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2024年5月30日

2024.05.30 発行

HEADLINE

◆AI関連:ENEOSがAI技術による原油処理装置の自動運転を開始(5月24日)
◆肥料:セントラル硝子グループがプラスチックを使用しない環境適応被覆肥料を開発(5月23日)
◆電子材料:Soitecと東海カーボンが多結晶炭化ケイ素基板の開発で戦略パートナーシップを締結(5月22日)
◆電子材料:東レが先端半導体向けPFASフリーのモールド離型フィルムを実用化(5月22日)
◆リサイクル:住友化学が独自のPMMAケミカルリサイクル技術の社会実装をグローバルに加速(5月22日)
◆バイオ燃料:日本ガイシと三菱重工がバイオエタノールとe-メタノールの膜分離脱水システムの共同開発開始を発表
(5月22日)
◆電子材料:デンカが低誘電有機絶縁材料の生産プラント建設投資を決定(5月21日)
◆シート:積水化学工業が自動車塗装工程におけるCO2削減に貢献する「塗料転写シート」を開発(5月21日)
◆バイオマス:豊田合成と森林研究・整備機構が木質バイオ材を活用した「改質リグニン配合プラスチック素材」を開発
(5月21日)
◆電子材料:古河電気工業が通信基地局向け低誘電材料を開発(5月20日)
◆バイオマス:シキボウがコットン素材を再利用したバイオマスプラスチックペレットを開発(5月20日)
◆価格改定
・住友ベークライトがフェノール樹脂を6月1日出荷分より値上げ
・トーヨーカラーが有機顔料および加工顔料製品を6月1日出荷分より値上げ
・クラレがポリビニルアルコール(PVA)繊維、クラロンK-II、ポリエステル短繊維を6月1日出荷分より値上げ
・DIC北日本ポリマは、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂製品を6月1日納入分より値上げ
・デンカがABS 樹脂、デンカIP、透明樹脂、クリアレンを6月17日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆AI関連:ENEOSがAI技術による原油処理装置の自動運転を開始(5月24日)
 ENEOSとPreferred Networksは、ENEOS川崎製油所において、原油処理を行う常圧蒸留装置でAIシステムによる安定的な自動運転を開始したことを発表した。
 同AIシステムは、大規模かつ複雑であることから長年の経験に基づいた運転ノウハウが求められる石油精製プラント(以下、プラント)の自動運転を可能にするものである。両社は2018年度より共同で、人の技量に左右されないプラントの安定運転確立により保安力の向上に貢献するシステムの開発に取り組んできた。
 中でも、常圧蒸留装置は、温度、圧力、流量、製品性状など、制御対象としている要素数(24個)や予測に用いる入力センサー数(930個)が多く、運転制御・操作には熟練の技術や知識が必要とされるもので、同装置におけるAI技術を用いた常時自動運転は世界で初めてとなる。24個の運転重要因子の常時監視と13個のバルブを同時に操作することで、原油処理量の変更や原油種の切り替え時の変動調整作業にも対応し、手動操作を超える経済的で安定的かつ高効率な運転を達成した。
 今後は、ENEOSの他製油所への展開並びに、ソリューションパッケージとして一般販売することを計画している

◆肥料:セントラル硝子グループがプラスチックを使用しない環境適応被覆肥料を開発(5月23日)
 セントラル硝子グループは、プラスチックを使用せずに優れた緩効性を有する「環境適応被覆肥料」の開発を進めてきており、今回は量産化を目指した開発に移行できる技術が得られたことを発表した。
 被覆肥料は、作物の生育に合わせて肥効成分の溶出を制御できることから、人手不足と高齢化が進む日本の農業にとって欠くことができない農業資材である。しかし、近年ではプラスチック被覆殻の河川などへの流出が問題とされており、環境に配慮した被覆肥料が強く求められている。
 同開発品は、プラスチックではない被覆材料で構成された被覆窒素肥料であり、25℃水中における窒素成分の溶出は、現行セラコートに類似し、長期銘柄では、初期溶出を抑制するシグモイド型を示す。また、溶出後の被覆殻は、僅かな力で壊れる「脆さ」も有していることから、環境課題の解決に大きく貢献できると考えている。
 同グループは現在、量産化の技術開発に取り組んでおり、2025年からの圃場溶出試験、2026年の栽培試験を経て、2027年の上市を計画するとしている。

◆電子材料:Soitecと東海カーボンが多結晶炭化ケイ素基板の開発で戦略パートナーシップを締結(5月22日)
 Soitec(Euronext Paris、本社:フランス)と東海カーボンは、SoitecのSmart SiCウエハ用に設計された多結晶炭化ケイ素基板(poly-SiC)の開発・供給における戦略パートナーシップ契約を締結したと発表した。
 本提携により、東海カーボンはSoitecのSmart SiCウエハ向けに設計された150mmおよび200mmのpoly-SiC基板を供給する。また、東海カーボンの生産能力と技術はSmart SiCウエハの世界的な拡大に寄与し、SoitecよりSmart SiCウエハ技術に準拠したpoly-SiCウエハ製造仕様の使用許諾の恩恵も受ける。
 東海カーボンのSiC製品における品質や研究開発力がSoitecのSmartSiC技術と組み合わさることで、Smart SiC技術による基板は、電動モビリティや工業、スマートグリッド用途における炭化ケイ素(SiC)の採用を促進するものになるとしている。

◆電子材料:東レが先端半導体向けPFASフリーのモールド離型フィルムを実用化(5月22日)
 東レは、先端半導体向けPFASフリーのモールド離型フィルムを実用化したことを発表した。
半導体の後工程の半導体パッケージングプロセスの中で、外部からの保護目的でモールド樹脂を覆う工程をモールド工程と言う。このモールド工程では金型汚れや、離型フィルム破れ、離型フィルムのシワのモールド樹脂への転写といった課題が顕在化していた。
 これらの課題に対して、東レは独自のNANOALLOY(ナノアロイ)技術によってガスバリア性と耐熱柔軟性を備えたモールド離型フィルムを開発した。ガスバリア性により金型汚れの原因物質を遮断することで金型汚れを従来比1/5以下まで抑制し、また耐熱柔軟性によりモールド成形時のフィルム破れとシワの転写を抑制することに成功した。さらに従来の離型フィルムはPFAS材料が使用されているが、東レが開発した半導体モールド離型フィルムは、環境に配慮したPFASフリー材料である。
 同フィルムは、昨年からその量産体制を構築するとともに販売を開始しており、半導体製造の稼働率向上に寄与するとしている。

◆リサイクル:住友化学が独自のPMMAケミカルリサイクル技術の社会実装をグローバルに加速(5月22日)
 住友化学は、米国の大手技術ライセンサーであるルーマス・テクノロジー社と、同社独自の環境負荷低減技術であるアクリル樹脂(PMMA、ポリメチルメタクリレート)の高効率ケミカルリサイクル技術のライセンス供与・商業化に関する協業契約を締結したことを発表した。ルーマス社は同社技術に関し、独占的なライセンスパートナーになる。
 住友化学は、アクリル樹脂を熱分解し、原料となるMMA(メチルメタクリレート)モノマーに高効率で再生する技術を日本製鋼所と共同開発しており、2022年12月に愛媛工場に実証設備を稼働させている。同技術は、25年度の商業化に向けた技術検証やマーケティング活動を先駆けて進めており、先般、同技術で製造したアクリル樹脂が、100%再生材としては、国内で初めてアクリルジュエリーに採用されるなど、着実に実績を積み上げている。
 同社の革新的技術において、ライセンス協業を活用することで事業機会の最大化を図り、世界的な課題である環境負荷低減に向けたソリューションを提供していくとしている。

◆バイオ燃料:日本ガイシと三菱重工がバイオエタノールとe-メタノールの膜分離脱水システムの共同開発開始を発表(5月22日)
 日本ガイシと三菱重工業は、クリーン燃料・原料の利用拡大を見据え、バイオエタノールおよびe-メタノールの製造プロセスを低コスト・高効率化する膜分離脱水システムの共同開発を行うことを発表した。
 今回の共同開発では、2種類の膜分離脱水システムについて開発をスタートする。1つ目は、ガソリン代替としてのクリーン燃料および次世代航空機燃料であるSAF(Sustainable Aviation Fuel)の原料としても注目されているバイオエタノールの製造工程において、最もエネルギーを消費する脱水工程を、従来方式から膜分離方式に置き換え、大幅なエネルギー削減を図る。2つ目は、同じく次世代クリーン燃料として注目されている、水素とCO2を原料とするe-メタノールの製造における脱水工程を膜分離方式に置き換え、消費エネルギーの大幅な低減を図る。
 バイオエタノール、e-メタノールともに、クリーンな燃料・原料として将来的な需要拡大が見込まれることから、両社は、本システムの早期実用化と安定供給体制の構築を目指して共同で開発を推進していき、次世代クリーン燃料の製造プロセスを膜分離脱水により低コスト・高効率化し、安定供給体制の構築につなげるとしている。

◆電子材料:デンカが低誘電有機絶縁材料の生産プラント建設投資を決定(5月21日)
 デンカが、低誘電有機絶縁材料(製品名:スネクトン)生産のため、約70億円の設備投資を決定したと発表した。
 同社が開発したスネクトンは、次世代高速通信(Beyond5G、6G)において、電気信号の損失(伝送損失)を低減させるために素材に要求される電気特性(低誘電率、低誘電正接)を備えており、既に各種高速通信機器の銅張積層板(CCL)や層間絶縁材用途などで高い評価を得ており、今後大幅な需要拡大が見込まれる。
 従来のエポキシ樹脂をベースとしたCCLでは、次世代高速通信用途としては伝送損失面で課題が有ったが、同社のスネクトンは要求される低伝送損失を実現したことに加え、軟質樹脂でありながら架橋性(耐熱性)も有する特徴を持つ最先端有機素材である。また、完全硬化後も軟質性を有することから、フレキシブル銅被覆板(FCCL)への適用も可能で、PC、スマートフォン、データセンター、携帯電話基地局、ウエアラブル端末、自動車など幅広い分野での活用が期待される。同設備の竣工時期は2026年度の予定としている。

◆シート:積水化学工業が自動車塗装工程におけるCO2削減に貢献する「塗料転写シート」を開発(5月21日)
 積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは、テープ製造などで培った材料設計・配合・成膜技術を活用し、自動車塗装工程でのCO2削減に貢献可能な「塗料転写シート」の開発を発表した。
 塗料転写シートとは、膜化した塗料を転写フィルムと支持フィルムで挟むことで塗料をシート化し、塗装工程を通さず転写により塗装を実現する技術である。同製品は塗料層の厚みが通常塗装と同じ数十μm、ロール状態での保管が可能、塗料層には様々な塗料が適用可能といった特徴を有している。
 自動車の製造工程におけるCO2排出量の内訳は塗装工程が約20%と最も多い。塗料転写シートの活用により、近年人気のルーフ色がボディ色と異なるツートーンカラー車等の複数回の塗装を繰り返すデザイン等では特に高い削減率で、CO2排出量を削減することができる。
 同社は、2026年に塗料転写シートを上市することを計画しており、量産技術および貼り付け技術の確立に向けた取り組みを進めていくとしている。

◆バイオマス:豊田合成と森林研究・整備機構が木質バイオ材を活用した「改質リグニン配合プラスチック素材」を開発(5月21日)
 豊田合成と森林研究・整備機構は、日本固有の樹木であるスギの成分を配合したプラスチック素材を共同で開発したことを発表した。
 同社は、脱炭素への取り組みの一環で、プラスチックやゴムに植物由来の原料を配合することで製品の環境負荷低減を進めている。今回開発した「改質リグニン配合プラスチック」は、車のハンドルなどに使われるウレタンやナイロンといったプラスチックに、スギから抽出した改質リグニンを配合している。改質リグニンは、スギから主成分の「リグニン」を工業材料として化学的に抽出した物質で、耐熱性・加工性に優れており、同社の材料技術により、プラスチック製品の石油由来材を一部代替することを可能にした。
 さらに、今回の改質リグニンの利用の推進は、全国各地で豊富に存在するスギの木材としての付加価値を高めて有効活用する取り組みの一環であり、アレルギー源であるスギ花粉の低減への貢献も期待できる。今後、同社の主力製品であるハンドルなどの内外装部品への適用も視野に開発を進めていくとしている。

◆電子材料:古河電気工業が通信基地局向け低誘電材料を開発(5月20日)
 古河電気工業は、微細発泡により比誘電率(Dk)と誘電正接(Df)の低減と軽量化を実現した低誘電材料「Smart Cellular Board(SCB)」を開発したことを発表した。
 今後の導入が予定されているBeyond 5G/6Gにおいては、現在よりもさらに高周波で広帯域な周波数帯が採用される見込みである。基地局の筐体であるレドーム(レーダーのアンテナを格納し、風雨や太陽光から保護するためのカバー)やアンテナ基板、移相器基板において、より効率的に電波や信号を伝えることができる低誘電な材料が求められている。
 従来、通信基地局のレドームには、ソリッド(非発泡)な樹脂材料が用いられてきたが、同開発品は微細気泡の充填により比誘電率(Dk)と誘電正接(Df)を低減させることで電波透過性のさらなる向上を実現し、密度の低下によるレドームの軽量化にも貢献する。また、同開発品は良好な誘電特性によって基板の誘電損失を最低限に抑えることができ、その結果、基板からの発熱も抑え、ヒートシンクの重量軽減にも貢献するとしている。

◆バイオマス:シキボウがコットン素材を再利用したバイオマスプラスチックペレットを開発(5月20日)
 シキボウは、循環経済への移行およびカーボンニュートラルに向けた取組みとして、従来廃棄されているコットン素材を再利用したバイオマスプラスチックペレット「CottResin」(コットレジン)を開発したと発表した。
 従来廃棄されていたコットン素材をミクロサイズまで細かくし、ポリプロピレン樹脂と混ぜる開発を進める中で、ポリプロピレン100%の商品に比べて、物性が向上するデータを得た。本開発品は、物性のアップにより従来のプラスチック製品はもちろん、より強度や耐久性に優れた成形品が得られると期待される。また、物性のアップは薄肉化にも貢献し、樹脂の使用量削減や軽量化が見込める。
 本開発品は、プラスチックが使用される自動車部品、電化製品、建材などの幅広い用途が想定される。シキボウはこの技術を事業化レベルに確立するための取組みを進め、3年後に3億円の販売を目指すとしている。

◆価格改定
・住友ベークライトがフェノール樹脂を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%
・トーヨーカラーが有機顔料および加工顔料製品を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、5~15%
・クラレがポリビニルアルコール(PVA)繊維、クラロンK-II、ポリエステル短繊維を6月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%
・DIC北日本ポリマは、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂製品を6月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、製品毎に個別に設定(個別に案内予定)
・デンカがABS 樹脂、デンカIP、透明樹脂、クリアレンを6月17日納入分より値上げ
 値上げ幅は、20円/kg以上

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