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2023年4月27日号

2023.04.27 発行

HEADLINE

◆ガラス:日本板硝子が英国でフロート板ガラスと型板ガラス共用の溶融窯への投資を決定(4月21日)
◆潤滑油:ENEOSが省エネルギー型バイオマス潤滑油・グリースの販売を開始(4月21日)
◆リサイクル:出光興産が使用済みプラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクル商業生産設備への投資を決定、合弁会社
 を設立(4月20日)
◆コンパウンド:カネカのグループ会社が自動車内装表皮材用の高機能性塩化ビニルパウダースラッシュコンパウンドを開発
 (4月20日)
◆セルロース:日本製紙が可搬・可調整式製造機によるミクロフィブリル化セルロース(MFC)を開発、サンプル提供を開始
 (4月20日)
◆CO2対策:積水化学工業と東海カーボンがCCUSの実用化に向けてパートナーシップを締結(4月20日)
◆複合材:住友ベークライトがリサイクル炭素繊維を用いた抄造複合材を開発(4月20日)
◆バイオマス:住友ベークライトがバイオマス原料を活用した環境対応フェノール樹脂成形材料を開発(4月19日)
◆メディカル:三洋化成工業が医薬品用ポリエチレングリコールの生産能力を増強(4月19日)
◆電子材料:エア・ウォーター・メカトロニクスが半導体製造プロセス用ガス精製装置の新棟工場が稼働(4月18日)
◆バイオマス:東レがDM三井製糖と共同で非可食バイオマスを用いた糖製造技術の実証に成功(4月17日)
◆価格改定
・DICグラフィックスがグラビア・フレキソインキ、接着剤、製缶用塗料、金属インキを5月1日出荷分より値上げ
・東洋紡が包装用フィルム製品を5月1日出荷分より値上げ
 (2022年10月13日付で発表した価格改定に関して改定幅を変更)

WEEKLY NEWS

◆ガラス:日本板硝子が英国でフロート板ガラスと型板ガラス共用の溶融窯への投資を決定(4月21日)
 日本板硝子は、英国内グループ企業であるPilkington United Kingdom社において、同社ワトソンストリート事業所内工場で稼働中の型板ガラス生産設備を、同社・同国内のグリーンゲート事業所内工場に移設し、型板ガラスとフロート板ガラスを単一の溶融窯で生産する設備投資の決定を発表した。
 ワトソンストリート事業所は約200年間にわたって操業を続けてきたが、本移設後は同事業所を閉鎖し、従業員はすべてグリーンゲート事業所に移る。また、英国における型板ガラス生産ラインを維持しながら、従来の2つの窯から1つの窯に集約してガラスを生産することにより、CO2の排出削減が可能となる。
 工事は2023年8月より開始し、新規生産ラインは2024年8月までに稼働する予定としている。

◆潤滑油:ENEOSが省エネルギー型バイオマス潤滑油・グリースの販売を開始(4月21日)
 ENEOSは、植物由来の原料を使用したカーボンニュートラル社会の実現に貢献する潤滑油・グリース商品を「ENEOS GXシリーズ」として新たにシリーズ化し、5月より省エネルギー型バイオマス油圧作動油「GXハイランドSE32」と、省エネルギー型バイオマスグリース「GXグリースMP2」の販売を開始すると発表した。
 ENEOSはこれまでに、サトウキビや大豆を原料とする植物由来のベースオイルを使用した潤滑油・グリースの開発に成功している。今回、原料調達や製造に関する検討が完了したことから、商品の販売を開始する。
 今回新たに販売を開始する商品は、炭素と水素のみで構成される植物由来のベースオイルを100%使用しており、商品ライフサイクルにおける原料調達から製品出荷までのCO2排出量を削減している。
 今後は市場のニーズに応じて、自動車用潤滑油や工業用潤滑油、グリースなど、ENEOS GXシリーズのラインアップを拡充していくとしている。

◆リサイクル:出光興産が使用済みプラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクル商業生産設備への投資を決定、合弁会社
を設立(4月20日)
 出光興産は、同社千葉事業所隣接エリアにおける使用済みプラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクル商業生産設備(使用済みプラスチック処理能力:2万t/年)への投資を決定し、共同で油化装置の技術確立に取り組んできた環境エネルギーと、使用済みプラスチックを原料とした生成油の生産を行う合弁会社「ケミカルリサイクル・ジャパン」を2023年4月に設立すると発表した。
 同事業では、回収した使用済みプラスチックから、ケミカルリサイクル・ジャパンが独自技術を用いて生成油を生産し、原油に替わる原料として、出光興産の石油精製装置および石油化学装置にて精製・分解・重合して「リニューアブル化学品」を生産する。最終的にはこのリニューアブル化学品を原料として、新たなプラスチック製品がプラスチック製品製造会社などで生産される。
 商業運転は2025年度を目指し、当事業モデルの確立後は、国内各地の同社グループ製油所・事業所へ油化装置の設置を行い、全国の使用済みプラスチックを対象としたより大規模な事業展開を進めるとしている。

◆コンパウンド:カネカのグループ会社が自動車内装表皮材用の高機能性塩化ビニルパウダースラッシュコンパウンドを開発
(4月20日)
 カネカのグループ会社である龍田化学は、自動車内装表皮材用の高機能性塩化ビニルパウダースラッシュコンパウンド(以下、PSC)を開発したと発表した。
 2022年度より国内自動車メーカーに採用され、本格的に量産販売を開始した。今回採用されたPSCは、加熱された金型に粉体の樹脂を付着させるパウダースラッシュ工法で成形されており、ソフトで滑らかな触感を実現しつつ、既存のウレタン系表皮材に相当する耐熱性を有している。また、塩化ビニルは省資源な素材であることに加え、リサイクルに適した性質を持ちCO2の低排出につながる。
 今後、高級内装材を使用する自動車メーカーのニーズを捉え、グローバル市場へPSC事業を拡大し、自動車業界全体のCO2排出抑制、資源再利用を促進していくとしている。

◆セルロース:日本製紙が可搬・可調整式製造機によるミクロフィブリル化セルロース(MFC)を開発、サンプル提供を開始
(4月20日)
 日本製紙は、可搬・可調整式製造機による、繊維幅がナノ~マイクロオーダーにカスタマイズ可能なセルロース繊維、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を開発し、サンプル提供を開始すると発表した。
 MFCは、日本製紙のセルロースナノファイバーの原料であるTEMPO酸化パルプ、または低置換度カルボキシメチルセルロースを原料とし、解繊方法や解繊程度を自由に変更・設定可能であることが特長である。粘度や透明度、保水度、ゲル感等を各用途に合わせて製造可能であるため、現在販売中のCNFと同様に、様々な各種工業用配合材、食品・化粧品添加剤へ使用できる可能性があり、大量製造・大量使用にも適しているため、農業分野や土木分野における噴霧用資材等への適応が期待される。
 日本製紙は、本MFCのサンプルを富士工場(静岡県富士市)で2種類の可搬・可調整式製造機によって製造していく予定であり、将来的に本可搬・可調整式製造機の貸し出しや販売も視野に入れていくとしている。

◆CO2対策:積水化学工業と東海カーボンがCCUSの実用化に向けてパートナーシップを締結(4月20日)
 積水化学工業と東海カーボンは、二酸化炭素を一酸化炭素(CO)へ高効率で変換する技術(以下「ケミカルルーピング反応技術」)によって生成されたCOを用いた、各種炭素素材・製品の製造技術(以下「CCU」)及びCO2を固体炭素として回収・貯留する技術(以下「CCS」)の実用化を目指し、パートナーシップを締結したと発表した。
 両社はケミカルルーピング反応技術により炭素製造に由来する排ガス中のCO2を一度COへ変換し、そのCOを炭素へさらに変換して炭素製品を製造するCCU技術と、CO2を直接貯蔵するのではなく、固体炭素として貯蔵するCCS技術の実現を目指す。
 今後、両社はパートナーシップにおいて環境負荷の優位性や経済性が認められれば、パイロットプロジェクトを進め、2030年を目途に商用化を目指すとしている。

◆複合材:住友ベークライトがリサイクル炭素繊維を用いた抄造複合材を開発(4月20日)
 住友ベークライトは、リサイクル炭素繊維を、紙漉き(抄造)技術により再シート化し、サーキュラーエコノミーに貢献する抄造複合材料を開発したと発表した。
 炭素繊維を用いたプリプレグ(CFRP)は、使用する炭素繊維が製造時に多くのエネルギーを使用することから、カーボンニュートラルの観点からは課題もあり、その再利用に関する技術が必須となりつつある。
 今回、同社の独自の抄造技術と処方技術ならびに複合化技術により、リサイクル炭素繊維を用いた抄造シートを開発し、これを複合化することで、プリプレグの層間剥離強度や衝撃吸収の向上などを発現など見出した。これにより、リサイクル炭素の新たな活用の可能性を示し、環境負荷低減に貢献する。また、熱硬化性樹脂製品(パネル、熱硬化成形材料など)と複合成形することで、ハニカムサンドイッチパネルの強度向上や熱硬化樹脂成形材料の衝撃吸収向上など、新たな価値を提案する。
 同社は将来的にこの抄造シートを販売することで1億円の売り上げを見込んでいるとしている。

◆バイオマス:住友ベークライトがバイオマス原料を活用した環境対応フェノール樹脂成形材料を開発(4月19日)
 住友ベークライトは、植物の主要成分の一つであるリグニンを活用した「リグニン変性ノボラック型フェノール樹脂」やバイオマス原料(セルロース系)をフィラーとして活用した環境対応フェノール樹脂成形材料をラインナップしたと発表した。
 一般的にバイオマス由来のフィラーを配合すると機械的特性の低下や寸法変化の増大などの欠点がある。同製品群では、バイオマス由来のフィラーの表面積を限定することで樹脂との密着性を向上させ、さらに高充填することによって、車載の機構部品、構造部品用途に適用可能となった。バイオマス度だけでなく、金属を代替することで軽量化にも寄与できる素材である。
 同製品群は、バイオマス度8~30%であり、ガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料と同等の特性を有し、かつ各種成形方式(圧縮成形、射出成形など)が可能となっている。販売開始は2023年の後半を予定しており、2030年に14億円/年の売上を目指すとしている。

◆メディカル:三洋化成工業が医薬品用ポリエチレングリコールの生産能力を増強(4月19日)
 三洋化成工業は、医薬品用ポリエチレングリコール「マクロゴール」について、今後の需要拡大に対応するため、生産能力を増強することを発表した。
 マクロゴールは、日本薬局方(局方)または医薬品添加物規格(薬添規)に収載された規格を満たす、医薬品・医薬品添加剤用のポリエチレングリコール(PEG)の総称である。
 同品単独では、製剤(腸管洗浄剤や便秘薬)、医薬品製造用薬剤(血漿分画用沈殿剤など)に用いられるほか、組織再生、細胞培養、ドラッグデリバリーシステムなどにおける修飾剤など、さまざまな用途展開も進んでいる。今後、ジェネリック医薬品の発展による医薬品全体の販売量増加や新規用途拡大に伴い、さらなる需要拡大が予想される。今回の生産能力の増強により、今後の需要増に対応した安定供給を確保し、旺盛な需要拡大に対応する。
 同社の名古屋工場における設備の更新および改造等により、生産能力を現在の約2割増強する。投資金額は約1億円で、2024年5月の稼働予定としている。

◆電子材料:エア・ウォーター・メカトロニクスが半導体製造プロセス用ガス精製装置の新棟工場が稼働(4月18日)
 エア・ウォーター・メカトロニクス(以下、AWメカトロニクス)は、半導体製造向けガス精製装置の増産と大型化に対応するため、平塚工場内に建設を進めていた新棟が完成し、稼働を開始したことを発表した。
 近年、全世界的に半導体工場の新設や拡張が計画され、同時に製造設備の大型化が進んでいる。同社では、こうした動きに対応できるガス精製装置の製作体制を構築するため、新棟を既存の工場敷地内に新設した。新棟の稼働により、大型ガス精製装置の内製化や納期短縮が可能となり、製作能力は現行比1.6倍となる。
 平塚工場では、大気圧プラズマ処理装置やドライアイススノー精密洗浄装置といったガスアプリケーション機器のデモやサンプルテストに対応したテクノロジーセンターも併設しており、今後は、移管された半導体製造に関連した各種機器装置の開発から製造、販売まで自社で一貫したソリューション提案ができる戦略拠点として活用していくとしている。

◆バイオマス:東レがDM三井製糖と共同で非可食バイオマスを用いた糖製造技術の実証に成功(4月17日)
 東レは、サトウキビの絞りかすおよび、キャッサバ芋の絞りかすなどのバイオマスを原料として、繊維や樹脂を製造する際に共通原料となる、非可食植物由来の糖を製造する技術をDM三井製糖と共同で実証し、基本技術を確立したと発表した。
 本取り組みにおいて東レは、非可食バイオマスに含まれるセルロース由来の糖を分離・精製・濃縮する技術をプロセス実証している。本技術を、東レが現在開発中の、糖からモノマーを製造する技術と組み合わせることで、バイオマスから繊維、樹脂、フィルム等に用いるバイオマスポリマーの製造を一貫して行うことが可能となる。
 また、東レは、非可食糖を原料として、ナイロン66の原料となる100%バイオアジピン酸を製造する技術を開発している。今回の成果は、その前段階となるバイオマスから非可食糖を製造する技術を確立し量産化に目処を得たことから農業残さを原料とした繊維や樹脂などの化学品の一貫製造技術の確立を目指す。
 今後は、タイの製糖企業やでんぷん製造企業などのバイオマス保有者と連携し、現在開発を進めている非可食糖からのアジピン酸製造技術のスケールアップを進める。また、非可食糖をグローバルに化学品企業に提供し、石油由来の化学品を、食糧と競合しない植物由来の製品に置き換えることで、循環型社会の実現に貢献するとしている。

◆価格改定
・DICグラフィックスがグラビア・フレキソインキ、接着剤、製缶用塗料、金属インキを5月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、グラビア・フレキソインキ(カラーインキ):50~100円/kg
 グラビア・フレキソインキ(メジューム・ニス):30~50円/kg
 接着剤(主剤):50~80円/kg、接着剤(硬化剤):50~100円/kg
 製缶用塗料:50~70円/kg、金属インキ:70~100円/kg
・東洋紡が包装用フィルム製品を5月1日出荷分より値上げ
 (2022年10月13日付で発表した価格改定に関して改定幅を変更)
 値上げ幅は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP):400円/連<20μm換算>(100円/連の追加)
 無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP):400円/連 <20μm換算>(100円/連の追加)
 リニアローデンシティ・ポリエチレンフィルム(LLDPE):400円/連<20μm換算>(100円/連の追加)
 ※( )内は変更後の改定幅。連:500m2

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