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2025年4月17日

2025.04.17 発行

HEADLINE 

◆有機:大阪有機化学工業が新中村化学工業と米国における合弁会社設立に向けた基本合意書締結を発表(4月11日)
◆CO2対策:三菱ガス化学とパナソニックエレクトリックワークスがCO2から製造したメタノールを原料とする環境配慮型
 ユリア樹脂を開発(4月10日)
◆バイオマス:綜研化学が生分解性バイオマスポリマーの吸水シート化に成功(4月10日)
◆研究開発:セントラル硝子が機能化学研究所内に機能材料研究棟を新設(4月9日)
◆コンパウンド:三菱ケミカルが中国およびフランスで難燃性コンパウンドの生産能力を増強(4月8日)
◆リサイクル:京セラコミュニケーションシステムとエヌ・ピー・シーが使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル事業に
 関する協業検討を開始(4月8日)
◆電池材料:日本触媒がイオネル新工場設立に関する立地協定を締結(4月8日)
◆シート:王子キノクロスが株式会社竹尾において「キナリトLEAF」シートの販売を開始(4月7日)
◆バイオマス:ハリマ化成グループが「バイオマス系アスファルト再生用添加剤」を開発(4月7日)
◆アセチレン:デンカが低炭素アセチレン製造技術の確立に向けた技術開発方針の変更を発表(4月7日)
◆ポリアミド:BASFが再生ポリアミド6プラントの商業生産を開始(4月7日)
◆価格改定
・JNCがオキソ誘導品を4月21日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS 

◆有機:大阪有機化学工業が新中村化学工業と米国における合弁会社設立に向けた基本合意書締結を発表(4月11日)
 大阪有機化学工業は、新中村化学工業との米国での合弁会社設立に向けて、基本合意書を締結したことを発表した。
 大阪有機化学工業は海外市場への販売強化による事業拡大を推進しており、今回、米国における特殊アクリル酸エステル類の販売の強化に向け、新中村化学工業と合弁会社の設立を目指し、同社との基本合意に達した。
 2025年上期に合弁契約を締結後、2025年下期に合弁会社を設立する見通しとしている。

◆CO2対策:三菱ガス化学とパナソニックエレクトリックワークスがCO2から製造したメタノールを原料とする環境配慮型ユリア樹脂を開発(4月10日)
 三菱ガス化学は、パナソニックエレクトリックワークス(以下:パナソニック)と共同で、コンセントなどの配線器具をターゲットに、CO2から製造したメタノールを原料とする環境配慮型ユリア樹脂を開発したと発表した。
 ユリア樹脂は尿素とホルムアルデヒドの反応によって得られる熱硬化性樹脂で、コンセントなどの配線器具に多く使われる。一度硬化すると加熱しても溶融せずマテリアルリサイクルができないという課題がある中で、同社とパナソニックが共同で、ユリア樹脂の原料であるメタノールをCO2から製造することによりユリア樹脂をカーボンリサイクルする新しい製造スキームを確立した。
 今回、共同で開発した環境配慮型ユリア樹脂は、成形条件・物性とも従来のユリア樹脂と同一で、製造設備の変更なく従来と同じ品質の配線器具の製造および接続が可能である。
 同社がCO2から製造したメタノールを原料に、同社グループのMGCウッドケムでホルムアルデヒドを製造し、パナソニックグループへ供給する。パナソニックグループはホルムアルデヒドを原料にユリア樹脂及び配線器具を製造し、2025年度以降には環境配慮型ユリア樹脂を使用した配線器具の販売を目指すとしている。

◆バイオマス:綜研化学が生分解性バイオマスポリマーの吸水シート化に成功(4月10日)
 綜研化学は、EF Polymer社との共同開発により、生分解性バイオマスポリマーの吸水シート化に成功したと発表した。
 EF Polymer社(本社:沖縄県)は、オレンジやバナナの皮など、従来捨てられていた残渣をアップサイクルし、100%オーガニックの超吸水性ポリマーの「EFポリマー」を農業資材として製造・販売しているディープテック・スタートアップ企業である。
 EFポリマーシートは果物の不可食部分をアップサイクルした吸水性ポリマーを使用したサステナブルなシートであり、製造工程においても環境負荷の原因となる有機溶媒を使用しておらず、吸水性・保水性、可撓性、生分解性、保肥性、100%バイオマス由来といった特徴を有する。
 農業、美容・ヘルスケア、衛生、食品包装、建材などの分野での使用が期待されるとしている。

◆研究開発:セントラル硝子が機能化学研究所内に機能材料研究棟を新設(4月9日)
 セントラル硝子は、機能化学研究所およびNew-STEP研究所(いずれも山口県宇部市)にて取り組んでいる半導体分野、バッテリー分野、環境・食糧分野等での研究テーマを増強し、高度化を加速させるため、機能化学研究所内に機能材料研究棟を新設したことを発表した。
 この新設により研究スペースは、従来に比べ4割拡張され、最新の実験装置および機器の導入や既存の装置等も含めた再配置により、研究開発の更なる効率化・スピードアップを図っていく。同社は、同研究所を起点として研究開発をより一層強化し、スペシャリティ製品を創出するとともに、サステナブルな社会の実現に貢献するとしている。

◆コンパウンド:三菱ケミカルが中国およびフランスで難燃性コンパウンドの生産能力を増強(4月8日)
 三菱ケミカルは、ケーブル被覆などに使用されるポリオレフィンや熱可塑性エラストマーをベースとした難燃性コンパウンドについて、三菱化学功能塑料(中国)、MCPP France SAS(フランス)において生産能力を増強することを発表した。
 同社の難燃性コンパウンドは、さまざまな難燃・耐熱レベルに対応したグレードラインナップ、独自の配合技術による高い柔軟性、押出成形における優れた成形加工性を有しており、これらの特長から、自動車用ケーブル、太陽光発電システム用ケーブル、スパッタチューブなど幅広い用途で採用されている。
 近年は中国、欧州を中心に需要が増加しており、旺盛なグローバル需要に対応するため、中国とフランスの工場に難燃性コンパウンドの新生産ラインを増設し、生産能力を増強することを決定した。稼働時期は、中国拠点が2025年4月、フランス拠点が2026年1月の予定としている。

◆リサイクル:京セラコミュニケーションシステムとエヌ・ピー・シーが使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル事業に関する協業検討を開始(4月8日)
 京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)とエヌ・ピー・シー(以下、NPC)は、使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル事業に関する協業について、検討を開始したと発表した。
 KCCSは、京セラのグループ会社として太陽光発電所建設に携わっており、全国300社以上のパートナー企業と連携し、大規模なメガソーラーから屋根置きの太陽光発電などの導入を行っている。NPCは、不要になった太陽光パネルをリユース・リサイクルするための中間処理を行っており、独自のホットナイフ分離法を用いた太陽光パネル解体装置で廃棄パネルの再資源化をしている。
 太陽光発電設備の普及は、2012年に導入された固定価格買取制度(FIT)によって急速に進展した。しかし、2030年代後半には大量廃棄を迎えることが予測されており、太陽光パネルのリユース・リサイクル率を向上させ、環境への負荷を軽減するためのサプライチェーンの構築が急務となっている。
 KCCSとNPCは、太陽光パネルのリユース・リサイクルを含む新たな太陽光発電設備導入スキーム構築の協業について検討し、2050年までのカーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組んでいくとしている。

◆電池材料:日本触媒がイオネル新工場設立に関する立地協定を締結(4月8日)
 日本触媒は、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、製品名:イオネル)新工場設立に関する立地協定を北九州市と締結したと発表した。
 リチウムイオン電池用電解質イオネルは、EV向け電池の長寿命化、充電時間の短縮、低温環境下の出力向上など高性能化に寄与し、自動車の電動化が急速に進みつつある現代社会において需要拡大が期待されている素材である。
 日本国内においても蓄電池のサプライチェーン強靭化を目的として、蓄電池の関連部素材の生産基盤の整備が進んでおり、地産地消の事業戦略のもと、同社もイオネルの安定的な供給責任を果たすべく北九州市に新工場を設立することを決定した。
 同工場は2028年7月からの商業運転を予定しており、投資総額は約375億円、生産規模はイオネル3,000トン/年の計画としている。

◆シート:王子キノクロスが株式会社竹尾において「キナリトLEAF」シートの販売を開始(4月7日)
 王子ホールディングスのグループ会社の王子キノクロスは、株式会社竹尾において「キナリトLEAF」のシート販売を開始したことを発表した。
 同製品は、木材由来のパルプを主原料とする不織布で、素材の自然な風合いとあたたかみのある質感や、立体形状の成形加工、深い凹凸のエンボスができることを特徴としている。箔押しや印刷、縫製などの加工との組み合わせで、これまでにない新しい表現を実現できる素材として好評を得ている。
 竹尾では、四六半裁サイズ(545×788 mm)のシートで、厚みの異なる3種類の米坪(270 g/㎡、374 g/㎡、576 g/㎡)をラインナップし、2025年4月から販売を開始する。少量での購入も可能で、小ロットのパッケージやラベル、タグなどにも利用できるとしている。

◆バイオマス:ハリマ化成グループが「バイオマス系アスファルト再生用添加剤」を開発(4月7日)
 ハリマ化成グループは、土木研究所および日本大学との共同研究により、「バイオマス系アスファルト再生用添加剤」を開発したことを発表した。
 日本におけるアスファルト混合物の出荷量の70~80%が再生アスファルト混合物である。アスファルト再生用添加剤は、気候条件や交通量などにより劣化して硬くなったアスファルトを回復させ、再利用可能な状態に戻す。しかし、従来品では、繰り返し再生されたアスファルトが回復しづらいことが課題となっている。
 今回新たに開発した製品は、再生可能天然資源である「松」から得られるロジンをはじめとした原料を使用しているため、環境負荷を大幅に低減できるとともに、少量でも劣化アスファルトを再生し、耐劣化性に優れるため、道路インフラの持続可能性を高めることができる。
 今後、同社は、開発品を使用した混合物評価や試験施工のデータ蓄積を重ね、社会実装を目指すとしている。

◆アセチレン:デンカが低炭素アセチレン製造技術の確立に向けた技術開発方針の変更を発表(4月7日)
 デンカは、クロロプレンゴムやアセチレンブラックの原材料であるアセチレン製造時の低炭素化を目的として、米国のベンチャー企業であるTransform Materials社(本社:米国フロリダ州)と共同開発契約を結び、マイクロ波プラズマを用いたメタン(炭化水素)からアセチレン・水素を製造する技術・設備を導入し、低炭素アセチレンの量産技術構築に向けた開発を進めていたが、今回、Transform Materials社が解散したことにより、当該開発計画の継続を断念したことを発表した。
 同社は、2050年カーボンニュートラルの実現を継続して目指しており、アセチレンチェーンにおけるCO2排出量の低減は、その達成へ向けた欠かせない取り組みでのひとつとなっている。この低炭素アセチレンの製造技術に関しても、新たな技術での開発を継続しており、将来のCO2排出量の削減に取り組んでいくとしている。

◆ポリアミド:BASFが再生ポリアミド6プラントの商業生産を開始(4月7日)
 BASFは、世界初の再生ポリアミド6(製品名:loopamid)プラントの稼動を発表した。
 loopamidは、繊維廃棄物のみを原料とする再生ポリアミド6で、新しい生産施設のテキスタイル産業における持続可能なポリアミド6繊維に対する需要の高まりをサポートする。loopamidの技術は、ポリアミド6やスパンデックスのようなあらゆる混合繊維に対応できるため、産業廃棄物及び繊維廃棄物の繊維循環リサイクルを可能にする。生産拠点は中国 上海の漕涇(カオジン)で、年間500トンの生産能力を備えている。
 プラントおよび生産されるloopamidは、GRS認証(グローバル・リサイクルド・スタンダード)を取得している。これは、消費者とテキスタイルメーカーに対し、loopamidがリサイクルされた原料から作られていることと、生産工程が特定の環境・社会基準に適合していることを保証している。すでに複数の糸メーカーによってloopamidの利用が始まっている。
 BASFは現在、新プラントでloopamidを生産する際にテキスタイル製造の過程で排出される産業繊維廃棄物を利用しているが、今後はポストコンシューマー廃棄物の割合を段階的に増加させる予定としている。

◆価格改定
・JNCがオキソ誘導品を4月21日出荷分より値上げ
 対象製品は、ノルマルブチルアルデヒド(NBA)、イソブチルアルデヒド(IBA)、オクタノール(OA)、ノルマルブタ
 ノール(NBO)、イソブタノール(IBO)、CS-12、CS-16、オクチル酸
 値上げ幅は、15円/kg以上

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