2022.04.21 発行
◆リサイクル:東洋紡がポリエステル系合成紙のリサイクル技術を開発(4月15日)
◆樹脂原料:住友化学がカプロラクタム事業の撤退を発表(4月15日)
◆メディカル:デンカが抗原検査キットを含む検査試薬製品の生産能力を増強(4月14日)
◆電子部品:大日本印刷が景観を損ねず、屋外でも設置可能な5G-Sub6帯用フィルム型アンテナを開発(4月14日)
◆新エネルギー:積水化学が欧州の中間膜原料樹脂生産工場において、再生可能エネルギーの電力調達を開始(4月14日)
◆新エネルギー:日本板硝子がバイオ燃料を100%利用したフロートガラス製造実験に成功(4月14日)
◆放熱材料:信越化学工業が高電圧化が進む電動車部品向けの放熱用シリコーンゴムシートを開発(4月13日)
◆放熱材料:三菱マテリアルが伝熱パテの製品開発に着手(4月13日)
◆新エネルギー:日本ゼオンがカーボンニュートラルを目指した再生可能エネルギーの利用を国内4事業所で実行(4月13日)
◆リサイクル:住友化学がエタノール由来ポリオレフィン製造に向けたエチレンの試験製造設備を完成(4月11日)
◆繊維:帝人フロンティアがゴム補強用ポリエステルナノファイバー短繊維を開発(4月11日)
◆価格改定
・昭和電工が酢酸ビニルを4月15日出荷分より値上げ
・DICがPPS樹脂製品を4月25日出荷分より値上げ
・JSPがスチレンペーパーを5月1日出荷分より値上げ
・デンカが電子包材用シート・電子包材フィルムを5月6日出荷分より値上げ
・住友ベークライトが食品包装用多層フィルム・シート、産業用各種複合フィルムを5月納品分より値上げ
・住友ベークライトが鮮度保持フィルムを5月出荷分より値上げ
・信越化学工業がシリコーンを5月出荷分より値上げ
・大倉工業が合成樹脂製品を5月21日出荷分より値上げ
・DICグラフィックスがオフセット用印刷インキを6月1日出荷分より値上げ
・堺化学が酸化チタンを6月1日納入分より値上げ
◆リサイクル:東洋紡がポリエステル系合成紙のリサイクル技術を開発(4月15日)
東洋紡は、ペットボトル再生原料を使用したポリエステル系合成紙「カミシャイン」シリーズのうち、タックラベルのセパレーター(ラベル台紙)用途に展開している「カミシャイン離型フィルム」のリサイクル技術を新たに開発したと発表した。
今回、フィルムの製膜・加工技術を駆使することで、使用・回収後の「カミシャイン離型フィルム」をマテリアルリサイクルしたPET樹脂を原料に使用して、従来品と同等の性能を持つ「カミシャイン」シリーズを製造する技術を新たに開発した。
今後は再生原料を使用した「カミシャイン」シリーズ製品について、2022年4月より顧客への提案を本格化し、2023年度中の市場投入を目指すとしている。
◆樹脂原料:住友化学がカプロラクタム事業の撤退を発表(4月15日)
住友化学は、愛媛工場にある、ナイロンの原料となるカプロラクタムの製造設備(生産能力85,000トン/年)を2022年10月をめどに停止し、同事業から撤退することを発表した。
同事業を継続していくための競争力を将来にわたって確保することは困難との判断に至り、今回、同事業から撤退することとした。なお、カプロラクタムの中間原料であるシクロヘキサノンについては、今後も堅調な事業環境が見込まれることから、製造販売を継続していくとしている。
◆メディカル:デンカが抗原検査キットを含む検査試薬製品の生産能力を増強(4月14日)
デンカは、検査試薬の製造拠点である五泉事業所鏡田工場(新潟県)に約110億円を戦略投資し、生産能力増強と業務・生産・物流プロセス改革を行うと発表した。
ヘルスケア事業の中核である検査試薬分野は新型コロナウイルス感染症などにより、マーケットが急激に変化している。今回の戦略投資により、(1)新型コロナウイルスをはじめとする抗原迅速診断キットの生産能力を約2.5倍増強、(2)検査試薬の生産能力を約2倍増強、(3)デジタライゼーションによる業務・生産・物流プロセス改革・自動化(自動化倉庫、無人搬送車両、MES等の導入)を通じたコスト競争力強化が行われる。
竣工時期は2024年度下期の予定としている。
◆電子部品:大日本印刷が景観を損ねず、屋外でも設置可能な5G-Sub6帯用フィルム型アンテナを開発(4月14日)
大日本印刷は、第5世代移動通信システム(5G)のSub6周波数帯に対応し、直径15cmの細い円柱にも巻き付けられる、意匠性・耐候性の高いフィルム型アンテナを開発したことを発表した。
5Gで使われるSub6帯(3.7GHz帯、4.5GHz帯)周波数の電波は通信距離が短いため、基地局とアンテナを多数設置する必要があるが、従来のアンテナは街灯や電柱等の円柱物に巻き付けて設置することが困難であるほか、デザイン面で景観と調和しないなど課題があった。
今回、形状や給電線の設計を工夫することで、可撓性を持ったフィルム型アンテナを開発した。また、電子線(EB)コーティング技術を活用することで、耐候性を高め、意匠デザインも施すことにより、景観を損なうことなく、屋外でも設置可能とした。
DNPは本製品について、2023年度の量産化に向けて、各種通信関連会社と共同で機能検証を進め、2025年に売上10億円を目指すとしている。
◆新エネルギー:積水化学が欧州の中間膜原料樹脂生産工場において、再生可能エネルギーの電力調達を開始(4月14日)
積水化学工業は、100%子会社で、合わせガラス用中間膜の製造・販売を手がけるSEKISUI S-LECの原料樹脂生産工場(以下「オランダ原料工場」)で、外部から購入する電力を2022年より、すべて再生可能エネルギーに転換したと発表した。
中間膜事業では、グローバルに展開する7工場のうち5工場に太陽光発電設備を設置して消費電力の一部を賄うなど、生産拠点においても積極的に脱炭素への取り組みを進めてきた。
SEKISUI S-LEC の生産(製膜)工場がいち早く取り組みを進め、2020年4月に購入電力の再エネ100%調達を実現しており、今回のオランダ原料工場における購入電力の再エネ転換で、同社のすべての工場が購入電力の再エネ100%調達を実現したとしている。
◆新エネルギー:日本板硝子がバイオ燃料を100%利用したフロートガラス製造実験に成功(4月14日)
日本板硝子は、英国のグリーンゲート事業所において、バイオ燃料を100%利用したフロートガラス製造の実証実験に世界で初めて成功したことを発表した。
本実験は、有機廃棄物から作られた持続可能なバイオ燃料を利用し、日本板硝子グループのグリーンゲート事業所(英国)のガラス製造窯において、4日間にわたり実施された。実験では、現在の主燃料である天然ガスに比べて約80%ものCO2排出量削減効果を実現したうえで、16.5万平方フィート(約1.5万m2)のフロートガラスの製造に成功した。
今回の実験成功により、バイオ燃料が従来の天然ガスに代わる現実的な低炭素燃料であることを証明するとともに、ゼロカーボンエネルギーが開発・実用化されるよりも早く、ガラス製造工程から発生するCO2を大幅に削減できる可能性が示されたとしている。
◆放熱材料:信越化学工業が高電圧化が進む電動車部品向けの放熱用シリコーンゴムシートを開発(4月13日)
信越化学工業は、高電圧化が進む電動車部品向けの放熱用シリコーンゴムシート「TC-BGIシリーズ」を開発したことを発表した。
新製品「TC-BGIシリーズ」は、独自の技術により高い耐電圧特性と熱伝導性を兼ね備えた高硬度放熱用シリコーンゴムシートで、厚み0.2㎜、0.3mmの2種類を取りそろえる。高対電圧性に優れ、厚み0.2㎜で3kV、厚み0.3mmで5kVの耐電圧をシート全面で保証でき、0.2㎜厚で4kV以上の耐電圧をシート全面で保証する製品も開発中としている。また、7W/m・Kの高い熱伝導率を有する。
製品形態としては、ゴムシートタイプに加えてパッドタイプ、グリースタイプ、ギャップフィラータイプ、液状ゴムタイプ(接着材・ポッティング材)などの製品を取りそろえる。
同社は今後も、新製品の開発とともに熱解析技術によるテクニカルサポートや自動車産業向けの品質マネジメントシステム認証工場での製造と加工を行うなど、顧客のさまざまな要望に対応していくとしている。
◆放熱材料:三菱マテリアルが伝熱パテの製品開発に着手(4月13日)
三菱マテリアルは、リチウムイオン電池モジュールや電子回路基板などの発熱した高温部材から、ヒートシンクなどの低温の放熱部材への熱の移動を促すために、それらの部材間に挟み込んで使用する伝熱材料として「伝熱パテ」の開発に着手したことを発表した。
伝熱パテは、柔らかい粘土状であることから、従来のゴムシートタイプの伝熱シートと比べて、各部材により密着させることが可能である。各部材と伝熱パテの接触面に生じる界面熱抵抗を低減することができ、効率的に熱を移動させることができる。粘土状であることから、部品などを押さえつけた際の反力を従来の伝熱シートよりも減少させることができる。また、シリコーンを使用していないため、電気リレー接点の不良原因となるおそれのある成分(低分子量シロキサン)が含まれていないという特徴を有している。
現在、自動車や電子機器関連分野など幅広い分野で発熱が課題となり、伝熱材料の要求が高まっている。それらに対して、今後より良い提案ができるように、さらなる開発に取り組んでいくとしている。
◆新エネルギー:日本ゼオンがカーボンニュートラルを目指した再生可能エネルギーの利用を国内4事業所で実行(4月13日)
日本ゼオンは、4月1日より国内生産拠点のうち4事業所(高岡工場・氷見二上工場・敦賀工場・徳山工場)において購入電力のすべてを100%再生可能エネルギー電力に転換したと発表した。
北陸地域の3事業所(高岡工場・氷見二上工場・敦賀工場)では、使用電力のすべてを北陸電力の提供プランによって、水力発電を活用した再生可能証書付きエネルギーへ転換した。加えて、高岡工場では CO2排出量が実質ゼロのカーボンニュートラル LNG の購入を契約し、徳山工場では蒸気のCO2排出量削減のためグリーン熱証書の購入を契約した。
これらの取組みにより、4事業所における CO2年間排出量は 2019年との比較で約 8 万トンの削減を見込んでおり、カーボンニュートラルへの取組みは今後も加速していくとしている。
◆リサイクル:住友化学がエタノール由来ポリオレフィン製造に向けたエチレンの試験製造設備を完成(4月11日)
住友化学は、エタノールを原料とするエチレンの試験製造設備を千葉工場に新設したことを発表した。
千葉工場に新設した試験製造設備は、積水化学工業が生産するごみ資源由来のエタノールや、サトウキビやとうもろこしなどのバイオマスから作られるバイオエタノールを原料にエチレンを生産するものである。住友化学は、環境に配慮したエタノールを原料にエチレンを生産する技術の実証と量産化の検討を行い、従来と同等の品質を持つポリオレフィンの製造に取り組み、2025年度の事業化を目指す。
また、住友化学では、当該ポリオレフィン製品について、環境に配慮した持続可能な製品としての上市に向けて、独自のCarbon Foot Printの算出システムを活用して、GHG排出量削減効果の見える化を行うとともに、マスバランス方式を適用し、原料から製品へと連なるサプライチェーン全体でISCC PLUS認証の取得に取り組むとしている。
◆繊維:帝人フロンティアがゴム補強用ポリエステルナノファイバー短繊維を開発(4月11日)
帝人フロンティアは、従来のゴム補強材よりも補強性能に優れ、環境負荷低減に貢献するゴム補強用ポリエステルナノファイバー短繊維を開発したと発表た。
ゴム製品には補強効果の向上を目的に短繊維を補強材として用いることが一般的であるが、繊維が長いほど補強効果が低減することが課題となっていた。また、近年の環境配慮への高まりから、温室効果ガス排出削減を目的に工程削減ニーズが高まっている。
こうした状況を受け、同社はゴム補強用短繊維の断面を2種類のポリマーを配した海島複合断面とすることで、少量の添加であっても従来品と同等以上の補強効果を発現し、かつ環境負荷低減を実現するポリエステルナノファイバー短繊維を開発した。
同社は今後、同製品を2023年より生産を開始し、ゴム製品を展開する企業に向けて販売を進めていき、2027年度10億円の売上を目指すとしている。
◆価格改定
・昭和電工が酢酸ビニルを4月15日出荷分より値上げ
値上げ幅は、30円/Kg以上
・DICがPPS樹脂製品を4月25日出荷分より値上げ
値上げ幅は、PPSコンパウンド(強化タイプ):60円/kg
PPSコンパウンド(非強化タイプ):90円/kg
PPSニートポリマー:90円/kg
・JSPがスチレンペーパーを5月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、21円/kg以上
・デンカが電子包材用シート・電子包材フィルムを5月6日出荷分より値上げ
値上げ幅は、CLCシート(全グレード):34円/kg
ECシート(全グレード):34円/kg
ALSカバーテープ(全グレード):2円/㎡
・住友ベークライトが食品包装用多層フィルム・シート、産業用各種複合フィルムを5月納品分より値上げ
値上げ幅は、20%以上
・住友ベークライトが鮮度保持フィルムを5月出荷分より値上げ
値上げ幅は、10%以上
・信越化学工業がシリコーンを5月出荷分より値上げ
値上げ幅は、10%
・大倉工業が合成樹脂製品を5月21日出荷分より値上げ
値上げ幅は、原反製品:5.0銭/CC以上、二次加工製品:10~20%以上
・DICグラフィックスがオフセット用印刷インキを6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、商業オフ輪インキ:40円/kg以上、
油性枚葉インキ:60円/kg以上
UVインキ:100円/kg以上
新聞インキ:60円/kg以上
・堺化学が酸化チタンを6月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、50円/kg