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2024年7月11日

2024.07.11 発行

HEADLINE

◆水素関連:出光興産らが常温・常圧で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能を達成(7月4日)
◆電子部品:東レが高速非破壊X線検査用 業界最高水準の高輝度・高耐久シンチレータパネルを販売開始(7月4日)
◆電子材料:第一工業製薬が高性能帯電防止剤用イオン液体の事業拡大への取り組み強化を発表(7月3日)
◆炭素:東洋炭素が黒鉛材料の非化石原料化に向けた研究開発テーマがNEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プロ
 グラムに採択(7月3日)
◆リサイクル:JX金属がリサイクル100%電気銅の供給と銅の水平リサイクルの実現に向けてChain of Custodyの妥当性
 完了を確認(7月3日)
◆CO2対策:日揮グローバルがタイでセメント工場排ガスを利用したCCUプロジェクトのPre-FS役務を受注(7月2日)
◆塗料:住友ベークライトが超低モノマー水溶性フェノール樹脂の販売開始を発表(7月1日)
◆タイヤ:横浜ゴムが中国に乗用車用タイヤの新工場を建設(7月1日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・カネカが耐衝撃性改良樹脂、加工性改良樹脂、耐熱性改良樹脂を7月22日出荷分より値上げ
・東洋インキが油性オフセットインキ、UVインキ、スクリーンインキを8月1日出荷分より値上げ
・住友ベークライトがポリカーボネート樹脂関連製品、塩化ビニル樹脂関連製品ペット樹脂製品を8月1日出荷分より値上げ
・デンカが食品包材用スチレン系シートを8月1日納入分より値上げ 
・デンカがデンカサーモシートBOPSを8月1日納入分より値上げ 
  
  

WEEKLY NEWS

◆水素関連:出光興産らが常温・常圧で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能を達成(7月4日)
 出光興産、東京大学、大阪大学、産業技術総合研究所は、共同で実施している研究開発において、空気中に多量に存在する窒素と水から常温・常圧で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能を達成したことを発表した。
 燃焼時に CO2を排出しないアンモニアは、水素キャリアや発電・工業ボイラー用の新燃料として注目されているが、高温・高圧で製造されるため、製造時のCO2排出量の抑制が課題であった。今回の研究成果は、常温・常圧下の窒素・水・電気(再生可能エネルギー由来を想定)でアンモニアを連続的に製造できることをラボスケールで実証したもので、アンモニア製造工程におけるカーボンフリーの実現にはずみをつける革新的な技術となる。
 今後は、コスト競争力の高い量産化技術の確立を目指し着実に開発を進め、研究成果 をさらに発展させるとしている。

◆電子部品:東レが高速非破壊X線検査用 業界最高水準の高輝度・高耐久シンチレータパネルを販売開始(7月4日)
 東レは、非破壊X線検査の高速化と稼働率向上に貢献する、高耐久な短残光シンチレータパネルを開発し、2024年6月より国内外向けに販売を開始したことを発表した。
 非破壊X線検査は、①検査装置市場の成長、②検査対象品種の拡大、③インライン化による全数検査の採用の3つの要因により、X線検査装置市場は年率約10%と高い成長が見込まれ、近年では検査数増大に対応するため、高速化のニーズが高まっている。
 今回、東レが独自開発した高反射率フィルムをベースフィルムに採用する事でシンチレータパネルの初期輝度を最大21%向上させる事に成功しており、輝度劣化が進む原因を解明し対策する事で、同社加速試験後の輝度では従来技術対比、最大30%改善させる事に成功した。
 東レは、顧客のニーズに応えるX線シンチレータパネルの新製品を開発、提供することで本分野でのリーディングポジションを維持するとしている。

◆電子材料:第一工業製薬が高性能帯電防止剤用イオン液体の事業拡大への取り組み強化を発表(7月3日)
 第一工業製薬は、PFAS非該当構造のイオン液体技術を基に高性能帯電防止剤での事業拡大に向けて、効率的な材料提案の手法や少量多品種対応への生産プロセス開発の取り組みを強化すると発表した。
 ディスプレイ部材では大型化、高画質、高性能化が求められているが、静電気が深刻な問題とされており、その原因となる帯電を抑制するために高性能帯電防止剤が必要である。一方、PFASは、一部の物質で難分解性や生物蓄積性を問題視され、欧米を中心に規制強化の動きが進んでいる。
 第一工業製薬では、PFASに該当しない構造のビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)系イオン液体を保有・製品化しており、少量添加でも性能を十分発揮する高性能帯電防止剤として、主に光学材料分野で高評価を得ている。
 現在、イオン液体の構造的特徴を数値化、独自のデータベース作成により効率的な材料提案を開始している。また、非フッ素系での材料開発も並行して進めている。
 同社はこれらの取り組みにより、高性能帯電防止剤用イオン液体の事業拡大を図り、2030年度には15億円の売上規模を目指すとしている。

◆炭素:東洋炭素が黒鉛材料の非化石原料化に向けた研究開発テーマがNEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラムに採択(7月3日)
 東洋炭素は、産業技術総合研究所、SECカーボン、日鉄ケミカル&マテリアルとともに新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募した2024年度「NEDO 先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」における研究開発課題「人造黒鉛における化石由来原料依存からの脱却に資する革新的製造技術の開発」に対し、「黒鉛材料の非化石原料化に向けた研究開発」を提案し、研究開発テーマとして採択されたと発表した。
 本プログラムは、脱炭素社会の実現や新産業の創出に向け、2040年以降に実用化・社会実装が期待される要素技術を発掘・育成し、国家プロジェクトを含む産学連携体制による共同研究等につながる先導研究として実施される。
 同社は、本研究を通じ、各社と連携し、非化石資源から製造された人造黒鉛原料を2040年に社会実装することを目指すとともに、2050年カーボンニュートラル達成に向けて貢献するとしている。

◆リサイクル:JX金属がリサイクル100%電気銅の供給と銅の水平リサイクルの実現に向けてChain of Custodyの妥当性完了を確認(7月3日)
 JX金属は2023年度よりマスバランス方式を用いた100%リサイクル電気銅の上市を目指し、マスバランス方式の信頼性を高めるために必須であるChain of Custody(CoC管理)の第三者機関による妥当性確認を終えたことを発表した。
 これにより、100%リサイクル電気銅の供給と銅の水平リサイクルの社会実装のための準備が完了した。
 CoC管理は、リサイクル原料とリサイクル原料から製造した電気銅の物量管理を信頼性高く実施する仕組みであり、マスバランス方式の信頼性の確保のためには、CoC管理体制を確立することが必要である。今回、第三者機関が同社のCoC管理体制の妥当性を確認したことで、マスバランス方式を用いた100%リサイクル電気銅の供給体制の構築が完了した。
 同社は、グリーンハイブリッド製錬を推進するとともに、2024年1月には、マスバランス方式を用いて100%リサイクル電気銅を商品化するとしている。

◆CO2対策:日揮グローバルがタイでセメント工場排ガスを利用したCCUプロジェクトのPre-FS役務を受注(7月2日)
 日揮グローバルは、タイ王国のセメント製造大手の一つであるサイアム・セメント・グループ(以下、SCG)から、同社のセメント工場排ガスからのCO2分離回収・利用(CCU)設備に係るPre-FS(Pre-Feasibility Study:事前事業化調査)役務を受注したと発表した。
 セメントは、原料として炭素と酸素を含む石灰石を燃焼させて製造するため、その製造過程で大量のCO2を排出する。そのため、電力、鉄鋼と並んでCO2排出量が多い産業の一つと言われている。
 今回受注したCCU設備のPre-FS役務は、SCGが所有するセメント工場から排出されたCO2を大気放出前に回収し、新たなケミカル製品に転換するCCU設備の建設に向けて、CCU技術のライセンサーの検討、CO2回収設備やケミカルプラントの必要生産能力、および経済性などの検討を行うとしている。

◆塗料:住友ベークライトが超低モノマー水溶性フェノール樹脂の販売開始を発表(7月1日)
 住友ベークライトは、フェノール樹脂に含まれる残存原料であるフェノール、ホルムアルデヒドなどのVOC(揮発性有機化合物)を0.1%未満まで低減した超低モノマー水溶性フェノール樹脂の販売を開始したことを発表した。
 フェノール樹脂は、高い耐熱性を示し、中でもレゾール型は、主に溶液状で取り扱われている。各種繊維やフィラーなどの基材と高い接着性を示すため、様々な基材のバインダーとして使用されてきたが、溶液タイプのレゾール型樹脂を使用する際には、有機溶媒系では設備の防爆対策やVOC対策が必要になる。また、比較的環境負荷の小さい水溶液系のフェノール樹脂も使用されているが、疎水性の高いフェノール樹脂に水溶性を付与するとフェノール、ホルムアルデヒドが樹脂水溶液中に多く残存し、VOCや臭気として発生する課題があった。
 これに対して同社では、遊離フェノール、遊離ホルムアルデヒドを0.1%未満まで低減させ、作業時臭気やVOCの大幅な低減も実現した。本製品は、20倍以上の水希釈が可能、粘度やアルカリ性も使用上問題にならない性能を確保し、水を添加しても透明性を保ったまま溶解できる等、優れた水溶性を有している。
 今後は、半導体関連をはじめ、航空・宇宙産業や電池材料などのエネルギー関連用途へも拡大を図っていく。将来的にはグローバル市場で年間50億円の販売を目指すとしている。

◆タイヤ:横浜ゴムが中国に乗用車用タイヤの新工場を建設(7月1日)
 横浜ゴムは、成長する中国市場への供給能力を増強する為、中国に乗用車用タイヤの新工場を建設することを発表した。
 新工場建設は中国現地政府の都市再開発を目的とした移転要請に応じたもので、現地のタイヤ生産子会社である杭州優科豪馬輪胎の既存工場を移転し、同じ杭州市内に新工場を建設する。
 また、今回の移転を機に、中国市場における今後のさらなる需要増を確実に取り込むため、生産能力を既存工場の600万本から300万本増強し、900万本へと増強する。特に新車装着向けはEVなど新エネルギー車への納入を拡大し、市販向けは高付加価値品比率を上げるためにハイインチタイヤの生産能力を強化する。
 今回の投資額は19億6,000万元(約367億円)で2026年第2四半期から生産開始を予定している。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 7月契約価格は、1,065$/t(前月比▲30$/t)
 国内価格換算想定値は177.9円/kg
・カネカが耐衝撃性改良樹脂、加工性改良樹脂、耐熱性改良樹脂を7月22日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、耐衝撃性改良樹脂(カネエースB、同M):80円/kg以上
 耐衝撃性改良樹脂(カネエースFM):60円/kg以上
 加工性改良樹脂(カネエースPA):40円/kg以上
 耐熱性改良樹脂(カネカテルアロイ):70円/kg以上
・東洋インキが油性オフセットインキ、UVインキ、スクリーンインキを8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、オフセット輪転インキ:60円以上/kg
 オフセット枚葉インキ:150円以上/kg
 オフセット新聞インキ:60円以上/kg
 UVインキ:100円以上/kg
 スクリーンインキ:10%以上/kg
 なお、大幅な原料価格上昇の影響を受けている一部製品は、別途担当者よりご案内
・住友ベークライトがポリカーボネート樹脂関連製品、塩化ビニル樹脂関連製品、ペット樹脂製品を8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%以上
・デンカが食品包材用スチレン系シートを8月1日納入分より値上げ 
 値上げ幅は、19円/kg以上
・デンカがデンカサーモシートBOPSを8月1日納入分より値上げ 
 値上げ幅は、19円/kg以上

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