2022.05.26 発行
◆無機:トクヤマの中国子会社が疎水性シリカを増産(5月20日)
◆樹脂:旭化成が低複屈折透明樹脂「AZP」の本格的なマーケティング活動を開始(5月20日)
◆染料:住友化学が染料事業の撤退を発表(5月19日)
◆電子材料:信越化学が窒化ガリウム(GaN)エピタキシャル成長用基板および関連製品の事業化を加速(5月18日)
◆リサイクル:帝人フロンティアが循環型社会の実現に向けたポリエステル繊維の新リサイクル技術を開発(5月18日)
◆メディカル:AGCがAGC Biologicsの米国における遺伝子・細胞治療CDMOの製造能力を増強(5月18日)
◆樹脂:DICがインドでコーティング用樹脂の新工場を建設(5月17日)
◆電子材料:古河電気工業が半導体製造工程用テープの生産能力を増強(5月17日)
◆研究開発:トクヤマがつくば第二研究所(仮称)の開設を決定(5月16日)
◆価格改定
・昭和電工が合成樹脂エマルジョンを6月1日出荷分より値上げ
・昭和電工が不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂を6月1日出荷分より値上げ
・東ソーが臭素及び臭素誘導品を6月15日納入分より値上げ
◆無機:トクヤマの中国子会社が疎水性シリカを増産(5月20日)
トクヤマは、100%出資子会社の徳山化工(浙江)有限公司(中国浙江省)において、乾式シリカ疎水グレードの生産ラインを増設することを発表した。
乾式シリカの疎水グレードは、主に樹脂接着剤やインキの増粘・チキソ剤として使用されており、中国では、各種工業製品の生産拡大に伴い、市場成長が見込まれている。同社グループは、中国現地生産を強みとするなか、今回の増設を機に、ユーザーへの安定供給と技術サービスを一層強化する。
なお、本増産のスケジュールは2022年9月着工、2023年8月の営業運転開始としている。
◆樹脂:旭化成が低複屈折透明樹脂「AZP」の本格的なマーケティング活動を開始(5月20日)
旭化成は、これまで開発を進めてきた低複屈折性を有する新しい透明樹脂「AZP」に関して、今後、本格的なマーケティング活動に移行することを発表した。
近年、メタバースでのVR(仮想現実)/AR(拡張現実)ヘッドマウントディスプレイ、自動車などの映像表示機器では、偏光を乱さない複屈折が極めて小さい光学部材が求められている。
「AZP」は、際立った低複屈折性、透明性、耐熱性、耐候性、軽量化など、光学ガラスの代替が期待できるサステナビリティに寄与する低複屈折透明樹脂であり、その特長はVR/ARヘッドマウントディスプレイのレンズ、プリズムや自動車用HUD(ヘッドアップディスプレイ)、CID(センターインフォメーションディスプレイ)などの用途で最大限に活かせると考えている。
同社は、今後、年内を目標に製品化を進め、市場の顧客の声を反映させながら、さらに新しい用途の提案を進めていくとしている。
◆染料:住友化学が染料事業の撤退を発表(5月19日)
住友化学は、大阪工場にある染料の製造設備を、2023年3月末をめどに停止し、同事業から撤退することを発表した。
近年の同事業を取り巻く環境の悪化と、製造設備の高経年化に伴う維持・補修費用の増加から、中長期にわたって安定的に収益を確保することは困難と判断し、今回、同事業から撤退することを決定したとしている。
◆電子材料:信越化学が窒化ガリウム(GaN)エピタキシャル成長用基板および関連製品の事業化を加速(5月18日)
信越化学工業は、GaN関連基板およびエピタキシャル膜製品の事業化に向け、量産体制を拡充すると発表した。
同社は、2019年に米Qromis社との間で、高品質で反りが小さいGaN成膜が可能な基板材料(QST基板)のライセンス契約を締結した。今後、Qromis社との連携により更なる高品質化を進めるとともに、急速な需要の拡大に合わせ、生産体制の倍増に向けた投資を進める。
更に、半導体シリコンウエハーを製造する子会社の信越半導体が、サンケン電気からGaNエピタキシャル成長の技術供与を受ける。本契約により、信越半導体は国内外にパワーデバイス用、高周波デバイス用及び発光デバイス用等のGaNエピタキシャル基板製品を製造、販売することが可能となる。
GaN半導体は、電動自動車等のモビリティーの進化、5Gやデジタライゼーションなどで求められる高デバイス特性と省エネルギーを実現するデバイスとして、今後需要が大きく拡大することが期待されている。信越グループは、将来的に300㎜も含む大口径GaN関連製品を供給するとしている。
◆リサイクル:帝人フロンティアが循環型社会の実現に向けたポリエステル繊維の新リサイクル技術を開発(5月18日)
帝人フロンティアは、同社が新たに開発した解重合触媒を使用することにより、着色されたポリエステル繊維を石油由来の原料と同等の品質に再生が可能で、従来よりも環境負荷が少ない新たなリサイクル技術を開発したと発表した。
今回開発した新リサイクル技術は、再生ポリエステル原料の変色を抑制することが可能で、石油由来のポリエステル原料と同等の品質の再生ポリエステル原料にリサイクルすることができる。
また、同リサイクル技術においてはエネルギー消費量が少なく、さらには排水、排液、解重合触媒などを再利用することができるため廃棄物の削減が可能となっている。
今後、同社は2022年5月にパイロットプラントを松山事業所内に設置して実証試験を進めていくとともに、さらに高品質なリサイクルポリエステル原料の生産と環境負荷低減を実現するリサイクル技術の開発に向けて改良を重ねるとしている。
◆メディカル:AGCがAGC Biologicsの米国における遺伝子・細胞治療CDMOの製造能力を増強(5月18日)
AGCは、医薬品CDMO事業子会社であるAGC Biologics(本社:米国)の遺伝子・細胞治療向けCDMOの製造能力を増強することを決定したと発表した。
同社の米国ロングモント拠点(コロラド州)のウイルスベクター製造設備の能力を増強する。
本増強では、遺伝子・細胞治療分野の中でも高い成長が見込まれるウイルスベクターの大量生産により適した浮遊培養設備を新たに導入する。今後も、遺伝子・細胞治療の原料であるプラスミドDNAの製造受託を事業化しているハイデルベルク(ドイツ)拠点と連携し、プラスミドから遺伝子・細胞治療薬まで一気通貫したグローバルCDMOサービスを提供する。
新設備は、2022年第3四半期に稼働開始の予定としている。
◆樹脂:DICがインドでコーティング用樹脂の新工場を建設(5月17日)
DICは、インド子会社のIdeal Chemi Plast(以下「Ideal社」)において、コーティング用樹脂の生産能力を拡大するため、新工場の建設を開始したと発表した。
DICは、インドの需要を取り込むべく、2019年にIdeal社を買収し、短期間でインド市場でのポジションを高める戦略を進めてきた。Ideal社のコーティング用樹脂の生産設備は、近年のインド市場でのコーティング用樹脂の需要拡大に伴い、フルキャパシティでの生産を継続していたため、早期のキャパシティ拡大が必要と判断し、本年4月から新工場建設を開始した。
これによりIdeal社の生産能力が現行の3倍に拡大し、タイのポリマ技術センターで開発した環境対応製品やグローバル展開製品もインドでの生産が可能となる。新工場は2023年7月から稼働開始の予定としている。
◆電子材料:古河電気工業が半導体製造工程用テープの生産能力を増強(5月17日)
古河電気工業は、半導体製造工程用テープの生産能力を増強することを発表した。
同社では、半導体製造工程に用いられる仮固定用テープ(バックグラインディングテープ、ダイシングテープ、等)と接着用テープを製造・販売している。半導体の需要は、近年のIoT、自動運転、5G向け需要の高まり等、今後も長期的に拡大し、さらに高性能になることが予想される。
同社では今後も高まる需要に対し、高品質な製品を安定的に提供し続けるため、約70億円を投じて三重事業所の生産能力を増強することを決定した。新工場は2025年4月から稼働を開始する予定としている。
◆研究開発:トクヤマがつくば第二研究所(仮称)の開設を決定(5月16日)
トクヤマは、研究開発の強化のため、つくば第二研究所(仮称)の開設を決定したことを発表した。
第二研究所では、つくば研究所の機能の一部を移転し、医療材料や診断試薬の開発を中心とした健康領域、およびカーボンニュートラル関連の環境領域の研究開発を担う。一方、既設のつくば研究所は、トクヤマデンタルによる歯科材料の研究開発機能を維持しながら、次世代半導体関連材料を中心とした電子領域の研究開発に注力する。また、各研究所にはパイロット設備等の設置も計画しており、ユーザーニーズに迅速に対応できる体制を構築する。
つくば第二研究所(仮称)は、同社つくば研究所の近隣の土地および建物を取得し、2023年1月に運用を開始する予定としている。
◆価格改定
・昭和電工が合成樹脂エマルジョンを6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、エチレン-酢酸ビニル系:20円/kg、酢酸ビニル系:15円/kg
・昭和電工が不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂を6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、不飽和ポリエステル樹脂(リゴラック):47円/Kg以上、
リゴラックBMC:30円/Kg以上、リゴラックSMC:35円/Kg以上
ビニルエステル樹脂(リポキシ):30円/Kg以上、リポキシSMC:40円/Kg以上
・東ソーが臭素及び臭素誘導品を6月15日納入分より値上げ
値上げ幅は、30%以上