2019.09.05 発行
◆成形加工:タキロンシーアイが揖保川事業所の新棟完成を発表(8月30日)
◆顔料:DICがBASFの顔料事業に関する株式及び資産を取得し子会社化(8月29日)
◆リサイクル:日揮、荏原環境プラント、宇部興産、昭和電工が廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクル推進に向けた協業の検討を開始(8月28日)
◆フィルム:アイカ工業が耐摩耗性に優れた自動車内外装向け3次元加飾用ハードコートフィルムの発売を発表(8月28日)
◆食品素材: 長瀬産業が中国・福建省に「長瀬食品素材 食品開発中心(厦門)」を設立(8月28日)
◆電池材料:JFEケミカルが中国で電池材料(負極材)事業に関する合弁会社を設立(8月27日)
◆化粧品原料:三洋化成工業が新感覚のスキンケア化粧品用原料を開発(8月26日)
◆成形加工:タキロンシーアイが揖保川事業所の新棟完成を発表(8月30日)
タキロンシーアイは、揖保川事業所に新棟が完成し、竣工式を行ったことを発表した。
同社グループは、採光建材の生産最適化を目的として、これまでグループに3つあった生産拠点(揖保川事業所、ダイプラ松戸製造所、日本ポリエステル三田工場)を揖保川事業所の既存棟に集約する作業を進めてきた。これにより揖保川事業所は国内随一のポリカーボネート生産量を誇り、自動化、機械化により、検査を含め極めて効率的な供給体制の整備を行った。
加えて今回の新棟建設により、これまで分散していた後加工拠点を製造拠点に隣接させることで、最終製品までの一貫生産を実現し、①物流費をはじめとする経費の削減、②リードタイムの短縮、③開発や技術革新のスピードアップを図り、更なるサービスの向上と付加価値の高い製品を提供していくとしている。
◆顔料:DICがBASFの顔料事業に関する株式及び資産を取得し子会社化(8月29日)
DICは、ドイツ BASFが保有する顔料事業であるBASF Colors & Effectsに関する株式及び資産の取得を決定したと発表した。
取得価額(参考値)は985百万ユーロ(1,162億円)。但し、実際の取得価額はクロージング時点での現預金・借入金等の残高や運転資金の増減などにより変動する。
DICは、カラー&ディスプレイ事業部門における質的転換を加速させるため、高成長で高付加価値なスペシャリティ領域(ディスプレイ・化粧品・自動車など)における顔料業界のリーディングカンパニーを目指し、機能性顔料の拡大を進めてきた。グローバル顔料市場は約2.3兆円の規模があり、DICはそのうち有機顔料とエフェクト顔料(アルミ顔料)で世界有数の会社となっている。
一方、BASF Colors & Effectsは、欧州を中心にグローバルに拠点を有し、高級顔料、エフェクト顔料(化粧品向け)及び特殊無機顔料において世界有数の会社である。BASF Colors & Effectsが保有する製品ポートフォリオは、DICと重複が少なく製品補完性が極めて高い状況にある。
DICでは、本買収により、市場での評価が高い高機能製品をポートフォリオに取り込み、機能性顔料事 業を拡大することでカラービジネスの持続的成長にコミットするとしている。
◆リサイクル:日揮、荏原環境プラント、宇部興産、昭和電工が廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクル推進に向けた協業の検討を開始(8月28日)
日揮、荏原環境プラント、宇部興産、昭和電工は、7月31日に秘密保持契約を締結の上、EUP(Ebara Ube Process)を活用した廃プラスチックのガス化処理設備の設計・調達・建設(Engineering, Procurement and Construction:EPC)に関わる協業の検討を開始したことを発表した。
2000年に荏原製作所(2009年に荏原環境プラントに事業承継)と宇部興産が開発したEUPは、廃プラスチックを酸素と蒸気による部分酸化によりガス化し、アンモニアやオレフィン等の化学品合成に利用可能な合成ガスを生産するプロセスである。2003年より昭和電工川崎事業所において稼働を続けているガス化設備(廃プラスチックの年間処理量約7万トン)には、このEUPが採用されており、ガス化ケミカルリサイクル用途では、世界で唯一の長期商業運転実績を有する技術である。
日揮、荏原環境プラント、宇部興産、昭和電工の4社は、年内を目途にEUPのライセンス契約を締結のうえ、国内外においてガス化処理設備に関わる積極的な営業活動を展開し、EUPを用いた廃プラスチックガス化処理設備の提案およびEPC業務遂行を目指す。さらに、EUPを含む設備にて合成されるアンモニアやオレフィン等を用いた化学品製造設備の提案を通じ、国内外におけるガス化ケミカルリサイクルの普及および資源循環推進に取り組んでいくとしている。
◆フィルム:アイカ工業が耐摩耗性に優れた自動車内外装向け3次元加飾用ハードコートフィルムの発売を発表(8月28日)
アイカ工業は、3次元加飾用ハードコートフィルム「ルミアートHCシリーズ」に、耐摩耗性に優れた自動車内外装向けの「Sグレード」を追加し、2019年10月上旬より発売することを発表した。
近年、自動車業界では部材に関する環境対応ニーズがさらに高まっており、内装だけでなく外装部品においても、フィルム加飾法の実現化への動きが加速している。そのような市場動向を踏まえ、同社は伸び率を保ちながら耐摩耗性と耐候性を向上させた「ルミアートHCシリーズSグレード」を開発した。
同製品は従来品のルミアートHCシリーズと比較して、約5倍の耐摩耗性と約3倍の耐候性を有しするため、バンパー、ドアミラー、ドアなどの外装部品にも使用できるハードコートフィルムとしてルミアートHCシリーズに追加し、自動車内外装部品の印刷加飾メーカーなどに提供する。
同製品の価格は、1,000~2,000円/㎡(税抜)を予定しており、年間販売目標は3億円(既存製品含む)としている。
◆食品素材: 長瀬産業が中国・福建省に「長瀬食品素材 食品開発中心(厦門)」を設立(8月28日)
長瀬産業は、中国で同社グループが取り扱う食品素材を用いたレシピ開発や顧客へのプレゼンテーション・講習会等のコミュニケーションを行う施設として、同社の中国販売拠点である深圳長瀬厦門分公司内に「長瀬食品素材 食品開発中心(厦門)」をオープンしたと発表した。
同施設は、同社グループの製造子会社である林原の日本国内で展開するアプリケーション開発ラボが初めて海外に進出するもので、施設の運営・管理は林原と深圳長瀬が共同で行う。
主なターゲットである中国のベーカリー市場は、2022年には2017年比で約1.7倍の5,000億元(約7.4 兆円)になると見込まれており、パン・菓子メーカーを中心とした食品メーカーのニーズを現地でタイムリーに吸い上げて食品素材の提案を行うほか、食品開発に携わる技術者向け研修、現地メーカーとの協業を行う拠点とすることで、まずは福建省を中心とした中国食品業界における同社グループのプレゼンス向上を目指すとしている。
◆電池材料:JFEケミカルが中国で電池材料(負極材)事業に関する合弁会社を設立(8月27日)
JFEスチールの子会社であるJFEケミカルと中国の宝山鋼鉄の子会社である宝武炭材は、中国での電池材料(人造黒鉛負極材)事業に関して合弁で進出することに合意し、株主間協議及び合弁契約書調印式を行い、烏海宝傑の設立を決定したことを発表した。今後、速やかに烏海市工商局に設立認可を申請する予定である。
中国は電動自動車の普及を急速に進め、その主要部材である負極材の大きな需要が期待でき、同社は中国内モンゴル自治区の烏海市における宝武炭材の炭素事業に隣接して負極材工場を建設し、製造、販売していくことを決定した。
烏海宝傑への出資比率は、JFEケミカル40%(約15.2億円)、宝武炭材51%(約19.5億円)、天和炭化9%(約3.4億円)である。
今後、総額約5億元(約73億円)を投資し工場建設を進め、年間生産能力1万tの設備を建設し、2020年後半には営業運転を開始するとしている。
◆化粧品原料:三洋化成工業が新感覚のスキンケア化粧品用原料を開発(8月26日)
三洋化成工業は、スキンケア化粧品原料として、優れた機能を発揮するαゲル構造を形成する界面活性剤『アルファピュール HSG』(開発品)を開発したと発表した。
『アルファピュール HSG』は、幅広い処方で安定なαゲルを形成でき、保存安定性にも優れている。得られるαゲルは、なめらかで伸びが良く使用感に優れており、塗布後は皮膚の水分蒸散を防ぎ、角質のバリア機能を高めることなどから、さまざまなスキンケア化粧品に使用できる。
近年、より効果が高く使用感が心地よい化粧品や、高い安全性や優れた低刺激性を有する化粧品などが強く求められており、『アルファピュール HSG』を用いることでこれらの個々のニーズに対して最適な処方を提案できるものと考えている。現在『アルファピュール HSG』は開発品であり、早期上市を目指していくとしている。