2024.03.07 発行
◆食品原料:三菱ケミカルが乳化剤「シュガーエステル」の製造能力を追加増強(3月1日)
◆リサイクル:TOPPANとENEOSが古紙を原料とした 国産バイオエタノール事業で共同開発契約を締結(3月1日)
◆CO2対策:ENEOS、JX石油開発、三菱商事、PCCSSの4社がCO2の海外CCSバリューチェーン構築に向けた検討を開始
(3月1日)
◆マスターバッチ:日本ピグメントが住化カラーの子会社化を決定(3月1日)
◆有機:UBEが米国におけるDMC・EMC プラント建設投資の決定および子会社へ増資(2月29日)
◆電子材料:ADEKAが先端半導体向け新規材料の製造棟を新設(2月28日)
◆樹脂硬化剤:DICが耐熱性とリサイクル性を備える革新的なエポキシ樹脂硬化剤を開発(2月28日)
◆セルロース:旭化成が発がん性物質であるニトロソアミン類の生成リスクを抑えた結晶セルロース「セオラス」の生産を決定
(2月27日)
◆生産終了:三菱ケミカルグループが広島事業所におけるACH法MMAおよびアクリロニトリル関連製品の生産終了および一部
事業撤退を発表(2月27日)
◆硬化剤:三井化学がXDIプラントの生産能力増強を発表(2月26日)
◆黒鉛電極:日本カーボンが、韓国のKISCOと資本業務提携契約を締結(2月26日)
◆生産停止:三菱ガス化学が水島工場におけるオルソキシレン、無水フタル酸生産停止を発表(2月26日)
◆生産終了:三菱ガス化学がトリメリット酸トリオクチルの生産停止を発表(2月26日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・旭有機材がフェノール樹脂製品、RCS 製品等を4月出荷分より値上げ
・東洋紡が自動車エアバッグ用原糸・基布を4月1日出荷分より値上げ
・日本ペイントが運賃を4月1日受注分より値上げ
◆食品原料:三菱ケミカルが乳化剤「シュガーエステル」の製造能力を追加増強(3月1日)
三菱ケミカルグループは、高品質な食品への世界的な需要に応えるため、乳化剤「シュガーエステル」について、三菱ケミカル九州事業所(福岡県)の製造設備(製造能力:2,000トン/年、2024年3月本格稼働予定)に、新ライン(1,100トン/年)を追加して製造能力を増強すると発表した。
シュガーエステルは、ショ糖と植物油脂由来の脂肪酸を主原料とした乳化剤である。水分と油分を均一に混合させる機能を有しており、飲料、乳製品、菓子など幅広い分野に使用されている。同社グループのシュガーエステルは世界シェアの約7割を占めている。
同社グループは、国内の安定した需要と中国などの海外需要の伸長、BCP対応に応えるため、稼働中の東海事業所(製造能力10,000トン/年)に加え、九州事業所の製造設備を2024年3月に本格稼働する予定である。また、今春から欧米や東南アジアにおけるマーケティング体制を強化するため、各地域での営業拠点設立を検討している。
新ラインは2024年1月に着工しており、稼働開始は2026年3月の予定としている。
◆リサイクル:TOPPANとENEOSが古紙を原料とした 国産バイオエタノール事業で共同開発契約を締結(3月1日)
TOPPANホールディングスとENEOSは、共同開発契約を締結し、古紙を原料とした国産バイオエタノールの事業化に向けた実証事業を開始すると発表した。
両社は、2021 年より古紙を原料とした国産バイオエタノール事業の立ち上げについて、共同で検討を続けてきた。具体的には、TOPPANが開発している防水加工された難再生古紙を原料とする前処理プロセスと、ENEOSが開発しているエタノールの連続生産プロセスとの組み合わせによる製造効率の向上について、小規模スケールで検討してきた。
本実証では、前処理プロセスにおいて、不要物質が適切に除去され、繊維分が豊富な原料となっているか、その後の糖化発酵プロセスにおいては、原料の連続投入とエタノールの抽出によって製造効率をより向上できるかについて検証していく。パイロットプラントの稼働開始は2026年度を予定している。
今後、パイロットプラントによる実証運転を行い、事業採算性を見極め、2030年度以降の事業化を目指すとしている。
◆CO2対策:ENEOS、JX石油開発、三菱商事、PCCSSの4社がCO2の海外CCSバリューチェーン構築に向けた検討を開始(3月1日)
ENEOS、JX石油開発、三菱商事、マレーシア国営石油会社のペトロナス関係会社であるPCCSSは、東京湾を排出源とするCO2の分離・回収・集積から、船舶輸送、そしてマレーシアでのCO2貯留までの海外CCSバリューチェーン構築に向けた共同検討に関する覚書を締結したと発表した。
本覚書に基づき、4社は、共同で東京湾周辺の複数産業から排出されるCO2の分離回収・集積に関する調査や、必要設備検討、CO2輸送検討、CO2貯留先調査、事業可能性の調査および国内外法整備の検証などの取り組みを実施していく。
域内で回収するCO2の規模は年間3百万トン程度を想定しており、2030年度までの事業開始を目指す。なお、将来的には年間6百万トン程度のCO2回収を目指し検証を進めていくとしている。
◆マスターバッチ:日本ピグメントが住化カラーの子会社化を決定(3月1日)
日本ピグメントは、住友化学グループのグループ会社である住化カラーの株式を取得し、子会社化すると発表した。
住化カラーは、各種合成樹脂用着色剤マスターバッチおよびコンパウンド等の製造・販売を行っている。日本ピグメントは、現在中期経営計画において事業構造の変革を進めており、住化カラーが自社グループに加わることで、取り組みを加速化できると判断し、子会社化を決定した。
株式譲渡は4月30日を予定しており、株式取得が予定通り実行された場合、住化カラーは2025年3月期第1四半期より日本ピグメントの連結子会社とな予定としている。
◆有機:UBEが米国におけるDMC・EMC プラント建設投資の決定および子会
社へ増資(2月29日)
UBEは、米国におけるジメチルカーボネート(以下、DMC)およびエチルメチルカーボネート(以下、EMC)のプラント建設を決定するとともに、その製造販売会社とすることを目的として同社が間接的に100%出資している UBE C1 Chemicals America,社(以下、UCCA)に対して増資を行うことを発表した。
DMC・EMCはリチウムイオン電池の電解液溶剤の主要成分であり、DMCは半導体製造プロセスの現像液などでも使用されている。米国では電気自動車の普及やデジタル化の進展に伴い今後も需要拡大が見込まれる一方、全量を輸入に依存している。
同社は、ルイジアナ州におけるDMC・EMC の事業化を目指し基本設計を行っていたが、今回、DMC年産10万トン、EMC年産4万トンのプラントの建設を決定した。本プラント建設により米国での安定供給を実現するとともに、将来はC1ケミカルチェーンとしてポリカーボネートジオール(PCD)や水系ポリウレタンディスパージョン(PUD)など環境貢献型製品への川下展開を計画している。
今回の設備投資金額は合計約5億米ドル、2026年7月完工、同11月稼働開始の予定としている。
◆電子材料:ADEKAが先端半導体向け新規材料の製造棟を新設(2月28日)
ADEKAは、次世代半導体向け新規材料の量産体制構築に伴う生産スペスの確保を目的に、連結子会社であるADEKA KOREAの全州第三工場内に、製造棟を新設することを発表した。
ADEKA KOREAでは、先端半導体メモリ向け高誘電材料「アデカオルセラ」シリーズの増産と製品ラインナップ拡充のための積極的な設備投資を進めている。今後も微細化に欠かせない製品群として、次世代半導体デバイス量産化の際に新規材料をいち早く安定供給するために、短い工期で量産体制を整える必要があることから、製造棟を新設することを決定した。
同製造棟では、次世代以降DRAM向けおよび次世代ロジックおよびNAND向け材料を量産予定であり、2024年9月の完工予定としている。
◆樹脂硬化剤:DICが耐熱性とリサイクル性を備える革新的なエポキシ樹脂硬化剤を開発(2月28日)
DICは、200℃以上の耐熱性とリサイクル性を備える革新的なエポキシ樹脂硬化剤の基本技術の開発に成功したと発表した。
同技術は、従来のエポキシ樹脂が持つ高い耐熱性・耐久性、優れた機械的性質などの優れた特性を発現するだけでなく、リサイクルが困難とされる熱硬化性プラスチックであるエポキシ樹脂に再成形機能を付与することができる。さらに、エポキシ樹脂成形物の用途に合わせた再成形を可能にするため、製品のライフサイクル全体における環境負荷を低減することができる。
同社の研究では、高いガラス転移温度(240℃)や鉛フリーはんだに対する耐性、5回リサイクルを繰り返した後でも耐熱および機械物性の回復率が90%以上を維持することが確認されている。今後、プラスチック廃棄物の削減や、複合材料や電子機器に使用される樹脂材料の回収・再利用に貢献することが期待されており、2027年の実証実験フェーズへの移行を目指すとしている。
◆セルロース:旭化成が発がん性物質であるニトロソアミン類の生成リスクを抑えた結晶セルロース「セオラス」の生産を決定(2月27日)
旭化成は、結晶セルロース「セオラス」の粉体グレードにて亜硝酸濃度0.1ppm以下の規格化を決定し、これに基づき2024年7月より経口固形製剤における発がん性物質であるニトロソアミン類の生成リスクを低減した医薬品添加剤を生産することを発表した。また、セオラス第2工場(岡山県の水島製造所内)の建設が完了し、2024年1月より製品供給を本格化したことを併せて発表した。
昨今、原薬や製剤製造に用いる添加剤の品質や安全性が改めて問われている。中でも原薬製造過程や製剤中に発がん性物質であるニトロソアミン類が生成する事象等が重大なリスクとして注目を集めており、そのリスク低減が課題となってきた。同社では、このニトロソアミン類の生成リスクを軽減する方法の1つとして、医薬品添加剤中の亜硝酸塩含有量を下げることが有効であると考えている。
セオラス第2工場が2024年1月から製品供給を本格開始したことにより、既存の東海工場(宮崎県)と2拠点からの供給が可能となったことに加えて、今回の規格化により、発がん性物質であるニトロソアミン類の生成リスクを低減した医薬品添加剤の生産を進めていくとしている。
◆生産終了:三菱ケミカルグループが広島事業所におけるACH法MMAおよびアクリロニトリル関連製品の生産終了および一部事業撤退を発表(2月27日)
三菱ケミカルグループは、三菱ケミカル広島事業所で生産しているACH法MMA(メチルメタクリレート)モノマー、アクリロニトリル、アクリロニトリル誘導品について、2024年7月より生産を停止することを発表した。また、これに伴い、同社グループはキレート剤事業、アセトニトリル事業から撤退する。
同社グループは、世界各地域に3製法(ACH 法、C4法および新エチレン法)のMMAモノマー生産拠点を持ち、需給や原料動向に応じたサプライチェーンの強化に努めているが、今回、MMAおよびアクリロニトリル事業の競争力の強化と供給体制の最適化を図るため、広島事業所におけるACH法MMAモノマー、アクリロニトリル、アクリロニトリル誘導品の生産終了を決定した。
なお、広島事業所で生産しているC4法MMAモノマー、岡山事業所で生産しているアクリロニトリルおよびグリシン酸ソーダ、関東事業所・鶴見地区で生産しているアクリルアマイドについては今後も生産を継続するとしている。
◆硬化剤:三井化学がXDIプラントの生産能力増強を発表(2月26日)
三井化学は難黄変コート用硬化剤の需要増に対応するため、大牟田工場内のXDI(メタキシリレンジイソシアネート)プラントの生産能力の増強を決定したことを発表した。
XDIは、同社が世界に先駆けて事業化した特殊イソシアネートである。「高屈折率」かつ「耐久性」に優れたメガネレンズ材料として、また「難黄変」「速硬化性」に優れたコーティング・機能材料として、広く認知されている。特に安全性の高い食品包装用接着剤、太陽電池やスマートフォンなどに使用される特殊インキ・コーティング材料、安全性の高いマイクロカプセル等の用途では、QOLニーズや異種材料からの切り替えによる更なる需要拡大が見込まれている。
今回の増強では2024年2月着工、2025年7月完工を予定しており、営業運転開始は2025年9月を予定している。これにより、国内の生産能力は20%増強される見込みである。同社はXDIの安定供給を確保するとともに、今後も供給体制の構築を積極的に行っていくとしている。
◆黒鉛電極:日本カーボンが、韓国のKISCOと資本業務提携契約を締結(2月26日)
日本カーボンは、取締役会において、韓国のKISCO及びその持株会社であるKISCO Holdingsとの間で資本業務提携契約を締結したと発表した。
日本カーボンは、製鋼用人造黒鉛電極(以下、黒鉛電極)、炭素繊維製品や炭化ケイ素繊維製品を国内で初めて量産化に成功するなど、炭素・黒鉛分野での経験・ノウハウを活かして、時代のニーズに応える高付加価値製品を製造・販売している。
一方、韓国大手電炉メーカーであるKISCOは、建材用棒鋼を中心に高品質の電炉鋼材を製造・販売している。同社は当社黒鉛電極の主要な取引先の一社でもある。
今回の資本業務提携において、同社とKISCOの関係をより強固なものとするとともに、両社のノウハウを結集し鋼材製造時の黒鉛電極消費量を抑制するなど、黒鉛電極の品質の改善に取り組むことで、市場での競争力の強化及び顧客満足度の向上を目指すとしている。
◆生産停止:三菱ガス化学が水島工場におけるオルソキシレン、無水フタル酸生産停止を発表(2月26日)
三菱ガス化学は、2025年1月中旬を目途として、水島工場(岡山県)におけるオルソキシレン(以下、OX)、無水フタル酸(以下、PA)の生産を停止することを発表した。
OXは、主にPAの原料として使用される他、溶剤や医農薬中間体用途に使用されている。また、PAは塩化ビニル樹脂に柔軟性等を付与する可塑剤の原料等として使用されている。
水島工場では、50年以上にわたって当該製品を生産していたが、不採算の状況の継続、設備の老朽化、需要の縮小予測などにより、今後も採算改善が見込めないため、生産終了を決定した。
同社では、不採算事業の整理・再編等により事業採算性の改善を図り、環境変化に強い収益構造への転換を進めていくとしている。
◆生産終了:三菱ガス化学がトリメリット酸トリオクチルの生産停止を発表(2月26日)
三菱ガス化学は、2025年3月を目途としてトリメリット酸トリオクチル(以下、TOTM)の生産(水島工場、岡山県)を停止し、TOTMの製造販売会社である水島可塑剤を解散することを発表した。
TOTMは耐熱性・耐候性・電気特性に優れた低揮発性の可塑剤であり、主に耐熱電線被覆などに使用されている。同社では、38年余にわたり生産してきたが、不採算の状況が継続していることに加えて、設備の老朽化、需要の縮小予測などにより今後も採算改善が見込めない状況下、生産終了を決定した。
同社では、不採算事業の整理・再編等により事業採算性の改善を図り、環境変化に強い収益構造への転換を進めていくとしている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
3月契約価格は、1,065$/t(前月比+55$/t)
国内価格換算想定値は166.1円/kg
・旭有機材がフェノール樹脂製品、RCS 製品等を4月出荷分より値上げ
値上げ幅は、固形フェノール樹脂製品:10%以上
液状フェノール樹脂製品:8%以上
RCS(レジンコーテッドサンド)製品:10%以上
その他関係製品:製品毎に設定
・東洋紡が自動車エアバッグ用原糸・基布を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、10%~15%
・日本ペイントが運賃を4月1日受注分より値上げ
値上げ幅は、現行運賃より10%~40%相当