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2025年2月13日

2025.02.13 発行

HEADLINE

◆電子材料:東洋紡が液晶ディスプレイ用フィルム「コスモシャインSRF」の生産能力を3割増強(2月7日)
◆電子材料:SUMCOが小径シリコンウェーハの生産体制を再編(2月7日)
◆有機:丸善石油化学がマルカゾールR(イソドデカン)の生産能力を増強(2月7日)
◆リサイクル:住友大阪セメントと日泉ポリテックがCO2再資源化人工石灰石を使用した複合化PP樹脂を開発(2月6日)
◆バイオマス:日本製紙と東亜道路工業が木質由来のリグニンを用いた「常温アスファルト混合物用乳剤」を共同開発
 (2月6日)
◆電子材料:富士フイルムがベルギー拠点に40億円を投資し、先端半導体材料CMPスラリーの生産設備を導入(2月5日)
◆ゴム製品:ブリヂストン、ENEOSマテリアル、日揮ホールディングスが植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化
 に向けた連携を加速(2月5日)
◆樹脂:第一工業製薬が常温硬化可能な2液混合型熱硬化性ウレタン樹脂を開発(2月4日)
◆糖類:三菱ケミカルグループが増粘多糖類事業からの撤退を発表(2月4日)
◆包装材料:大日本印刷がレゾナック・パッケージングの発行済み全株式をレゾナックから取得を発表(2月3日)
◆価格改定
・クラレが活性炭及び関連製品(活性炭繊維や不織布、浄水器用の成型体など)を2月14日出荷分より値上げ
・トーヨーカラーが加工顔料(水系分散体、溶剤系分散体、固形チップ)を
・住友ベークライトが銅張積層板、プリプレグ及び積層板を3月10日出荷分より値上げ
・日本製紙がカップ原紙、液体容器原紙、コア原紙を4月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS 

◆電子材料:東洋紡が液晶ディスプレイ用フィルム「コスモシャインSRF」の生産能力を3割増強(2月7日)
 東洋紡は、偏光子保護用超複屈折フィルム「コスモシャインSRF」の生産能力を3割増強するため、つるがフイルム工場(福井県)のPETフィルム製造設備を改造すると発表した。
 今回の増強により、つるがフイルム工場の既存の1ラインと犬山工場の2ラインと合わせて、計4ラインでコスモシャインSRFの生産が可能となる。
 コスモシャインSRFは、液晶ディスプレーなどの偏光子保護用途として唯一のPET製のフィルムである。同製品は、従来同用途で主流だったトリアセチルセルロースなど他の素材に対して、吸湿による画面の反りやゆがみが生じにくいことが評価され年々採用が拡大し、世界の液晶テレビ向け偏光子保護フィルム市場で約60%のシェアを占めている。今後も、液晶ディスプレー画面の大型化に伴い、同市場は2030年まで年率約3%の成長が見込まれている。
 同社は、このような需要に対応するため、つるがフイルム工場のコスモシャインSRFの生産能力の増強を図る。2025年度中に増産体制を構築し、2026年度より改造した新設備での量産開始を目指す。新設備では最大で3メートル幅の生産が可能であり、ディスプレーのさらなる大型化ニーズに対応するとしている。

◆電子材料:SUMCOが小径シリコンウェーハの生産体制を再編(2月7日)
 SUMCOは、200mm以下の小径シリコンウェーハ(以下、小径品)の生産体制再編による収益改善を進めるために、連結子会社SUMCO TECHXIV宮崎工場(以下、宮崎工場)のウェーハ生産を他工場に移管することを発表した。
 シリコンウェーハ市場を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染拡大時の特需の反動や米中摩擦を契機とした半導体サプライチェーンの構造変化等により、需要低迷局面が長期化している。300mmウェーハは、半導体の生産調整の長期化により、顧客におけるウェーハ在庫適正化に時間を要しているものの、AI向け半導体や高性能メモリー向けなど先端品需要が好調であり、需要は全体として緩やかに回復する見通しである。
 一方、小径品においては、民生・産業・自動車向けを中心とした需要の低迷が継続しており、なかでも150mm以下の製品については、200mmへの移行や生産設備の老朽化等により、顧客の生産能力の縮小が進んでおり、今後も需要は減少していくと見込まれる。
 このような事業環境のもと、同社は小径品の生産能力の集約による効率化を図るため、宮崎工場の再編を実行する。同工場については、単結晶生産のみの工場とし、ウェーハ生産は同社グループの国内他工場およびインドネシア工場への移管を進め、2026年末に生産終了するとしている。

◆有機:丸善石油化学がマルカゾールR(イソドデカン)の生産能力を増強(2月7日)
 丸善石油化学は、千葉工場おいて実施していたマルカゾールR(イソドデカン)の約1万tの生産能力増強工事が完了し、製造装置の運転を開始したと発表した。
 マルカゾールRは、金属洗浄剤、エアゾール用溶剤、化粧品用途等に使用されており、アジア圏では低臭気溶剤への置き換えもあり、金属洗浄剤、エアゾール用溶剤用途の需要増加が見込まれている。また、欧州化学品規則(REACH)において環状シロキサン(D5)の使用が制限され、化粧品用途でも代替需要が見込まれている。
 同社では、厳しい石油化学事業環境下でエチレン製造装置の停止を含めたエチレン生産最適化の検討を進め競争力強化を図るとともに、化成品事業における成長の見込める製品の能力拡大の動きを進めるとしている。

◆リサイクル:住友大阪セメントと日泉ポリテックがCO2再資源化人工石灰石を使用した複合化PP樹脂を開発(2月6日)
 住友大阪セメントは、日泉ポリテックと共にCO2再資源化人工石灰石(廃棄物に含まれるカルシウム源にCO2を鉱物固定して製造)を使用した複合化ポリプロピレン樹脂の開発に成功したことを発表した。
 現在、日本では埋め立て処分場の不足が深刻な問題となっており、特に廃石膏ボードの排出量は年々増加し、2050年には300万トンが発生すると予測されている。しかし、廃石膏ボードのリサイクル処理技術が十分に確立していないため埋立処分される割合が高く、再利用方法の開発が急務となっている。
従来、炭酸カルシウムはセメント・コンクリートを始め、多くの産業分野で充填材として幅広く使用されており、樹脂製品の製造過程でも石灰石由来の炭酸カルシウムが充填材として用いられている。
 今回開発した製品は、ポリプロピレン樹脂の原料に、解体系廃材の廃石膏ボードをリサイクルしたCO2再資源化人工石灰石を適用し、従来の樹脂製品にはない、CO2排出削減と埋立処分場の延命効果を備えた環境性能を実現した。
 今後、両社は複合化ポリプロピレン樹脂以外の樹脂へのCO2再資源化人工石灰石の適用や、様々な製品への適用に向けた開発を進めていくとしている。

◆バイオマス:日本製紙と東亜道路工業が木質由来のリグニンを用いた「常温アスファルト混合物用乳剤」を共同開発(2月6日)
 日本製紙と東亜道路工業は、日本製紙の特殊変性リグニン製品「StarLigno(スターリグノ)」を採用した「常温アスファルト混合物用乳剤」を共同開発したことを発表した。
 従来、道路工事では耐久性や施工性が高い加熱アスファルト混合物が舗装材料として使用されていたが、加熱アスファルト混合物は、省力化、コスト削減のため、加熱しない常温アスファルト混合物への転換が検討されていた。常温アスファルト乳剤混合物は、CO2の発生量を大幅に低減できる技術として期待されている一方、乳剤の安定性や保管時の管理などの課題から補修などにしか使用されてこなかった。
 これに対し、東亜道路工業は日本製紙が新規に開発した特殊変性リグニン「StarLigno」を採用することで、従来品と同等の「常温アスファルト混合物用乳剤」の開発に成功した。
 今後の活用用途としては、被災等によって現地インフラが機能しない災害復旧時の資材や国外の島嶼部や未舗装地域などでも施工が可能としている。

◆電子材料:富士フイルムがベルギー拠点に40億円を投資し、先端半導体材料CMPスラリーの生産設備を導入(2月5日)
 富士フイルムは、半導体材料事業をさらに拡大するため、ベルギーの生産拠点において、先端半導体材料のCMPスラリーの生産設備を新たに導入するとともに、フォトリソ周辺材料(レジスト現像液)の既存設備を増強すると発表した。
 同社は車載用半導体や、製造工程のDXを支える産業用半導体の需要拡大が見込まれる欧州において、総額約40億円の設備投資を行い、ベルギー拠点の生産能力を拡大する。
 今回の設備投資では、先端半導体に使用され、年率13%の高い成長性が見込まれているCMPスラリーの生産設備を新たに導入する。これにより、米国アリゾナ州、台湾の新竹市および台南市、韓国天安市、熊本県菊陽町にある既存のCMPスラリーの生産拠点にベルギーを加えた世界6拠点の生産体制を構築することが可能となり、CMPスラリーのさらなる安定供給を実現する。
 また、フォトリソ工程で使用する現像液の生産設備を増強し、欧州での車載用・産業用半導体の需要増に対応するとともに、品質面での高い顧客要求にも応えていく。
 稼働開始はいずれも2026年春の予定としている。

◆ゴム製品:ブリヂストン、ENEOSマテリアル、日揮ホールディングスが植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向けた連携を加速(2月5日)
 ブリヂストン、ENEOSマテリアル、日揮ホールディングスは、植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向けた3社連携を加速すると発表した。
 現在、合成ゴムの素原料であるブタジエンは石油製品の一つであるナフサを熱分解した際の副生成物として工業的に生産されている。ブリヂストン、ENEOSマテリアル、日揮HDの3社は、2022年より植物資源由来のバイオブタジエン及びタイヤ用合成ゴム製造の基礎的な技術検討や市場調査を進めてきた。2024年7月にENEOSマテリアル及び日揮HDの2社が参画する「木質等の未利用資源を活用したバイオものづくりエコシステム構築事業」がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「バイオものづくり革命推進事業」に採択されたことを受け、3社では植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの商業化に向けた取り組みを促進する。
 今後、2030年代前半の商業化を目指し、3社で2028年までにパイロット装置による植物資源由来の合成ゴムを使用したタイヤの技術実証を開始するとともに、同合成ゴムのサプライチェーン構築に向けた検討や同タイヤの社会価値・顧客価値の検証を進めるとしている。

◆樹脂:第一工業製薬が常温硬化可能な2液混合型熱硬化性ウレタン樹脂を開発(2月4日)
 第一工業製薬は、加熱プロセスを必要としない2液混合型硬化ウレタン樹脂を開発したことを発表した。
 今回開発したウレタン樹脂は、加熱プロセスを全く必要とせず、常温で硬化する。これにより、エポキシ樹脂に匹敵する物理特性を持ちながら、エネルギー使用量を大幅に削減することができる。
 同開発品は、常温で硬化させた場合でも約150℃の高いガラス転移温度(Tg)や、室温で約80MPa の高い曲げ 強度を有することが特長である。これは、高温環境や負荷に強い特性を持つことを示している。この特長を生かして、強度の必要な箇所、特に熱源付近の材料への活用が期待できる。
 今後は半導体や電池などの電子・情報分野、エンジン周りなどの車載分野、構造用接着剤などの建築分野を中心に、2027年の採用、2030年度には売上高10億円を目指すとしている。

◆糖類:三菱ケミカルグループが増粘多糖類事業からの撤退を発表(2月4日)
 三菱ケミカルグループは、食品添加物の一種である増粘多糖類の製造及び販売事業から撤退することを発表した。
 本事業では海藻や植物の種子を原料に、加工食品向けに増粘やゲル化機能を付加する増粘多糖類を製造・販売しているが、近年、原料価格の高騰により他素材との競争が激化し、増粘多糖類の販売量が低迷している。同社は、固定費削減などの対策を講じてきたが、事業環境を精査した結果、収益性の改善や将来的な成長が困難と判断し、本事業からの撤退を決断した。
 2025年9月末に当該品の製造拠点である三菱ケミカルの富山事業所(富山県)での製造を終了し、販売は2026年3月末に終了する予定としている。

◆包装材料:大日本印刷がレゾナック・パッケージングの発行済み全株式をレゾナックから取得を発表(2月3日)
 大日本印刷(DNP)は、二次電池外装材・包装材などを手掛けるレゾナック・パッケージングの発行済み全株式をレゾナックから取得し、社名を「DNP高機能マテリアル彦根」に変更したことを発表した。
 DNPは、長年培った印刷技術の一つであるコンバーティング技術(材料加工技術)を活かし、リチウムイオン電池の外装材であるバッテリーパウチを開発し、国内外の電池メーカーに提供してきた。また、レゾナック・パッケージングも、同時期にバッテリーパウチ事業を立ち上げ、スマートフォンやタブレットなどIT用途向けにリチウムイオン電池包材「SPALF」を開発・提供してきた。
 DNPは、本株取得により、両者が培ってきた経営資源や技術、ノウハウなどの強みを掛け合わせることで、バッテリーパウチ関連や包装関連での競争力の更なる向上を目指すとしている。

◆価格改定
・クラレが活性炭及び関連製品(活性炭繊維や不織布、浄水器用の成型体など)を2月14日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%~50%
・トーヨーカラーが加工顔料(水系分散体、溶剤系分散体、固形チップ)を2月15日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、個別に設定
・住友ベークライトが銅張積層板、プリプレグ及び積層板を3月10日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%
・日本製紙がカップ原紙、液体容器原紙、コア原紙を4月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%以上

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