メールマガジン

2023年10月5日

2023.10.05 発行

HEADLINE

◆植物由来:三菱ケミカルグループが植物由来のポリカーボネート系熱可塑性エラストマーを開発(9月29日)
◆リサイクル:東レが解再重合技術を活用したケミカルリサイクルPBT樹脂製品の展開を拡大(9月29日)
◆バイオマス:BASFがバイオベースの1,4-ブタンジオールであるQIRAの長期使用権を獲得(9月20日)
◆樹脂:三菱ケミカルグループがPFASフリーと高難燃性を両立させた高付加価値ポリカーボネートを開発(9月27日)
◆接着剤:アイカ工業の中国グループ会社が新工場を建設(9月26日)
◆リサイクル:ハリマ化成グループがプラスチックのリサイクルに貢献する「インキ脱離用プライマー」を開発(9月26日)
◆バイオメタン:日揮ホールディングス、大阪ガス、INPEXらがインドネシアにおけるバイオメタン供給事業に関する詳細
 検討を開始(9月25日)
◆建材:大日本印刷がツヤのないマットな質感で指紋がつきにくい内装用化粧シートを開発(9月25日)
◆価格改定
・JNCがオキソ誘導品(ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、オクタノール、ノルマルブタノール、
 イソブタノール、CS-12、CS-16、オクチル酸、酢酸イソブチル)を10月10日出荷分より値上げ
・デンカがポリビニルアルコールを10月16日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆植物由来:三菱ケミカルグループが植物由来のポリカーボネート系熱可塑性エラストマーを開発(9月29日)
 三菱ケミカルグループは、高いバイオマス度と耐熱性を有する、植物由来のポリカーボネート系熱可塑性エラストマーを開発したと発表した。
 同開発品は植物由来原料を使用しており、同社独自の材料設計技術により最大で70%のバイオマス度を実現している。また、高い耐熱性(融点:180℃以上)を有し、かつマイナス10℃から150℃まで柔軟性が変化しづらいことから、幅広い温度領域において使用が可能である。さらに、透明性や耐アルカリ性、無黄変性にも優れており、様々な分野への展開が可能としている。

◆リサイクル:東レが解再重合技術を活用したケミカルリサイクルPBT樹脂製品の展開を拡大(9月29日)
 東レは、以前より製造工程から出る端材等を解再重合したPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂のケミカルリサイクルに取り組んできたが、今回、ガラス繊維強化低反り、耐加水分解対応グレードなどの高機能グレードのラインナップを拡充し、サンプル提供を開始すると発表した。
 同製品はバージン原料由来のPBT樹脂と同等レベルの物性を有しており、カーボンフットプリント(CFP)の低減が見込める。一般的に、樹脂リサイクルでは、異物、異素材の混入や材料の品質劣化が課題となるが、同社は解再重合からコンパウンドまで一貫した品質管理を行うケミカルリサイクルを実施することにより、バージン材と同等の高品質なリサイクルPBT樹脂の提供が可能である。
 現在、市場から回収した使用済み製品由来のポストコンシューマーリサイクル(PCR)樹脂を使用したケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルグレードも開発中である。今後、環境配慮型樹脂材料のリサイクルPBT樹脂製品を「“Ecouse”TORAYCON」として展開していくとしている。

◆バイオマス:BASFがバイオベースの1,4-ブタンジオールであるQIRAの長期使用権を獲得(9月20日)
 BASF社(独)は、Cargill社(米)とHELM社(独)の合弁会社であるQore社(米)と契約を締結し、バイオベースの1,4-ブタンジオール(BDO)であるQIRAの長期使用権を獲得したことを発表した。
 BDOは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)製造のための化学的基本的骨格であるポリテトラメチレンエーテルグリコール(ポリテトラヒドロフラン、PolyTHF)を製造するための重要な前駆体である。Qore社はQIRAブランドとして、バイオベースのBDOを製造している。QIRAは、トウモロコシから得られる植物由来の糖類の発酵によって製造されており、化石資源由来のBDOと同じ品質の製品規格を実現している。
 BASF社は、同契約締結によるQIRAの入手によってPolyTHF)やテトラヒドロフラン(THF)のバイオベース製品で、既存のBDO誘導体の製品ラインアップを拡大する。最初の商業出荷は2025年第1四半期の予定としている。

◆樹脂:三菱ケミカルグループがPFASフリーと高難燃性を両立させた高付加価値ポリカーボネートを開発(9月27日)
 三菱ケミカルグループは、PFASフリーと高難燃性を両立させた高付加価値ポリカーボネート樹脂「XANTAR(ザンター) XFシリーズ」を開発したことを発表した。
 有機フッ素化合物であるPFASはパーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称で、難燃性が必要とされる素材に採用されている。一方で、近年では環境汚染や人の健康への影響が懸念されており国内外で規制案が検討されている。XANTAR XFシリーズは新たに開発した難燃化技術により、PFASを使用することなく高難燃性を実現しており、同社グループでの難燃性評価において厚み0.6mmでUL94規格 V-0相当の高難燃性を確認している。
 部品の超薄肉化が可能なため、情報電子機器の軽量化や省スペース化に貢献し、さらに、高い透明性や発色性、表面硬度(鉛筆硬度:H)、耐熱性(ガラス転移温度:163℃)を有していることから、様々な分野への展開が可能であるとしている。

◆接着剤:アイカ工業の中国グループ会社が新工場を建設(9月26日)
 アイカ工業の海外グループ会社で化成品の製造・販売を担うアイカ広東社は、接着剤等の新工場を建設し、開所式を行ったことを発表した。
 同社グループは、海外での事業展開を推進しており、化成品事業においても、中国でフェノール樹脂の3工場の立ち上げに取り組んでいる。その中国3大プロジェクトの第一弾として、総額約60億円をかけてアイカ広東社の接着剤等の製造工場を拡張移転した。従来に比べ、アイカ広東社の接着剤等の生産能力は約2倍に向上する。
 今回、増強した生産能力とこれまでに構築・獲得した販売網・技術・ブランド力を活かしてさらなる成長を図り、2022年度に1,413億円だった化成品セグメントの売上高を、2026年度には1,750億円へ伸長させる計画としている。
 アイカ工業は、今回のアイカ広東社の新工場建設のほかに、竹材用フェノール樹脂需要の高まりを受け、竹の産地である福建省に新会社アイカ福建社を設立し、工場を建設している。また、工業用フェノール樹脂を製造するアイカ南京社では、新工場棟の建設を進めているとしている。

◆リサイクル:ハリマ化成グループがプラスチックのリサイクルに貢献する「インキ脱離用プライマー」を開発(9月26日)
 ハリマ化成グループは、プラスチックの循環型リサイクルに貢献する製品として、プラスチック基材から印刷層を容易に脱離させることができる「インキ脱離用プライマー」を開発したと発表した。
 同製品をプラスチック基材と印刷層の間にプライマーを塗工しておけば、リサイクル時にアルカリ水を用いることで、印刷層をスムーズに脱離することができる。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリオレフィンなどのプラスチック基材に対する密着性が高く、塗工性に優れている。加えて、インキとの密着性も高く、印刷層に含まれるインキ溶剤に対する耐溶剤性があるため、インキを変える必要が無く、従来の印刷方式ならではの発色や光沢を維持できるメリットもある。
 今回、同社が新しく開発したプライマーは、インキの除去を容易にし、再生用途の可能性を広げるものである。今後はインキだけでなく、ハードコート、粘着層、離型層への対応にも期待しており、同社が培ってきた樹脂合成技術を活用し、フィルムリサイクルの顧客ニーズに応えていくとしている。

◆バイオメタン:日揮ホールディングス、大阪ガス、INPEXらがインドネシアにおけるバイオメタン供給事業に関する詳細検討を開始(9月25日)
 日揮ホールディングス、大阪ガス、INPEX及びインドネシア国営石油会社プルタミナの子会社で天然ガス供給事業を手掛けるPT Perusahaan Gas Negaraの4社は、インドネシアにおけるパームオイルの搾油工程で生じる廃液(POME)由来のバイオメタン活用の事業化に向けた詳細検討を開始すると発表した。
 インドネシアは、世界最大のパームオイル生産国であると同時に世界最大の輸出国である。一方、有機分を多く含むPOMEからは二酸化炭素の25倍の温室効果を持つとされるメタンガスが大量に発生し、その多くが大気放散されているという課題がある。
 本事業は、現状POMEから大気放散されているメタンガスを回収したうえでバイオメタンとして精製し、天然ガス導管など既存インフラを利用してインドネシア国内の需要家に供給する。
 将来的にはスマトラ島全域、さらにカリマンタン島へと事業規模を拡大しながら、バイオメタンを液化したバイオLNGを船舶燃料として供給する事業やバイオLNGを日本などに輸出する事業の可能性についても検討する予定としている。

◆建材:大日本印刷がツヤのないマットな質感で指紋がつきにくい内装用化粧シートを開発(9月25日)
 大日本印刷(以下、DNP)は、マットな質感で意匠性が高く、指紋がつきにくい内装用化粧シート「DNP EBオレフィンシート サフマーレ プレミア」を2024年1月に発売すると発表した。
 本製品は、新たに開発された特殊コーティングにより、マットな質感と滑らかな触感の意匠が実現され、室内建具や収納などのデザインの幅を広げるとともに、繊細な曲面のラッピングにも対応する。また、独自の技術で、表面に微細な凹凸をつけ、指紋のつきにくさも向上されている。
 本製品はDNP独自のEBコーティング(基材に塗った各種材料を電子線の照射で硬化し、多様な機能を持たせる方法)で製造され、直接塗装と比べて空気中への有害物質の拡散が少なく、安全に作業ができる。
 DNPは、本製品を集合住宅や一戸建て住宅等向けに、ハウスメーカーや建材メーカー等に販売し、2026年度までに累計約5億円の売上を目指すとしている。

◆価格改定
・JNCがオキソ誘導品(ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、オクタノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、CS-12、CS-16、オクチル酸、酢酸イソブチル)を10月10日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、20円/kg以上
・デンカがポリビニルアルコールを10月16日納入分より値上げ
 値上げ幅は、35円/kg

TOPへ戻る