2025.04.10 発行
◆バイオマス:日本ゼオンと米国Visolis社がバイオイソプレンモノマーおよびSAFの生産設備の建設準備を開始(4月4日)
◆ガラス繊維:日本電気硝子が英国グループ会社における複合材事業の戦略的見直しを発表(4月3日)
◆医薬関連:住友化学が医療用オリゴ核酸CDMO事業の米国CRO拠点の設立を発表(4月2日)
◆エチレン:丸善石油化学が千葉地区のエチレン生産を最適化(4月1日)
◆水素関連:住友ベークライトが水素製造機能膜量産準備プロジェクトチームの発足を発表(4月1日)
◆ウレタン製品:旭有機材が世界最高クラスの断熱性能を持つ現場発泡ウレタンの販売を開始(4月1日)
◆非鉄金属:住友金属鉱山が2025年度の地金生産計画を発表(4月1日)
◆非鉄金属:三井金属が2025年度上期の地金生産計画を発表(4月1日)
◆非鉄金属:三菱マテリアルが2025年度上期の地金生産計画を発表(4月1日)
◆パーム代替:花王がFuture Origins社とパーム油代替原料の将来的な購入に関する契約を締結(3月31日)
◆エンジニアリング:東洋エンジニアリングが韓国にて無水フッ化水素の製造設備建設プロジェクトを受注(3月31日)
◆研究開発:日本ゼオンが川崎工場と総合開発センターの融合により新たな価値創造を加速(3月31日)
◆生産終了:三菱ケミカルグループが小名浜工場および新菱いわき工場における製品の順次生産終了を発表(3月31日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの4月の契約価格を改定
・日本エクスラン工業がアクリル機能繊維および機能資材を5月1日出荷分より値上げ
・住友ベークライトが医薬品包装用フィルム・シート製品を5月1日出荷分より値上げ
◆バイオマス:日本ゼオンと米国Visolis社がバイオイソプレンモノマーおよびSAFの生産設備の建設準備を開始(4月4日)
日本ゼオンと米国のVisolis社は、2024年に締結したMOUに基づき実施してきた、バイオイソプレンモノマーおよび持続可能な航空燃料(以下、SAF)などの商業化検証が今回完了し、次のステージとなる生産設備の建設準備段階へ移行することを決定したと発表した。
同設備は、Visolisが開発した発酵プロセスで生産した中間製品を原料とし、化学プロセスでバイオイソプレンモノマーおよびSAFを商業規模で生産するもので、建設地については、現在複数ある候補地の中から検討を進める。
今回のフィージビリティ・スタディにより、両社はバイオイソプレンモノマーとSAF生産のスケールアップに向け、更に緊密に協力していくこととなる。具体的には、バイオマス由来のイソプレンモノマーとSAFの研究開発は引き続き Visolisで行い、日本ゼオンは、商業生産に必要な設備の詳細設計、立地評価、許認可申請等を担う。
両社は、今後も商業生産および製品の市場提供の早期実現に向けた取り組みを継続していくとしている。
◆ガラス繊維:日本電気硝子が英国グループ会社における複合材事業の戦略的見直しを発表(4月3日)
日本電気硝子は、グループ会社のElectric Glass Fiber UK(以下、EGFU)における複合材事業の戦略的見直しに着手することを決定したと発表した。
同社グループの複合材(樹脂強化用ガラス繊維)事業は、原材料及びエネルギーの価格や物流費用が高止まりする中、厳しい競争環境が続き、販売が低迷している。本件は、従前より進めていた業績の回復に向けた取り組みの1つとして見直しを検討する。
約2か月を予定している戦略的見直しの期間中、EGFUは通常通りの操業を継続する。一方、戦略的見直しでは、EGFUの売却の可能性や戦略的パートナーシップの形成等の様々なオプションを検討するものの、最適な選択肢が見いだせない場合、EGFUの業務停止の可能性も検討するとしている。
◆医薬関連:住友化学が医療用オリゴ核酸CDMO事業の米国CRO拠点の設立を発表(4月2日)
住友化学は、米国マサチューセッツ州マールボロに、医療用オリゴ核酸CDMO事業(顧客向けの製法開発、製造などの受託事業)のCRO(医薬品開発業務受託機関)拠点となる新会社(SC-AMSA)を設立したことを発表した。
住友化学は、2013年に核酸医薬原薬の受託製造事業を開始し、近年はゲノム編集治療に必要なgRNAと呼ばれる長鎖核酸の量産化に取り組んできた。従来の核酸医薬原薬の数倍(約100mer)の鎖長を持つgRNAを、約90%の高純度かつ高収率で量産する技術を世界で初めて確立し、大分工場に製造プラントを新設、2024年度には複数の顧客向けの出荷を開始した。
同社は2025年8月を目途に顧客向けサンプル提供を開始する予定としており、今後は、今回設立した新会社を機能強化し、医療用オリゴ核酸CDMO事業の橋頭堡とする。加えて、高度化低分子医薬CDMO事業や、再生・細胞医療事業に関しても米国への進出ならびに事業拡大検討を進めていくとしている。
◆エチレン:丸善石油化学が千葉地区のエチレン生産を最適化(4月1日)
丸善石油化学は、2026年度を目途に自社エチレン製造装置を停止し、住友化学との合弁会社である京葉エチレンに生産を集約することに合意したと発表した。
中国での大型装置の新設・増強による世界的な供給過剰、国内エチレン需要の減少といった厳しい事業環境により、日本のエチレン製造装置は低稼働が続いている。加えて、カーボンネットゼロを実現するためのグリーントランスフォーメーション(GX)への積極的な参画・貢献が求められている。
このような背景のもと、丸善石油化学と住友化学は、必要なコストを両社で合理的に負担するという考え方を基本として千葉地区エチレン生産最適化に取り組み、日本で最新かつ最大のエチレン製造装置である京葉エチレンの稼働率向上、固定費削減及びCO2排出量削減を通じて、コンビナートの競争力維持発展及びGXへの対応を進めていく。これにより、両社は京葉エチレンの稼働率と競争力を更に高めていくとしている。
◆水素関連:住友ベークライトが水素製造機能膜量産準備プロジェクトチームの発足を発表(4月1日)
住友ベークライトは、水素製造装置用アニオン交換膜 (AEM)の量産体制の確立と新規顧客開拓を集中的に進めるために、『水素製造機能膜量産準備プロジェクトチーム』を発足したことを発表した。
現在、水素は、主に産業用途(化学プロセスや石油精製など)向けの「グレー水素」(化石燃料由来の水素)が大半を占めているが、その製造プロセスで大量のCO2が排出されるため、高い環境負荷が問題となっている。このため、グレー水素から低炭素水素(グリーン水素など)への転換が求められている。
水素製造装置において、エネルギーとなる水の電気分解には、アルカリ型やプロトン交換膜(PEM)型が先行していた。新たな技術として、低コストで高い発生効率を持つアニオン交換膜(AEM)を用いた水電解装置が注目されている。
今回、量産化を進めるAEMは、イオン伝導性や安定性・耐久性が高く、PFASフリーに対応している。これは、同社グループのPromerus, LLC(アメリカ)が開発したポリノルボルネン(PNB)を用いており、今後、量産化を計画している。
現在、顧客でのラボ評価は良好な結果を得られており、順調に評価が進んでいる。今後2027年度までに生産条件の確立、2030年度までの量産化を見込んでおり、将来は売上収益1,000億円/年の事業を目指すとしている。
◆ウレタン製品:旭有機材が世界最高クラスの断熱性能を持つ現場発泡ウレタンの販売を開始(4月1日)
旭有機材は、世界最高クラスの断熱性能をもつ現場発泡ウレタン「BEXUR(ベクサー)」を2025年4月から正式に販売すると発表した。
2025年4月からすべての建物に省エネ基準への適合が義務付けられた。また、2030年までにZEH水準について基準の引き上げが予定されており、高い断熱性能を持つ製品への需要は今後ますます高まることが予想される。
こうした需要に応えるため、同社は世界最高クラスの断熱性能を持つ現場発泡ウレタン「BEXUR」を開発し、2024年4月から施工性を含めた現場での実効性検証のため、顧客を限定して販売をしていた。今回、実効性が確認できたことから、2025年4月から正式に販売する。
同製品は、従来の吹付硬質ウレタンフォームA種1Hとして断熱性能が24%向上しており、独自技術により断熱性能の経年劣化が最小化されている。高断熱と省スペース化を実現し、より広く快適な居住空間の提供に貢献するとしている。
◆非鉄金属:住友金属鉱山が2025年度の地金生産計画を発表(4月1日)
住友金属鉱山が2025年度の地金生産計画を発表した。
2025年度の電気銅の通期計画値は433,000 tであり、上期は216,000t(前年度上期:221,593t)。電気ニッケルの通期計画値は64,000 tであり、上期は32,000 t(前年度上期:31,086t)。フェロニッケルの通期計画値は4,900tであり、上期は2,400t(前年度上期:1,679t)。金の通期計画値は13,600kgであり、上期は6,800kg(前年度上期:9,767kg)。銀の通期計画値は178,000 kgであり、上期は89,000 kg(前年度上期:96,412kg)の計画としている。
なお、東予工場(電気銅、金、銀)は、10月下旬より6週間の定期補修を実施予定。ニッケル工場(電気ニッケル)は、5月と12月にそれぞれ約1週間の定期補修を実施予定。日向製錬所(フェロニッケル)は、販売条件等を総合的に勘案し、生産調整を実施する予定としている。
◆非鉄金属:三井金属が2025年度上期の地金生産計画を発表(4月1日)
三井金属は、2025年度上期における地金生産計画を発表した。
2025年度上期の生産計画としては、亜鉛は114.0千t/期(前年同期:102.3千t/期)、鉛は35.9千t/期(前年同期:33.3千t/期)、金は1.1t/期(前年同期: 2.7t/期)、銀は77.2t/期(前年同期:64.4t/期)の生産予定としている。
なお、亜鉛の生産量が2024年度上期と比較して増加しているが、この理由は2024年度上期に定期修繕を実施したためとしている。
◆非鉄金属:三菱マテリアルが2025年度上期の地金生産計画を発表(4月1日)
三菱マテリアルは2025年上期における地金生産計画を発表した。
2025年度上期の生産計画としては、銅は35,590t/月(前年同期:35,809t/月)、鉛は2,345t/月(前年同期:2,374t/月)、金は2,667kg/月(3,261kg/月)、銀は22,000kg/月(前年同期:29,848kg/月)の生産を計画している。
前年同期実績との比較では、銅については、直島製錬所、小名浜製錬所共に定修の予定はなく前年並みとなる計画。金および銀の生産増減については、主に原料受入量増減によるものとしている。
◆パーム代替:花王がFuture Origins社とパーム油代替原料の将来的な購入に関する契約を締結(3月31日)
花王は、米国のFutureOrigins社とパーム油代替原料の将来的な購入に関する契約を締結したことを発表した。
FutureOrigins社は、ホームケアやパーソナルケア用途で広く使用されている界面活性剤の原料を商品化・製造することを目的に、Genoと、花王、ユニリーバ、ロレアルが設立した米国の合弁会社である。
今回花王が将来的な購入に関する契約を締結したパーム油代替原料は、C12/C14脂肪族アルコール(名称:NALO)である。FutureOrigins社が最初に稼働させる予定の工場から生産能力の半数以上の量の購入を計画しており、花王はNALOおよびその誘導体をケミカル事業としてグローバルに展開していく。
本契約は、2040年カーボンゼロ、2050年カーボンネガティブをめざす、花王の「脱炭素」目標に貢献するとしている。
◆エンジニアリング:東洋エンジニアリングが韓国にて無水フッ化水素の製造設備建設プロジェクトを受注(3月31日)
東洋エンジニアリングの子会社であるToyo Engineering Koreaは、BGFecospecialty社(以下、BGFesp)から、年間5万トンの無水フッ化水素(AHF)を製造するプラント建設プロジェクトを受注したことを発表した。
AHFは半導体製造において使用されている。世界的に半導体市場が拡大している中で、同プロジェクトはBGFespにとって、高付加価値な半導体材料市場での地位強化につながる重要な案件となる。
Toyo Engineering Koreaは設計・調達・建設工事を一括で担当する。同社は今後もこの分野での取り組みを一層強化するとしている。
◆研究開発:日本ゼオンが川崎工場と総合開発センターの融合により新たな価値創造を加速(3月31日)
日本ゼオンは、川崎工場と総合開発センターを包括的に『川崎イノベーションフロンティアポート(略称:KIFP)』と名付け、両組織の融合と管理機能の段階的統合によるシームレスな活動により、新たな価値創造を加速していくことを発表した。
隣接する川崎工場と総合開発センターは、これまでも連携しながら同社の柱であるエラストマー事業の礎を築いてきた。今後はさらに高付加価値な製品とその先進的な生産技術の開発を両者で担い、シームレスに連携していくことで、技術発信拠点としての機能を一層強化していく。そのための施策として、建設中の共創イノベーション施設に加え、研究開発~製造(量産)のスケールアップを加速するための多機能な試作設備の新設なども検討していく。
なお、組織名称として「川崎工場」および「総合開発センター」は残し、両組織を包含する事業所全体の名称を川崎イノベーションフロンティアポート(KIFP)にするとしている。
◆生産終了:三菱ケミカルグループが小名浜工場および新菱いわき工場における製品の順次生産終了を発表(3月31日)
三菱ケミカルグループは、三菱ケミカル小名浜工場および新菱いわき工場における製品の生産を2027年3月末までに順次終了することを発表した。
三菱ケミカル小名浜工場の主な取り扱い製品は、アンモニアおよびその誘導品(安水)、メタノール、ホルマリン、木質系接着剤、AdBlue、脂肪酸アマイド、電子工業用高純度プロセス薬品(EL硝酸、EL混酸、EL安水)、タイク誘導品。一方、新菱いわき工場の主な取り扱い製品は、ファインケミカル製品、タイク、蒸溜精製品である。
三菱ケミカル小名浜工場は、1937年に日本水素工業(のちの日本化成)として操業を開始した。2010年に三菱ケミカルの一部製品と旧・小名浜蒸溜社の事業を新菱社へ移管・統合して新菱いわき工場を発足させた。しかし、近年の市場環境の大きな変化を受け、合理化や事業誘致に取り組んできたものの、採算性の確保が著しく困難となり、製品の生産を順次終了する決定に至った。
当該工場の製品について、2026年3月以降、2027年3月末までに順次生産を終了するとしている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの4月の契約価格を改定
4月契約価格は、835$/t(前月比▲90$/t)
国内価格換算想定値は130.5円/kg
・日本エクスラン工業がアクリル機能繊維および機能資材を5月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15%
・住友ベークライトが医薬品包装用フィルム・シート製品を5月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、5%以上