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2023年6月29日

2023.06.29 発行

HEADLINE

◆リサイクル:横浜ゴムが信州大学と劣化なくリサイクル可能な高分子微粒子から亀裂が進みにくいゴム材料を開発
(6月23日)
◆電池材料:三菱ケミカルグループがLIB用負極材事業の強化に向けL&F社(韓国)と協業検討を開始(6月23日)
◆電子材料:東京応化工業と東京工業大学が協働研究拠点を設立(6月23日)
◆リサイクル:三菱ケミカルグループ、凸版印刷、共栄社化学が共同で包装材料のマテリアルリサイクル生産プロセスの
実証試験を開始(6月22日)
◆3Dプリンター:日本製紙がCNF強化樹脂の 3Dプリンター用の途サンプル提供を開始(6月20日)
◆電池材料:出光興産が次世代電池(全固体電池)向け固体電解質の供給能力の増強を決定(6月19日)
◆ゴム製品:豊田合成と豊田中央研究所がゴム製品の生産工程の蒸気使用量を低減する技術を共同開発(6月19日)
◆価格改定
・堺化学工業が酸化チタンを8月1日納入分より値上げ
・堺化学工業が亜鉛製品を8月1日納入分より値上げ

WEEKLY NEWS

◆リサイクル:横浜ゴムが信州大学と劣化なくリサイクル可能な高分子微粒子から亀裂が進みにくいゴム材料を開発(6月23日)
 横浜ゴムは、信州大学学術研究院の研究グループと共同で、高分子微粒子を活用し有機溶剤や補強剤などの添加剤を使わずに、亀裂(クラック)に対して高い耐久性を有するゴム材料を開発したと発表した。
 同研究は、重合方法の一つミニエマルジョン重合法によって合成した高分子微粒子(以下、微粒子)およびその微粒子分散水溶液(以下、分散水溶液)を用い、分散水溶液から水を蒸発させて作製した微粒子フィルム(ゴム材料)を活用して実施した。この微粒子フィルムは超分子化合物のロタキサン分子を微粒子の内部に架橋剤として導入することで、その他の添加剤を一切使用せずに、切れ目から亀裂が広がりにくい性質を持たせることに成功した。また、この微粒子フィルムはゴム材料としての高い伸縮性も維持している。
 微粒子フィルムは、水とエタノールの混合溶媒に浸すだけで微粒子個々に分解することができる。その後、エタノールを蒸発させて元の微粒子と水から成る分散水溶液に戻すことができるため、同じ微粒子フィルムを簡単に劣化なく再生することを可能にするとしている。

◆電池材料:三菱ケミカルグループがLIB用負極材事業の強化に向けL&F社(韓国)と協業検討を開始(6月23日)
 三菱ケミカルグループは、世界的なリチウムイオン二次電池(LIB)用正極材ーカーである韓国L&F社と、米国FTA締結国におけるLIB用負極材のサプライチェーン強化などに向けた協業検討を実施する覚書を締結したと発表した。
 同社グループの天然系黒鉛を原料とした負極材は、製造工程でのGHG排出量が少ないなどの特性を有しており、加えて、電池寿命に影響する負極材の膨張挙動を抑制する独自技術を開発し、2024年の量産稼働を予定している。
 2022年に米国でインフレ抑制法(IRA)が成立したことで、自動車メーカーおよび電池セルメーカーが車載用途電池について、米IRAに準拠した製造や調達を進める動きが活発化している。
 同社グループはその需要に応えるため、LIB正極材メーカーとして実績のあるL&F社と協業することによる負極材のサプライチェーン強化の可能性を検討し、米国FTA締結国域内における具体的な協業内容や事業スキームについて検討するとしている。

◆電子材料:東京応化工業と東京工業大学が協働研究拠点を設立(6月23日)
 東京応化工業と東京工業大学は、協働研究拠点「東京応化工業 未来創造協働研究拠点」を東京工業大学オープンイノベーション機構の支援のもと設立したことを発表した。
 同拠点では、IT技術の進化に向けて提案されている光デバイス、半導体デバイスの高機能化、高性能化に関する材料やプロセス、QOL向上を目指した医療、診断に用いられる新技術、環境問題、特にカーボンニュートラルへの取り組みに貢献する高機能素材などの創造、研究・開発を進めるとともに、将来の先端研究、技術開発を担う人材育成にも努める。
 設置期間は、2023年6月~2027年3月で、東京応化工業の将来に必要とされる中長期研究課題に対して、個々の研究領域を横断するような、包括的な共同研究体制を基に基礎研究から新規事業テーマの発掘を目指すとしている。

◆リサイクル:三菱ケミカルグループ、凸版印刷、共栄社化学が共同で包装材料のマテリアルリサイクル生産プロセスの実証試験を開始(6月22日)
 三菱ケミカルグループ、凸版印刷、共栄社化学は、共同で包装材料の製造工場から排出される廃プラスチックの水平リサイクルを目的とするマテリアルリサイクル生産プロセスを共同開発する契約を2023年3月に締結しており、今回、生産実証プロセスの原理検証機の導入を含む、マテリアルリサイクルの生産プロセスの実証試験を開始したことを発表した。
 今回開発するマテリアルリサイクル技術は、プラスチック複合素材の包装材料を剥離・脱墨・分離し、素材別の樹脂として取り出すことが可能である。また分離して取り出された各々の樹脂は品質劣化が少ないため、リサイクル樹脂として洗剤やシャンプーなどのトイレタリー製品や食品の包装材に使用するフィルムの原料としての利用を検討している。
 今回の実証では、三菱ケミカルグループが原理検証機の設計と製造を、凸版印刷が廃プラスチックの供給と剥離・脱墨するための条件の調査を、共栄社化学が製品の開発と製造技術・同プロセスの確立と最適化を担当する。3社は、2027度の社会実装を目指すとしている。

◆3Dプリンター:日本製紙がCNF強化樹脂の 3Dプリンター用の途サンプル提供を開始(6月20日)
 日本製紙は、PBF(Powder Bed Fusion)方式の3Dプリンター用CNF強化樹脂を富士革新素材研究所の実証設備で開発し、サンプル提供を開始したことを発表した。
 今回開発した3Dプリンター用のCNF強化樹脂「cellenpia PLAS」は、CNF強化PA6をベースとしている。現行のガラスビーズ入りPA6に比べ、成型品が均一、軽量、リサイクル性が高いなどの特徴があるため、古い金型を廃棄した自動車部品、微調整が必要な各種補装具など、大量生産ではなくオーダーメイド的な成型品への利用が期待される。
 なお、同社では、CNF強化樹脂「cellenpia PLAS」を実証生産中でヤマハ発動機と連携して部品開発を行うとともに、各ユーザーへのサンプル提供を実施している。また、昨年11月よりCNF配合天然ゴムである「Cellenpia ELAS」のサンプル供給体制も整えており、本年4月より、可搬・可調整式製造機によるミクロフィブリル化セルロース(MFC)を開発、サンプル提供を開始している。さらにはTEMPO酸化CNFの粉体品であるTD-02Xをラインアップに追加することで、「セレンピアシリーズ」のさらなる拡販を目指すとしている。

◆電池材料:出光興産が次世代電池(全固体電池)向け固体電解質の供給能力の増強を決定(6月19日)
 出光興産は、全固体リチウムイオン二次電池(以下、全固体電池)の普及・拡大へ向け、固体電解質の小型実証設備第1プラントの生産能力を増強することを発表した。加えて本年7月より小型実証設備第2プラントの稼働も開始し、全固体電池の開発を進める自動車・電池メーカーなどへ、自社の固体電解質を供給していくことを併せて発表した。
 全固体電池は、主に電気自動車(EV)における航続距離拡大・充電時間の短縮・安全性向上が期待されている。出光興産は、全固体電池およびそれを搭載したEVの実用化に向け必要不可欠な固体電解質の性能の向上および量産技術の開発を加速させる。
 同社では、小型実証設備(第1プラント、第2プラント)で製造したサンプルを活用し、自動車・電池メーカー等のニーズを把握しながら開発を推進することで、迅速に適切な材料仕様を作り上げる。さらに、小型実証設備での実証を足掛かりに、次のステージとなる大型パイロット装置での量産技術の確立とその先の事業化へつなげる計画である。また、材料メーカーと共同開発にも取り組み、新しい高性能材料の開発も行うとしている。

◆ゴム製品:豊田合成と豊田中央研究所がゴム製品の生産工程の蒸気使用量を低減する技術を共同開発(6月19日)
 豊田合成と豊田中央研究所は、ゴム製品の生産工程におけるエネルギー使用量を低減する新技術を共同開発したことを発表した。
 ゴム製の自動車用ホースは、弾性を持たせるため、成形後に高温の蒸気で満たした大型の缶の中で加熱する。蒸気を所定の温度に加熱するためには大量の蒸気が使用され、蒸気を作り出すため、大量のガスを消費していた。
 豊田合成は、缶内の空気を蒸気に入れ替えるプロセスに着目し、缶内部の気流や熱分布を高い精度で解析できる豊田中央研究所のシミュレーション技術を活用し、入れ替え時に必要な蒸気量を従来から半減させる技術を開発した。
 今後は、国内外のゴム製品の生産工程への適用拡大を予定しており、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて取り組みを推進するとしている。

◆価格改定
・堺化学工業が酸化チタンを8月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、45円/kg以上
・堺化学工業が亜鉛製品を8月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、25円/kg以上

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