2024.05.16 発行
◆シート:JSPがバイオマス原料25%配合の発泡ポリエチレンシートの販売を開始(5月10日)
◆バイオメタン:エア・ウォーターが家畜ふん尿由来のバイオメタンの商用利用を開始(5月10日)
◆e-メタン:王子HDが苫小牧工場における純国産e-メタン製造の共同検討を開始(5月9日)
◆エチレン:旭化成、三井化学、三菱ケミカルの3社が西日本におけるエチレン製造設備のカーボンニュートラル実現に向けた
連携の検討を開始(5月8日)
◆医薬関連:東ソーが分離精製剤の生産能力を増強(5月8日)
◆樹脂:クラレが耐熱性ポリアミド樹脂の耐ブリスターグレードを開発(5月8日)
◆天然ゴム:住友ゴム工業がタイのコンケン大学と持続可能な天然ゴムに関する共同研究を開始(5月8日)
◆CO2回収:三菱重工業と千代田化工がCO2回収技術ライセンス供与に関する協業契約の締結(5月7日)
◆ガラス:AGCがタイのグループ会社での生産活動の終了を発表(5月7日)
◆電子材料:富士フイルムが「ナノインプリントリソグラフィ」に適合する半導体材料を新発売(4月30日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・東洋インキがグラビア色インキおよびラミネート接着剤を5月15日出荷分より値上げ
・東レがナイロン樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂、LCP樹脂を5月20日出荷分より値上げ
・東洋紡がアクリル繊維およびアクリル機能材を6月1日出荷分より値上げ
・レゾナックがエマルジョングループ製品(商標名:ポリゾール、ビニロール、コーガム、ポリフィックス)を6月1日出荷分
より値上げ
・石原産業が酸化チタンを6月1日納入分より値上げ
・リケンテクノスが業務用ラップ類、小巻ラップ類、その他食品包材関連製品を6月21日出荷分より値上げ
◆シート:JSPがバイオマス原料25%配合の発泡ポリエチレンシートの販売を開始(5月10日)
JSPは、主に梱包資材用途で販売していたミラマット(発泡ポリエチレンシート)シリーズに、バイオマス原料を25%配合した新製品「ミラマットA-Bio」を加え、2024年1月より販売を開始したと発表した。
ミラマット A-Bioは、植物由来のバイオマス原料を含んだバイオマスポリエチレンを配合していることから、石油資源由来原料の使用量を削減し、さらには従来のミラマットと同等の物性を維持しながら樹脂の使用量も約30%削減できる。
また、植物由来原料の配合と樹脂量の削減効果により、従来のミラマットと比較すると、CO2排出量を約50%以上削減できる。また、同製品はバイオマスポリエチレンを 25.0%以上配合しているため、日本有機資源協会のバイオマスマークの認定を取得している。
JSPは、環境負荷軽減や気候変動緩和に貢献できる製品を提供することで、サステナブルな社会づくりに貢献するとしている。
◆バイオメタン:エア・ウォーターが家畜ふん尿由来のバイオメタンの商用利用を開始(5月10日)
エア・ウォーターは、LNG(液化天然ガス)の代替燃料となる家畜ふん尿由来のバイオメタンの製造から販売までのサプライチェーンを確立し、ボイラー燃料等として利用するよつ葉乳業十勝主管工場へ納入を開始したと発表した。
同社は、環境省実証事業により、家畜ふん尿由来のバイオガスに含まれるメタン分を分離・液化し、液化天然ガス(LNG)の代替燃料として脱炭素を推進する顧客へ供給する、一連のサプライチェーンモデルの構築と実証を北海道十勝地方で進めてきた。
今回販売を開始するバイオメタンは、酪農家が飼育する乳牛のふん尿由来のバイオガスが原料となるため、酪農が盛んな地域においてはカーボンニュートラルかつ持続可能な国産エネルギーとなる。なお、バイオメタンの製造能力は360トン(年間)である。
今後、同社は、バイオメタンを活用したい需要家とふん尿を有効活用したい供給元の双方のニーズを安定的に満たすことができるよう、地域社会と連携しながら原料調達を進め、バイオメタンの供給量を増やすとともに、普及活動や市場創出を図ることで、新たなビジネスモデルの確立を進めていくとしている。
◆e-メタン:王子HDが苫小牧工場における純国産e-メタン製造の共同検討を開始(5月9日)
王子HDは、王子製紙、東京ガス、東京ガスエンジニアリングソリューションズとともに王子製紙苫小牧工場(北海道)におけるe-メタンの製造に向けた共同検討の開始に合意したと発表した。
同共同検討では、再エネ由来の電力を用いて製造したグリーン水素と、同工場のパルプ製造工程で発生・回収したカーボンニュートラルな燃料由来のCO2を反応させることで純国産e-メタンを製造し、その活用について共同で検討を行う。また、e-メタン製造手法を技術進展に応じて柔軟に選択するほか、グリーン水素製造の過程で副次的に発生する再エネ由来の酸素の有効活用についても検討する。
2030年までに、苫小牧工場へ数十m³/h級のe-メタン設備の導入を目指すとともに、2030年以降には設備を1,000m³/h級(一般家庭約2万世帯分に相当)へ拡大することも見据えているとしている。
◆エチレン:旭化成、三井化学、三菱ケミカルの3社が西日本におけるエチレン製造設備のカーボンニュートラル実現に向けた連携の検討を開始(5月8日)
旭化成、三井化学、三菱ケミカルは、西日本に各社が保有するエチレン製造設備について、カーボンニュートラルを推進するため、原燃料転換等の検討を共同で進めることを発表した。
エチレン製造設備は、石油化学産業の上流に位置し、そこから製造される基礎原料を用いて生産される素材は、生活用品、自動車、半導体等さまざまな産業にて使用されている。一方でこれらの製造過程において多くの化石資源を消費する設備であるため、GHG排出量の削減が大きな課題となっている。
既に旭化成、三井化学、三菱ケミカルの3社はそれぞれ、エネルギー使用量削減や原燃料の低炭素化に関する技術開発と実装を進めているものの、各社単独での取り組みでは実装化のスピードやGHG削減の効率性に限界がある。
今後3社は、石油資源に代わるバイオマスの原料化、低炭素燃料への転換等、グリーン化に資する具体的な方策並びに将来の最適生産体制の検討等に取り組んでいくとしている。
◆医薬関連:東ソーが分離精製剤の生産能力を増強(5月8日)
東ソーは、分離精製剤の生産能力を増強し、四日市事業所(三重県)に製造設備を新設することを発表した。
同社バイオサイエンス事業部の主力製品の一つである分離精製剤は、バイオ医薬品等の製造工程で使用されている。バイオ医薬品市場は主力の抗体医薬品に加え、核酸医薬品、遺伝子治療薬など新たな分野が台頭し、更なる成長が見込まれている。市場成長による旺盛な需要に対応するため、四日市事業所に製造設備を新設し、能力増強を行う。また製造拠点、および保管拠点の分散化により、事業継続計画(BCP)の観点からも強固な安定供給体制構築を図る。
今回の増強により生産能力は約20%増(2024年7月増強完工後能力比)となる。投資額は約140億円、商業運転の開始は2027年6月の予定としている。
◆樹脂:クラレが耐熱性ポリアミド樹脂の耐ブリスターグレードを開発(5月8日)
クラレは、車載コネクタ向けにブリスター(加熱により成形品表面に生じる膨れ)発生率を大幅に減した耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」の耐ブリスターグレードを開発したことを発表した。
ジェネスタは、車載電装部品の表面実装(SMT)化に伴い、強化銘柄「GNシリーズ」を中心に、リフロー工程適性を有する車載SMTコネクタへの採用を拡大してきた。同製品の従来グレードもブリスターが発生しにくいものの、自動車用コネクタは民生用コネクタに比べ大型かつ厚肉であり、またSMT条件が過酷化することからさらなる耐ブリスター性の向上が求められていた。
同社はユーザーの要望に応えるべく数年間にわたり研究開発を進め、ブリスター発生の詳細なメカニズムを解明し、累計2万回を越える評価とクラレ独自の配合技術により耐ブリスターグレードを開発した。リフロー温度や設計の自由度を向上させることで、安全安心かつ高機能なモビリティの実現を支援するとしている。
◆天然ゴム:住友ゴム工業がタイのコンケン大学と持続可能な天然ゴムに関する共同研究を開始(5月8日)
住友ゴム工業は、タイの国立大学であるコンケン大学とゴムノキの組織培養技術についての共同研究に関する協定を締結し、調印式を実施したと発表した。
今回のコンケン大学との共同研究では、組織培養由来のゴムノキの苗と接ぎ木由来の苗の生育や葉の形の調査に加え、蒸散量測定等により植物生理学的反応に関するデータを取得して違いを評価し、収量向上に繋がるメカニズムを解明する事を目的としている。
同社では天然ゴムの持続可能性を高める取組みを生産性向上と臭気改善の二つの方向性で進めている。生産性向上では、ゴムノキの成長促進と樹液採取の生産性向上につながる様々な研究を実施中で、 臭気改善では「臭気低減天然ゴム」の開発に成功している。今回の研究を進める事により天然ゴムの生産性向上を図り、持続可能な天然ゴム調達に向けた取組みをさらに加速させていくとしている。
◆CO2回収:三菱重工業と千代田化工がCO2回収技術ライセンス供与に関する協業契約の締結(5月7日)
三菱重工業と千代田化工は、CO2回収技術の包括ライセンス契約を締結したことを発表した。
本契約は、国内向けCO2回収プロジェクトを対象に、三菱重工業が関西電力と共同開発したCO2回収技術の「KM CDR Process」と「Advanced KM CDR Process」のライセンスを供与するための戦略的な協業契約である。
本協業は、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の需要拡大が見込まれる国内市場において、CO2回収プラントのEPC(設計・調達・建設)対応力を強化することを目的としている。千代田化工は幅広い分野でプラントのEPCを手掛け、液化設備や圧入設備といったCCUSには欠かせない周辺インフラの取りまとめを含む豊富な実績と高いエンジニアリング力を有している。
本提携を通じて両社の強みを生かすことで、幅広い産業分野の脱炭素化ニーズへの貢献を図るとしている。
◆ガラス:AGCがタイのグループ会社での生産活動の終了を発表(5月7日)
AGCは、コンシューマガラス事業を手掛けるグループ会社であるAGC Techno Glass (Thailand) (以下、ATGT社)での生産活動を終了することを発表した。
ATGT社は主に耐熱ガラス食器・クッキングウェアや理化学実験用ガラス製品、工業用チューブガラス製品などの製造・販売を行っている。近年、事業の市場環境が厳しさを増している中で業務改善を行なってきたが、製造コストの増加などの要因により、業績改善には至らなかったため、生産活動の終了を決定した。
ATGT社の生産活動は2024年末を目途に終了する予定としている。
◆電子材料:富士フイルムが「ナノインプリントリソグラフィ」に適合する半導体材料を新発売(4月30日)
富士フイルムは、半導体製造技術「ナノインプリントリソグラフィ」に適合する半導体材料として、ナノインプリントレジストを5月下旬より、電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズを通じて販売すると発表した。
昨年、高性能な先端半導体を低コスト・省電力で製造できる新しい製造技術として「ナノインプリントリソグラフィ」が実用化されている。今回発売するナノインプリントレジストは、富士フイルムがフォトレジストなどの開発で培った知見と技術を活用して、製造工程におけるレジストの流動挙動や、レジストとウエハー表面・マスクそれぞれとの相互作用を詳細に解析し、「ナノインプリントリソグラフィ」に最適な分子構造を持つレジストを新規に設計したものである。
また、ウエハー表面に無駄なく最適な液滴量をインクジェット方式で塗布できる処方設計を実現している。現在の製造プロセスで用いられるスピンコート法と比較して、レジストの使用量を約1/100に削減することができるとしている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
5月契約価格は、1,085$/t(前月比+15$/t)
国内価格換算想定値は175.7円/kg
・東洋インキがグラビア色インキおよびラミネート接着剤を5月15日出荷分より値上げ
値上げ幅は、グラビアインキ(色インキ):50円/kg以上
グラビアインキ(添加剤、硬化剤、OPニス、その他コート剤):50円/㎏以上
ラミネート接着剤(主剤):40円/㎏ 以上
ラミネート接着剤(硬化剤):50円/㎏ 以上
・東レがナイロン樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂、LCP樹脂を5月20日出荷分より値上げ
値上げ幅は、40/kg以上
・東洋紡がアクリル繊維およびアクリル機能材を6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、30%
・レゾナックがエマルジョングループ製品(商標名:ポリゾール、ビニロール、コーガム、ポリフィックス)を6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15%以上
・石原産業が酸化チタンを6月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、5円/kg
・リケンテクノスが業務用ラップ類、小巻ラップ類、その他食品包材関連製品を
6月21日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15%以上