2024.08.01 発行
◆不織布:クラレが不織布事業を再構築(7月26日)
◆電子材料:積水化学工業が先端半導体製造用工程材料の国内生産能力増強、および台湾R&D拠点の新設を発表(7月25日)
◆水素関連:JFEスチールと日本水素エネルギーが液化水素サプライチェーンに向けた土地賃貸借契約を締結(7月25日)
◆通信関連:ニフコがミリ波レーダー対応電磁波吸収パネルを商品化(7月23日)
◆石油化学:レゾナックが石油化学事業に関する子会社を設立(7月23日)
◆電子材料:旭有機材が電材第二工場の竣工式を実施(7月23日)
◆フィルム:積水化学工業がタイにおける合わせガラス用中間膜の生産能力増強を発表(7月22日)
◆価格改定
・トクヤマがセメント及びセメント系固化材を2025年4月1日出荷分より値上げ
◆不織布:クラレが不織布事業を再構築(7月26日)
クラレは、不織布事業において乾式不織布の事業撤退、およびメルトブローン不織布の生産能力縮小を決定したことを発表した。
同社は1972年より乾式不織布、1989年よりメルトブローン(以下MB)不織布の製造・販売をしてきた。しかし、近年はアジアにおける他社の設備増設に伴う供給過剰と国内需要減少により事業環境は厳しさを増している。今後の事業方針について検討した結果、生産能力縮小による再構築が不可欠であると判断した。
乾式不織布は、クラレクラフレックス岡山工場の設備を2024年12月末生産終了、2025年3月末販売終了予定である。MB不織布は、同岡山工場の生産ラインを2024年6月末に停止しており、クラレ西条事業所に生産集約済である。
今後は、MB不織布事業に経営資源を集中することで不織布事業の再構築を行うとしている。
◆電子材料:積水化学工業が先端半導体製造用工程材料の国内生産能力増強、および台湾R&D拠点の新設を発表(7月25日)
積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは、武蔵工場(埼玉県)における先端半導体製造工程に使用される高接着易剥離UVテープ「SELFA」の生産能力増強、および同製品を含む半導体関連材料の評価・分析が可能なR&D拠点を台湾に新設することを発表した。
高接着易剥離UVテープ「SELFA」は、高い接着性とUV照射による易剥離性を両立させたテープであり、薄く研磨されたウエハー等でもダメージ無く加工することが可能である。これらの優れた特性は、AI・高速通信向けの最先端半導体や車載向けパワー半導体向けを中心に顧客より高く評価されている。
また、半導体関連企業が集積し、最先端の技術開発を積極的に行っている台湾(新竹市)に、R&D拠点を新設することにより、高度化が進むニーズの先取りや対応強化を図り、本製品をはじめとした各種半導体材料の新規開発の加速、採用拡大を目指す。
同社では、武蔵工場と台湾半導体材料R&D拠点に対し、総額約50億円の投資を予定しており、武蔵工場は2027年度上期(2027年4月~9月)、台湾半導体材料R&D拠点は2025年4月に稼働を開始する予定としている。
◆水素関連:JFEスチールと日本水素エネルギーが液化水素サプライチェーンに向けた土地賃貸借契約を締結(7月25日)
JFEホールディングス(以下、JFE)、JFEスチールと日本水素エネルギーは、日本水素エネルギーの実施する「液化水素サプライチェーンの商用化実証」を目的に、JFEスチール東日本製鉄所(京浜地区)扇島の土地(約21ha)を賃貸借することで合意したと発表した。
JFEは、JFEスチール東日本製鉄所(京浜地区)の高炉等上工程休止後の土地活用について、川崎市との間で相互の協力に関する協定や扇島地区先導エリアの整備推進に関する協定を締結しており、地域・社会の持続的な発展および国の重点課題の解決に資する土地利用転換に取り組んでいる。本実証を進めるにあたり、扇島地区は京浜工業地帯に属し、水素需要のポテンシャルが見込めることから、本実証の液化水素受け入れ地として選択した。
JFEスチールは対象地の既存建物の撤去等を実施し、その後、日本水素エネルギーが、本実証の設備建設を開始する予定である。日本水素エネルギーは2028年度の設備建設完了、2029年度の液化水素運搬船入港、2030年度の本実証完了、および同年度中の日本国内への水素供給開始に向け取り組みを進めるとしている。
◆通信関連:ニフコがミリ波レーダー対応電磁波吸収パネルを商品化(7月23日)
ニフコは、ミリ波レーダー対応電磁波吸収パネルを商品化し、販売を開始したことを発表した。
ミリ波レーダーは、自動車に搭載される先進安全装置のひとつである。周囲に電磁波を照射し対象となる車両や人を検知するが、照射範囲に不要な金属反射物がある場合、ノイズとなる反射波が発生し対象物以外を誤検知してしまうことが課題となっている。また、近年のミリ波レーダーの高性能化に伴ない、高周波化された電磁波がバンパー内部で反射しノイズとなり、不具合が発生する事例があり、電磁波ノイズ対策のニーズが高まっている。この課題に対し、同社はミリ波レーダーノイズ対策として、高い電磁波吸収性能を有した電磁波吸収パネルを商品化した。
この電磁波吸収パネルは車載用途だけでなく、自動車生産ラインの完成車検査工程や自動車整備工場におけるエーミング(ミリ波レーダーのキャリブレーション)作業においても、ノイズ対策環境の実現に貢献することが実証されている。
同社は、自動車部品のみならず、自動車アフターマーケットにおける次世代技術に対応する環境・安全・快適に繋がる様々な製品の開発を進めるとしている。
◆石油化学:レゾナックが石油化学事業に関する子会社を設立(7月23日)
レゾナックは、分割準備会社として石油化学事業に関する100%出資の子会社「クラサスケミカル株式会社」を8月1日に設立することを発表した。
同社における石油化学事業は、主要事業の一つであり、「安定収益事業」と位置付けている。同事業は日本の社会インフラとしての役割を果たす公共的な側面があり、将来に亘って同事業の持続的・安定的な運営を行う必要がある。そのため、独立した上場会社として石油化学のグリーン・トランスフォーメーション実現のための取り組みを加速させることで、更なる利益の成長と競争力を強化することが必要である。
同目的の実現のため、分割準備会社「クラサスケミカル」を設立し、同社の石油化学事業の承継にむけ、準備を開始する。事業内容は、エチレン、プロピレン等の基礎石油化学製品の製造・販売、酢酸を主原料とした有機化学製品の製造・販売、合成樹脂製品の製造・販売等としている。
◆電子材料:旭有機材が電材第二工場の竣工式を実施(7月23日)
旭有機材は、愛知県にある工場敷地内にて電材第二工場が完成し、竣工式を実施したことを発表した。
同工場では、レガシー半導体および先端半導体用のフォトレジストなどに使用される材料の生産・提供を行う予定である。
電材第二工場の建設にかかった総投資額は約60億円で、8月から試運転を開始し、今年度の第4四半期から量産を開始する予定としている。
◆フィルム:積水化学工業がタイにおける合わせガラス用中間膜の生産能力増強を発表(7月22日)
積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは、タイの合わせガラス用中間膜の生産拠点に「新製膜ライン」を増設することを発表した。
世界の自動車生産台数は今後、年率1~2%程度で成長し、2030年には98百万台(2023年90百万台)に達すると予想されている。加えて、新エネルギー車(EVなど)へのシフトが加速しており、合わせガラス用中間膜は、フロントガラスのみならずサイドガラスやルーフガラスなど使用される部位が広がるとともに、補修需要も拡大していることから、自動車生産台数を上回る需要拡大を見込んでいる。さらに、ヘッドアップディスプレイ(HUD)対応、デザイン、遮音・遮熱など高い機能を付加した中間膜については、年率5%以上の高い成長率で推移すると考えている。
このようなニーズを背景に、2017年下期にメキシコ工場で遮音中間膜、2020年下期にオランダ工場でHUD向けくさび形中間膜の本格的な生産を開始した。今回、タイにHUD用くさび形中間膜、カラー/デザイン中間膜を中心としたN-HPPの生産ラインの増設を決定した。
今回の生産能力増強にかかる投資額は約80億円で、自動車700万台分/年の設備を増強する。新製膜ラインは2026年度下期の稼動予定としている。
◆価格改定
・トクヤマがセメント及びセメント系固化材を2025年4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、2,100円/トン以上