2022.07.21 発行
◆樹脂:BASFがe-モビリティ向けの新たな色安定性ポリアミドを投入(7月14日)
◆樹脂:BASFが熱可塑性ポリウレタン(TPU)を新たに開発したことを発表(7月13日)
◆電子材料:三洋化成工業がアルミ電解コンデンサ用電解液「サンエレック」の生産能力を増強(7月13日)
◆樹脂:三菱マテリアルが耐火性軽量新素材「耐火プラスチック」の製品開発に着手(7月13日)
◆電子材料:王子ホールディングスが、「マテリアルリサイクルに対応した環境配慮型コップ原紙」を開発(7月12日)
◆水処理品:堺化学工業が環境配慮製品のポリ硫酸第二鉄を増産(7月12日)
◆ウレタンフォーム:アキレスが環境にやさしい低密度・高機能軟質ポリウレタンフォーム素材を発売(7月11日)
◆樹脂添加剤:三洋化成がタイで永久帯電防止剤生産設備を稼働開始したことを発表(7月11日)
◆価格改定
・東レが合繊、綿(わた)、不織布を7月出荷分より値上げ
・積水化学工業が合わせガラス用中間膜を7月18日出荷分より値上げ
・東ソーがポリウレタン原料MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート類)を8月1日出荷分より値上げ
・サカタインクスがパッケージ印刷用インキを8月1日出荷分より値上げ
・ユニチカが産業資材用合成繊維を8月1日出荷分より値上げ
・住友ゴム工業が国内市販用タイヤおよび関連商品を9月1日より値上げ
・日本板硝子が国内建築用板ガラス製品を10月1日出荷分より値上げ
◆樹脂:BASFがe-モビリティ向けの新たな色安定性ポリアミドを投入(7月14日)
BASFは、色安定性ポリアミド「Ultramid A3U44G6 DC OR(PA66-GF30 FR)」を投入し、e-モビリティ市場向けの難燃性エンジニアリングプラスチックのポートフォリオを拡充したと発表した。
e-モビリティで使用される高電圧部品は通常、大幅な温度変動にさらされ、それを繰り返すと、従来のポリアミドの場合、激しく変色してしまうという課題がある。当該品は、初めて色安定性と耐熱老化性の基準をすべて満たした。長期間のカラーコーディングが可能なため、高電圧の影響を受けやすい部分の安全性を確保できる。
また、色の安定性に加え、CTI値600の当該品は、高い電気絶縁性も特徴である。さらに、ハロゲン系難燃剤ではなく独自の顔料を使用することで、特に高温多湿の環境下において困難だった、電食を防げるようになる。
今後、開発にあたっては、ヨウ化物や臭化物などのハロゲン化物の排除に取り組み、接触腐食のない耐久性の高い製品を目指すとしている。
◆樹脂:BASFが熱可塑性ポリウレタン(TPU)を新たに開発したことを発表(7月13日)
BASFは、バスバーホルダー用にElastollan(エラストラン)製品群から熱可塑性ポリウレタン(TPU)を新たに開発したことを発表した。
Elastollan R 2600 FHFは、標準的なエンジニアリングプラスチックと比較して、特に熱線膨張が最適化されていることに大きな特長を有している。線熱膨張係数は、銅や他の導電材料とほぼ同等であるため、温度変化によるクラック発生のリスクを低減し、安全性基準を向上させることが可能である。また、熱線膨張という特長に加え、TPUはポリフェニレンサルファイド(PPS)などの素材と比較すると、1)より低い温度で加工でき、2)密度が低く、3)白色であることから鮮やかな顔料でも容易に着色できるといった利点がある。
同社はElastollanで作られたバスバーホルダーが、機械的加工性の高さによって電動車両の量産化に貢献し、今後、未来のモビリティを実現するうえで重要な役割を果たすとしている。
◆電子材料:三洋化成工業がアルミ電解コンデンサ用電解液「サンエレック」の生産能力を増強(7月13日)
三洋化成工業は、アルミ電解コンデンサ用電解液「サンエレック」の生産能力を増強すると発表した。
サンエレックは、電解質に独自開発したアミジン化合物を用いる、高性能、高信頼性と長寿命化を実現したアルミ電解コンデンサ用電解液である。
現在、自動車業界では、運転支援システム回路など車載用電装部品が増えるとともに、環境対応車へのシフトが加速している。また、5G通信の普及による情報通信機器、製造現場における産業機器のロボット化等により、コンデンサ需要は年々増加している。さらに、エネルギー供給の多様化に伴って、送電側の装置においてもより高電圧な電気に対応できるコンデンサが求められている。
今回の投資では、名古屋工場における設備改造、工程改善等を含めて3割程度の能力増強を行う。投資金額は約4億円であり、2023年5月の稼働を予定している。
◆樹脂:三菱マテリアルが耐火性軽量新素材「耐火プラスチック」の製品開発に着手(7月13日)
三菱マテリアルは、火炎に接しても燃えず、溶け落ちにくい耐火プラスチック(樹脂)の製品開発に着手したと発表した。
樹脂材料は軽量化を目的に様々な製品で利用されており、火炎に耐えられる樹脂材料としては、現在、難燃性樹脂が広く市販されている。しかし、従来の難燃性樹脂では火力の高い火炎に対しては耐えることが難しく、安全性を重視する部品の材料には依然として金属が採用され、軽量化が進んでいない。
今回、同社では素材の配合技術を応用し、火炎に接しても燃えず、溶け落ちにくい耐火性能を得る樹脂技術を開発した。具体的な用途例としては、リチウムイオンバッテリー(LIB)ケースの材料があげられる。
今後は、この技術を活用し、軽量でありながら火炎に強く、変形しづらく、溶け落ちにくい等の特徴を持つ「耐火プラスチック」の製品化に取り組むとしている。
◆電子材料:王子ホールディングスが、「マテリアルリサイクルに対応した環境配慮型コップ原紙」を開発(7月12日)
王子ホールディングスは、グループ会社の王子パッケージングと水系樹脂コーティング技術を活用し、「マテリアルリサイクルに対応した環境配慮型コップ原紙」の開発に成功したと発表した。
本製品は、特殊な水系樹脂を紙表面に薄く均一にコーティングすることで、紙コップに必要な耐水性・耐油性、ヒートシール性を有しつつ、現行の紙リサイクルシステムで紙原料としてリサイクルが可能なコップ原紙としている。
◆水処理品:堺化学工業が環境配慮製品のポリ硫酸第二鉄を増産(7月12日)
堺化学工業は、排水処理用の鉄系無機凝集剤であるポリ硫酸第二鉄について今後の需要増が見込まれることから増産体制を整備すると発表した。
堺化学工業は日鉄鉱業との製造委託契約の下、酸化チタン製造時に発生する硫酸鉄を原料として、ポリ硫酸第二鉄(ポリテツ)を生産し、全量を同社へ納品している。ポリテツは排水処理に利用される鉄系無機凝集剤であり、近年需要を伸ばしている。今後、更なる需要増が見込まれることから、本製品の生産ラインを増設することとした。また、酸化チタン製造時に副産として生じる硫酸鉄を有効活用することにより、資源循環の促進につながる。
今回の投資金額は109百万円、生産能力は現状より約 50%増強し、3,700トン/月となる見込みであり、2023年2月頃より稼働を開始する予定としている。
◆ウレタンフォーム:アキレスが環境にやさしい低密度・高機能軟質ポリウレタンフォーム素材を発売(7月11日)
アキレスは、環境配慮型の低密度・高機能軟質ポリウレタンフォーム素材『CRIIN FOAM(クリーンフォーム)』を、8月1日より全国で発売すると発表した。
同製品は独自技術により低密度化による軽量化と難燃性・低反発性などの高機能化を両立し、発泡剤に炭酸ガスを用いることで、製造に関わる大気中へのVOC(揮発性有機化合物)排出量を削減している。また、発泡剤にプラスチック廃棄物のケミカルリサイクルにより合成された液化炭酸ガスを用いることで、プラスチック廃棄物の焼却に関わるCO2排出量の削減にも貢献している。車輌資材や寝具、日用品、梱包資材など幅広い用途に対応できる。
今後、同製品の生産拡大を進め、低密度品・環境対応品の需要増に対応するとしている。
◆樹脂添加剤:三洋化成がタイで永久帯電防止剤生産設備を稼働開始したことを発表(7月11日)
三洋化成は、タイの関係会社であるサンヨーカセイ(タイランド)リミテッドのラヨーン工場で建設中であったプラスチック用帯電防止剤『ペレスタット』、『ペレクトロン』シリーズの生産設備の稼働開始に伴い、開所式を行ったことを発表した。
プラスチックに添加して半永久的に帯電を防止する帯電防止剤『ペレスタト』、『ペレクトロン』シリーズは、静電気によるホコリの付着やさまざまな障害を
防止する目的で幅広く用いられている。近年、電子機器・精密部品の包装・搬送材料用途を中心とした需要増に加え、防爆用途など用途の拡大も進んでいる。
新プラントへの投資額は約34億円で、生産能力は1,500トン/年となり、日本、タイの合計生産能力は4,700トン/年となる予定としている。
◆価格改定
・東レが合繊、綿(わた)、不織布を7月出荷分より値上げ
値上げ幅は、衣料用ナイロン6長繊維・短繊維:50円/kg、衣料用ナイロン66長繊維・短繊維:80円/kg
産業用ナイロン6長繊維・短繊維:50円/kg、産業用ナイロン66長繊維・短繊維:80円/kg
ナイロンBCF糸:50円/kg、衣料用ポリエステル長繊維:30円/kg、産業用ポリエステル長繊維:30円/kg、
ポリエステル短繊維:30円/kg、アクリル短繊維:20円/kg、ポリエステル長繊維不織布:30円/kg
・積水化学工業が合わせガラス用中間膜を7月18日出荷分より値上げ
値上げ幅は、25%以上
・東ソーがポリウレタン原料MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート類)を8月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、50円/kg以上
・サカタインクスがパッケージ印刷用インキを8月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、白インキ:60~80円/㎏、色インキ:70~90円/㎏
メジューム・ニス:50~60円/㎏、添加剤・硬化剤:100~150円/㎏
・ユニチカが産業資材用合成繊維を8月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、ポリエステル繊維(長繊維、短繊維、紡績糸、モノフィラメント):40円/kg
ナイロン繊維(短繊維、モノフィラメント):50円/kg
・住友ゴム工業が国内市販用タイヤおよび関連商品を9月1日より値上げ
値上げ幅は、2~8% (商品により改定率が異なる)
・日本板硝子が国内建築用板ガラス製品を10月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、板ガラス製品及び鏡製品:35~40%、建築用機能ガラス製品:約30%