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2024年9月12日

2024.09.12 発行

HEADLINE

◆シート:JSPが無架橋発泡導電性ポリエチレンシートの販売を開始(9月6日)
◆建材:アイカ工業が茨城工場内に高級人造石の新工場棟を建設(9月6日)
◆樹脂:エボニックが高吸水性樹脂事業をICIGに売却(9月6日)
◆電子材料:信越化学がGaNの300㎜化に向けQST基板を開発(9月3日)
◆電子材料:AGCが台湾に半導体・電子材料向け化学製品のテクニカルサービス拠点を開設(9月2日)
◆繊維: 帝人フロンティアがタイでコンジュゲート長繊維の生産設備を増設(9月2日)
◆バイオマス:三井・ダウ ポリケミカルがバイオマスEVA、バイオマスLDPEの販売開始を発表(9月2日)
◆トナー用樹脂:三井化学がトナー用バインダー樹脂事業からの撤退を発表(9月2日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
  
  

WEEKLY NEWS

◆シート:JSPが無架橋発泡導電性ポリエチレンシートの販売を開始(9月6日)
 JSPは、ミラマット(発泡ポリエチレンシート)シリーズに導電性機能が付与された新製品「導電性ミラマット」を加え、2024年7月より販売を開始したことを発表した。
 同製品は、原材料にカーボンブラックを配合することにより、表面固有抵抗値106Ω/以下を実現し、静電気を瞬時に逃がすことができる導電性と緩衝性を兼ね備えた製品である。さらに同社独自技術のカーボンの脱落汚れを抑える処方により、梱包物や保護物などへの色移りや移行汚れの付着がほとんどない。
 同社は、同製品の投入により、従来のフラットパネルディスプレイ関連分野での表面保護用途だけではなく、今までの帯電防止製品ではカバーできなかった電子基板や半導体関連など新しい分野へ販路を拡大し、まずは初年度に1億円の売上を目指すとしている。

◆建材:アイカ工業が茨城工場内に高級人造石の新工場棟を建設(9月6日)
 アイカ工業は、茨城工場内に新工場棟(第2工場)を建設し、高級人造石「フィオレストーン」の加工ラインを増設したことを発表した。
 世界的に良質な大理石が入手困難となる中、インテリア業界では、天然水晶に樹脂などを配合して成形した高級人造石の需要が拡大している。同社は、2011年に国内初の高級人造石オリジナルブランドとして「フィオレストーン」を発売し、高級マンションのキッチン天板用途を中心に市場シェアを拡大してきた。
 旺盛な高級マンション需要の継続、洗面などへの用途の拡大、インバウンド回復によるホテル需要の伸長によって高級人造石市場は成長を続けており、同製品のさらなる売上拡大が見込まれることから、総額約8.3億円を投じて、既存工場棟の隣に第2工場を建設した。加工ラインの増設を含む各種工事が完了し、10月より稼働予定である。なお、生産能力は従来の約1.5倍に向上する。
 同社は、この生産能力増強によって需要に対応し、フィオレストーンを含むストーン事業全体で2026年度に売上高約100億円(2022年度比約1.4倍)を目指すとしている。

◆樹脂:エボニックが高吸水性樹脂事業をICIGに売却(9月6日)
 エボニック インダストリーズは、インターナショナル・ケミカル・インベスターズ・グループ(ICIG)に高吸水性樹脂事業を売却することを、競争当局の承認を得て8月31日に完了したと発表した。
 高吸水性樹脂は、おむつなどの衛生用品の吸収体として使用されるパウダー状のポリマーである。売却した事業は、2023年に8.92億ユーロの売上高を計上し、約1,000人の従業員、さらにドイツに3拠点、米国に2拠点の生産施設を有していた。今回の売却により、ICIGはドイツ・米国計5ヶ所の生産施設を承継し、従業員はICIGグループのもとで雇用を継続している。ICIGはドイツに本社を置く、化学品投資会社である。
 売却による収益はエボニックのグリーントランスフォーメーション投資に充当するとしている。

◆電子材料:信越化学がGaNの300㎜化に向けQST基板を開発(9月3日)
 信越化学工業は、GaN専用の成長基板であるQST基板の300㎜(12インチ)化を実現し、サンプル供給を開始したと発表した。
 同社は、これまで150㎜(6インチ)、200㎜(8インチ)のQST基板、および各口径のGaN on QSTエピタキシャル基板の販売を行ってきたが、顧客からの要望により更なる大口径化に取り組み、QST基板の300mm(12インチ)化に成功した。
 GaNは、従来のSi生産ラインが使用可能なことから、大口径化による生産コスト低減が期待されていた。しかし、GaN成長に適した基板がないことから、大口径化による反り等の課題により生産歩留まりが低いという課題があった。今回の300㎜QST基板の開発により、Si基板上では不可能であった反りやクラックのない厚膜の300㎜ GaNエピタキシャル成長が可能となる。
 QST基板はGaNと熱膨張係数が同等であり、大口径で高品質な厚膜GaNエピタキシャル成長を可能とする基板材料である。この特長を生かし、パワーデバイス、高周波デバイス、LED向けそれぞれに、国内外の多数の顧客がデバイス開発を続けている。
 150㎜、200㎜に加えて、300㎜ QST基板のラインアップにより、GaNデバイスの普及を大きく加速することができるとしている。

◆電子材料:AGCが台湾に半導体・電子材料向け化学製品のテクニカルサービス拠点を開設(9月2日)
 AGCは、台湾・新竹において化学製品のテクニカルサービス拠点「AGCケミカルズテクニカルセンター」を2024年10月に開設することを発表した。
 台湾は、半導体製造の前工程から後工程まで、主要企業が集結する重要な地域であり、化学製品を取り扱う同施設を開設することで、同地域でのマーケティング活動を強化し、迅速な技術サービスを提供していく。また、現地で半導体・電子材料市場における最新のニーズを把握し、顧客の技術ロードマップに沿った化学製品の提案や、新製品の研究開発につなげることを目指す。
 AGCは、今回の同施設の開設により、半導体・電子材料関連のソリューションの提供拡大を進めるとしている。

◆繊維: 帝人フロンティアがタイでコンジュゲート長繊維の生産設備を増設(9月2日)
 帝人フロンティアは、タイでポリエステル繊維の製造・販売を展開するグループ会社、テイジン・ポリエステルにて、コンジュゲート長繊維の需要増に対応するため生産設備を増設することを発表した。
 近年のウール市場における、ウールの代替素材のニーズが高まっている。そのため、梳毛調のナチュラルな外観とともにストレッチ性などの機能性を有するコンジュゲート長繊維の素材である「トリクシオン」などの販売が、ファッション衣料向けやユニフォーム向け中心に大きく伸びている。今後もコンジュゲート長繊維の需要増加が予想されることから設備を増設することとした。新設備は、9月から本格生産を開始し、2025年度の生産量は700t/年を予定している。
 同新設備で生産したコンジュゲート長繊維は、原糸やテキスタイル、それらを使用した製品として、同社グループ向けを含め、国内・海外に幅広く販売していく。将来的には新開発のコンジュゲート長繊維などの生産にも活用していくとしている。

◆バイオマス:三井・ダウ ポリケミカルがバイオマスEVA、バイオマスLDPEの販売開始を発表(9月2日)
 三井・ダウ ポリケミカルは、マスバランス方式を用いたバイオマス由来のエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)および低密度ポリエチレン(LDPE)の販売を開始することを発表した。
 同社では、2024年5月に千葉工場でISCC PLUS認証を取得して以降、これらの製品の生産・販売開始の準備が進めてきた。
 これらの製品は、使用原料のバイオマスエチレンが石油由来のエチレンと同等の物性を示すことから、従来の製品から容易に切り替えることができ、製品のライフサイクル全体でGHG排出量の削減に貢献するとしている。

◆トナー用樹脂:三井化学がトナー用バインダー樹脂事業からの撤退を発表(9月2日)
 三井化学は、トナー用バインダー向けのスチレンアクリル樹脂、およびポリエステル樹脂事業からの撤退を決定し、2025年度上期を以て生産を停止することを発表した。
 三井化学は、ICTソリューション事業本部コーティング・機能材事業部においてトナー用バインダー向けのスチレンアクリル樹脂、およびポリエステル樹脂事業を展開しているが、価格競争の激化、原材料の価格高騰、コロナ渦以降の働き方変容に伴う印刷需要の縮小により、事業採算は極めて厳しい状況となっている。こうした状況に対応し、あらゆる合理化・コストダウン等に取り組んだが、事業を継続するための収益確保が困難と判断し、撤退することを決定したとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 9月契約価格は、1,045$/t(前月比+25$/t)
 国内価格換算想定値は156.8円/kg

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