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2020年1月30日号

2020.01.30 発行

HEADLINE

 

◆光学フィルム:日本ゼオンが大型TV用光学フィルムの新規ライン竣工式を実施(1月24日)

◆植物由来:積水化成品工業が植物由来グレードの発泡熱可塑性エラストマーを開発(1月23日)

◆電子材料:信越化学が窒化ガリウム(GaN)基板および関連製品の開発を本格化(1月22日)

◆航空機燃料:日揮、レボインターナショナル、石油資源開発が食用油を原料とした航空機燃料のバリューチェーン構築に向けた検討を開始(1月22日)

◆人工タンパク質:三洋化成工業が難治性の傷を治す人工タンパク質を開発(1月21日)

◆炭素繊維:三菱ケミカルが欧州の炭素繊維プリプレグメーカーの買収を決定(1月21日)

◆樹脂:昭和電工が不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂事業の生産体制最適化を決定(1月20日)

◆樹脂:デンカがABS耐熱付与材の新グレードの本格販売を開始(1月20日)

◆電子材料:三菱マテリアルが東京大学発スタートアップ企業を評価パートナーとして銅ナノインクの開発を開始(1月20日)

◆価格改定

・昭和電工がアクリロニトリルを4月1日納入分より値上げ

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆光学フィルム:日本ゼオンが大型TV用光学フィルムの新規ライン竣工式を実施(1月24日)

日本ゼオンは、福井県敦賀市の光学フィルム工場における大型TV向け位相差フィルムの製造ラインが完工し、竣工式を行ったことを発表した。

日本ゼオンの光学フィルム(製品名:ZeonorFilm)は、同社独自のポリマー設計技術で開発したシクロオレフィンポリマー(COP)を原料として世界初となる溶融押出法により生産されている。

新設した新規ラインは、ディスプレイの大型化に伴う更なる需要拡大に対応するもので、2020年4月の本格稼働の予定としている。

 

◆植物由来:積水化成品工業が植物由来グレードの発泡熱可塑性エラストマーを開発(1月23日)

積水化成品工業は、発泡熱可塑性エラストマー「エラスティル」の製品ラインナップ拡大として植物由来グレードの「エラスティル」BIOを新たに開発したことを発表した。

開発品は、持続可能な植物由来素材でありながら、既存の「エラスティル」が持つ高いパフォーマンスを維持することに成功した。

リーボックが2020年秋に発売を予定している初の植物由来パフォーマンスランニングシューズのミッドソール素材として「エラスティル」BIO のパフォーマンスが評価され、採用されたとしている。

 

◆電子材料:信越化学が窒化ガリウム(GaN)基板および関連製品の開発を本格化(1月22日)

信越化学工業は、米国Qromis社との間で、同社が保有するGaN(窒化ガリウム)基板関連技術についてライセンス契約を締結し、GaN基板および関連製品の開発を本格化すると発表した。

信越化学工業は、半導体シリコンウエハーを製造する子会社の信越半導体とともに、パワー半導体と高周波半導体向けに通常のシリコンウエハーに加え、Silicon on Insulator(SOI)ウエハーやGaN on Siliconウエハー等の基板を開発し、販売してきた。これらの製品群をさらに拡充するとともに、Qromis社の技術を用いてGaN基板および関連製品の品揃えを行う。

信越化学工業では、GaNを用いた半導体は、電動自動車等のモビリティーの進化、5Gやデジタライゼーションなどで求められる高デバイス特性と省エネルギーという相反する課題を解決できるデバイスとして、今後需要の拡大が期待されるとしている。

 

◆航空機燃料:日揮、レボインターナショナル、石油資源開発が食用油を原料とした航空機燃料のバリューチェーン構築に向けた検討を開始(1月22日)

日揮、レボインターナショナル、石油資源開発の3社は、使用済み食用油を原料とした次世代航空機燃料「SAF(持続可能な航空燃料)」の国内におけるバリューチェーン構築に向けた検討を1月から開始することを発表した。

3社は、国内におけるSAF製造体制を早期に確立することを目指し、米国等で商業実績のある技術の適用を具体的に検討している。

SAFの原料調達から供給までを含むバリューチェーンの構築にあたっては、航空会社、石油業界各社や関係官庁等との連係に加え、原料となる使用済み食用油の引き取り量の増大に向けた取り組みを強化している。

これらの取り組みを通じ、3社は、2020年内を目途に使用済み食用油を原料とするSAFの製造供給の事業性評価を行い、その後、同事業を拡大していくことで、国内におけるSAFバリューチェーンの構築を目指すとしている。

 

◆人工タンパク質:三洋化成工業が難治性の傷を治す人工タンパク質を開発(1月21日)

三洋化成工業は、京都大学と共同研究を行い、慢性創傷を治療する目的で新規治療材料シルクエラスチンスポンジを開発したと発表した。

近年、糖尿病患者の増加あるいは高齢化に伴い、糖尿病性皮膚潰瘍等に代表される治りにくい創傷(慢性創傷)の増加が問題となっている。慢性創傷ではさまざまな原因で治癒が遅れ、細菌に感染し、更に治癒が遅れる悪循環になる。

今回開発した新規治療材料は人工タンパク質シルクエラスチンで作製されており、感染しやすい慢性創傷に対しても有効な材料であることを動物実験等で確認した。その後、京都大学医学部附属病院で医師主導治験を行い、本材料の安全性を確認している。

この医師主導治験の成果を受け、AMED医工連携事業化推進事業にて、2020年1月から2022年3月までの開発予定期間にて、三洋化成が中心となり、京都大学と広陵化学工業とともに、本材料の有効性を確認する目的の企業治験を実施し、4年以内に本材料を新規医療機器として承認を得ることを目標に事業化に向けた開発を推進するとしている。

 

◆炭素繊維:三菱ケミカルが欧州の炭素繊維プリプレグメーカーの買収を決定(1月21日)

三菱ケミカルは、炭素繊維複合材料事業の強化のため、ドイツの炭素繊維プリプレグメーカーであるc-m-p社を、グループ会社であるMitsubishi Chemical    Advanced Materials(本社:スイス、以下「MCAM」)を通して買収することを決定したと発表した。

c-m-p社は、UD・織物プリプレグに関して優れた製造技術を有し、航空機・自動車用途を中心に多岐にわたる分野においてソリューションを提供している。この買収により、三菱ケミカルはプリプレグの生産に関して欧米日の世界三極体制を確立し、また、特にモビリティ分野で先端材料の採用が先行する欧州において、イタリア・モデナでのSMC(Sheet Molding Compound)製造設備増設に加えて炭素繊維複合材料の生産体制の強化を進めていく。本買収は2020年2月を目途に完了する予定としている。

 

◆樹脂:昭和電工が不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂事業の生産体制最適化を決定(1月20日)

昭和電工は、不飽和ポリエステル樹脂(以下、UP)およびビニルエステル樹脂(以下、VE)事業の収益性向上を図るため、UP・VEの国内生産について2021年6月末を目途に伊勢崎事業所の生産ラインの一部を停止し、龍野事業所に集約することを決定したと発表した。

同社の機能性高分子事業は、国内に2拠点、海外に中国2拠点、タイ1拠点に生産ラインを持ち、UPは主に住宅・建設資材用途や自動車関連用成形材料、VEは主に耐食・耐薬品用途、電子材料用途を中心に展開している。

UP・VE市場は、海外では中国・ASEANを中心として住宅建築やインフラ投資、自動車産業の成長を背景に需要が拡大しているが、国内は主用途の住宅資材向けが新規住宅着工件数の減少等により市場規模が縮小している。そのため昭和電工は、国内におけるUP・VEの生産を龍野事業所に集約して生産体制を最適化するとともに、付加価値が高く需要が拡大しているインフラ分野等に注力し、海外は中国・ASEANを含め高収益が期待できるセグメントを対象とすることで収益性向上を図ることとした。

なお、伊勢崎事業所は引き続き電子材料向け高機能性樹脂の開発・製造に注力していくとしている。

 

◆樹脂:デンカがABS耐熱付与材の新グレードの本格販売を開始(1月20日)

デンカは、ABS耐熱付与材であるデンカIPの新グレード「デンカIPXシリーズ」の本格販売を開始したと発表した。

IPXシリーズは、デンカが高分子樹脂設計で培ってきたスチレン系の精密・重合技術をより深化させることで、デンカIPの特性である高い耐熱性と低VOCに加え、耐薬品性・塗装性の改善など、各性能を向上させた耐熱付与材である。

近年、自動車業界では安全基準の厳格化やハイブリッド・EV化に伴い様々な部品の複雑化や軽量化が進んでおり、それに伴い各種部品の原料である樹脂には耐熱性、耐薬品性、塗装性をはじめとする多機能化・高機能化のニーズが高まっている。そうした自動車内外装材用途を中心とした高度なニーズに幅広く対応できる素材として、IPXシリーズを開発した。

既に千葉工場においてIPXシリーズの量産体制を構築しており、2022年には年間4,000トンを販売する予定としている。

 

◆電子材料:三菱マテリアルが東京大学発スタートアップ企業を評価パートナーとして銅ナノインクの開発を開始(1月20日)

三菱マテリアルは、東京大学発のプリンテッド・エレクトロニクス分野のスタートアップ企業であるエレファンテックを評価パートナーとして、銅ナノインクの開発を開始したと発表した。

近年、電子部品を構成する電子回路や素子またはワイヤーハーネスなどを、印刷や塗布によって形成するプリンテッド・エレクトロニクス技術により、電子部品の軽量化、低コスト化が進んでいる。エレファンテックは、必要な部分にのみインクジェット方式で金属ナノ粒子を印刷し、めっき技術で金属を成長させる独自の製造技術により、従来のフレキシブル基板よりもリードタイムを短縮させ、製造コストの削減を実現している。

現在、インクジェット印刷には「銀ナノインク」が広く使用されているが、マイグレーションによる回路内での絶縁不良や短絡が課題となっている。今回三菱マテリアルが開発する「銅ナノインク」は、それらの課題を解決するだけでなくコストダウンも期待できるとしている。

 

◆価格改定

・昭和電工がアクリロニトリルを4月1日納入分より値上げ

値上げ幅は、15円/kg以上

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