2021.11.11 発行
◆医療機器:東洋紡がニプロと共同でCTAダイアライザの一貫生産工場を新設(11月5日)
◆成形材料:旭有機材が成形材料事業から撤退を発表(11月5日)
◆リサイクル:帝人グループがパラ系アラミド長繊維のリサイクル技術を開発(11月4日)
◆リサイクル:日揮ホールディングスが廃プラスチック油化によるケミカルリサイクルを推進(11月4日)
◆電池材料:ノリタケ、東京ガス、東京ガスエンジニアリングソリューションズが水素燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成炉を開発(11月4日)
◆食品材料:ダイセルが大豆由来の腸内代謝物「エクオール」含有素材 「フラボセルEQ-5N」の製造能力を増強(11月4日)
◆繊維:東洋紡が繊維事業の国内生産を庄川工場に集約(11月1日)
◆半導体関連:三菱ケミカルがドイツでの半導体精密洗浄事業を強化(11月1日)
◆ガラス:セントラル硝子が国内建築ガラス事業における子会社の一部拠点を閉鎖(11月1日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・東亞合成がアクリル製品を11月15日出荷分より値上げ
・デンカがABS樹脂、デンカIP、透明樹脂、クリアレンを11月15日納入分より値上げ
・カネカが塩化ビニル樹脂を11月20日出荷分より値上げ
・東ソーがポリエチレン樹脂を11月22日納入分より値上げ
・住友ベークライトが銅張積層板、プリプレグ及び積層板を12月1日出荷分より値上げ
・トクヤマがイソプロピルアルコールを12月1日出荷分より値上げ
・トクヤマが液体塩化カルシウムを12月1日出荷分より値上げ
・トクヤマが重曹(重炭酸ナトリウム)を12月1日出荷分より値上げ
・信越ポリマーがOA機器用部品、シリコーンゴム成形品を12月1日出荷分より値上げ
・信越ポリマーが入力デバイス製品、ディスプレイ関連デバイス、コンポーネント関連製品を12月1日出荷分より値上げ
・コニシがシリコーン関連全製品を12月1日より値上げ
・積水化学工業がプラント資材関連製品を12月1日出荷分より値上げ
・大倉工業が合成樹脂製品を12月21日出荷分より値上げ
・アイカ工業が化粧ボードを12月21日出荷分より値上げ
・日本製紙が印刷・情報・産業用紙を1月1日出荷分より値上げ
・住友大阪セメントがセメント・固化材を2月1日より値上げ
◆医療機器:東洋紡がニプロと共同でCTAダイアライザの一貫生産工場を新設(11月5日)
東洋紡は、ニプロ大館工場(秋田県)内に、CTA(セルローストリアセテート)製ダイアライザ(人工腎臓)の一貫生産工場を新設すると発表した。
ダイアライザは、腎臓の機能低下により慢性腎不全となった患者が、人工透析により血液をろ過し、老廃物などの毒素を取り除くために利用する医療機器で、東洋紡では1980年代初めからCTAダイアライザ用の中空糸膜の製造を開始した。今回ニプロと共同で新設する工場では、前工程で東洋紡が原料から製造した中空糸を、後工程でニプロが加工、製品化し、一貫生産体制を構築する。
今回の設備投資額は約50億円(中空糸膜生産設備)、新工場は2024年7月の稼働開始を目指すとしている。
◆成形材料:旭有機材が成形材料事業から撤退を発表(11月5日)
旭有機材は、フェノール成形材料及びジアリルフタレート成形材料の生産及び販売事業からの撤退を決定したことを発表した。
同社は、創業直後から延岡工場(宮崎県)でフェノール成形材料及びジアリルフタレート成形材料の生産販売を行ってきたが、近年、材料転換等による市場縮小や競争激化により、非常に厳しい事業環境が継続していた。事業継続の可能性について検討を重ねた結果、将来的な事業拡大が見込めず生産設備の更新も困難となる見通しであるため、2023年3月31日を目途に成形材料事業から撤退することを決定した。
◆リサイクル:帝人グループがパラ系アラミド長繊維のリサイクル技術を開発(11月4日)
帝人グループでアラミド事業を展開しているテイジン・アラミド(オランダ)は、パラ系アラミド「トワロン」長繊維のリサイクル技術を開発し、長繊維からリサイクル長繊維を再生するパイロット生産に成功したと発表した。
今回パイロット生産に成功したのは、回収された使用済み最終製品に用いられた繊維を短く切断して、それをさらに細かく刻んだものをバージン原料と合わせて溶融し、紡糸したもの。これにより再生された長繊維の性能は、バージン品である「トワロン」長繊維とほぼ同等であることが確認された。
この技術開発に伴い、オランダの工業・産業向けケーブルメーカーであるファイバー・マックス社、および海運・漁業向けロープなどのメーカーであるハンプジャン社(アイスランド)と連携し、このリサイクル長繊維を9割以上使用した最終製品において実証試験を進めている。
テイジン・アラミドは、2024年の販売開始を目指し、このリサイクル長繊維の改良を重ねていくとしている。
◆リサイクル:日揮ホールディングスが廃プラスチック油化によるケミカルリサイクルを推進(11月4日)
日揮ホールディングスは、旧札幌プラスチックリサイクルによって商用運転が行われた実績のある廃プラスチックの油化プロセスに関する技術を活用した、ケミカルリサイクルに関する自社ライセンスの開発を開始したと発表した
旧札幌プラスチックリサイクルで適用されていた油化プロセス技術は、他の油化プロセス技術では事前除去する必要がある塩化ビニル(PVC)を同時に処理することが可能であり、また残渣を適切に排出することで安全かつ安定的に連続運転が可能という技術的な優位性を有している。同プロセス技術は、旧札幌プラスチックリサイクルによって2000年から10年間、年間1万5千トン規模の処理量で商用運転が行われた実績を有しており、油化プロセス技術の中で最も信頼性の高い技術であると考えられている。
日揮ホールディングスグループは、同プロセス技術の技術的優位性、および実績をベースに、プロセス技術全体のさらなる効率化や処理能力の向上を目指した装置の大型化による経済性向上に向けた技術改良を図り、2022年のライセンス開始を目指すとしている。
◆電池材料:ノリタケ、東京ガス、東京ガスエンジニアリングソリューションズが水素燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成炉を開発(11月4日)
ノリタケ、東京ガス、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)は、特殊セラミックラジアントチューブバーナを採用した世界初の水素燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成炉「C-SERT-RHK-Nero」(以下「Nero」:ネロー)を開発したことを発表した。
Neroは、近年需要が急速に高まっているリチウムイオン電池電極材の製造工程で求められる高温域(1,000℃以上)での安定した熱処理を、水素を燃料として行う。独自の燃焼技術により、NOX(窒素酸化物)発生の抑制が可能となるほか、温度分布の平準化やスムーズな温度追従性、酸素濃度の維持など安定加熱が可能になっている。また、耐熱・耐蝕性能の高い特殊セラミックを発熱体としてバーナに採用することで耐久性が向上している。
3社は、今後Neroの高効率な加熱技術を、高温域での安定した熱処理が求められる自動車(ホットスタンプ等)や5G向け電子部品などの用途にも応用し、さまざまな製品の加熱工程の脱炭素化に貢献するとしている。
◆食品材料:ダイセルが大豆由来の腸内代謝物「エクオール」含有素材 「フラボセルEQ-5N」の製造能力を増強(11月4日)
ダイセルは、大豆由来成分の腸内代謝物エクオール含有食品素材「フラボセルEQ-5N」の製造設備を追加し、製造能力を増強して安定供給体制を構築したと発表した。
エクオールは大豆に含まれるイソフラボンの一種「ダイゼイン」が腸内細菌によって代謝され、体内生成される物質で、女性ホルモン様作用を示すことが確認されている。女性の更年期症状の発現には、環境要因や気質要因の他、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌減少が大きく関係する。最近の研究ではエクオールがダイゼインに比べてより女性ホルモン様作用を発揮しやすいことが報告され、注目を集めている。
近年、更年期対策サプリメント市場は堅調に伸長している。同社は、2013年からサプリメントメーカーに向けて販売してきた従来品「フラボセルEQ-5」の製法を2021年に変更し、「フラボセルEQ-5N」として販売している。追加設備で製造する製品は2022年初めより供給開始の予定としている。
◆繊維:東洋紡が繊維事業の国内生産を庄川工場に集約(11月1日)
東洋紡は、繊維事業の国内生産拠点である富山事業所について、井波工場(富山県南砺市)および入善工場(富山県下新川郡)の生産を休止し、両工場の生産機能などを庄川工場(富山県射水市)に集約する方針を決定したと発表した。
富山事業所では、井波工場および入善工場が紡績工程を、庄川工場が織布・加工工程を担当していた。繊維事業を取り巻く市場環境の変化に伴い、拠点を集約する。
2024年3月末を目途に、井波工場、入善工場の生産休止と、庄川工場の織布部門の生産を縮小する。井波工場、入善工場からの紡績工程の移管・集約し、庄川工場での新たな生産・開発体制のもと、マレーシアの生産拠点も活用しながら、国内の紡績・織布・加工のテキスタイル生産を継続していくとしている。
◆半導体関連:三菱ケミカルがドイツでの半導体精密洗浄事業を強化(11月1日)
三菱ケミカルは、ドイツのグループ会社であるCleanpartドレスデン社の半導体精密洗浄の事業拡大のため、約1,000万ユーロを投資し、洗浄能力の増強を行うと発表した。
Cleanpartドレスデン社は、主にドイツ東部を中心に半導体の精密洗浄サービスを提供し、同エリアにおいて高いシェアを有している。最近の世界的な半導体需要の増加に対し、顧客の生産をサポートするため、洗浄能力の増強を行うことを決定した。
本増強では、Cleanpartドレスデン社の敷地内にクリーンルーム棟を新設し、最新技術を用いた洗浄設備や洗浄工程での廃棄物を減らす環境配慮型設備などを導入し、2022年末に稼働を開始する予定としている。
◆ガラス:セントラル硝子が国内建築ガラス事業における子会社の一部拠点を閉鎖(11月1日)
セントラル硝子は、子会社であるセントラル硝子プラントサービス(以下、CGPS)の一部拠点であるつくば工場(茨城県)の閉鎖を発表した。
セントラル硝子は、国内建築ガラス事業において販売体制を生産規模に合わせた適正な販売拠点数まで縮小し、建築加工ガラスの生産体制も生産性の高い拠点に生産を集約、生産能力を適正規模にするとの方針を掲げている。
今回、その取り組みの一環として同社子会社であるCGPSのつくば工場の閉鎖を決定した。閉鎖時期は2021年10月末としている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
11月契約価格は、1,005$/t(前月比+20$/t)、国内価格換算想定値は119.7円/kg
・東亞合成がアクリル製品を11月15日出荷分より値上げ
値上げ幅は、40円/㎏以上
・デンカがABS樹脂、デンカIP、透明樹脂、クリアレンを11月15日納入分より値上げ
値上げ幅は、30円/kg以上
・カネカが塩化ビニル樹脂を11月20日出荷分より値上げ
値上げ幅は、40円/kg以上
・東ソーがポリエチレン樹脂を11月22日納入分より値上げ
値上げ幅は、14円/kg以上
・住友ベークライトが銅張積層板、プリプレグ及び積層板を12月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、銅張積層板、樹脂付き銅箔:10~15%、プリプレグ:15~20%、積層板:15%
・トクヤマがイソプロピルアルコールを12月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、ローリー:18円/kg以上、容器:30円/kg以上
・トクヤマが液体塩化カルシウムを12月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、10円/kg以上(固形換算)
・トクヤマが重曹(重炭酸ナトリウム)を12月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、22円/kg以上
・信越ポリマーがOA機器用部品、シリコーンゴム成形品を12月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15%以上
・信越ポリマーが入力デバイス製品、ディスプレイ関連デバイス、コンポーネント関連製品を12月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15%以上
・コニシがシリコーン関連全製品を12月1日より値上げ
値上げ幅は、50%以上
・積水化学工業がプラント資材関連製品を12月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、バルブ類、プラント管類、フランジ・パッキン、関連製品:10%以上、継手類:5%以上
・大倉工業が合成樹脂製品を12月21日出荷分より値上げ
値上げ幅は、原反製品:2.0銭/CC以上、二次加工製品:10%以上
・アイカ工業が化粧ボードを12月21日出荷分より値上げ
値上げ幅は、10~15%(平均)
・日本製紙が印刷・情報・産業用紙を1月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15%以上
・住友大阪セメントがセメント・固化材を2月1日より値上げ
値上げ幅は、2,400円/トン