2022.10.13 発行
◆フィルム:東レがMLCC離型用ポリエステルフィルム「ルミラー」の生産能力を増強(10月7日)
◆非鉄金属:パンパシフィック・カッパーが2022年度下期における金属製品等の委託生産予定を発表(10月7日)
◆メディカル:富士フイルムが自社国内初のバイオCDMO拠点を新設(10月6日)
◆水素製造:日本触媒とトクヤマによる「高圧方式に適した大型アルカリ水電解装置及びセパレータの開発事業」がNEDO事業
として採択(10月6日)
◆コーティング材:信越化学工業が紙製品の循環利用を促進する透明、耐水コーティング材を開発(10月6日)
◆フィルム:大日本印刷が高いバリア性と遮光性を有し、CO2排出量を抑えたアルミ蒸着フィルムを開発(10月6日)
◆CO2対策:日揮がJX石油開発とペトロナスと共同で、マレーシアにおけるCCSスタディに関する覚書を締結(10月4日)
◆メディカル:AGCが国内バイオCDMO製造能力拡大の検討の本格化を発表(10月3日)
◆バイオプラ:NESTE、出光興産、奇美実業、三菱商事がバイオマスプラスチックのサプライチェーン構築を実現(10月3日)
◆電子材料:住友化学が化合物半導体材料事業における新体制発足(10月3日)
◆モノマー:三菱ケミカルグループが米国・ルイジアナ州におけるMMAモノマープラント新設の最終投資決定を延期
(10月3日)
◆電子材料:信越ポリマーが半導体市場拡大に対応して糸魚川工場の増築、東京工場の新棟建設を発表(10月3日)
◆非鉄金属:三井金属が2022年度下期の地金生産計画を発表(10月3日)
◆非鉄金属:三菱マテリアルが2022年度下期の地金生産計画を発表(10月3日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・UBEがフェノール樹脂を10月11日出荷分より値上げ
・カネカがイースト製品を11 月1 日出荷分より値上げ
◆フィルム:東レがMLCC離型用ポリエステルフィルム「ルミラー」の生産能力を増強(10月7日)
東レは、MLCC(積層セラミックコンデンサー)製造時の工程離型用ポリエステルフィルム「ルミラー」の生産能力の増強を発表した。
MLCCは、通信機器、家電、自動車用など、電気で駆動するすべての機器に搭載されており、今後、通信分野での5G/6Gへの高度化や、電動化車両(xEV)の普及拡大に伴う搭載個数の増加により、年率10%以上の成長が見込まれている。
東レのMLCC離型用フィルム「ルミラー」は極めて平滑なフィルムであり、セラミック層を薄く凹凸無く仕上げるために効果がある。MLCC離型用フィルムは三島・岐阜工場、マレーシア、韓国で生産され、今回、岐阜工場(岐阜県神戸町)の生産設備を改造することで、通信や自動車用途で拡大するMLCC需要拡大に対応する。
今回の増強により岐阜工場(岐阜県神戸町)の生産能力は1.6倍となる。設備投資額は80億円であり、2025年から稼働開始の予定としている。
◆非鉄金属:パンパシフィック・カッパーが2022年度下期における金属製品等の委託生産予定を発表(10月7日)
パンパシフィック・カッパーは、2022年度下期における金属製品等の委託生産予定を発表した。
2022年度下期の委託生産予定としては、銅は303,300t/期(前年同期:255,100t/期)であり、内JX金属精錬へ211,700t/期、日比共同製錬へ91,600t/期を委託する。硫酸は859,600t/期(前年同期:652,200t/期)であり、内JX金属精錬へ651,700t/期、日比共同製錬へ207,900t/期を委託する。また、金は20,100㎏/期(前年同期:16,600kg/期)、銀は148,900㎏/期(前年同期:166,300㎏/期)を委託生産する予定としている。
◆メディカル:富士フイルムが自社国内初のバイオCDMO拠点を新設(10月6日)
富士フイルムは、ライフサイエンス領域の事業成長を加速させるため、同社国内初のバイオCDMO拠点を富山県富山市に新設すると発表した。
新拠点は、富士フイルム富山化学による設備投資を通じて設立するもので、2026年度の稼働を予定している。なお、今回の新拠点設立は、経済産業省が推進する「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」に採択されている。
新拠点には、海外で培ってきた高度なバイオ関連技術やデュアルユース設備などを導入する。バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託サービスを製薬企業に提供し、事業成長を加速させる。また、パンデミック時には、受託サービスを通じて、製薬企業による国産ワクチンの迅速開発・供給をサポートするとしている。
◆水素製造:日本触媒とトクヤマによる「高圧方式に適した大型アルカリ水電解装置及びセパレータの開発事業」がNEDO事業として採択(10月6日)
日本触媒とトクヤマは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」の枠組みにおいて、「燃料電池の多用途活用実現技術開発」として、「高圧方式に適した大型アルカリ水電解装置及びセパレータの開発事業」が採択・受託したことを発表した。
高圧型アルカリ水電解装置(以下、高圧AWE)は、セパレータで仕切られたセルにアルカリ水溶液を供給し通電することで水素・酸素を製造する装置である。水素は次世代エネルギーとして注目されており、再生可能エネルギー由来の電力で作られるグリーン水素には世界中で大きな期待が寄せられている。
本事業では、日本触媒による高圧方式にも適した大型セパレータの開発と、トクヤマによるセパレータ性能を最大限発揮する電解槽の内部構造開発を掛け合わせ、世界に通用する競争力ある高圧AWEの開発を目指すとしている
◆コーティング材:信越化学工業が紙製品の循環利用を促進する透明、耐水コーティング材を開発(10月6日)
信越化学工業は、段ボール等の紙製品に耐水性を付与し、かつリサイクルを飛躍的に促進する新製品「Sicle」(サイクル)を開発したと発表した。
一般の耐水コーティング材や耐水フィルムを使った紙をリサイクルするには、環境への負荷を考慮し、コーティング材やフィルムを分離する必要がある。本材料は、ケイ素と酸素由来の成分で構成され、これらとの分離を不要とするリサイクルを環境に負荷を与えることなく実現する。また、本材料をコーティングすることにより、段ボール等に貼った粘着テープを剥がしても印刷が剥がれなくなる。
「Sicle」は、それぞれの用途で段ボールに高耐水機能を付与し、包装資材としての段ボールの高機能化に寄与する。更に本製品は環境保全と資源循環の観点により段ボールの新たな市場の開発を促進するとしている。
◆フィルム:大日本印刷が高いバリア性と遮光性を有し、CO2排出量を抑えたアルミ蒸着フィルムを開発(10月6日)
大日本印刷は、酸素や水蒸気に対する高いバリア性と、高い遮光性を有するハイバリアアルミ蒸着フィルム(以下、本製品)を開発したと発表した。
粉末タイプの医薬品や食品等に使用するパッケージには、酸素や水蒸気を遮断する高いバリア性と高い遮光性が要求されている。従来は主にアルミ箔が使用されているが、アルミ箔は、製造時のCO2排出量が多く、昨今の工業材用途の需要拡大などによってアルミ素材の供給に課題がある。
本製品は、一般的なアルミ蒸着フィルムと比較し、酸素・水蒸気のバリア性、遮光性ともに、10倍程度の性能を有しており、アルミ箔の代わりに使用することができる。
アルミ箔から本製品への置き換えにより、原材料調達時と製造時を合わせたサプライチェーンでCO2排出量を削減させることができると同時に、アルミ箔の代替を進めることで、顧客企業への安定供給につなげられるとしている。
◆CO2対策:日揮がJX石油開発とペトロナスと共同で、マレーシアにおけるCCSスタディに関する覚書を締結(10月4日)
日揮は、JX石油開発及びマレーシアのペトロナスと共同で、マレーシアにおける二酸化炭素の回収・貯留(CCS)実施における共同スタディに関する覚書を締結したと発表した。
本共同スタディは、マレーシア国内の各産業施設から排出されるCO2に加えて、日本をはじめとするマレーシア国外からのCO2の分離・回収、輸送、圧入・貯留からなる具体的なCCSサプライチェーン構築を検討するものであり、日本政府が2021年に発表した「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」と連携している。
マレーシアにおけるCCSハブ&クラスターの形成を目指し、将来的な事業化を見据え、日揮およびJX石油開発が有する知見・技術を活用し、2022年10月から2024年4月にかけてスタディを行うとしている。
◆メディカル:AGCが国内バイオCDMO製造能力拡大の検討の本格化を発表(10月3日)
AGCは、経済産業省が公募を行った「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」に採択されたことを受け、横浜テクニカルセンターにおいて、2025年稼働開始を目標とするバイオ医薬品CDMO事業の製造能力拡大の検討を本格化することを発表した。
現在、新たな感染症に対応するワクチンとして、バイオ医薬品の生産技術を応用した新しいタイプのワクチンの開発が世界中で行われている。一方で、日本ではこのような新しいタイプのワクチンを含むバイオ医薬品の生産拠点は限られており、国内での生産体制の整備は喫緊の課題になっている。
このような背景のもと、AGCは、横浜テクニカルセンターにおいて、平時にはバイオ医薬品を製造し、感染症パンデミック発生時にはmRNAワクチンをはじめとしたワクチンの製造に切り替え可能なデュアルユース設備の導入を検討する。海外への依存度が高いバイオ医薬品の国内での開発・製造能力向上に寄与し、日本で安定的に生産できる体制の強化に貢献するとしている。
◆バイオプラ:NESTE、出光興産、奇美実業、三菱商事がバイオマスプラスチックのサプライチェーン構築を実現(10月3日)
NESTE(本社:フィンランド)、出光興産、奇美実業(本社:台湾)、三菱商事の4社は、バイオマスナフサを原料としたバイオマスプラスチックのサプライチェーンを構築し、バイオマスナフサ由来のスチレンモノマー(以下:バイオマスSM)の製造、バイオマスSMを原料としたアクリロニトリルブタジエンスチレン(以下:バイオマスABS樹脂)等のバイオマスプラスチックを製造することに合意したと発表した。
NESTEはプラスチック向け再生可能原料(バイオマスナフサ)を生産し、SMメーカーである出光興産にバイオマスナフサを供給する。出光興産によりマスバランス方式で製造・供給されるバイオマスSMを原料として、ABSメーカーである奇美実業がバイオマスプラスチックを製造する。三菱商事はサプライチェーン構築における全体のマネジメントを実施するとともに、バイオマス製品のマーケティングを担う。
バイオマスSMおよびバイオマスプラスチックの製造開始は、2023年前半の予定としている。
◆電子材料:住友化学が化合物半導体材料事業における新体制発足(10月3日)
住友化学は、100%子会社のサイオクスを吸収合併し、情報電子化学部門内に「サイオクス事業部」および「茨城工場」を新設したと発表した。
同社は、2015年に日立金属から化合物半導体材料事業を買収し、サイオクスを設立した。サイオクスでは、高度な結晶形成技術と機動性を活かし、GaAs(ガリウム砒素)/GaN(窒化ガリウム)エピウエハや光半導体用GaN基板の拡大に加え、新規分野としてパワー半導体用GaN基板、鉛フリー圧電薄膜、ダイヤモンド電極などの開発、事業化を進めてきた。
化合物半導体分野は、近年需要が増加している5G高速通信向けに加えて、データセンターサーバーや電気自動車などを用途として次世代パワー半導体市場の拡大が期待されている。こうしたことから、同社は、既存、新規の両分野で大規模な生産体制の整備やより革新的な製造プロセスの構築が不可欠であると判断し、化合物半導体材料事業を新しいステージで運営を開始するとしている。
◆モノマー:三菱ケミカルグループが米国・ルイジアナ州におけるMMAモノマープラント新設の最終投資決定を延期(10月3日)
三菱ケミカルグループは、当初2022年半ばを予定していた米国ルイジアナ州におけるMMAモノマーのプラント新設プロジェクトの投資決定に関して、現在の市場の変動性を踏まえ、6~18ヶ月間延期すると発表した。
同プロジェクトは、独自技術である新エチレン法(アルファ法)を用いた同グループ3番目の工場として、米国のシェールガス由来のエチレンを原料にMMAモノマーを生産することを企図している。また、主要原料である一酸化炭素、メタノール等の製造設備も統合して設置する計画で、生産能力は単一ユニットとして世界最大規模である年産35万tを予定している。
同プロジェクトの今後の予定として、2023年中に各規制に関する関係省庁の許認可を取得する見込みとなっており、2023年度中に最終投資決定を行うとしている。
◆電子材料:信越ポリマーが半導体市場拡大に対応して糸魚川工場の増築、東京工場の新棟建設を発表(10月3日)
信越ポリマーは、半導体関連市場の拡大を見据え、シリコンウエハー搬送用容器の生産能力増強のために、既に糸魚川工場(新潟県)の既存の生産棟を増築していたが、今回さらに、増築することを発表した。
また、東京工場(埼玉県)敷地内にウエハーケース生産棟を新たに建設することも決定し、主力製品である300㎜ウエハー用容器の需要増加に備え、より一層の安定供給体制を確立するとともにBCP体制の強化を図る。
糸魚川工場については、増築建屋面積が約8,000㎡で、投資予定金額は約105億円を見込んでおり、工事完成は2024年初めごろを予定している。東京工場に関しては、新築建屋面積が約10,000㎡、 約110億円を投資する予定で2024年秋ごろに工事完成予定としている。
◆非鉄金属:三井金属が2022年度下期の地金生産計画を発表(10月3日)
三井金属は、2022年度下期における地金生産計画を発表した。
2022年度下期の生産計画としては、亜鉛は110.8千t/期(前年同期:110.6千t/期)、鉛は35.0千t/期(前年同期:34.6千t/期)、金は2.7t/期(前年同期: 3.0t/期)、銀は62.0t/期(前年同期:71.4t/期)の生産を計画している。
前年同期実績との比較では、金については原料品位の差によるもの。銀の減少理由は、2022年下期に実施予定の竹原の定期修繕のためとしている。
◆非鉄金属:三菱マテリアルが2022年度下期の地金生産計画を発表(10月3日)
三菱マテリアルは、2022年下期における地金生産計画を発表した。
2022年度下期の生産計画としては、銅は26,772t/月(前年同期:29,437t/月)、鉛は2,359t/月(前年同期:2,376t/月)、金は3,017 kg/月(前年同期:3,110kg/月)、銀は29,500kg/月(前年同期:29,766kg/月)の生産を計画している。
前年同期実績との比較では、銅については、直島製錬所において2022年度下期に炉修を予定しており、その影響で約17%減、小名浜製錬所は約7%増、全体では約9%減となる計画。
鉛、金及び銀の生産は概ね前年同期並みとなる見込みとしている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
10月契約価格は、930$/t(前月比▲15$/t)、国内価格換算想定値は140.1円/kg
・UBEがフェノール樹脂を10月11日出荷分より値上げ
値上げ幅は、フェノール樹脂製品(固形製品):43円/kg以上
フェノール樹脂製品(液状製品):製品に含まれているフェノール樹脂の含有比率に応じて算出
フェノールアラルキル樹脂(7800シリーズ):200~300円/kg
ビフェニルアラルキル樹脂(7851シリーズ):300~1,000円/kg
・カネカがイースト製品を11 月1 日出荷分より値上げ
値上げ幅は、22円/kg