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2025年1月16日

2025.01.16 発行

HEADLINE

◆無機:大日精化工業が盤状タイプと微粒子タイプの複合酸化物系の熱伝導フィラーを開発(1月10日)
◆電子材料:三井金属鉱業が高周波基板用電解銅箔「VSP」の生産体制増強(1月7日)
◆樹脂:三菱ケミカルが米国ルイジアナ州におけるMMAモノマープラント新設計画の検討を中止(1月7日)
◆太陽電池:積水化学工業がペロブスカイト太陽電池の量産化の開始を決議(12月26日)
◆電子材料:住友化学が大型液晶ディスプレイ(LCD)用偏光フィルム事業を抜本的に構造改革(12月24日)
◆非鉄金属:東邦チタニウムがトーホーテックのチタン系粉事業を同社に移管することを発表(12月24日)
◆電子材料:千代田エクスワンエンジニアリングが東洋合成工業向け千葉工場第4感光工場の製造設備の増設における計装・
 電気工事を完工(12月24日)
◆電池:千代田化工建設が出光興産向け全固体電池実用化に向けた固体電解質大型パイロット装置の基本設計業務を受注
 (12月24日)
◆脱炭素:千代田化工建設とJFEエンジニアリングが脱炭素に関する国内EPC案件における協業について検討を開始
 (12月24日)
◆CO2対策:AGCがCO2を原料としたエチレンの製造検討を開始(12月24日)
◆リサイクル:東洋エンジニアリングの子会社が太陽鉱工マレーシアから使用済み触媒リサイクル設備を建設するプロジェクト
 を受注(12月24日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの1月の契約価格を改定
・エア・ウォーターが産業用・医療用ガスを1月1日出荷分より値上げ
・住友化学が塩酸を1月10日出荷分より値上げ
・クラレがアルコール系溶剤〈ソルフィット〉シリーズ製品を3月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆無機:大日精化工業が盤状タイプと微粒子タイプの複合酸化物系の熱伝導フィラーを開発(1月10日)
 大日精化工業は、すでに上市しているアルミナ系複合酸化物フィラー 「ダイピロキサイド #730シリーズ」に続き、盤状タイプと微粒子タイプを開発したと発表した。
 開発品の特徴はアルミナ同等の絶縁性・耐水性等を有しながら、アルミナ対比で高熱伝導・低摩耗であるため、エンプラ等、従来アルミナ系フィラーの使用が難しい樹脂部材への熱伝導性付与を可能とする。
 盤状タイプは厚みのある低アスペクト比の板状熱伝導フィラーである。一般的な高アスペクト比の板状フィラーに比べ、高い充填性を有し、成型物においてベース樹脂の性能を高いレベルで維持する。
 一方、微粒子タイプはサブミクロンサイズの熱伝導フィラーである。微粒子でありながら容易に分散が可能であり、微粒子の特性を活かした最密充填による熱伝導性の向上に寄与する。
 今後、同社は熱マネジメントを必要とする製品メーカーへ熱伝導フィラーの新たな選択肢として提案を進めていくとしている。

◆電子材料:三井金属鉱業が高周波基板用電解銅箔「VSP」の生産体制を増強(1月7日)
 三井金属鉱業は、台湾工場で生産している高周波基板用銅箔「VSP」の生産体制について、台湾工場での生産能力増強およびマレーシア工場での生産開始により、従来の生産能力から約40%増加の580t/月になることを発表した。
 高周波基板用電解銅箔「VSP」は、高周波数帯におけるプリント基板の伝送損失低減に大きく寄与することから、サーバー、ルーター、スイッチ等の高性能通信インフラ機器に採用されている。足元では特にAIサーバー関連での需要が大きく伸長しており、今後もVSPの更なる拡大が期待されている。
 このような状況を受け、台湾工場では、現有設備での生産性改善により520t/月への増強を完了し、既に稼働している。また、マレーシア工場において、一般箔の現有設備の転用により新たにVSP生産を開始し、2025年4月より生産能力60t/月体制で稼働する予定である。
 これらによって、台湾工場およびマレーシア工場の2拠点合計でのVSP生産能力は580t/月となる。同社は、今後の需要拡大に応じた更なる増強も視野に入れ、旺盛な需要に対応していくとしている。

◆樹脂:三菱ケミカルが米国ルイジアナ州におけるMMAモノマープラント新設計画の検討を中止(1月7日)
 三菱ケミカルは、2020年12月に公表していた米国ルイジアナ州ガイスマーにおける、新エチレン法(アルファ法)によるMMAモノマープラントの新設に関して、同投資計画の検討中止を決議したことを発表した。
 MMAモノマーは、自動車のランプカバー、看板、水族館の水槽、塗料、建材などに用いられるアクリル樹脂の原料で、世界需要は年間300万トンを超えており、今後も安定的な市場成長が見込まれている。しかし、米国テネシー州やその他地域における既存のMMAモノマー製造設備により当面の需要に対応できる見通しであることや、インフレ等により増大した設備投資額に基づく取引先との交渉の結果、同投資計画実行後の長期的な取引に対するコミットメントが得
られなかったことなどから、同投資計画検討の中止の判断に至った。
 本投資計画の検討中止を決定したことに伴い、現在までに発生した本投資関連費用の減損処理等により、2025年3月期第3四半期以降に約200億円の損失を計上する見通しとしている。

◆太陽電池:積水化学工業がペロブスカイト太陽電池の量産化の開始を決議(12月26日)
 積水化学工業は取締役会において、ペロブスカイト太陽電池の量産化を開始する決議をしたことを発表した。
 同社は 2025年の事業化を目指し、NEDOグリーンイノベーション基金を活用し、軽量フレキシブルペロブスカイト太陽電池の開発・量産技術確立に取り組んできた。一定の技術は確立し、2025年の事業化は現有設備で製造を行う方針であるが、製造コストの低減やそれを可能とする生産能力拡大が課題であた。今回、経済産業省のGXサプライチェーン構築支援事業の採択が決定し、まずは 2027年に100MW製造ライン稼働を目指し設備投資を行う事とした。
 量産化の内容としては、大阪府堺市にあるシャープの本社工場の建物や電源設備、冷却設備などを譲り受け、ペロブスカイト太陽電池製造設備を導入し、2025年度に製造・販売を行う予定である。新たな事業開始にあたっては、ペロブスカイト太陽電池の設計・製造・販売を行う事を目的とした新会社(積水ソーラーフィルム)を設立し、事業運営を行う。
 当初は軽量フレキシブルの特長を活かし耐荷重性の低い屋根、公共部門(災害時避難所等)を中心に導入を進め、量産効果でコストを低減し、民間の工場・倉庫等の屋根・外壁面もターゲットに需要創出を行い事業拡大を狙う。
 なお、今後、海外展開も視野に入れ、需要の獲得を進め段階的に増強投資を行い2030年にはGW級の製造ライン構築を目指すとしている。

◆電子材料:住友化学が大型液晶ディスプレイ(LCD)用偏光フィルム事業を抜本的に構造改革(12月24日)
 住友化学は、中国における大型液晶ディスプレイ(LCD)用偏光フィルム事業を、湖北三利譜光電科技と北京梧桐投樹嘉豊企業管理コンサルティングが出資する現地偏光フィルムメーカーに譲渡することを発表した。
 同社は、中国における大型LCD産業の伸長に伴う偏光フィルムの需要拡大に対応するため、2009年に住化華北電子材料科技(北京)、2016年に旭友電子材料科技(無錫)を設立し、ピーク時には中国大型LCD用偏光フィルムを売上収益1,000億円規模の事業へ成長させた。しかし、昨今の中国における大型LCD用偏光フィルム市場の成熟化などの事業環境の変化を踏まえ、ベストオーナーの観点から再編を検討してきており、今回、現地偏光フィルムメーカーへの持分譲渡を含む本再編が最適であると判断した。
 住友化学は技術優位性を生かせる分野へのシフトを進めており、OLED・車載用途等高機能分野での売上をこの数年で大きく増加させている。同分野は今後も高い成長が見込まれており、引き続き、偏光フィルム事業の収益拡大に努めていくとしている。

◆非鉄金属:東邦チタニウムがトーホーテックのチタン系粉事業を同社に移管することを発表(12月24日)
 東邦チタニウムは、WEBTiの生産体制強化を目的に、100%子会社であるトーホーテックのチタン系粉事業を、2025年1月1日付で同社に移管することを発表した。
 近年、CO2を排出しないエネルギーの一つとして水素が注目されており、そのなかでもPEM(固体高分子膜)型水電解装置などで製造するグリーン水素の需要は年率約30%の成長が見込まれている。同社のWEBTiは、そのPEM型水電解装置におけるPTL(多孔質輸送層)の用途として活用できることから、国内外含めて引き合いが強く、2026年1月の稼働を目途に茅ヶ崎工場において量産工場を建設している。
 WEBTiの原材料となるチタン系粉はトーホーテックが製造・供給しているが、原料調達の安定化及び一貫生産体制確立、さらにはWEBTi事業運営における意思決定の迅速化を目的として、チタン系粉事業を同社に移管することにした。
 今後チタン系粉の販売はトーホーテックから同社が引継いで行っていくとしている。

◆電子材料:千代田エクスワンエンジニアリングが東洋合成工業向け千葉工場第4感光工場の製造設備の増設における計装・電気工事を完工(12月24日)
 千代田エクスワンエンジニアリングは、東洋合成工業向け、千葉工場の第4感光材工場製造設備の増設に係る計装・電気工事を完工したことを発表した。
 本プロジェクトを通じ、先端半導体向け感光材の製造設備の増設により、生産能力を増強させ、急増する需要と顧客品質を満たす安定供給体制が強化された。今回の増設により、千葉工場の先端半導体向け材業の生産能力は2022年3月期比で最大1.8倍の規模になるとしている。

◆電池:千代田化工建設が出光興産向け全固体電池実用化に向けた固体電解質大型パイロット装置の基本設計業務を受注(12月24日)
 千代田化工建設は、出光興産より、同社千葉事業所における全固体電池実用化に向けた固体電解質大型パイロット装置の基本設計業務を受注したことを発表した。
 本件は、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」に採択された出光興産の事業の下で、全固体電池の材料となる固体電解質の大型パイロット装置の基本設計業務を行うものである。この大型パイロット装置で、出光興産は固体電解質の量産技術の確立を加速させ、全固体電池市場の早期立ち上げを推進する。
 千代田化工建設は、出光興産が長年の研究により開発した石油製品の製造過程で副次的に発生する硫黄成分を原料とした固体電解質を製造する大型パイロット装置を出光興産の千葉事業所内に建設するための基本設計業務に取り組むとしている。

◆脱炭素:千代田化工建設とJFEエンジニアリングが脱炭素に関する国内EPC案件における協業について検討を開始(12月24日)
 千代田化工建設とJFEエンジニアリングは、今後の国内の脱炭素に関するEPC(設計・調達・建設)案件を中心とした協業について検討を開始したことを発表した。
 2050年カーボンニュートラルの実現を向けて、今後国内ではエネルギー会社を中心に、アンモニア・CCS/CCUSなどの脱炭素分野への投資案件が数多く見込まれる。一方、これらの案件に対応できる高度なエンジニアリングリソースには限りがあり、確実なEPC遂行の大きな課題となっている。
 このような状況を踏まえ千代田化工建設とJFEエンジニアリングは、脱炭素分野を中心に案件単位で、FS(事業化検討)/FEED(基本設計)業務、EPC業務を受注・遂行することを目的に、両者の保有するエンジニアリング力の効果的活用、人的資本の相互補完・最適配置などを軸とした協業について検討するとしている。

◆CO2対策:AGCがCO2を原料としたエチレンの製造検討を開始(12月24日)
 AGCは、カナダの気候変動関連スタートアップ企業であるCERT systems(以下、CERT社)と、電気分解技術を用いた、CO2を原料としたエチレンの製造検討に関する共同研究契約を締結したことを発表した。
 近年、CO2を回収・利用するCCU技術が注目されている。CO2由来のエチレンを製造する際の主な反応方法としては、水素を利用した反応、電気分解による反応、光合成を利用した反応の3つが検討されている。なかでも、本検討の対象である電気分解法は、CO2以外に必要とする原料が再生可能エネルギー由来の電気と水であり、原料の調達利便性が高いことを背景に、世界中で活発に研究が進められている。CERT社は、2020年にCO2電気分解技術を用いてエチレンを製造するパイロット実証実験に成功している。
 本共同研究では、CCU技術の導入により、AGCグループが製造する塩化ビニル樹脂やフッ素樹脂の原料に使用するエチレンをCO2由来のエチレンに置き換える検討を行うとしている。

◆リサイクル:東洋エンジニアリングの子会社が太陽鉱工マレーシアから使用済み触媒リサイクル設備を建設するプロジェクトを受注(12月24日)
 東洋エンジニアリングの子会社であるToyo-Malaysiaは、太陽鉱工マレーシアよりマレーシア クアンタンのゲベン工業団地に使用済み触媒リサイクル設備を建設するプロジェクトを受注したことを発表した。
 Toyo-Malaysiaは、設計、調達、建設工事を一括で受注し、2027年度第1四半期の商業運転を予定している。
 この設備では、石油精製などの工業プロセスで使用された触媒から有価金属を効率的に回収してリサイクルし、廃棄物を最小限にすることで、使用済み触媒処理(年間回収処理量約7,000トン)による環境負荷を大幅に削減することができるとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの1月の契約価格を改定
 1月契約価格は、920$/t(前月比+10$/t)
 国内価格換算想定値は151.6円/kg
・エア・ウォーターが産業用・医療用ガスを1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、ヘリウムガス関連製品(産業用・医療用):10~20%以上
 液化炭酸ガス(産業用・医療用)、ドライアイス:20~30 %以上
 アルゴン、エルナックス:15%以上
・住友化学が塩酸を1月10日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、9円/kg
・クラレがアルコール系溶剤〈ソルフィット〉シリーズ製品を3月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、100円/kg以上

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