メールマガジン

2023年6月22日

2023.06.22 発行

HEADLINE

◆炭素:日鉄ケミカル&マテリアルがコールケミカル事業部鹿島製造所の休止を発表(6月16日)
◆電池材料:出光興産が豪州でリチウム事業を推進するDLI社へ出資(6月16日)
◆CO2:出光興産が日本コンクリート工業とCO2を再資源化した合成炭酸カルシウムの製造・販売に関するMOUを締結
 (6月15日)
◆バイオマス:BASFがアジア太平洋と北米でバイオベースのAPGの生産能力を拡大(6月15日)
◆フィルム:大日本印刷が高機能光学フィルムの広幅コーティング装置を新たに増設(6月13日)
◆CO2対策:ENEOS、JX石油開発、電源開発の3社共同案件がJOGMECの「先進的CCS事業の実施に係る調査」の候補に選定(6月13日)
◆価格改定
・三洋化成界面活性剤各種製品及びポリエチレングリコールを7月1日出荷分より値上げ
・クラレがクラレポリオールの一部銘柄(P-シリーズ、F-シリーズ、O-シリーズ)を7月1日出荷分より値上げ
・カネカが太陽電池製品を7月1日出荷分より値上げ
・日本ゼオンが合成ゴムを7月1日納入分より値上げ
・信越ポリマーが継手及び関連製品を7月21日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆炭素:日鉄ケミカル&マテリアルがコールケミカル事業部鹿島製造所の休止を発表(6月16日)
 日鉄ケミカル&マテリアルは、コールケミカル事業部鹿島製造所を2024年度末(2025年3月末)に休止することを発表した。
 同社の株主である日本製鉄が2021年3月に国内製鉄事業の最適生産体構築の一環として、2024年度末を目途に、東日本製鉄所鹿島地区の第3高炉、第2ABCDコークス炉、第3焼結機、第1製鋼工場を休止すると発表した。
 同社のコールケミカル事業は、日本製鉄から供給されるコールタールを原料として、電気炉用電極向けニードルコークス、半導体製造装置用特殊炭素材、日本製鉄向けコークス炉用粘結材等を製造販売しているが、日本製鉄の設備休止および今後想定されるコールタールの減少に伴い、同社が保有するコールタール蒸留能力が過剰となることから、最適生産体制を構築し、コスト競争力を強化することを目的に、同社コールケミカル事業部鹿島製造所を休止することとする。休止する設備のタール蒸留能力は18万t/年、売上高は約110億円である。
 同施策により、キノリン類、改質ロードタールは製造を中止し、ロードタール、クレオソート油、95%ナフタリン、タール酸類は九州製造所に製造を移管するとしている。

◆電池材料:出光興産が豪州でリチウム事業を推進するDLI社へ出資(6月16日)
 出光興産は、豪州でリチウム事業を推進するDelta Lithium Limited(以下、DLI社)へ出資したことを発表した。
 本年1月に実施した5百万豪ドルの初期の出資と合わせ、同社の出資額は合計で約53百万豪ドルとなり、株式保有比率は15%となる。
 電気自動車(EV)をはじめとしたモビリティの電動化や定置用大型蓄電池需要の拡大に伴うリチウムの需要増加に対応するため、同社はリチウム採鉱の知見を蓄積し、地政学的に安定した豪州でのリチウム鉱石の生産・供給安定化に貢献することを目指している。
 現在、同社とDLI社は協業に関する検討を進めており、鉱山の操業・マーケティング・資金調達・政府支援政策の獲得活動・鉱区取得活動・購買・精製精錬技術、さらには下流のリチウム化合物製錬事業への進出について、今後協議していく予定としている。

◆CO2:出光興産が日本コンクリート工業とCO2を再資源化した合成炭酸カルシウムの製造・販売に関するMOUを締結(6月15日)
 出光興産と日本コンクリート工業(以下、日コン)は、コンクリート廃棄物を利用したCO2再資源化技術により生成される合成炭酸カルシウム(以下、合成カル)の製造・販売事業に関して、両社で協力を進めることに基本合意したことを発表した。
 CO2を資源としてとらえ、再利用するカーボンリサイクルが世界的に推進される中、合成炭カルの製造は技術確立が比較的容易であることから、早期の社会実装が期待されている。今回、合成炭カルをアスファルト舗装等のフィラー(混和剤/微粉末充填剤)として使用できる目途がついたことから、両社でMOUを締結し、事業化に向けて(1)合成炭カル製造設備(製造能力700t/年のパイロットプラント)の建設と性能確認、(2)製造する合成炭カルの品質評価、(3)製造された合成炭カルを使ってのマーケティンについて共同で検討・実施する。
 同取り組みでは、原則として製品製造は日コン、製品の販売を出光が担当する予定である。順次、量産化へ向け装置を立ち上げていく構想で、2024年度内の商業化を目指すとしている。

◆バイオマス:BASFがアジア太平洋と北米でバイオベースのAPGの生産能力を拡大(6月15日)
 BASF(本社:ドイツ)が、タイと米国オハイオ州の2つの拠点で、アルキルポリグルコシド(APG)の生産能力をグローバル規模で拡大することを発表した。
 APGは、100%天然の再生可能な原料を使用したバイオベースで、容易に生分解される地球環境に優しい二次界面活性剤である。持続可能で優れた性能を持つだけでなく、非イオン性であるため他の界面活性剤との配合が可能なため、パーソナルケア、ホームケア、産業用・業務用洗浄剤、工業用添加剤や農業分野など、さまざまな用途で広く使用されている。
 BASFは現在、APGの生産をドイツのデュッセルドルフ、米国のオハイオ州、中国の金山で行っている。今回のアジアと北米の地域生産能力を拡大するための投資は、世界的な需要の高まりを契機としたもので、既存の施設を補完するものである。新生産ラインは2025年に稼動予定としている。

◆フィルム:大日本印刷が高機能光学フィルムの広幅コーティング装置を新たに増設(6月13日)
 大日本印刷(以下:DNP)は、大型化が進むテレビ向けの光学機能性フィルの製造に最適な最大2,500mm幅に対応可能なコーティング装置を新たにDNPの三原工場(広島県)に導入することを発表した。
 今回、2台目のラインとして2,500mm幅対応のコーティング装置を導入し、生産能力は面積ベースで従来と比較して15%以上向上する。これにより、65インチ(ヨコ1436.4mm×タテ809.0mm)の大型テレビ向けのフィルムの生産性を引き上げ、先行投資によって拡大が見込まれる大型ディスプレー向けの光学フィルムの需要に迅速に対応していく。
 DNPは、新たに増設した生産ラインによる量産を2025年度上期に開始する予定である。主に中国をはじめとする各国の偏光板メーカーにディスプレー向け光学機能性フィルムの提供を拡大し、2026年度で年間約1,100億円の売上を目指すとしている。

◆CO2対策:ENEOS、JX石油開発、電源開発の3社共同案件がJOGMECの「先進的CCS事業の実施に係る調査」の候補に選定(6月13日)
 ENEOS、JX石油開発、電源開発(以下、Jパワー)は、3社共同で提案した案件が、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)より令和5年度「先進的CCS事業の実施に係る調査」の候補として選定されたことを発表した。
 本調査では、2030年度またはそれ以前のCO2貯留開始を想定した先進的CCS事業の実施に係る調査として、CO2分離回収・輸送・貯留に関する設計業および貯留層評価等を行う。3社は、西日本地域でENEOSの製油所、Jパワーの火力発電所から排出されるCO2を分離回収・輸送・貯留するCCS事業を2030年度までに開始することを目指し、検討を進めている。
 本調査の正式採択後、3社は分離回収・輸送・貯留に関する設備の最適化によるコストダウン検討、具体的な設計作業を通したプロジェクトの計画精度向上、貯留層評価等を行う。本事業計画におけるCO2排出源は西日本地域のENEOS製油所、Jパワー火力発電所であり、貯留候補地は九州北部沖~西部沖(海域帯水層)、輸送方式は船舶及びパイプライン、貯留量は300万トン/年を計画している。

◆価格改定
・三洋化成界面活性剤各種製品及びポリエチレングリコールを7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、界面活性剤各種製品:40円/kg以上、ポリエチレングリコール:50円/kg以上
・クラレがクラレポリオールの一部銘柄(P-シリーズ、F-シリーズ、O-シリーズ)を7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、 国内向け:12円/kg、海外向け:0.10 US$/kg
・カネカが太陽電池製品を7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、20%
・日本ゼオンが合成ゴムを7月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、HNBR:40円/kg、ZSC:40円/kg、CM:ポリマー価格改定幅及び副資材の価格改定幅に従って改定
・信越ポリマーが継手及び関連製品を7月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上

TOPへ戻る