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2024年3月28日

2024.03.28 発行

HEADLINE

◆リサイクル:三井化学が廃プラ分解油によるケミカルリサイクル製品の製造を開始(3月22日)
◆バイオ燃料:ENEOS、DS DANSUKなどの6社が日韓でのバイオ燃料および原料に関する協業を締結(3月22日)
◆水処理:東レが廃水再利用での水需要拡大に対応する高耐久性逆浸透膜を開発(3月21日)
◆再生医療:日本ファインセラミックス・東北大学が骨再生材料リン酸八カルシウム(OCP)の世界初の量産化に成功
 (3月19日)
◆リサイクル:デンカが国内最大の行政と連携したポリスチレンのケミカルリサイクルプラントを稼働(3月19日)
◆ガラス: 日本板硝子がドイツのフロート窯での定修前の早期生産停止を発表(3月19日)
◆樹脂関連:ダイセルと稲畑産業が合弁会社を設立(3月19日)
◆複合材料:ニッタがCNT複合化技術を用いた産業分野向けCFRP製品を開発(3月18日)
◆ゴム製品:横浜ゴムがメキシコに乗用車用タイヤの新工場を建設(3月18日)
◆価格改定
・JNCがオキソ誘導品を4月1日出荷分より値上げ
・東レが合繊糸・綿(わた)を4月出荷分より値上げ
・DICが顔料製品を4月1日出荷分より値上げ
・DICが共押出多層フィルム「DIFAREN」を4月15日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆リサイクル:三井化学が廃プラ分解油によるケミカルリサイクル製品の製造を開始(3月22日)
 三井化学は、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、CFP社より調達した廃プラスチックを原料とした熱分解油を、2024年3月に同社大阪工場のクラッカーへ投入し、マスバランス方式によるケミカルリサイクル由来の誘導品(化学品・プラスチック)の製造・販売を開始したと発表した。
 マスバランス方式とは、ある特性を持った原料がそうでない原料と混合される場合に、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法である。バイオマス・リサイクル社会の実現に向けて、重要な役割を果たすと考えられている。
 また同社は、花王が関与した廃プラスチックを原料とし、CFP社及びプライムポリマーの協力の下、リサイクルプラスチックとして製造し花王製品に使用するケミカルリサイクルによる循環型スキームの実装に向け共同検討を開始する。
 今後、同社グループはISCC PLUS認証に基づき、マスバランス方式によるケミカルリサイクル製品を市場展開していくとしている。

◆バイオ燃料:ENEOS、DS DANSUKなどの6社が日韓でのバイオ燃料および原料に関する協業を締結(3月22日)
 ENEOS、DS DANSUK(本社:韓国)、HMLPH、野村事務所、吉川油脂、札幌油脂は、1月11日付で、日韓でのバイオ燃料および原料に関する協業検討のための覚書(以下、MOU)を締結したことを発表した。
 同MOUは、各社が協力してカーボンニュートラル社会の実現を目指すことを目的としている。具体的には、各社のサプライチェーンや知見を活用し、ENEOSが事業化検討を行っている持続可能な航空燃料(SAF)の製造プラント(和歌山製造所)への原料供給(廃食油、獣脂等)、和歌山製造所への原料ハブの設置、バイオ燃料の供給等に関して、共同で検討する。
 DANSUKは、現在、SAF生産のためのHVO(植物油や廃食油などを原料とする低炭素燃料)前処理設備の建設を進め、本年後半の完成を目指している。
 ENEOSは今回の協業を通じて、各社とともに、原料の安定調達に向けたサプライチェーンの構築を推進していくとしている。

◆水処理:東レが廃水再利用での水需要拡大に対応する高耐久性逆浸透膜を開発(3月21日)
 東レは、工場廃水の再利用、下水処理等での厳しい使用条件において、これまでの高い除去性を維持したまま、長期間安定して良質な水を製造できる、高耐久逆浸透(RO)膜を開発したと発表した。
 RO膜は、海水や河川水等の淡水化、廃水再利用、飲料水製造など幅広い用途で用いられている。廃水再利用の分野では、多様な水質の水がRO膜で処理されているが、処理性能を維持するために膜の汚れを除去する洗浄薬品の使用頻度が増えることで、膜の孔が変形し、除去性能が低下することが課題となっていた。
 本開発品は、膜の洗浄時の薬品に対する耐久性を従来比2倍に向上したことで、膜の劣化による性能の低下が抑えられ、運転管理が容易となることに加え、交換頻度の半減やカーボンフットプリントの改善が期待できる。現在、量産準備を進めており2024年上期に、市場が急速に拡大する中国での発売を目指し、日本を含むその他の国・地域に向けた製品開発に活用していく計画としている。

◆再生医療:日本ファインセラミックス・東北大学が骨再生材料リン酸八カルシウム(OCP)の世界初の量産化に成功(3月19日)
 日揮ホールディングスは、日揮グループの機能材製造事業会社である日本ファインセラミックス(以下、JFC)が、骨の再生能力に優れ、生体吸収性が高い「リン酸八カルシウム(以下、OCP)」について、今回これまで困難とされてきた量産化に世界で初めて成功し、幅広い医薬品・医療機器製造会社との協業を目指してサンプル出荷を開始したことを発表した。
 人口の高齢化に伴い、骨折、変形性脊椎症、変形性関節症、骨粗鬆症等、骨関節疾患に罹患した患者数が増加し、現在、その治療方法として優れた骨再生材料のニーズが高まっていくと予想されている。JFCは、新規事業として「骨の再生医療」に注目し、東北大学大学院のOCPの研究を基にして、臨床応用拡大を見込んだOCPの量産化に関する共同研究開発を進めてきた。
 JFCが確立した連続晶析プロセスによるOCPの生産能力は、1時間当たり170gと飛躍的に向上し、OCP 需要の増加に応じて更なるスケールアップが比較的容易に可能である。今後、JFCは、このOCPを原料に幅広い医薬品・医療機器製造会社との協業を通じて、OCPの製品化を目指すとしている。

◆リサイクル:デンカが国内最大の行政と連携したポリスチレンのケミカルリサイクルプラントを稼働(3月19日)
 デンカと東洋スチレンは、使用済みポリスチレンのケミカルリサイクルプラントを、デンカ千葉工場内に竣工させたことを発表した。
 同プラントは、東洋スチレン社がポリスチレン樹脂のケミカルリサイクルの技術優位性と実績を有する米国Agilyx社との技術ライセンス契約を経て、2022年から建設を進め、2024年3月に竣工となった。今回の投資額は約40億円、処理能力は約3,000t/年である。
 今後、同プラントにて再生したポリスチレンは、マスバランス方式による提供を検討しており、現在、同社グループ各製造拠点においてISCC PLUS認証取得の準備を進めている。
 同社は、今回のプラント竣工により、千葉県市原市が取り組む、市民・企業・行政が一体となったプラットフォームへ参画し、市原市内で発生した使用済みポリスチレンの回収の仕組みづくりに着手する。この取り組みを皮切りに、消費者からのポストコンシューマー材回収システムの構築を目指すとしている。

◆ガラス: 日本板硝子がドイツのフロート窯での定修前の早期生産停止を発表(3月19日)
 日本板硝子は、同社グループのバイアハマー工場(ドイツ・バイエルン州)のフロート窯1基において、来年に予定されている定期修繕を控え、前倒しで生産を停止することを決定した。
 今回の決定は、直近のドイツを含む中欧地域における建築ガラス市場の需給状況を勘案したものであり、長期的には同市場の安定的な成長を見込んでいる。
 同窯は今年夏に生産を停止した後、翌年6月より定期修繕を開始する予定であり、今回の早期生産停止に伴う多額の一時費用の発生や人員削減などは想定していないとしている。

◆樹脂関連:ダイセルと稲畑産業が合弁会社を設立(3月19日)
 ダイセルは、稲畑産業と株式譲渡契約ならびに合弁契約を締結し、新たにノバセル株式会社を設立すると発表した。
 ノバセルは、ダイセルグループの樹脂着色および樹脂コンパウンドの研究・開発・販売に係る事業(以下 レジン事業)について、2024年7月1日より営業を開始する予定である。なお、SAN樹脂(重合品)およびセルロースアセテート樹脂に係る事業は本件の対象外となる。
 ダイセルは、2020年に同社グループであるポリプラスチックスを100%子会社化するなど、エンジニアリングプラスチック事業を強化している。レジン事業が属する汎用エンジニアリングプラスチック分野においては、今後の更なる成長を目指すには他社との協業は必須であるとの判断に至った。
 ダイセルが有するレジン事業に関する技術ノウハウと、稲畑産業がグローバルに有する製造ノウハウを掛け合わせることにより、大きなシナジーが期待できるとしている。

◆複合材料:ニッタがCNT複合化技術を用いた産業分野向けCFRP製品を開発(3月18日)
 ニッタは、CNT複合化技術Namdを用いた産業分野向けCFRP製品を開発(特許取得済)したことを発表した。
 Namdとは、ナノ分散カーボンナノチューブを炭素繊維へ均一複合化する技術である。ニッタ独自の技術Namdは、2017年以来、「振動減衰性」や「弾性率の速度依存緩和(しなり戻り)」等の優れた特性により、テニスラケットやゴルフクラブシャフト等のスポーツ分野において炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製品に多数採用されてきた。
 さらなるNamd事業の拡大を目指し、産業分野用途への展開を図るため開発を進めた結果、2G-Namdの特徴の一つである「疲労耐久性」を活かし、これまで実現困難であった軽量高強度かつ高信頼性のCFRP製品を開発した。
 同社は本製品を高信頼性が求められる航空・宇宙分野用途に展開する為、2025年に航空宇宙品質マネジメント(AS9100)認証の取得を目指すとしている。

◆ゴム製品:横浜ゴムがメキシコに乗用車用タイヤの新工場を建設(3月18日)
 横浜ゴムは、北米市場へのタイヤ供給能力を強化するため、メキシコに乗用車用タイヤの新工場を建設すると発表した。
 生産能力は年産500万本で、投資額は3億8,000万ドル(約521億円)である。2024年第2四半期に着工し、2027年第1四半期からの生産開始を予定している。新工場の敷地面積は約61万平方メートルで、将来的な拡張も視野に入れている。新工場はコアウイラ州に所在し、主要な鉄道や高速道路へのアクセスも良く、北米全土の顧客へのタイムリーな供給体制を構築していく。
 今後、同社では各地域の市場動向に沿った開発・供給・販売体制などを強化する「商品・地域事業戦略」を推進するとしている。

◆価格改定
・JNCがオキソ誘導品を4月1日出荷分より値上げ
 対象製品は、ノルマルブチルアルデヒド(NBA)、イソブチルアルデヒド(IBA)、オクタノール(OA)、
 ノルマルブタノール(NBO)、イソブタノール(IBO)、CS-12、CS-16、オクチル酸
 値上げ幅は、15円/Kg以上(物流費増加分については個別に対応)
・東レが合繊糸・綿(わた)を4月出荷分より値上げ
 対象製品は、ナイロン6糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロン66糸(長繊維)・綿(短繊維)、
 ナイロンBCF糸(長繊維)、ポリエステル糸(長繊維)・綿(短繊維)、アクリル綿(短繊維)
 値上げ幅は、5~10円/kg
・DICが顔料製品を4月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、5~15%(但し、フタロシアニン製品は改定幅が異なるため個別に対応)
・DICが共押出多層フィルム「DIFAREN」を4月15日納入分より値上げ
 値上げ幅は、1連(500㎡)あたり400円(厚み20μm換算)

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