2023.07.27 発行
◆CO2関連:千代田化工建設が積水化学工業向けのCO₂→CO変換プラントの基本設計業務を受注(7月21日)
◆電子材料:東レが感光性ナノカーボン導電ペーストを開発(7月19日)
◆成型品:JSPの韓国グループ会社が新工場の稼働を開始(7月18日)
◆CO2関連:三菱ケミカルグループ、INPEX、Abu Dhabi Future Energy Company PJSC – Masdarがアラブ首長国連邦
アブダビにおけるカーボンリサイクルケミカル製造事業の共同調査に関する契約を締結(7月18日)
◆CO2関連:エア・ウォーターと東洋建設が工事現場や作業船から排出されるCO2の回収・利活用を想定した実証実験を実施
(7月18日)
◆バイオ関連:住友化学がギンコバイオワークスとバイオものづくりの連携を強化(7月18日)
◆CO2関連:JFEスチールが低炭素還元鉄のサプライチェーン確立に向けた協業体制を構築(7月18日)
◆CO2関連:千代田化工建設が積水化学工業向けのCO₂→CO変換プラントの基本設計業務を受注(7月21日)
千代田化工建設は、積水化学工業より、CO2→CO 変換プラント(バイオリアクター供給用前処理プロセス)基本設計業務を受注したと発表した。
本件は、二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)へ90%以上の高効率で変換する技術(以下、ケミカルルーピング反応技術)を用いたCO2処理プラントの基本設計業務であり、積水化学工業が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」に採択されて実施する「バイオものづくり技術による CO2 を原料とした高付加価値化学品の製品化」の研究開発に活用される。
同社は積水化学工業が開発する「ケミカルルーピング反応技術」について画期的なCO製造プロセスであると認識しており、積水化学工業が計画する本基本設計業務以降の社会実装に向けた各種展開についても積極的に協力する予定としている。
◆電子材料:東レが感光性ナノカーボン導電ペーストを開発(7月19日)
東レは、感光性導電材料に新たにナノカーボンを適用することで、微小な電子部品を既存技術対比30℃以上、半分以下の低温・低圧条件で高信頼に接合できる新規接合材料の開発に成功したと発表した。
一般的な接合材料であるハンダなどの合金材料は、バンプと呼ばれる接合部の微細化が困難であり、かつ実装時に高温・高圧が必要となるため高速実装に対応できないという課題がある。
今回、同社では感光性導電ペーストの技術をベースに、独自のナノカーボン分散技術を融合させて、感光性カーボンペーストを開発した。カーボンを使用することにより、より高い信頼性が得られ、幅広い用途において配線との接合に対応することができる。また、フォトリソプロセスにより微細なバンプが形成でき、マイクロLEDや半導体の微細実装を可能としている。さらに、従来材料と比較して大幅な低温化・低圧化を達成している。これにより、生産性を大幅に向上させることができる。加えて、実装後に不点灯が判明した電子部品については、本材料がバンプを別基板へとレーザー転写が可能であることから、リペア箇所へのバンプ再形成を実現している。
本開発品の量産は、2025年初頃を目標としている。
◆成型品:JSPの韓国グループ会社が新工場の稼働を開始(7月18日)
JSPは、韓国のグループ会社KOSPAの新工場(新尺産業団地内)が稼働を開始したことを発表した。
韓国のグループ会社KOSPAでは、2021年3月の陰城工場の火災により主要建屋及び生産設備がほぼ全焼し、その後は暫定的に金泉工場で代替生産を行うことで対応してきた。
新工場は2023年6月から稼働を開始しており、発泡ポリプロピレンビーズ・発泡ポリエチレンビーズ及び成型品を製造していくとしている。
◆CO2関連:三菱ケミカルグループ、INPEX、Abu Dhabi Future Energy Company PJSC–Masdarがアラブ首長国連邦アブダビにおけるカーボンリサイクルケミカル製造事業の共同調査に関する契約を締結(7月18日)
三菱ケミカルグループ、INPEX、Abu Dhabi Future Energy Company PJSC–Masdarは、アラブ首長国連邦アブダビにおけるカーボンリサイクルケミカル製造事業の共同調査に関する契約を締結したことを発表した。
Masdar社は、同国において再生可能エネルギー事業を展開しており、世界各地で太陽光発電や風力発電プロジェクトに投資している。
同共同調査は、グリーン水素を原料とする合成メタノール(以下、e-メタノール)を原料とし、プロピレンを経由してポリプロピレンを製造するカーボンリサイクルケミカル製造事業の商業規模での実現可能性を検証するものである。原料となる水素の製造、CO2の調達からe-メタノール、プロピレン、ポリプロピレン製造までのプロセス検証を行うと共に、本事業全体の経済性やCO2削減効果を含めた事業化検討に取り組む。
メタノールは基礎化学品としての幅広い用途に加え、本事業から製造されるようなe-メタノールのようにクリーンな船舶燃料用途としての需要も高まっており、同事業で製造される製品は、ライフサイクルベースでCO2の排出量を大幅に減らすことが可能となる。同共同調査において同事業の実現可能性を追求することで、幅広い分野の低・脱炭素化に貢献するとしている。
◆CO2関連:エア・ウォーターと東洋建設が工事現場や作業船から排出されるCO2の回収・利活用を想定した実証実験を実施(7月18日)
エア・ウォーターと東洋建設は、工事現場や作業船から排出されるCO2の回収・利活用を想定した実証実験を実施したと発表した。
同実験では、エア・ウォーターが開発した小型CO2回収装置「ReCO2 STATION」を使用して実証が行われた。同装置は、一般的な工場から排出されたガス中の低濃度のCO2を高効率に回収するだけでなく、カーボンリサイクルの観点から液化炭酸ガスやドライアイスを製造することが可能な設備である。
今回の実証実験では、ディーゼル発電機(作業船に電源として搭載)から排出されたCO2を回収して、高純度の液化炭酸ガスおよびドライアイスを製造しセメントスラリーにCO2を固定化することに成功した。
東洋建設では、2024年度を目途に作業船への回収装置搭載を検討しており、将来的には同社が保有する作業船から発生するCO2を回収し、作業船上でセメントや地中へのCO2固定量を最大化する技術の開発にも取り組む予定としている。
◆バイオ関連:住友化学がギンコバイオワークスとバイオものづくりの連携を強化(7月18日)
住友化学と米国ギンコバイオワークスは、バイオものづくりの連携を強化し、合成生物学を用いた機能化学品の開発に着手すると発表した。
ギンコバイオワークスは、2008年に創業した細胞・ゲノムの研究開発領域で変革を起こす合成生物学のパイオニア企業である。住友化学とギンコバイオワークスは、21年より化粧品などのパーソナルケア商品や農業および医薬関連製品といったライフサイエンス領域で、合成生物学を用いた研究開発を行ってきた。今回、機能化学品の量産化に向けたプロジェクトに着手するため、新たに共同研究契約を締結した。
今回の取り組みで、ギンコバイオワークスは、菌株設計の技術を生かし、商業化に必要な菌株開発を担い、住友化学は、製造プロセスの開発およびそのスケールアップによる商業化に向けた検討を行う。両社は、化石資源を原料とした製造方法に代わって、微生物の発酵生産によって機能化学品を量産化することで、よりカーボンフットプリントの低い製品を提供し、カーボンニュートラル社会の実現への貢献を目指すとしている。
◆CO2関連:JFEスチールが低炭素還元鉄のサプライチェーン確立に向けた協業体制を構築(7月18日)
JFEスチールは、伊藤忠商事、アラブ首長国連邦鉄鋼最大手のEmirates Steel Arkan及び港湾運営・海運・物流事業などを行うAbu Dhabi Ports Group (以下、ADPG)とともに低炭素還元鉄のサプライチェーン確立に向けた協業体制の構築に関する覚書を締結したことを発表した。
脱炭素化への対応が喫緊の課題とされる鉄鋼業界において、JFEスチールは、還元鉄の活用をCO2排出削減に向けた重要な取り組みと位置付け、伊藤忠商事、Emirates Steel Arkanとともに低炭素還元鉄のサプライチェーン構築についてコアメンバーとして参画し、プロジェクト候補地をアブダビとする詳細な事業化調査を共同で推進している。
本プロジェクトの港湾開発および操業、土地のリース・サービス、関連のインフラ整備について、ADPGが本格的に参画することで合意した。ADPGとの協業により、プロジェクトエリアの確保、原材料購入・製品出荷における安定的な物流体制の構築など、サプライチェーンの確立を目指すとしている。