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2023年2月9日号

2023.02.09 発行

HEADLINE

◆電子材料:日本曹達が半導体フォトレジスト材料の生産能力を増強(2月3日)
◆バイオマス:日本製紙、住友商事、GEIがセルロース系バイオエタノール商用生産およびバイオケミカル製品への展開に向け協業(2月3日)
◆樹脂:三菱ケミカルグループがポリビニルアルコール樹脂特殊銘柄の生産能力を増強(2月2日)
◆医薬品:旭化成メディカルが米国子会社のバイオ医薬品CDMOの能力増強を決定(2月2日)
◆バイオマス:出光興産と東レが国内初となるバイオマスABS樹脂のサプライチェーンを構築(2月2月)
◆炭素:ATNグラファイト・テクノロジーが新工場の本格稼働を開始(2月1日)
◆炭素繊維:東レが炭素繊維複合材料部材の高速熱溶着技術を開発(2月1日)
◆潤滑油:三洋化成工業が生分解性潤滑油基剤の開発を発表(2月1日)
◆樹脂:長瀬産業が高バイオマス度の高吸水性ポリマーの開発に成功(2月1日)
◆研究開発:ライオンが上海市(中国)に研究開発子会社を設立(1月31日)
◆研究開発:東洋合成が千葉工場に開発分析棟を新設(1月31日)
◆バイオマス:帝人がバイオマスポリカーボネート樹脂の生産・販売を開始(1月30日)
◆CO2分離:UBEがガス分離膜の製造設備の増設を発表(1月30日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・信越ポリマーが業務用・営業用ラップ他関連商品を2月21日出荷分より値上げ
・デンカがカーバイドを4月1日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:日本曹達が半導体フォトレジスト材料の生産能力を増強(2月3日)
 日本曹達は、半導体フォトレジスト材料「VP ポリマー」の生産能力の増強を決定したことを発表した。
 VP ポリマー(ポリパラヒドロキシスチレン)は、半導体用のKrFフォトレジスト材料として使用されている。通信技術などの進化に伴い3D-NANDフラッシュメモリの生産量が増加し、また車載用・産業用半導体の需要が中期的に拡大傾向にあることから、フォトレジストメーカー各社はKrFフォトレジストの増産体制の構築を検討しており、同ポリマーの供給体制の拡充が求められている。
 今回の投資金額は25億円であり、生産能力は現状の2倍に増強される。完成時期は2024年度下期の予定としている。

◆バイオマス:日本製紙、住友商事、GEIがセルロース系バイオエタノール商用生産およびバイオケミカル製品への展開に向け協業(2月3日)
 日本製紙、住友商事、Green Earth Institute(GEI)は、「木質バイオマスを原料とする国内初のセルロース系バイオエタノール商用生産およびバイオケミカル製品への展開」に向けた3社による共同検討を開始すると発表した。
 3社は日本製紙の工場内で、年産数万キロリットルの国産材由来のバイオエタノールを2027年度に製造開始することを目指す。製造されるバイオエタノールは、主に国産SAFなどの原料としての利用を前提とし、バイオエタノール製造で副次的に生成されるカーボンニュートラル由来CO2を用いたCCUや発酵プロセスの残渣の有効活用など、カーボンリサイクルの取組みも同時に検討していくとしている。

◆樹脂:三菱ケミカルグループがポリビニルアルコール樹脂特殊銘柄の生産能力を増強(2月2日)
 三菱ケミカルグループは、ポリビニルアルコール樹脂(以下、PVOH樹脂)の特殊銘柄である「ゴーセネックス」および「ニチゴーGポリマー」について、岡山事業所に新たなプラントを建設し、生産能力を増強することを決定したと発表した。
 ゴーセネックスは、感熱記録紙の表面加工や乳化剤、半導体用のシリコンウエハーの加工材料などに使用されている。またニチゴーGポリマーは、食品包装材のガスバリア層に使用することで食品の風味や品質を長持ちさせ、食品廃棄物の削減に貢献することから、欧州を中心に採用が拡大している。
 三菱ケミカルグループは現在、これらのPVOH樹脂特殊銘柄を熊本工場で生産しているが、需要拡大を受けた安定供給体制の構築や製造設備の老朽化を背景に、岡山事業所にプラントを新設し、生産能力を現行の約2倍に増強する。稼働時期は2024年10月の予定としている。

◆医薬品:旭化成メディカルが米国子会社のバイオ医薬品CDMOの能力増強を決定(2月2日)
 旭化成メディカルは、子会社であるバイオ医薬品CDMOのBionova Scientific  社(本社:米国)において、製造プロセス開発およびGMP製造能力を増強する決定をしたことを発表した。
 Bionova社は、製薬企業に対して製造プロセス開発受託、製造受託サービスを提供している。同社が強みとする、製造が困難かつ複雑な抗体薬物複合体(ADC)や二重特異性抗体をはじめとした次世代抗体医薬品のプロセス開発は、顧客から高く評価されており、抗体医薬品の製造プロセス開発およびGMP製造の依頼は増え続けている。
 本増強によりGMP製造能力は約4倍になるとしている。

◆バイオマス:出光興産と東レが国内初となるバイオマスABS樹脂のサプライチェーンを構築(2月2月)
 出光興産と東レは、バイオマスナフサを原料としたバイオマスプラスチックのサプライチェーンを構築し、バイオマスナフサ由来のスチレンモノマー(以下、バイオマスSM)の製造ならびにバイオマスSMを原料としたアクリロニトリルブタジエンスチレン(以下、バイオマスABS樹脂)を製造することに合意したと発表した。
 バイオマスナフサは、植物由来の原材料などから製造されているため、石油由来のナフサと比べてCO2排出量を抑制することが可能である。
 SMメーカーである出光興産が、マスバランス方式にてバイオマスSMを製造し、プラスチックメーカーである東レが、そのバイオマスSMを原料として、東レ千葉工場においてバイオマスABS樹脂を製造する。製造開始は2023年10月を予定しており、日本国内でのバイオマスABS樹脂製造は初めての事例である。
 今後、両社はバイオマスプラスチックのサプライチェーン構築により、カーボンニュートラル・循環型社会へのマテリアルトランジションを目指すとしている。

◆炭素:ATNグラファイト・テクノロジーが新工場の本格稼働を開始(2月1日)
 エア・ウォーターと東洋炭素、南海化学の合弁会社であるATNグラファイト・テクノロジー(以下、ATN)は、2月1日より新工場の本格稼働を開始したと発表した。
 ATNは、熱膨張性黒鉛(以下、TEG)を国内で唯一製造販売している。TEGは、鱗片状黒鉛に特許技術を用いて層間化合物処理を施し、熱による膨張特性を与えた特殊黒鉛製品である。加熱によって容積が膨張する特性を有することから、様々な形状に圧縮成型することが容易で熱や腐食に強く、高い気密性も保てる素材として、自動車用エンジンのガスケットや化学プラントのパッキンなどのシール部品材料として使用される。また、膨張前のTEGをゴムや樹脂等の可燃性物質に混合すると、火災時に膨張することで断熱層を形成し、燃焼が広がるのを抑制する効果があることから、断熱材などの建築材料や飛行機のシート材料向けの難燃剤としても使用されている。
 新工場の製造能力は約1,300トン/年としている。

◆炭素繊維:東レが炭素繊維複合材料部材の高速熱溶着技術を開発(2月1日)
 東レは、CFRP製の航空機部材を熱溶着により高速で接合する技術を開発したと発表した。
 今回東レが開発した、航空機向け熱硬化性CFRP部材を溶接のように高速かつ高強度で接合する熱溶着技術は、熱硬化性CFRPの表面に熱溶着層を形成させる技術を応用し、部材表面を瞬間的に加熱して接着する簡易な接合方法である。この技術により、接着接合とボルトファスナー締結工程不要で熱硬化性CFRPの部材同士、さらには熱硬化性と熱可塑性のCFRP部材の高速組立が可能となる。
 本技術を適用したCFRP製機体はアルミ合金製機体対比でライフサイクル全体のCO2排出量削減に貢献し、ボルトファスナーの重量削減による機体の軽量化およびさらなるCO2排出量削減も見込める。東レは、2030年以降の機体実用化に向けて実証を進めるとともに、CFRPのさらなる適用拡大を推進するとしている。

◆潤滑油:三洋化成工業が生分解性潤滑油基剤の開発を発表(2月1日)
 三洋化成工業は、生分解性、潤滑性に優れる水溶性ポリアルキレングリコール系潤滑油基剤『エクセビオール』を開発したと発表した。
 近年、潤滑油には地球環境問題の関心の高まりとともに、潤滑性能だけでなく環境性能が求められるようになっている。
 『エクセビオール』は生分解性を有しているため、自然環境に漏洩した場合でも環境にやさしい潤滑油が作れる。水溶性が高く油膜を作らないため、自然環境に漏洩した場合にも油膜による河川、海洋汚染や草木などへの周辺汚染がない。また、ユーザーニーズに応じて粘度特性をカスタマイズすることが可能なため、様々な用途における潤滑油基剤として有用である。
 同社は今後、風力発電機などの海洋エネルギー関連やスクリュー等船舶の動力源、農機、建機など、屋外で使用される用途を中心に用途開拓を進めるとしている。

◆樹脂:長瀬産業が高バイオマス度の高吸水性ポリマーの開発に成功(2月1日)
 長瀬産業は、ナガセケムテックス、林原と共に、従来品と同等以上の吸水性能を有しながら、バイオ由来原料の比率を高めた高バイオマス度の高吸水性ポリマー(SAP)の共同開発に成功したと発表した。
 SAPは高い吸水性能を有する高分子材料で、衛生用品、農業、緑化分野や化粧品など幅広い分野で使用されている。従来品はポリアクリル酸系のSAPが主流であり、石油由来かつ非生分解性のため環境負荷が大きいという課題がある。これに対して、環境負荷の少ない天然高分子の澱粉やセルロースなどの多糖類を主原料としたSAPの研究開発が行われてきたが、十分な吸水性能が得られず、最終製品としての活用は難しいとされていた。
 今回、NAGASEグループは、澱粉を主原料としながらも、SAPとしての吸水性能を最大限に引き出すことに成功した。2025年度以降の上市を目指し、今後は量産技術の確立と生産体制の構築を進めていく。ナガセケムテックスが製造を手掛け、長瀬産業が国内外に向けて販売する予定としている。

◆研究開発:ライオンが上海市(中国)に研究開発子会社を設立(1月31日)
 ライオンは、上海市(中国)に100%出資の研究開発子会社に設立することを発表した。
 同社では、2030年に向けて重要となる海外事業の拡大では、最重要市場である中国をはじめ、既存進出国・地域における事業の強化を進め、アジアでのプレゼンス拡大を目指している。
 今回、中国における同社グループの製品開発力および製品開発スピードの向上を目的として研究開発子会社を設立した。新会社の資本金は250万米ドル(約3.3億円)、設立は2023 年5月の予定としている。

◆研究開発:東洋合成が千葉工場に開発分析棟を新設(1月31日)
 東洋合成は、取締役会において、千葉工場内への開発分析棟の建設を決議したことを発表した。
 今後の持続可能な社会の実現に向けて、電子デバイスや半導体が未来の社会インフラを担うと期待されている。特に半導体分野では、より高性能な電子デバイスの実現に向け多くの機能性材料の供給拡大が望まれている。
 同社では機能性材料の安定供給拡大のため、感光材製造設備の増設について公表している。今回、公表の開発分析棟の建設は、需要の拡大と難易度が増す研究開発体制の強化、ならびに最先端品質を満たす分析体制の強化を図るためのものである。
 投資金額は約30億円で、工事期間は2023年4月から2024年4月の予定としている。

◆バイオマス:帝人がバイオマスポリカーボネート樹脂の生産・販売を開始(1月30日)
 帝人は、石油由来の原料を用いた従来のポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂)に加えて、バイオマスナフサを使用したビスフェノールA(以下、バイオマスBPA)を用いて、マスバランス方式によるバイオマスPC樹脂の生産と販売を開始したことを発表した。
 今回販売を開始したバイオマスPC樹脂は、使用原料であるバイオマスBPAが従来の石油由来のBPAと同等の物性であることから、石油由来のPC樹脂と同等の物性を有するため、従来品から容易に切り替えることができる。なお、帝人はPC樹脂に関して国内企業として初めて、持続可能な製品の国際認証のひとつであるISCC PLUS認証を取得した。
 今後、同社では環境配慮型の樹脂製品のさらなるラインアップ拡充に向けて、新製品の開発を進めるとしている。

◆CO2分離:UBEがガス分離膜の製造設備の増設を発表(1月30日)
 UBEは、CO2分離膜を中心とする需要の急増に対応するため、宇部ケミカル工場内のガス分離膜用ポリイミド中空糸製造設備および堺工場内のガス分離膜モジュール製造設備の増設を決定したことを発表した。
 UBEの分離膜は、ポリイミド製で高耐久性に強みを持ち、中空糸を宇部ケミカル工場で、モジュールを宇部ケミカル工場および堺工場で製造している。
 近年では、バイオガスから二酸化炭素等を除去し、燃料となるバイオメタンを抽出するCO2分離膜の需要が欧州・北米を中心に急速に高まっており、今後も世界的な市場拡大が続くと見込まれることから、増設および既存設備の能力向上により生産体制を強化する。
 いずれも2025年度上期に稼働予定で、生産能力は現行比で約1.8倍になるとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 2月契約価格は、980$/t(前月比+115$/t)
 国内価格換算想定値は133.6円/kg
・信越ポリマーが業務用・営業用ラップ他関連商品を2月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
・デンカがカーバイドを4月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、65,000円/トン以上

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