2019.10.03 発行
◆農薬:住友化学がニューファーム社の南米子会社4社の買収に合意(9月30日)
◆複合材料:帝人が米国テキサス州に自動車向け複合成形材料の製造工場を新設(9月27日)
◆燃料電池:森村グループ4社が固体酸化物形燃料電池に関する合弁会社の概要を発表(9月27日)
◆バイオプラ:三井化学グループのバイオポリプロピレンが環境省の委託事業に採択(9月26日)
◆バイオプラ:三菱ケミカルの生分解性バイオマスプラスチックが環境省の委託事業に採択(9月26日)
◆建材:古河電工が音・水・熱の3つの抑制効果を有した金属屋根用裏貼りフォーム材を開発(9月26日)
◆炭鉱:JFEスチールがオーストラリアのバイヤウェン炭鉱の開山式を開催(9月26日)
◆バイオプリント:BASFとCTIBiotech社がバイオプリント技術による免疫マクロファージを含む3D皮膚モデルを開発(9月24日)
◆農薬:住友化学がニューファーム社の南米子会社4社の買収に合意(9月30日)
住友化学は、オーストラリアの大手農薬会社ニューファーム社との間で、ニューファーム社グループが所有するブラジルの子会社1社、およびアルゼンチン、チリ、コロンビアの子会社3社の全株式を、それぞれ住友化学の子会社である住友化学ブラジル社と住友化学チリ社を通じて取得することで合意したことを発表した。
今回の買収によって、南米地域における住友化学の農薬売上高は約3倍となり、北米地域を上回る規模になるとともに、世界最大市場であり高い成長が期待される同地域に確固たる農薬の自社販売体制を構築できることから、同社が進める一連のグローバルフットプリント(自社の販売網)整備が大きく進展する。
また、同社が独自に開発したダイズさび病などに高い効果を示し2020年以降に市場投入を予定している新規殺菌剤(一般名:インピルフルキサム、有効成分商標:インディフリン)については、ニューファーム社と共同で進めてきた同剤を用いた新規混合剤開発を一層加速させ、製品ラインナップを拡充していく。
加えて、南米地域に新たに製剤拠点を獲得できることから、既に同社が保有している圃場を併設したブラジルの研究開発拠点と合わせて、開発から製造、販売まで一貫した事業運営を実現していくとしている。
◆複合材料:帝人が米国テキサス州に自動車向け複合成形材料の製造工場を新設(9月27日)
帝人ならびに帝人グループで軽量複合材料部品の生産・販売・技術開発を手がけるコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(以下「CSP社」)は、米国テキサス州に事業用地を取得し、工場を新設することを発表した。
帝人とCSP社は、この事業用地に、約70百万米ドルを投じて従業員200人規模の生産拠点を新設する。工場稼働時期は2021年度中を予定している。
同社グループは、Tier1サプライヤーとして、素材選定から部品設計にまで踏み込んだ技術開発能力の向上や、グローバルでの安定供給体制の拡充を図るとともに、2020年以降の環境規制強化に対応した車体の軽量化に向けて、ソリューション提案力を強化していき、2030年近傍には自動車向け複合材料製品事業として、売上を2,000百万米ドル規模へと拡大していくとしている。
◆燃料電池:森村グループ4社が固体酸化物形燃料電池に関する合弁会社の概要を発表(9月27日)
ノリタケカンパニーリミテド、TOTO、日本ガイシ、日本特殊陶業の森村グループ4社は、2019年3月に固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、以下SOFC)に関する合弁会社の設立についての基本合意書締結後、具体的に4社による協議を重ね、合弁会社の概要が決定したことを発表した。
合弁会社名は森村SOFCテクノロジー株式会社で、資本金1億円で2019年8月に設立している。主な事業内容は家庭用、業務用および産業用の固体酸化物形燃料電池のセル、スタック、モジュールおよびシステムの研究・開発・製造・販売に係る事業としている。
SOFCはセラミックスを中心材料とし、高温の反応性雰囲気で動作させるため、技術的に難易度の高い開発を行わなければならない。また、SOFCの商品化・実用化に向け、低コスト化と高耐久化には寿命評価が必要不可欠だが、そのための研究開発には長い時間とコストが必要となる。このような状況の中、各社はこれまで培ってきたSOFCに関する技術・ノウハウなどを持ち寄り、それぞれの有する経営資源を融合することで早急な商品化の実現を目指すとしている。
◆バイオプラ:三井化学グループのバイオポリプロピレンが環境省の委託事業に採択(9月26日)
三井化学は、開成と共に、バイオポリプロピレン(以下、バイオPP)の事業化を目指しており、環境省がGHG削減施策の一環として実施する「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」において、同社のバイオPP実証事業が採択されたと発表した。
今後、三井化学は、世界初となるバイオPPの工業化実証試験を行い、技術面・品質面・経済性・GHG排出量削減効果等の評価を多面的に行う予定である。これらの課題をクリアしながら、三井化学グループとしてバイオPPの事業化を検討する(最短で2024年生産開始)。
今回事業化を目指す新しい製法は、非可食植物を主体とするバイオマス原料から発酵によりイソプロパノール(IPA)を製造し、それを脱水することでプロピレンを得る、世界初のIPA法である。この製法は、これまでに検討されている他社のバイオマス製法に比べて、より安価なバイオPPの製造を可能とする。
また、連携法人である開成との取り組みは、同社からバイオマス原料の供給を受ける一方、バイオマス原料製造で生じた廃棄物の回収とその有効活用により、三井化学の製造設備への電力供給を目的としたバイオマス発電や肥料の製造を行うものである。三井化学は同社と共に、サプライチェーンを通じた資源循環型モデルの構築と環境対応による社会貢献を目指すとしている。
◆バイオプラ:三菱ケミカルの生分解性バイオマスプラスチックが環境省の委託事業に採択(9月26日)
三菱ケミカルは、同社の生分解性バイオマスプラスチック「BioPBS」を用いた事業が、環境省が行う「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業(委託)」として採択されたことを発表した。
BioPBSは、三菱ケミカルとタイPTT Global Chemical社が折半出資するPTT MCC Biochem Company Limited(本社:タイ)が製造する植物由来の生分解性プラスチックで、自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境への負荷が少ないという特徴を有している。
今回の採択は、BioPBSがこれまでのバリューチェーンに革新をもたらす可能性があること、また環境負荷低減の見込みなど、環境省が求める要素を備えていることが評価されたもので、三菱ケミカルは本事業を通じ、代替素材の普及における課題の解決を図り、また、実用化に向けた環境評価を行う計画としている。
◆建材:古河電工が音・水・熱の3つの抑制効果を有した金属屋根用裏貼りフォーム材を開発(9月26日)
古河電工は、金属屋根の「音鳴り低減」、「嵌合部の防水」ならびに「遮熱」に効果を発揮するフォーム材「シールドエース」を開発したと発表した。
金属屋根は、軽量・短工期により経済性に優れるが、日射等による鋼板のたわみから発生する「音鳴り」、嵌合部隙間からの「漏水」、夏場屋内空間の「室温上昇」が課題である。
今回の新製品である「シールドエース」は、新たに特殊アルミを貼合した独自の層構成により、金属屋根の課題である「音」「水」「熱」を抑制または防止することが可能になった。
新製品は、表面温度80℃において鋼板単体の約3倍の剛性を維持することにより、音鳴りを抑制する。また、独立気泡を有するフォーム層が金属屋根の嵌合部のシール性を高め、雨水の侵入を防止する。特殊アルミ層が屋内空間側への輻射熱を低減し、屋内の温度上昇を抑制する。従来のフォーム材と同様の折板成形が可能としている。
◆炭鉱:JFEスチールがオーストラリアのバイヤウェン炭鉱の開山式を開催(9月26日)
JFEスチールは、同社とQコール社(本社:豪州)が出資するバイヤウェン炭鉱が2019年初より強粘炭の出荷を開始したことから、開山式を行ったと発表した。
バイヤウェン炭鉱は、豪州クイーンズランド州北東部のボウエン地区に位置する新規露天掘り炭鉱であり、良質な製鉄用コークスの製造に不可欠な強粘炭を主に生産している。豊かな資源量、恵まれた採掘条件をいかした大規模露天掘り操業が可能なため、コスト競争力があることが特徴である。
生産計画は年産3百万トン、今後10百万トン規模に拡張を進めていく予定である。
今後、本事業のパートナーであるQコール社と共に拡張を進め、同社が使用する高品位原料炭の長期安定確保を図るとともに、原料炭マーケットの安定化にも寄与していくとしている。
◆バイオプリント:BASFとCTIBiotech社がバイオプリント技術による免疫マクロファージを含む3D皮膚モデルを開発(9月24日)
BASF(本社:ドイツ)とCTIBiotech社(本社:フランス)は、共同で免疫マクロファージを含む3D皮膚モデルを開発したと発表した。
マクロファージは、細胞ストレス、組織損傷や感染の兆候などの皮膚の微小環境を絶えず監視しており、創傷の修復や、組織の完全な再生に不可欠である。皮膚のホメオスタシスを維持するために、マクロファージは炎症を促進または抑制する高度な柔軟性を有している。
CTIBiotechの3Dバイオプリント技術の使用により、BASFは3D皮膚モデルのポートフォリオを拡大することができる。またこの技術により、マクロファージの機能を完全に再構築された皮膚を用いて研究したいと願う、スキンケア研究者向けの強力なプラットフォームが生まれる。
再構築された皮膚組織モデルは、スキンケア化粧品向けの有効成分の開発および試験等の基礎研究に活用されるとしている。