2023.02.02 発行
◆CO2:ENEOS、JX石油開発、Jパワーが国内CCS貯留事業調査に向けた合弁会社設立を決定(1月26日)
◆リサイクル:東レがシリコーンコートタイプエアバッグ由来のリサイクルN66樹脂を開発(1月26日)
◆物流:三菱ケミカルグループと三井化学が両社の共同物流に向けた検討を開始(1月27日)
◆研究開発:JX金属が倉見工場にIoT・AI開発を強化するためのR&D棟を新設(1月26日)
◆表面処理:古川電工がインフラ構造物向け表面処理ソリューションの共創拠点を開設(1月26日)
◆電子材料:JX金属がひたちなか新工場(仮称)の起工式の実施を発表(1月25日)
◆エンジニアリング:東洋エンジニアリングの関連会社であるIKPTがインドネシアにて地熱発電所を受注(1月24日)
◆電子材料:三洋化成工業が高性能、高信頼性と長寿命化を実現するアルミ電解コンデンサ用電解液の生産能力を増強
(1月23日)
◆ガラス:AGCがガラス溶解プロセスにおけるデジタルツイン技術を開発(1月23日)
◆価格改定
・日本触媒が酸化エチレン(EO)およびEO誘導品を2月1日出荷分より値上げ
・東ソーが塩酸を2月21日出荷分より値上げ
・ミヨシ油脂が油脂加工製品を2月24日出荷分より値上げ
◆CO2:ENEOS、JX石油開発、Jパワーが国内CCS貯留事業調査に向けた合弁会社設立を決定(1月26日)
ENEOS、JX石油開発、電源開発(Jパワー)は、国内CCS(CO2の回収・貯留)の事業化に向けた準備を加速するため、合弁会社「西日本カーボン貯留調査」の設立を決定したことを発表した。
3社は、CO2排出量削減を図るため、国内での大規模なCCSの事業化調査に共同で取り組んでいる。加えて、カーボンニュートラルに積極的に取り組む事業者とも連携し、2030年に向け本格的なCCSサプライチェーンを実装することで、エネルギーの安定供給と国の温室効果ガス排出削減目標の達成への貢献を目指している。
同合弁会社は、2030年のCO2圧入開始を目指し、ENEOSとJパワーの排出源が立地しCO2貯留ポテンシャルが見込まれる西日本地域において、CO2貯留候補地選定のための探査・評価などの事業化に向けた準備を推進していく。
同合弁会社の設立は、2023年2月を予定し、資本金は1.5億円としている。
◆リサイクル:東レがシリコーンコートタイプエアバッグ由来のリサイクルN66樹脂を開発(1月26日)
東レは、シリコーンコートタイプのエアバッグ端材から、バージン原料由来の射出成形グレードと同等レベルの流動性、機械物性を有するリサイクルナイロン66(N66)樹脂を開発したことを発表した。
本開発品は、再資源化事業者のリファインバースがエアバッグ端材からシリコーン樹脂を剥離、洗浄工程を経てリサイクルした再生樹脂に対し、東レが特定の添加剤を複合して製造される。
シリコーンコートタイプのエアバッグ製造工程で発生した端材を再利用するにはシリコーン樹脂を剥離、洗浄する必要があるが、剥離、洗浄工程を経てリサイクルされた原料であっても、シリコーン樹脂が少量残存するため、射出成形した際に物性低下、金型汚れ等が課題となっていた。
東レは、本開発において特定の添加剤を複合することで、残存するシリコーン樹脂の成形品表面への移行を抑制し、金型への付着を大幅に低減することに成功した。
東レは、2023年4月以降、本格的にサンプルワークを開始し、将来的には、海外拠点でリサイクル原資を調達しグローバル供給体制を整える計画とし、廃車から回収したエアバッグからつくる再生樹脂を原料にした商品化も検討するとしている。
◆物流:三菱ケミカルグループと三井化学が両社の共同物流に向けた検討を開始(1月27日)
三菱ケミカルグループと三井化学は、社会・産業の基盤である化学品物流の標準化・効率化に向けた共同検討を開始したと発表した。
物流業界は、消費財物流が増加する一方で、ドライバーや船員の高齢化、人手不足を背景に、逼迫した状況が続いている。さらに2024年4月より「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用される「物流の2024年問題」も加わり、将来における物流の輸送・保管能力不足は、両社の事業運営にとって、極めて重要な課題の一つとなっている。
両社は、同様の課題を抱える化学業界の物流分野において、会社の枠を超えて横断的な取り組みをリードしていきたいと考えている。また、化学業界における物流の標準化・情報基盤整備に関しても、国、自治体および業界団体等と連携しながら取り組む予定としている。
◆研究開発:JX金属が倉見工場にIoT・AI開発を強化するためのR&D棟を新設(1月26日)
JX金属は、主要事業拠点である倉見工場(神奈川県)にR&D棟を建設したことを発表した。
同工場では、フレキシブル回路基板の圧延銅箔や各種先端デバイスなどに使われるチタン銅・コルソン合金などの高機能銅合金条といった高付加価値製品を開発・生産・供給している。また、スマートフォンメーカーなどの最終顧客や部品メーカーなどの直接顧客のニーズを把握し、他社に先駆けて製品を開発・上市する顧客密着型の短期的開発を得意としている。
同社は、IoT・AI社会の発展や5G・6Gの展開を背景としたデバイスの進化・多様化が見込まれるという認識の下、以前より取り組んでいる既存製品の特性改善や新合金・合金箔開発のほか、保有技術と親和性の高い新用途探索や材料開発の強化に取り組む。また溶解・圧延・熱処理などの要素技術のさらなる高度化により、効率的な材料開発、生産性改善、設備設計に繋げていく。
今後、順次設備を搬入し、本年3月より稼働を開始するとしている。
◆表面処理:古川電工がインフラ構造物向け表面処理ソリューションの共創拠点を開設(1月26日)
古川電工は、インフラ構造物向けの表面処理ソリューション事業「インフラレーザ」の共創拠点「インフラレーザラボ」を千葉事業所に開設すると発表した。
従来のインフラ構造物メンテナンスにおける表面処理は、薬品を使用する工法や研削材を対象物表面にぶつけて加工を行うブラスト工法が中心であり、環境負荷や労働衛生の観点から課題があった。
今回千葉事業所に開設する「インフラレーザラボ」では、高出力ファイバレーザ発振器とレーザヘッド(レーザ照射部)をフレキシブルに動かすことができる実験用システムが設置され、パートナーが持ち込む幅広いサイズ・形状のサンプルを用いて、レーザ加工の有効性を確認する要素実験を行うことが可能である。また、ラボの開設と併せて、出張実験用の車両も配備し、ラボ内だけではなく、屋外・実フィールドでの実験にも対応可能である。
今後、インフラレーザラボの開設によりパートナーとの共創を加速し、システムラインナップの拡充に繋げ、幅広いインフラメンテナンス作業の効率化を目指すとしている。
◆電子材料:JX金属がひたちなか新工場(仮称)の起工式の実施を発表(1月25日)
JX金属は、茨城県ひたちなか市での新工場の建設開始にあたり、起工式を行ったと発表した。
同工場の建設は同社の先端素材分野における過去最大規模の投資となる見込みである。
今後、ひたちなか新工場(仮称)を新たな中核拠点として、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔・高機能銅合金条をはじめとした社会のデジタル化進展に欠かせない先端素材の製造・開発を担う予定としている。
◆エンジニアリング:東洋エンジニアリングの関連会社であるIKPTがインドネシアにて地熱発電所を受注(1月24日)
東洋エンジニアリングは、インドネシア関連会社であるPT Inti Karya Persada Tehnik(IKPT)がコンソーシアムパートナーであるPT Multi Fabrindo Gemilang(MFG)と共に、PT Medco Cahaya Geothermal(MCG)が計画する地熱発電所プロジェクトを受注したと発表した。
本プロジェクトは、PT Perusahaan Listrik Negara(Persero)(インドネシア国有電力公社、PLN)が10年間にわたり推進する電力開発計画の取り組みのひとである。地熱発電は環境負荷が少ない再生可能エネルギーの一つであり、カーンニュートラル達成に向けた取り組みとなっている。
同プロジェクトは東ジャワ州初の地熱発電所となっており、2024年12月に完成する予定としている。
◆電子材料:三洋化成工業が高性能、高信頼性と長寿命化を実現するアルミ電解コンデンサ用電解液の生産能力を増強(1月23日)
三洋化成工業は、アルミ電解コンデンサ用電解液『サンエレック』の生産能力を、昨年7月の3 割の生産能力増強に引き続き、さらなる生産能力の増強を行うと発表した。
現在、自動車業界では、運転支援システム回路など車載用電装部品が増えるとともに、環境対応への流れから環境対応車(EV)へのシフトが加速している。また、5G通信の普及による情報通信機器、製造現場では産業機器のロボット化等、コンデンサ需要はあらゆる分野で年々増加している。さらには、太陽光や風力発電などのエネルギー供給の多様化に伴い、送電側の装置においても、より高電圧な電気に対応できるコンデンサが求められている。
今回の投資金額は約5億円で、2025 年3月には現行生産能力より約 6 割増強となる予定としている。
◆ガラス:AGCがガラス溶解プロセスにおけるデジタルツイン技術を開発(1月23日)
AGCは、ガラス溶解プロセスにおけるデジタルツイン技術として、オンラインシミュレーターとデジタルプロトタイピングツールを統合した 「CADTANK Online Computation and Optimization Assistant(以下COCOA)」 を開発したことを発表した。
フロート窯内部の温度や溶融ガラスの対流は、原料や耐火レンガの状態等、様々な要因によって変化し、生産するガラスの品質に大きな影響を与える。これらの要因が変動するごとに最適なオペレーション条件を導出し直す必要が生じるが、この調整に時間を要すること、そしてその間の生産量が低下してしまうことが課題であった。
今回、開発したCOCOAにより、従来はシミュレーション専任者が時間をかけて行っていたガラス溶解プロセス内部の詳細な状態把握や生産条件の事前検討を、プロセス技術者が自ら手軽に実施することが可能となった。
2023年2月から同社のフロート窯にて本格的な運用検証を開始する予定としている。
◆価格改定
・日本触媒が酸化エチレン(EO)およびEO誘導品を2月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、酸化エチレン:30円/kg以上
エチレングリコール:40円/kg以上
エタノールアミン、その他EO誘導品:50円/kg以上
・東ソーが塩酸を2月21日出荷分より値上げ
値上げ幅は、8円/kg以上
・ミヨシ油脂が油脂加工製品を2月24日出荷分より値上げ
値上げ幅は、40円/kg以上