2023.02.16 発行
◆有機:クラレがタイでイソプレン関連事業の新プラントを完工および稼働開始(2月9日)
◆非鉄金属:東邦チタニウムが新工場建設によるニッケル粉生産能力の増強を決定(2月9日)
◆バイオマス:三菱ガス化学がバイオマスポリカーボネート製品の生産・販売に向けた取り組みを開始(2月9日)
◆複合材料:王子ホールディングスがセルロースを補強繊維とした高強度樹脂ペレットを開発(2月9日)
◆不織布:三井化学と旭化成が不織布事業に関する共同新設分割を実施(2月8日)
◆無機:ステラケミファが濃縮ホウ酸/フッ化スズの生産設備整備・増強の取り組みを発表(2月7日)
◆電池材料:日本製紙がハンガリーでLiB用CMCの生産体制を構築(2月6日)
◆樹脂:東レが韓国でPPS樹脂を増設(2月6日)
◆農業資材:保土谷化学工業が朝日アグリアと共同で新たな複合農業資材を開発(2月6日)
◆ガラス:AGCとサンゴバン社が板ガラス製造におけるCO2排出量大幅削減に向け共同開発に合意。(2月6日)
◆価格改定
・トクヤマが粒状塩化カルシウムを3月1日出荷分より値上げ
・トクヤマが液体塩化カルシウムを3月1日出荷分より値上げ
・トクヤマが塩酸を3月1日出荷分より値上げ
・トクヤマが液体塩素を3月1日出荷分より値上げ
・カネカが加工油脂製品を3月16日出荷分より値上げ
・カネカがイースト製品を4月1日出荷分より値上げ
・オリエンタル酵母がイースト(パン酵母)を4月1日納品分より値上げ
・横浜ゴムが国内市販用の夏用タイヤ、オールシーズンタイヤ、チューブ・フラップを4月1日より、
冬用タイヤを8月1日より値上げ
・住友ゴムが国内市販用の夏用タイヤ・チューブ・フラップを4月1日より、冬用タイヤを7月1日より値上げ
◆有機:クラレがタイでイソプレン関連事業の新プラントを完工および稼働開始(2月9日)
クラレは、タイのKuraray GC Advanced Materials社およびKuraray Advanced Chemicals社にて建設を進めていたイソプレン関連事業の新プラントが完成し、順次稼働を開始すると発表した。
タイの新プラントは、クラレの独自技術により開発した耐熱性ポリアミド樹脂PA9T(ジェネスタ)、水素添加スチレン系エラストマーHSBC(セプトン)、イソブチレン誘導品MPD(3-メチル-1,5-ペンタンジオール、以下MPD)の世界的な需要増加に対応し、グローバル供給体制の強化を実現する。
新プラントの生産能力は、ジェネスタ:13千トン/年、セプトン:16千トン/年、MPD:5千トン/年である。今回の投資額は約400億円としている。
◆非鉄金属:東邦チタニウムが新工場建設によるニッケル粉生産能力の増強を決定(2月9日)
東邦チタニウムは、積層セラミックコンデンサ(MLCC)内部電極等に利用されるニッケル粉の新工場を建設し、生産能力増強を決定したことを発表した。
MLCC はスマートフォン、タブレット、PC 等の電子機器のほか、各種自動車電装部品に搭載されている。スマートフォン向けの販売低迷等によりMLCC需要は調整局面にあるが、通信機器の高機能化、自動車のEV化や自動運転化、第6世代移動通信システム(6G)の実用化等により、市場は今後大きく成長していくことが見込まれる。
同社は2017年及び2021年、若松工場(福岡県)にニッケル粉工場を建設し生産能力増強を行ったが、今後も更なる需要の拡大が見込まれるほか、小型・大容量のMLCCに対応できるニッケル粉の供給体制を強化する。
本増強の投資額は約94億であり、若松工場の既存生産能力に対して20%増強する。同工場は今後さらなる増強により追加で20%の増強(計40%)が可能としている。本増強のスケジュールは2025年度完工、営業運転開始予定としている。
◆バイオマス:三菱ガス化学がバイオマスポリカーボネート製品の生産・販売に向けた取り組みを開始(2月9日)
三井化学と三菱ガス化学(以下、MGC)は、三井化学のバイオマスビスフェノールA(以下、バイオマスBPA)をMGCのポリカーボネート樹脂(以下、PC)「ユーピロン」のモノマー原料として提供し、MGCにてバイオマスPCの生産・販売に向けた取り組みを開始したと発表した。
三井化学は、2021年に日本で初めてバイオマスナフサを原料とする誘導品・製品群を、ISCC PLUS認証制度に基づいたマスバランス方式によって割り当て、バイオマス化学品・樹脂を販売している。
MGCは、三井化学のバイオマスBPAを国内で初めて購入し、MGC鹿島工場において界面重合法によりバイオマスPCの生産に向けた取り組みを開始する。また、MGCのグループ会社である鹿島ポリマーではペレット賦形品や機能性コンパウンド製品、及びMGCフィルシートでは高硬度高透明のシート製品や成形用フィルム製品の加工設備を用いることで、バイオマスPCに機能性を付与することが可能となる。
今後、両社は本取り組みにより、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に貢献することで、カーボンニュートラル社会の実現を目指すとしている。
◆複合材料:王子ホールディングスがセルロースを補強繊維とした高強度樹脂ペレットを開発(2月9日)
王子ホールディングスは、植物原料由来であるセルロースを補強繊維とした射出成形用ペレットの開発に成功したと発表した。
今回開発したペレットは、同社独自の技術で植物原料由来のセルロース繊維とポリオレフィン系樹脂が均一に分散されている。そのため、本開発品では従来品と同等の弾性率を有しながら、非常に高い耐衝撃性(23kJ/m2)がある。これにより、従来品では適用困難だった自動車用内装材をはじめとした各種部材への適用が可能となる。
また、ペレットの着色を比較的抑えられるほか、植物変量由来のセルロースを用いることで化石燃料由来樹脂の使用量削減と軽量化が期待できる。
今後は、既に開発が完了したセルロースマットと共にサンプル提供を通して自動車部材などへの実用化を進めていくとしている。
◆不織布:三井化学と旭化成が不織布事業に関する共同新設分割を実施(2月8日)
三井化学と旭化成は、共同新設分割を実施し、不織布関連製品の開発・製造・販売に関する事業を承継させる新会社を設立すると発表した。
三井化学、旭化成ともに、スパンボンド不織布関連製品事業を日本国内外において営んでいる。一方でアジアでの事業環境の激化やRCEP発行による関税撤廃などの影響から、不織布市場の一層の競争激化が想定されている。
そこで、両社は、三井化学のポリオレフィン多分岐繊維SWPを除く不織布関連事業と旭化成のスパンボンド事業及びカートリッジフィルター事業を統合することを決定した。なお、国内生産拠点は三井化学子会社であるサンレックス工業、三井化学名古屋工場とし、旭化成の守山工場へは統合会社から製造委託を実施する。タイ拠点のMitsui Hygiene MaterialsとAsahi Kasei Spunbondについては統合会社の子会社として生産販売を継続する予定である。
本共同新設分割による新設会社設立は2023年10月の予定としている。
◆無機:ステラケミファが濃縮ホウ酸/フッ化スズの生産設備整備・増強の取り組みを発表(2月7日)
ステラケミファは、濃縮ホウ酸およびフッ化スズの販売拡大に向け、生産設備・能力の整備・増強を実施する事を決定したと発表した。
濃縮ホウ酸は、加圧水型原子力発電所の1次冷却水等に添加され、中性子吸収用途として使用されている。今後の、国内外における原子力発電所の新設や再稼働において、更なる需要拡大が見込まれるため、より効率的に生産を行える体制を整える事とした。
フッ化スズは、オーラルケア製品に幅広く使用されており、虫歯予防と抑制・抗菌作用・知覚過敏の抑制等の効果が期待されている。今後更なる市場の拡大が見込まれることから安定供給体制を強固なものとするべく、フッ化スズの生産能力を増強することを決定した。
今回の生産設備増強に対する投資金額は約11億円であり、2024年3月に完了を予定している。増強後の生産能力は濃縮ホウ酸が36t/年、フッ化スズが現在の2倍になるとしている。
◆電池材料:日本製紙がハンガリーでLiB用CMCの生産体制を構築(2月6日)
日本製紙は、欧州で急速に市場拡大する電気自動車(EV)の車載用リチウムイオンバッテリー(以下LiB)の、負極材料の一つとして用いられるCMC(カルボキシメチルセルロース)の供給体制を強化するため、ハンガリーに製造販売子会社を設立したと発表した。
CMCは、天然セルロースを高純度に精製したパルプを原料として得られるアニオン系水溶性高分子である。その優れた増粘性・吸収性・保水性から、日用品、製紙などの工業用途で以前から広範囲に使用されてきたが、近年ではLiB用途も大きく伸長している。
同社の開発品であるLiB用CMCは、LiB負極材料(グラファイト)塗工液の高機能性添加剤として使用され、均一な塗工膜の形成が可能になり安全性に優れる点から、スマートフォン・PCなどの民生用、再生可能エネルギー蓄電用に加え、EV車載用途でも国内外のLiBメーカーから高く評価されている。
新工場の稼働予定時期は2024年12月、売上高約50百万€、約60名の雇用を創出する予定としている。
◆樹脂:東レが韓国でPPS樹脂を増設(2月6日)
東レは、韓国の100%子会社である東レ尖端素材の群山工場において、PPS樹脂「トレリナ」の生産能力を年産5,000トン増設し、2024年12月の稼働開始を目指すことを発表した。
PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、機械的強度、難燃性等に優れたスーパーエンプラで、拡大するxEVの電装部品や電機・電子機器、住設関連部品等に使用されている。2022年のPPS樹脂コンパウンド世界需要は約12万トンと推定され、今後も年率6%以上の高成長が見込まれている。
本増設により、既存の東レ東海工場とあわせた生産能力は年産32,600トンまで拡大する。また、今回の増設に伴い、PPS樹脂の主原料である硫化水素ナトリウムも増設し、コスト競争力を有した主原料から樹脂の一貫生産拠点としての位置づけを維持・強化する。
韓国の工場で生産したPPS樹脂は、韓国内消費分以外は中国、欧米、ASEAN等、東レグループの各コンパウンド拠点へ供給し、グローバルな事業拡大を一層進めるとしている。
◆農業資材:保土谷化学工業が朝日アグリアと共同で新たな複合農業資材を開発(2月6日)
保土谷化学工業と朝日アグリアは、新たな農業資材の研究開発にかかる共同開発契約を締結し、「酸素供給剤」と「堆肥」との複合農業資材を新たに開発し、今後の事業化に向け協働することを発表した。
今回、協働で開発する農業資材は、両社が持つそれぞれの資材の特徴である、土づくり、土壌改良の共通性に着目し、肥料効果と湿害対策、好気性微生物の増加、作業効率化などが期待される堆肥・酸素供給剤の複合資材である。畑作物に対する土壌生育環境の改善と湿害対策で、作物育成の安定化による普及拡大を目指すとしている。
◆ガラス:AGCとサンゴバン社が板ガラス製造におけるCO2排出量大幅削減に向け共同開発に合意。(2月6日)
AGCとSaint-Gobain(本社:フランス)は、板ガラス製造時のCO2排出量を大幅に削減する技術を共同で開発することで合意したことを発表した。
本共同開発は、天然ガスの空気燃焼を熱源とする板ガラスの製造方式を、50%を電力、残りの50%を天然ガスの酸素燃焼に転換する新しい技術を目指すもので、この技術の実現により、板ガラス製造におけるCO2排出量を大幅に削減することが可能となる。
チェコにあるAGCの型板ガラス製造プラントを全面的に改修し、パイロットプラントを建設する。2024年下期に最新鋭のパイロットプラントで実証実験開始を目指すとしている。
◆価格改定
・トクヤマが粒状塩化カルシウムを3月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、17円/kg以上
・トクヤマが液体塩化カルシウムを3月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、12円/kg以上(固形換算)
・トクヤマが塩酸を3月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、6円/kg以上
・トクヤマが液体塩素を3月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、18円/kg以上
・カネカが加工油脂製品を3月16日出荷分より値上げ
値上げ幅は、40~50円/kg以上
・カネカがイースト製品を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、22円/kg
・オリエンタル酵母がイースト(パン酵母)を4月1日納品分より値上げ
値上げ幅は、20円/kg
・横浜ゴムが国内市販用の夏用タイヤ、オールシーズンタイヤ、チューブ・フラップを4月1日より、
冬用タイヤを8月1日より値上げ
値上げ幅は、平均7%(改定率は商品により異なる)
・住友ゴムが国内市販用の夏用タイヤ・チューブ・フラップを4月1日より、
冬用タイヤを7月1日より値上げ
値上げ幅は、最大8%