紙がCNF強化樹脂の実証生産を本格化(9月17日)

日本製紙は、富士工場(静岡県)内のセルロースナノファイバー強化樹脂(CNF強化樹脂)実証生産設備を7月末日に拡張したと発表した。

CNF強化樹脂(製品名:Cellenpia Plas)は、CNFをポリプロピレンやナイロン6などの樹脂へ混練・分散することにより製造される高強度な新素材で、自動車、建材、家電などでの利用が期待されている。CNF強化樹脂は、部材の軽量化が図れることに加えて、マテリアルリサイクル性に優れるため、プラスチック使用量の削減、及びCO2を主とした温暖化ガス排出削減につながる。

日本製紙は、現在、NEDOの助成事業プロジェクトに参画し、CNF強化樹脂の開発に取り組んでいる。今回、この助成金を活用して富士工場に建設した実証拡張設備は、年間50トン以上のCNF強化樹脂マスターバッチを製造することができる。

今後は安定して大量生産する製造技術の確立を目指すとともに、CNF強化PA6については2021年10月より、またCNF強化PPについては来年4月よりサンプル提供を拡大し、自動車用部品を始めとする幅広い産業への用途開発を加速させていくとしている。

 

◆包材:凸版印刷が包材向けのハイバリア紙を開発(9月17日)

凸版印刷は、高い水蒸気バリア性と優れた耐屈曲性を有し、幅広い内容物と包材形状に対応できるバリア紙「GL-X-P」を開発したことを発表した。

本製品は、高い水蒸気バリア性を有することで、湿度による内容物の変質を防ぐことができ、優れた耐屈曲性を持つため、幅広い包材形状に対応する。また本製品自体がヒートシール性を有しており、紙単体で構成ができることから、従来のプラスチックを使用した積層構成の包材からの切替えにより、プラスチック使用量の削減を実現するとともにCO2排出量を最大で約35%削減可能となる。

2021年9月下旬より国内・国外の食品メーカーやトイレタリーメーカーを始めとした幅広い業界に向け、サンプル出荷を開始し、2022年春より本格的な販売を開始する。2025年に本製品を含む包材向けバリア紙で、関連受注を含め約100億円の売上を目指すとしている。

 

◆メディカル:JSRのグループ会社が中国広東省に臨床検査薬の開発および製造新拠点を開所(9月17日)

JSRのライフサイエンス事業のグループ企業である医学生物学研究所(以下MBL)は、中国における臨床検査薬の開発および製造拠点として中国広東省に設立した子会社「恩碧乐(深圳)生物科技」(以下MBLS)を、本格稼働させたと発表した。

同社は、これまで成長著しい中国検査薬市場に対して、臨床検査薬の原料を製造販売していた。MBLSの操業により、検査薬メーカーや製薬メーカーなど、中国域内の顧客の要望に、より柔軟かつ迅速に応えることを目指すとしている。

 

◆フィルム:アイカ工業が自動車外装専用の3次元加飾ハードコートフィルムを開発(9月15日)

アイカ工業は自動車製造におけるCO2排出量削減に寄与する、自動車外装専用の3次元加飾ハードコートフィルムを開発し、2021年10月よりサンプルワークを開始すると発表した。

同社は2018年から自動車向け3次元加飾フィルムを販売し、今回、ボンネット等の自動車外装用の3次元加飾ハードコートフィルムの開発に成功した。自動車内装に比べて自動車外装は面積が大きく、塗装から加飾フィルムに切り替えることで、さらなるCO2排出量削減が期待できる。

また、スプレー塗装の課題である揮発性有機化合物の放散がなく、地球環境および作業者の健康にも配慮したクルマづくりが可能である。加えて、同社は2021年7月に植物由来のバイオマス原料を一部使用したハードコート製品の開発にも成功し、その技術を自動車外装用の3次元加飾ハードコートフィルムにも応用していく。

同品の年間販売目標は3億円としている。

 

◆リサイクル:BASFがプラスチックのメカニカルリサイクル向けの添加剤パッケージを上市(9月14日)

BASFは、プラスチックのリサイクルにおける課題やニーズに対応する新しい添加剤パッケージIrgaCycle(イルガサイクル)を上市したことを発表した。

プラスチック業界では、サステナビリティ目標の達成のために、主要なアプリケーションにリサイクルポリマー材料の含有量を高める方法が検討されている。再生プラスチックには、不純物や汚れが含まれていることがあり、リサイクル業者やプラスチックコンバーターは、リサイクルされたポリマー材料を処理する際、品質や性能が課題となっている。

IrgaCycleシリーズには、包装材、自動車やモビリティ、建築や建設などの最終用途において、リサイクル含有率を高めるのに寄与する添加剤パッケージが含まれている。これらのパッケージは、加工性、長期熱安定性、屋外耐候性の不足など、再生樹脂に関連する品質問題に対処するものである。

上市にあたり、製品ラインアップにはさまざまな種類の添加剤が配合されているが、今後も順次追加していく予定としている。

 

◆メディカル:AGC BiologicsがmRNAとその原料であるpDNAの生産設備を新設・増強 (9月14日)

AGCの子会社であるAGC Biologicsは、メッセンジャーRNA(mRNA)の製造受託サービスの開始と、mRNAの原料となるプラスミドDNA(pDNA)の生産ラインの増設を、ハイデルベルグ工場(ドイツ)で行うと発表した。

新型コロナウイルスワクチン用途で実用化されているmRNAは、今後、ワクチン以外の分野も含めて世界的に需要増加が期待される。AGC Biologicsは、pDNAの製造受託事業で得たノウハウを活かし、ハイデルベルグ工場でmRNAの製造受託サービスを開始する。

また、遺伝子・細胞治療向けの原料であるpDNAの製造能力も増強することで、原料から遺伝子細胞治療までを包括的に展開できる。ハイデルベルク工場の新設・増設される生産設備は、2023年中頃の稼働開始の予定としている。

 

◆水素関連:トクヤマとパナソニックが純水素型燃料電池の実証を開始(9月14日)

トクヤマとパナソニックは、トクヤマの徳山製造所(山口県)で発生する副生水素を用いた純水素型燃料電池の実証を開始したと発表した。

徳山製造所内に設置した実証機は、パナソニックが開発する6台の純水素型燃料電池を1つのユニットに収めたシステム構成になっている。

トクヤマは、イオン交換膜食塩電解法で苛性ソーダを製造する時に発生する副生水素を、純水素型燃料電池に安定供給する。

パナソニックは、副生水素を用いた場合の稼働性能に加えて、連携制御の検証・評価を行う。実証に用いる純水素型燃料電池単体の発電出力は700Wであるが、6台の実証機を個別に稼働および停止させることができるため、700W~4.2kWで任意の発電出力に設定することが可能となる。

実証期間は、2023年3月までの予定としてる。

 

◆CO2回収:戸田工業がCO2固体回収材の開発を開始(9月13日)

戸田工業は、ナトリウムフェライトを同社の酸化鉄合成技術を用いて工業的に生産し、CO2固体回収材へと加工して社会実装する開発を開始したことを発表した。

CO2回収には従来からアミン水溶液が用いられてきたが、回収材の運用には気液接触や搬送中の漏洩等の対策が必要であると同時に、空気と接触することで酸化して劣化する課題があり、石炭火力発電所などの大きな施設にしか適応できなかった。

ナトリウムフェライトは、燃焼排ガスや大気中等に含まれるCO2を選択的に化学吸着し、100℃程度の加熱によって、連続的に分離回収できる機能がある。従来のアミン溶液を用いたCO2回収方法と比較して、CO2を回収するためのエネルギーを約1/3まで削減することができ、空気酸化による劣化の可能性もないため、小規模運用も可能である。

戸田工業では、2024年までにナトリウムフェライトから生産したCO2固体回収材を同社の工場内に設置し、自社ボイラー施設から排出されるCOを分離回収し、自社製品の原料として再利用するカーボンリサイクルを確立する。また、工場のボイラー施設やごみ焼却場等の中小規模施設での実用化に向けても開発を進めるとしている。

 

◆自動車部品:豊田合成が米国で自動車内外装部品の生産能力を強化(9月13日)

豊田合成は、重点市場である北米での自動車部品の生産体制の強化にけ、米国の子会社であるTGミズーリの生産能力を強化することを発表した。

同社では、ラジエータグリルなどの内外装部品の販売拡大に対応するため、本社工場(ペリビル工場)の建屋を約118,000㎡から約120,000㎡に拡張したほか、インディアナ工場で新たに建屋を購入し、成形機や塗装設備などを導入する。

なお、今回の投資額は約40億円であり、最新の省エネ設備を導入し、環境にも配慮したモノづくりを推進していくとしている。

 

◆電子材料:昭和電工がパワー半導体向けSiCエピタキシャルウェハーについてロームと長期供給契約を締結(9月13日)

昭和電工は、高効率SiCパワー半導体事業をグローバルに展開しているロームとの間で、パワー半導体向けSiCエピタキシャルウェハーに関する、複数年にわたる長期供給契約を締結したことを発表した。

今回の長期供給契約の締結で、SiCエピウェハーの特性均一性や低欠陥密度などの向上に向けた技術的な協力関係を更に強化していく。

SiCエピウェハーは、システムサーバー電源や鉄道車両、太陽光発電システム用インバーター、電気自動車の高速充電スタンド用コンバーターなどの用途に採用されており、今後もSiCパワーデバイス市場において、同社のSiCエピウェハー事業の拡大が期待されるとしている。

 

◆価格改定

・東亞合成がカセイカリ製品を9月21日出荷分より値上げ

値上げ幅は、液体カセイカリ:25円/kg以上(固形換算)、フレークカセイカリ:25円/kg以上(有姿)、スーパーカリ:25円/kg以上(固形換算)

・石原産業が酸化チタンのアジアパシフィック地域向け輸出価格を10月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、US$200/トン

・トクヤマは、乾式シリカ及び四塩化珪素を10月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、30%以上

・大日精化工業がオフセット印刷用インキを11月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、オフセット輪転プロセスインキ:50~100円/kg、オフセット枚葉プロセスインキ:100~150円/kg

※UVインキ、特色・中間色、その他特殊品については、個別に案内

・アイカ工業が化粧板などの建装建材商品を11月1日受注分より値上げ

値上げ幅は、5~25%

・東洋インキがUV硬化型インキ製品を11月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、100~170円/kg

※中間色、調色インキ、特殊製品に関しては上記改定幅と異なる製品がある

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