2022.09.15 発行
◆電子材料:富士フイルムが最先端半導体材料に対応した生産設備を熊本に新設(9月8日)
◆バイオマス:日本製紙と三井化学がバイオコンポジットの開発について連携を開始(9月8日)
◆電子材料:昭和電工が200mm SiCエピウェハーのサンプル出荷を開始(9月7日)
◆ゴム製品:ブリヂストンがブラジルで乗用車用タイヤ及び小型トラック用タイヤの生産工場の生産能力の増強を決定
(9月6日)
◆カーボン:東海カーボンがタイの連結子会社の新工場建設と現工場の移転を発表(9月5日)
◆樹脂:カネカが液晶TV向けアクリルフィルム用樹脂の生産能力を増強(9月5日)
◆フィルム:東洋紡が透明蒸着OPPフィルムの新製品を開発(9月5日)
◆電子材料:昭和電工の韓国子会社が半導体製造用高純度ガス貯蔵施設の敷地を倍増(9月5日)
◆農業資材:BASFがシンガポールに新生産拠点を開設(9月5日)
◆価格改定
・ダイセルが1,3ブチレングリコールを9月15日納入分より値上げ
・UBEがナイロン6樹脂を9月15日出荷分より値上げ
・DICがエポキシ系可塑剤を9月19日納入分より値上げ
・アイカ工業がフェノール樹脂製品を10月1日出荷分より値上げ
・堺化学工業が酸化チタンを10月1日納入分より値上げ
・石原産業が酸化チタンを10月1日納入分より値上げ
・デンカがスチレンモノマーを11月1日納入分より値上げ
・オリエンタル酵母がイースト(パン酵母)を11月1日納品分より値上げ
◆電子材料:富士フイルムが最先端半導体材料に対応した生産設備を熊本に新設(9月8日)
富士フイルムは、電子材料事業をさらに拡大するため、最先端半導体材料に対応した生産設備を熊本に新設することを発表した。
本新設は、同社グループの電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(以下、FFEM)が、熊本県に立地する生産子会社の富士フイルム九州に、半導体製造プロセスの基幹材料であるCMPスラリーを生産する最新鋭設備を導入するものである。
CMPスラリーは、硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤で、その市場は年率10%で成長すると見込まれている。今回FFEMは、ディスプレイ材料の主要生産拠点である富士フイルム九州の工場内に、CMPスラリーの生産設備や品質評価機器を導入し、高品質・高性能のCMPスラリーを生産する。
今回の投資金額は約20億円であり、2023年4月着工、2024年1月稼働開始の予定としている。
◆バイオマス:日本製紙と三井化学がバイオコンポジットの開発について連携を開始(9月8日)
日本製紙及び三井化学は、木質バイオマス素材である「セルロースパウダー」を高配合した新規バイオコンポジットの開発について連携を開始したと発表した。
新規バイオコンポジットは、木質バイオマス素材である「セルロースパウダー」を主原料とし、樹脂と同様の成形性を付与した複合素材である。木質バイオマスを主原料とするため、通常の石油化学樹脂に比べて化石燃料由来のバージン材の使用量を削減することが出来るため、温室効果ガスの排出量削減に寄与する。脱炭素社会の実現に向けた新しい材料である。
今後は、日用品、容器、建材、家電製品、自動車部材など、幅広い分野への展開を目指し、製品開発と早期の市場投入を進める計画としている。
◆電子材料:昭和電工が200mm SiCエピウェハーのサンプル出荷を開始(9月7日)
昭和電工は、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体に使用される、SiC単結晶基板(以下、SiCウェハー)を用いたSiCエピタキシャルウェハー(以下、SiCエピウェハー)について、国内メーカーとして初の200mm(8インチ)サイズのサンプル出荷を開始したと発表した。
SiCパワー半導体は、従来のシリコンウェハーを用いたパワー半導体に比べ、電力損失や熱の発生が少なく、省エネルギーに貢献するデバイスとして、電気自動車や再生可能エネルギー向けに市場が急拡大している。現在の主流は、150mm(6インチ)のSiCエピウェハーだが、大口径化することで一枚のウェハーからとれるチップ数が多くなり、デバイスメーカーでの生産性改善や、それを通じたコスト低減が期待される。
昭和電工は、2030年までにSiCエピウェハーとその原材料であるSiCウェハーを200mmかつ欠陥密度を1桁以上低減することを目標に、新エネルギー・産業技術総合開発機構の研究開発項目である「次世代グリーンパワー半導体に用いるSiCウェハ技術開発」として今後も研究開発を実施していくとしている。
◆ゴム製品:ブリヂストンがブラジルで乗用車用タイヤ及び小型トラック用タイヤの生産工場の生産能力の増強を決定
(9月6日)
ブリヂストンは、ブラジル子会社において、乗用車用タイヤ及び小型トラック用タイヤの生産工場の生産能力を増強したことを発表した。
今回の増強は、北米・中南米を合わせた米州地域の乗用車用高インチタイヤの体制を強化し、さらに環境性能と運動性能を両立し、EV航続距離の延伸へ寄与する技術へも対応するものである。また、現在の米州地域における地産地消率は約90%であるが、今回の増強によって今後の米州市場での拡売へ対応し、乗用車用タイヤの地産地消率グローバル95%の実現を目指す。
今回の投資金額は約73億円で、2021年7月に発表した生産能力増強の投資金額と合算すると、総投資金額は約262億円となる。2024年第1四半期までに増強を開始し、2024年末までにバイーア工場の生産能力は現在の年間約350万本から約500万本になる予定としている。
◆カーボン:東海カーボンがタイの連結子会社の新工場建設と現工場の移転を発表(9月5日)
東海カーボンは、臨時取締役会において、タイの連結子会社であるThai Tokai Carbon Product(以下、TCP社)の新工場建設を決議したと発表した。
TCP社は自動車用タイヤ等ゴム製品の補強材として使用されるカーボンブラックの製造・販売を手掛けているが、自動車産業の拡大を背景に、近年、同地域におけるカーボンブラック需要は大幅に増加しており、今後もこのトレンドは継続すると見られている。
TCPの工場敷地は、創業当初より長期リース契約によるものだったが、このような環境下、自社所有の土地を確保し移転することで、よりサステナブルな供給体制の確立を図ることとした。
新工場の建設予定額は9,900百万バーツ(約346億円)、竣工予定は2025年4月、生産能力は現工場と同じ年産180千トンからスタートするが、最新鋭の設備を導入することで、環境負荷を軽減しつつ、生産性の向上と品質の改善を目指すとしている。
◆樹脂:カネカが液晶TV向けアクリルフィルム用樹脂の生産能力を増強(9月5日)
カネカは、旺盛な需要に対応するため、液晶TV向けアクリルフィルム用樹脂の生産能力増強を決定したと発表した。
近年、液晶パネルの大型化に伴い、偏光板の構成部材である偏光子保護フィルムの吸湿によるパネル反りや色ムラが課題となっている。そのため、アクリルなどの低吸湿樹脂フィルムの引き合いが増えている。液晶TVの大型化、高精細化、高輝度化が一層進む中で、アクリルフィルム用樹脂の需要はますます拡大すると見込まれている。
今回の増強は大阪工場の生産能力を約40%増強するもので、投資額は約15億円、プロセスの自動化などを進め、2023年秋の稼働の予定としている。
◆フィルム:東洋紡が透明蒸着OPPフィルムの新製品を開発(9月5日)
東洋紡は、バリア性能に優れた透明蒸着フィルム「エコシアール」シリーズとして初めてオレフィン系素材を使用した、二軸延伸ポリプロピレン(以下「OPP」)フィルム「エコシアールVP001」を開発したと発表した。
新製品は、同社が新たに開発した専用の高耐熱OPPフィルムに独自の蒸着加工を施した包装用ハイバリアフィルムである。酸素ガスや水蒸気に対する高いバリア性能を保有しており、食品の鮮度を維持したり、消費・賞味期限を延長することができるなど、食品ロスの低減に貢献する。また、これまでOPPフィルムでは困難とされてきた高い耐熱性とバリア性の両立を実現した。今後、熱殺菌処理を必要とする用途において、他素材のフィルムからの置き換えを促進し、オレフィン系素材のみで構成される単一素材構成(モノマテリアル)の包装材の実現に向けた提案を進める。
同社では2022年末よりサンプルを出荷し、2023年度上期中に販売を開始する予定としている。
◆電子材料:昭和電工の韓国子会社が半導体製造用高純度ガス貯蔵施設の敷地を倍増(9月5日)
昭和電工の100%子会社である韓国昭和化学品(韓国)は、韓国での半導体製造用高純度ガスの旺盛な需要に応えるため、韓国安城(アンソン)市にある貯蔵施設の能力拡張工事を実施したと発表した。
韓国昭和化学品では、日本や他のアジア拠点の製品を韓国へ輸入販売するほか、韓国の製品をアジアやアメリカへも輸出している。昭和電工グループは充填から出荷・配送、容器の回収、分析保証を、ディーラーを介さずに自社で管理しており、自社で販売網・物流網を構築している。
今回の拡張工事では、2007年に設立した同貯蔵施設の敷地面積を約2倍に拡大し、併せて貯蔵能力の増強、事務棟の建て替えを実施したほか、顧客サポート体制を強化した。今後、既存施設の改造を進め、従来の2倍の貯蔵能力を有する予定としている。
◆農業資材:BASFがシンガポールに新生産拠点を開設(9月5日)
BASFは、農業ソリューション事業の新しい生産拠点をシンガポールのTuas(トアス)に開設したことを発表した。
Tuas拠点は、4千万ユーロが投じられた多目的拠点であり、同国内で4つ目の生産拠点となる。新拠点では、BASFの新しい有効成分であるInscalis(インスカリス)や、生産者が害虫防除を行うのに役立つRevysol(レヴィソル)などをベースにした革新的なソリューションを生産し、6種の液体製剤技術に対応できるよう設計されている。新拠点の初期生産能力は年間7,000キロリットルであり2千万ヘクタール以上の農地への供給が可能である。
BASFはこの戦略的な立地から、アジア太平洋地域のハブとして生産者に革新的な作物保護ソリューションを提供するとしている。
◆価格改定
・ダイセルが1,3ブチレングリコールを9月15日納入分より値上げ
値上げ幅は、50円/kg以上
・UBEがナイロン6樹脂を9月15日出荷分より値上げ
値上げ幅は、80円/kg
・DICがエポキシ系可塑剤を9月19日納入分より値上げ
値上げ幅は、エポキシ化大豆油(ESBO)ローリー:35円/kg、エポキシ化大豆油(ESBO)缶、ドラム:40円/kg
・アイカ工業がフェノール樹脂製品を10月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、10%以上
・堺化学工業が酸化チタンを10月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、60円/kg以上
・石原産業が酸化チタンを10月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、50円/kg
・デンカがスチレンモノマーを11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、4円/kg
・オリエンタル酵母がイースト(パン酵母)を11月1日納品分より値上げ
値上げ幅は、20円/kg