2023.02.24 発行
◆ゴム製品:横浜ゴムがインドの乗用車用タイヤの生産能力を年産450万本へ拡大(2月17日)
◆電池材料:稲畑産業と東洋インキSCホールディングスが米国におけるリチウムイオン電池関連材料新会社を設立
(2月16日)
◆複合材料:東レがCFRP製モビリティ部材の高速一体成形技術を開発(2月16日)
◆セルロース:旭化成が水島製造所に結晶セルロース「セオラス」の第2工場を竣工(2月15日)
◆リサイクル:RePEaTが浙江建信佳人新材料とのポリエステルのケミカルリサイクル技術に関するライセンス契約を締結
(2月15日)
◆脂肪酸:新日本理化がステアリン酸の生産停止を発表(2月15日)
◆CO2対策:住友化学、丸善石油化学、三井化学が京葉臨海コンビナートにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた連携の
検討を開始(2月13日)
◆電子材料:東京応化工業が台湾の連結子会社の製造拠点の一つである苗栗工場を譲渡(2月13日)
◆リサイクル:JX金属と双日がカナダ最大手の家電・電子機器リサイクル事業での協業に合意(2月13日)
◆価格改定
・東亞合成が塩酸(塩酸、白塩酸、合成純塩酸)を3 月 1 日出荷分より値上げ
・東レと東レフィルム加工が全フィルム製品および加工品を3月1日出荷分より値上げ
・ニチバンが各種粘着テープを3月1日より値上げ
◆ゴム製品:横浜ゴムがインドの乗用車用タイヤの生産能力を年産450万本へ拡大(2月17日)
横浜ゴムは、拡大するインド市場の需要に応えるため、インドでの乗用車用タイヤの生産能力を増強すると発表した。
今回、8,200万米ドルの追加投資により、インド東部のヴィシャカパトナム工場の敷地内に新たに乗用車用タイヤの生産ラインを増設する。これにより、インドの乗用車用タイヤ生産販売会社であるYokohama India(以下、YIN)と合わせて乗用車用タイヤの生産能力を現在の年産280万本から450万本に引き上げる。
YINは2007年に設立され、操業開始時の年産70万本を2019年に153万本、2021年に196万本まで増強してきた。今回、280万本に引き上げる拡張工事が完了し、2023年1月より生産を開始している。今回増強が決定した生産ラインは、2024年第4四半期からの生産開始の予定としている。
◆電池材料:稲畑産業と東洋インキSCホールディングスが米国におけるリチウムイオン電池関連材料新会社を設立(2月16日)
稲畑産業と東洋インキSCホールディングスは、リチウムイオン電池正極材用導電カーボンナノチューブ(CNT)分散体の東洋インキグループの北米第2拠点となるライオケム・イー・マテリアルズ合同会社(以下、新会社)を2023年1月に設立したことを発表した。
米国では、2030年までに国内で販売する新車の50%以上を電動車や燃料自動車とする大統領令が2021年8月に発令された。モビリティのゼロエミッション化が加速する中で、EV工場および車載用電池工場の大型投資計画が相次いで発表されており、2030年には、米国での車載用電池の生産量は容量ベースで22年時点の8倍超まで伸長すると予測されている。
新会社の事業開始は2025年を予定し、同社への出資を通じて、米国におけるCNT分散体などリチウムイオン電池関連材料の販売拡大を目指すとしている。
◆複合材料:東レがCFRP製モビリティ部材の高速一体成形技術を開発(2月16日)
東レは、軽量な炭素繊維多孔質材料「以下、CFRF」をコア材とし、力学特性に優れる熱硬化性プリプレグをスキン材としたサンドイッチ構造体を有する炭素繊維複合材料(以下、CFRP)製モビリティ部材の高速一体成形技術を開発したと発表した。
同社が開発した高速一体成形技術は、コア材となるCFRFとスキン材となる熱硬化性プリプレグとを、同一金型内で同時に形状賦形、熱硬化成形、接着できるため、ワンショットのプレスで大型パネルの成形を可能とする。また、CFRFは、従来のコア材よりも強度、弾性率、耐衝撃性に優れ、低比重(0.2~0.4)であるため、サンドイッチ構造体の高性能化と軽量化を実現する。
今後同社は、軽量素材の価値を最大化できるUAM(アーバンエアモビリティ) やドローンなどのニューモビリティに代表される新領域への展開も目指すとしている。
◆セルロース:旭化成が水島製造所に結晶セルロース「セオラス」の第2工場を竣工(2月15日)
旭化成は、結晶セルロース「セオラス」の供給能力を拡大するために建設を進めていた、第2工場が2023年1月に竣工したと発表した。
錠剤の賦形剤向け結晶セルロース「セオラス」は、主用途である医薬品錠剤向けに需要が国内外で堅調に拡大しており、中でも同社独自の高機能グレードである『KGグレード』『UFグレード』が大きく伸長している。そのため、供給能力の大幅な拡充および生産拠点複数化による安定供給力の向上を実現すべく、岡山県の水島製造所内に約130億円を投資して第2工場を建設した。
第2工場では、安定稼働に向けた試運転の後、本年4月を目途に、各グレードの生産を順次開始していき、国内外の製薬会社、健康食品製造会社などに販売していくとしている。
◆リサイクル:RePEaTが浙江建信佳人新材料とのポリエステルのケミカルリサイクル技術に関するライセンス契約を締結(2月15日)
RePEaTは、浙江建信佳人新材料(以下:建信佳人)とポリエステル(PET)製品のケミカルリサイクル技術に関するライセンス契約を締結したと発表した。
RePEaTは、帝人、日揮ホールディングス、伊藤忠商事の3社が共同で2023年1月に設立した合弁事業会社で、ポリエステル製品のケミカルリサイクル事業の展開に求められるノウハウや、生産設備の設計や運転といった技術に関するライセンス提供事業を展開している。
一方、建信佳人は、中国で鉄鋼、繊維、建築材料、飲料などの事業を展開している精工集団のグループ会社であり、同じく精工集団のグループ会社である浙江佳人新材料(以下、佳人新材料)はケミカルリサイクル工場の運転ノウハウを有している。
RePEaTは、自社が有するDMT法と呼ばれる再生ポリエステルの製造技術を効率化・パッケージ化したリサイクル技術を建信佳人に提供する。また、建信佳人は、2024年内に浙江省紹興市においてポリエステル製品のリサイクル工場を新設する予定としている。
◆脂肪酸:新日本理化がステアリン酸の生産停止を発表(2月15日)
新日本理化は、2023年6月末を目処として、同社子会社の日新理化におけるステアリン酸の生産を停止すると発表した。
同社グループは1979年以来ステアリン酸の生産を続けてきたが、世界的なカーボンニュートラルの流れからSAF燃料用途での動物系油脂の使用が急拡大し、原料調達が困難な状況が続いている。また、設備面においても、老朽化による修繕および保守費が増加するなか、合理化によるコスト削減など競争力の維持・強化に努めてきたが、昨今の厳しい環境下において安定的な生産を継続することが難しい状況にある。
同社では、このような状況下、生産停止を決定したとしている。
◆CO2対策:住友化学、丸善石油化学、三井化学が京葉臨海コンビナートにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた連携の検討を開始(2月13日)
住友化学、丸善石油化学、三井化学は、共同で千葉県の京葉臨海コンビナート内においけるカーボンニュートラルの実現に向けた検討を進めるための覚書を締結したことを発表した。
化学産業は多くの化石資源やエネルギーを使用するため、政府が掲げる2050年カーボンニュートラル達成のためにも、果たすべき役割は大きいと認識している。具体的には、製造時のGHG排出抑制のためにカーボンフリー燃料に転換することや、石油由来のナフサからの原料転換に向けた炭素資源循環技術の開発・実装などが求められている。
京葉臨海コンビナートに拠点を有する3社では、例えば、原料の多様化に向けて、石油資源に代わるバイオマスの活用や、新規ケミカルリサイクルおよびマテリアルリサイクルのプロセス開発・実装を目指すとともに、バイオマス原料の確保や廃棄物の回収に関する検討を進める。また、ナフサ分解炉などの製造設備の燃料転換およびそれに付随するインフラの整備に関する検討も行う予定としている。
◆電子材料:東京応化工業が台湾の連結子会社の製造拠点の一つである苗栗工場を譲渡(2月13日)
東京応化工業は、台湾の連結子会社である台湾東應化(TTW)の製造拠点の一つである苗栗工場を、長春グループ(台湾)の長春石油化學(CCPC)へ譲渡することを決定したと発表した。
同社は1998年にCCPCとの合弁によりTTWを設立し、TTWでは台湾地域において半導体用フォトレジストおよび、半導体、フラットパネルディスプレイ、パッケージモジュール製造用フォトリソグラフィ関連高純度化学薬品の製造・販売等を行っている。同譲渡が行われる苗栗工場ではシンナーおよび現像液を製造している。
TTWでは、台湾半導体市場における需要の拡大を受け、更なる生産能力の増強と販売・顧客サポート体制の強化を模索しており、その結果、台湾地域におけるシンナーおよび現像液の製造はCCPCが行い、TTWは同製品群の品質管理、販売、顧客サポート等を行うことが、同地域におけるシンナーおよび現像液ビジネスのサプライチェーンの最適化に繋がると判断し、本譲渡に至った。譲渡日は2023 年3月の予定としている。
◆リサイクル:JX金属と双日がカナダ最大手の家電・電子機器リサイクル事業での協業に合意(2月13日)
JX金属と双日は、カナダ最大手のE-waste(廃家電・廃電子機器)回収・処理事業者であり、JX金属が全株式を所有しているeCycle Solutions(以下、eCycle)株式の34%を双日が取得し、出資参画することについて合意したことを発表した。
eCycle社は、E-wasteを適切な処理により分別し、リサイクル原料として販売している。また、今後ますます成長が期待されるITAD(IT Asset Disposition)事業も手掛けており、幅広く資源の有効活用を進めている。
両社が協業することで、eCycle社の企業価値の向上を図るとともに、家電・電子機器のリユース・リサイクルによる金属・資源循環事業の構築を進めることで、循環型社会の実現に貢献していくとしている。
◆価格改定
・東亞合成が塩酸(塩酸、白塩酸、合成純塩酸)を3 月 1 日出荷分より値上げ
値上げ幅は、6円/kg以上
・東レと東レフィルム加工が全フィルム製品および加工品を3月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、10~20%
・ニチバンが各種粘着テープを3月1日より値上げ
値上げ幅は、5~15%