2023.11.09 発行
◆リサイクル:JFEスチールが廃プラスチック利用拡大に向けた国内最大級の処理設備の導入を発表(11月2日)
◆樹脂:千代田化工建設とIHIプラントがクレハ向けフッ化ビニリデン樹脂生産設備のEPC業務を受注(11月2日)
◆塗料原料:ハリマ化成が塗料用樹脂の生産能力を増強(11月1日)
◆LNG:千代田化工建設がインドネシアのタングーLNGプロジェクト第3系列の工事を完了(11月1日)
◆電池材料:旭化成がリチウムイオン電池用セパレータの塗工能力を大幅に増強(10月31日)
◆フィルター:東レがインドにおける高性能エアフィルター製品の生産を開始(10月31日)
◆アンモニア:日揮HDが福島県でグリーンアンモニア製造技術の実証プラント起工式を実施(10月31日)
◆CO2対策:千代田化工建設が石油資源開発向け東新潟CCS_圧入設備概念設計検討業務を受注(10月31日)
◆CO2対策:千代田化工建設が三菱商事よりCCSバリューチェーン構築に係る検討業務を受注(10月30日)
◆CO2対策:ENEOSとJFEスチールが水島コンビナートにおけるCO2フリー水素の利活用に関する共同検討を開始
(10月30日)
◆CO2対策:コスモエネルギーホールディングスと東芝エネルギーシステムズがCO2電解技術を用いるCCUの実現に向けた
共同検討を開始(10月30日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・クラレがポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂を11月8日出荷分より値上げ
・ユニチカが包装用フィルム製品を11月11日出荷分より値上げ
・東ソーが炭化水素系高機能洗浄剤(HCシリーズ)、ノンハロゲン非引火性洗浄剤(HAシリーズ)を12月1日出荷分より
値上げ
・積水化学工業がポリエチレン製パイプ・継手を12月20日出荷分より値上げ
◆リサイクル:JFEスチールが廃プラスチック利用拡大に向けた国内最大級の処理設備の導入を発表(11月2日)
JFEスチールは、CO2排出削減の一環として使用済みプラスチックの利用拡大を図るべく、JFEグループ内で連携し、同社の東日本製鉄所に新たに廃プラ処理設備を導入することを決定したと発表した。
製鉄プロセスにおける廃プラの利用は、主に高炉・コークス炉で原料炭などの原材料の代替品として利用される。廃プラの活用に関して、利用時に回収されるガスや油脂分がケミカルリサイクルと認定されることから、プラスチックの排出者にとって最終処分率を低減できるメリットがある。また、利用者としては、廃プラ活用分が自社の事業におけるCO2発生量から控除されることから、近年容器包装プラスチックを中心に製造業での廃プラ活用が進んでいる。
導入する設備の廃プラ処理の能力は60,000t/年、投資規模は67.5億円、稼働時期は2024年10月を予定しており、今後、2030年度までに、さらなる能力増強により廃プラ処理能力を最大で約2倍程度まで引き上げるとしている。
◆樹脂:千代田化工建設とIHIプラントがクレハ向けフッ化ビニリデン樹脂生産設備のEPC業務を受注(11月2日)
千代田化工建設とIHIプラントは、共同でクレハ向けにフッ化ビニリデン樹脂(以下、PVDF)のいわき製造所における生産設備モノマー工程の増強に係る設計、調達、建設(EPC)業務を受注したと発表した。
PVDFは、リチウムイオン二次電池(LiB)用バインダー及び一般産業用エンプラとして使用されており、近年は車載用LiB向けに需要の拡大が続いている。
千代田化工建設では、本プロジェクトの遂行を通して、持続可能な社会の発展に貢献するとしている。
◆塗料原料:ハリマ化成が塗料用樹脂の生産能力を増強(11月1日)
ハリマ化成は、国内における塗料需要の回復を背景に、塗料用樹脂の生産能力を約25%増強すると発表した。
同社は、加古川製造所、茨城工場で塗料用樹脂を製造しているが、今回、茨城工場の設備増設に加え、新たに東京工場での製造を開始する。これにより、11月からの塗料用樹脂の生産能力は、3工場併せて約25%増となる。
増強の背景には、コロナ禍からの回復の中、構造物や集合住宅の改修工事などで使われる塗料の需要増が見込まれることが挙げられ、ハリマ化成はそれらのニーズに応えていくとしている。
◆LNG:千代田化工建設がインドネシアのタングーLNGプロジェクト第3系列の工事を完了(11月1日)
千代田化工建設は、インドネシアのグループ会社である千代田インターナショナル・インドネシア、PT. Saipem Indonesia、PT. Tripatra Engineers and Constructors、PT. Tripatra Engineering、PT. SuluhArdhi Engineeringと共に、インドネシアのタングー拡張プロジェクト(TEP)を完工したことを発表した。
顧客である BP Berauは増設した第3系列からの最初のLNG(液化天然ガス)を既にインドネシア国内マーケットに向け出荷している。
同プロジェクトには、年間380万トンのLNGを生産する液化設備に加えて、陸上受入施設、コンデンセート積み込み用の桟橋、追加のボイルオフガス回収施設などが含まれている。この第3系列の増設により、タングーにおけるLNG生産量は50%増加し、年間最大1,140万トンにまで増量されるとしている。
◆電池材料:旭化成がリチウムイオン電池用セパレータの塗工能力を大幅に増強(10月31日)
旭化成は、リチウムイオン電池(LIB)用セパレータ「ハイポア」の米国、日本、韓国における塗工能力の増強を決定したことを発表した。
同社グループは、LIB用湿式セパレータ「ハイポア」としてポリオレフィン微多孔膜(基材膜)と基材膜の上にセラミック等を塗工した膜(塗工膜)の2種類の製品を供給している。
今回、塗工膜の生産体制の拡充に向けた設備投資を実施することにより、同社グループの塗工能力は約12億m2/年となる。これにより、高機能かつ長寿命な車載用途向けの湿式セパレータを供給し、北米、日本、韓国等各市場におけるLIBサプライチェーンの構築に寄与することが可能となる。
今回の能力増強はノースカロライナ州(米国)、日向市(宮崎県)、平澤市(韓国)の既存工場を対象としている。設備投資額は約400億円、増強される塗工能力は約7億m2/年であり、2026年度上期より順次商業運転を開始するとしている。
◆フィルター:東レがインドにおける高性能エアフィルター製品の生産を開始(10月31日)
東レは、インド現地法人であるToray Industries (India)に新設したエアフィルター拠点において、低圧損・高捕集効率・高性能に優れた、空気清浄機・自動車・エアコン・空調用のエアフィルター製品の生産を2023年10月より開始したと発表した。
同拠点は、インドにおいて初の高性能フィルターのろ材用不織布からフィルター組み立てまでの一貫生産拠点である。近年、インド国内では、大気汚染の深刻化、環境対応強化の意識の高まりから、さらなる空気浄化ニーズの高まりとともに、高性能・高品質エアフィルターの需要が増加すると予想されている。
東レは地産地消の考え方を基本に、現地での生産・技術開発・販売体制を構築し、現地ニーズを迅速に把握し製品開発に生かすことで、顧客の要求特性の高度化にスピーディーに対応するとしている。
◆アンモニア:日揮HDが福島県でグリーンアンモニア製造技術の実証プラント起工式を実施(10月31日)
日揮HDは、再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造技術の実証プラントの建設工事を開始するにあたり、福島県浪江町の現場で起工式を実施したことを発表した。
同実証プラントではNEDOグリーンイノベーション基金事業の一環として旭化成と共同採択された「大規模アルカリ水電解水素製造システムの開発およびグリーンケミカルプラントの実証」プロジェクトのための実証運転が行われる。
日揮HDは同プロジェクトにおいて旭化成と共同で再生可能エネルギー由来の水素を原料にグリーンアンモニアをはじめとしたグリーンケミカル製造のプラント運転を最適化する「統合制御システム」の開発、ならびに同プラントにおける実証を目指している。
同実証プラントは2024年度内に運転開始し、2026年度までの稼働を予定している。同実証を通じ、日揮HDは統合制御システムの検証およびさらなる改善を含めたグリーンアンモニア製造技術の確立に取り組んでいくとしている。
◆CO2対策:千代田化工建設が石油資源開発向け東新潟CCS_圧入設備概念設計検討業務を受注(10月31日)
千代田化工建設は、石油資源開発(以下、JAPEX)より、東新潟CCS_圧入設備概念設計検討業務を受注したことを発表した。
同業務は、JAPEX、三菱ガス化学、東北電力、北越コーポレーション、野村総合研究所の5社が、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の令和5年度「先進的CCS事業の実施に係る調査」に関する公募において、JAPEXより同社がCCS圧入設備概念設計検討を受託し、実施するものである。
同調査は、東新潟地域において、2030年までのCCS事業の開始を目指し、既設の工場や火力発電所から排出されるCO2の分離・回収、CO2の圧入・貯留地点、およびこれらを結ぶ輸送パイプラインに係るコスト試算を含めた検討を参加5社にて実施するものである。そのうち、同社は各事業者から排出されたCO2を圧入弁の入り口まで圧送するための設備等を検討するとしている。
◆CO2対策:千代田化工建設が三菱商事よりCCSバリューチェーン構築に係る検討業務を受注(10月30日)
千代田化工建設は、三菱商事よりCCSバリューチェーン構築に係る検討業務を受注したと発表した。
三菱商事は、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の令和5年度「先進的CCS事業の実施に係る調査」に関する公募において、「伊勢湾/中部地域の複数産業から排出されるCO2を対象とした海外CCSバリューチェーン構築の実現可能性調査」に採択されており、千代田化工建設はこの中でCO2液化・貯留・出荷設備に関する検討業務に取り組む。
日本では、伊勢湾/中部地域の複数産業から排出・分離回収されたCO2の集積・液化貯蔵・出荷設備に関する検討を範囲対象とし、海外では日本から輸送された液化CO2の荷揚げ・液化貯蔵・圧入地までの陸上輸送等に関する設備を対象範囲として、国内から海外までを通貫したバリューチェーンにおける各構成要素に関する技術検討を実施するとしている。
◆CO2対策:ENEOSとJFEスチールが水島コンビナートにおけるCO2フリー水素の利活用に関する共同検討を開始(10月30日)
ENEOSとJFEスチールは、水島コンビナートにおけるCO2フリー水素の利活用に関する共同検討を開始したと発表した。
両社が事業拠点を構える水島コンビナートは、将来的に大規模な水素利用が期待されるエリアである。両社は、このエリアにおいてCO2フリー水素の受入・貯蔵・供給拠点の整備および利活用に関する検討を行う。2030年までにCO2フリー水素サプライチェーン構築を目指し、2030年以降の水素利用拡大を見据えたサプライチェーンの拡大と脱炭素社会の実現に向けた水素の有効な利用方法についての検討も実施する。
両社は、これまで培ってきた技術・知見のほか、それぞれが保有する既存インフラ等の資産を活用することで、カーボンニュートラルの早期実現を目指す。また、地域全体でのカーボンニュートラル推進に関する多様な取り組みとも連携し、持続可能な社会の実現に貢献するとしている。
◆CO2対策:コスモエネルギーホールディングスと東芝エネルギーシステムズがCO2電解技術を用いるCCUの実現に向けた共同検討を開始(10月30日)
コスモエネルギーホールディングスと東芝エネルギーシステムズ(以下、東芝ESS)は、CO2電解技術でCO2を有価物に変換するCarbon dioxide Capture and Utilization(CCU)の実現に向けた共同検討について、基本合意書を締結したことを発表した。
本共同検討で、東芝ESSは、CO2を電気分解し高い転化率で一酸化炭素(CO)を製造するCO2電解技術を提供する。COは、水素との反応で、メタノール等のアルコール類や合成燃料等の原料となり、CCUの実現に向けた有用な物質として注目されている。
コスモエネルギーグループは、東芝ESSのCO2電解技術を用いて製油所等から発生するCO2由来の有価物の生産を目指す。
両社は本検討を通じて、コスモエネルギーグループの製油所等におけるCO2電解技術を用いたCCUの実現を目指す。また、CO2の電気分解による副生物として生成される酸素も、製油所の省エネやCO2排出量の削減に資する利活用を検討するとしている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
11月契約価格は、945$/t(前月比▲65$/t)
国内価格換算想定値は147.0円/kg
・クラレがポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂を11月8日出荷分より値上げ
値上げ幅は、日本:20円/kg、ヨーロッパ:0.2ユーロ/kg
アジアパシフィック、北米、南米、中東、アフリカ:0.2US$/kg
・ユニチカが包装用フィルム製品を11月11日出荷分より値上げ
値上げ幅は、ナイロンフィルム(15µm換算):500円/連
複層ナイロンバリアフィルムMシリーズ(15µm換算):500円/連
複層ナイロンバリアフィルムEシリーズ(15µm換算):1,200円/連
ナイロンバリアフィルム(15µm換算):600円/連
ポリエステルフィルム(12µm換算):300円/連
ポリエステルバリアフィルム(12µm換算):400円/連
OPPバリアフィルム(20µm換算):300円/連
※連=500m2
・東ソーが炭化水素系高機能洗浄剤(HCシリーズ)、ノンハロゲン非引火性洗浄剤(HAシリーズ)を12月1日出荷分より
値上げ
値上げ幅は、30円/L以上
・積水化学工業がポリエチレン製パイプ・継手を12月20日出荷分より値上げ
値上げ幅は、ポリエチレン製パイプ:20%以上、同継手:15%以上