2020.03.19 発行
◆建材:吉野石膏、ニチハ、旭ファイバーグラスが軽量外断熱システムを共同開発(3月13日)
◆二次電池:ヘンケルとコベストロが接着剤によるリチウムイオン電池の効率的な組立を実現(3月12日)
◆エアゾール:エア・ウォーター・ゾルが新研究所を開所(3月10日)
◆汚染対策:凸版印刷が重金属を吸着するシートを共同で開発(3月10日)
◆潤滑剤:出光興産がシェルブランド潤滑油事業の譲渡に関する協議を開始(3月9日)
◆光デバイス:長瀬産業グループのInkron社が半導体製造装置メーカーのEV Groupと協業(3月9日)
◆光デバイス:長瀬産業グループが、SCHOTT社、EVG社、WaveOptics社と協業し次世代ウェアラブルディスプレイ向け光学部品を開発(3月9日)
◆建材:吉野石膏、ニチハ、旭ファイバーグラスが軽量外断熱システムを共同開発(3月13日)
吉野石膏、ニチハ、旭ファイバーグラスは、軽量外断熱システム「FEIS タイガーモエン」を共同開発したことを発表した。
開発品は、外壁の下地をコンクリートではなく鉄骨造として、壁を大幅に軽量化した。また、施工コストを従来の内断熱工法と同等に抑えつつ、鉄骨内部と外側に合計150 ㎜の断熱材を施工する事で、断熱性能は従来の内断熱工法の約3倍の熱抵抗値を有する。この工法では壁厚は同じまま最大200㎜まで断熱材を厚くすることができ、更なる高断熱化も可能となる。
「FEIS タイガーモエン」は鉄筋コンクリート造の共同住宅、特に北側の廊下と南側の外壁を主なターゲットとし、その後、東西面の妻壁部分、非住宅に拡大する考え。省エネルギー性が従来よりも大幅に高いため、東北地方や北海道などの寒冷地、維持管理費を抑えたい不動産投資向けの賃貸住宅、従来よりも大幅に断熱性に優れることから、地震や災害時の避難場所となる公共施設に適するとしている。
◆二次電池:ヘンケルとコベストロが接着剤によるリチウムイオン電池の効率的な組立を実現(3月12日)
ヘンケルとコベストロは、ヘンケルの紫外線硬化型接着剤とコベストロの紫外線透過ポリカーボネートブレンドをベースにし、プラスチック製のバッテリーホルダーの中に円筒型のリチウムイオン電池を効率よく固定するソリューションを開発したと発表した。
電気自動車(EV)の技術進化に伴い、大容量のリチウムイオン電池を格納する構造及び、リチウムイオン電池を優れた費用対効果で大量に組み立てることが必要条件になっている。このような背景から、ヘンケルのLoctite AA 3963電池組立用接着剤とコベストロの紫外線透過ポリカーボネートブレンドBayblendが開発された。
ヘンケルのアクリル系接着剤Loctite AA 3963は、基材との強力な接着性を確保するとともに、長いオープンタイムと短い硬化サイクルにより様々な生産ラインに対応できる。
コベストロのPC+ABS配合Bayblend FR3040 EVは、電池ホルダーを製造するための樹脂で、厚さがわずか1ミリで、安全認証の難燃性規格UL94のV-0グレードを満たしており、紫外線に対して良好な透過性を示す。
両社は、ヘンケルのLoctite接着剤の速硬化性とコベストロの素材の組み合わせにより、円筒型リチウムイオン電池モジュールの大規模生産に向けた画期的なアプローチを提供するとしている。
◆エアゾール:エア・ウォーター・ゾルが新研究所を開所(3月10日)
エア・ウォーターグループであるエア・ウォーター・ゾルは、エアゾール製品ならびに化粧品(液体充填品)の受託製造にかかる研究開発体制の強化を目的に、茨城県小美玉市で建設を進めていた新研究所が完成し、稼働を開始したことを発表した。
新研究所建設における投資額は約8億円で、主な研究内容はエアゾール製品および化粧品などの研究・開発である。
新研究所では、顧客の様々な要望をその場で具体的な検討ができる「オープンラボ」を設置すると共に、官能評価室、恒温恒湿室、真空乳化機、肌機能測定機などの研究設備・機器を導入し、スキンケア・ヘアケアから生活全般に関わる研究開発を強化する。研究員についても既存の35名から将来的には50名体制まで拡大する予定としている。
◆汚染対策:凸版印刷が重金属を吸着するシートを共同で開発(3月10日)
凸版印刷とケー・エフ・シー、イーエス総合研究所は、土中に含まれる有害物質である重金属を吸着し流出を防ぐ「パデムシート」を共同で開発し、施工業者に向けて3月から販売を開始することを発表した。
土壌から流れ出る溶出水に基準値を超える重金属が含まれていた場合、その土壌は適切に処理することが義務づけられている。「パデムシート」は、トンネル施工や建設工事などの際に発生する、自然由来の有害物質である重金属を含有する土壌を処理するための、吸着材を均一に充填したシート状の製品である。土中の重金属のみを吸着するため、溶出水の濃度を基準値以下にすることが可能で、河川や海への有害物質の流出を防ぐことができる。
本製品の販売にあたり、吸着材の提供をイーエス、製造を凸版印刷、販売をケー・エフ・シーで行う予定としている。
◆潤滑剤:出光興産がシェルブランド潤滑油事業の譲渡に関する協議を開始(3月9日)
出光興産は、完全子会社であるシェルルブリカンツジャパン(SLJ)の全株式並びに同社が営むシェルブランド潤滑油事業の資産及び権利を、シェル・インターナショナル・ペトロリウム・カンパニー・リミテッド(シェル・インターナショナル)の関係会社(シェル)に譲渡することについてのシェル・インターナショナルとの具体的な協議を開始し、基本合意書を締結したと発表した。
出光興産が潤滑油事業の維持・発展を目的として、出光ブランドの潤滑油事業を、完全子会社である SLJにおいてシェルブランドの潤滑油事業をそれぞれ行っていた。
今回、シェル・インターナショナルからの要請により、SLJの全株式とシェルブランド潤滑油事業の資産及び権利をシェルに譲渡することにより、競合する両ブランド事業の独立した運営体制を確立し、両ブランド事業がより一層成長・発展することを目的として、協議を開始するとしている。
◆光デバイス:長瀬産業グループのInkron社が半導体製造装置メーカーのEV Groupと協業(3月9日)
長瀬産業グループのInkron社(本社:フィンランド)は、ナノインプリント技術を用いた回折光学素子(以下:DOE)の開発・生産において、半導体製造装置メーカーEV Group(本社:オーストリア、以下、EVG社)と協業を開始すると発表した。
次世代デバイスとして開発が急速に進む拡張現実(AR)/複合現実(MR)向けデバイス用光導波路等が対象となる。
Inkron社は、超高屈折・超低屈折材料(屈折率範囲:1.1~2.0)を実現する技術を有し、高屈折ガラスと組み合わせて用いられる高屈折ナノインプリントコーティング材を開発・製造している。一方、EVG社は、半導体や微小電気機械システム等の市場向けに製造機器やソリューションを提供しており、特にナノインプリントリソグラフィ技術(以下:NIL)では世界最先端の技術を有する。
Inkron社は、EVG社の装置を用いてNIL加工に最適化された新たな光学材料の開発を進めるとしている。
◆光デバイス:長瀬産業グループが、SCHOTT社、EVG社、WaveOptics社と協業し次世代ウェアラブルディスプレイ向け光学部品を開発(3月9日)
長瀬産業グループのInkron社は、産業用ガラスメーカーSCHOTT社(本社:ドイツ)、半導体製造装置メーカーEVG社および光学部品メーカーWaveOptics社(本社:イギリス)と協業し、次世代デバイスとして開発が進む拡張現実(AR)/複合現実(MR)ウェアラブルディスプレイ向けの光学部品の開発を進めていくことを発表した。
協業の対象となるのは、AR/MRウェアラブルディスプレイを構成する部品の一つである光導波路の大量生産を可能にする300mmガラスウェハープロセスの開発である。
同製品は、AR/MRウェアラブルディスプレイで広い視野角を実現し、利用者がよりAR/MRの世界に没入できる環境を実現する。また、ユニットあたりの生産コストを抑えるとともに、AR/MRに求められる超高精度の規格を満たすことが可能で、次世代のAR/MRデバイスの基盤としての利用が見込まれるとしている。