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2021年9月9日号

2021.09.16 発行

HEADLINE

◆ゴム:日本ゼオンがタイでアクリルゴム商業生産を本格スタート(9月3日)
◆樹脂:ポリプラスチックスがLCP重合プラント新設を発表(9月1日)
◆ガラス:セントラル硝子が国内建築ガラス事業について一部事業譲渡及び拠点閉鎖(9月1日)
◆ゴム:住友化学がエチレン・プロピレンゴムの販売終了を発表(9月1日)
◆太陽光発電:ENEOSホールディングスと日本板硝子が透明な窓用太陽光発電パネルの実証実験を開始(9月1日)
◆水素ガス:エア・ウォーターがエア・ウォーター・ハイドロの水素ガス製造拠点リニューアルと生産能力増強を発表(9月1日)
◆反射板:大日本印刷が5Gの電波の到達エリアを拡げる電波反射板を開発(8月31日)
◆電子材料:住友化学が半導体フォトレジストの生産体制をグローバルに強化(8月31日)
◆電子材料:ADEKAがフォトレジスト向け光酸発生剤の生産能力を増強(8月30日)
◆AI技術:日本ゼオンが人工知能(AI)によって材料の構造画像を生成し、高速・高精度で物性の予測を可能とする技術を開発(8月30日)
◆樹脂:三菱ケミカルが設備の損傷によりエポキシ樹脂固体製品の製造を一時停止(8月30日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・デンカがポリビニルアルコールを9月10日出荷分より値上げ
・昭和電工がグリシンを9月16日出荷分より値上げ
・信越ポリマーが業務用・営業用ラップ他関連商品を9月21日出荷分より値上げ
・トクヤマが塩酸を10月1日出荷分より値上げ
・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を10月1日納入分より値上げ
・T&K TOKAがオフセットインキ及びインキ関連製品を10月1日出荷分より値上げ
・ユニチカが包装用フィルム製品を10月1日出荷分より値上げ
・東洋紡がポリエステルスパンボンド不織布を10月1日出荷分より値上げ
・東海カーボンがファインカーボン製品を10月より値上げ
・信越ポリマーがシリコーン・シーラント製品を10月出荷分より値上げ

WEEKLY NEWS

◆ゴム:日本ゼオンがタイでアクリルゴム商業生産を本格スタート(9月3日)
 日本ゼオンは、グループ企業であるZeon Chemicals Asia(以下、ZCA 社)が、2021年8月よりタイにおいてアクリルゴムの商業生産を開始したと発表した。
 ゼオングループでは、これまで日本(川崎・倉敷)、アメリカでアクリルゴムの生産を行っているが、今回のZCA社の商業生産により、グループ全体でのアクリルゴム生産量は22,000トン/年となり、世界4拠点からグローバルに供給する体制を強化するとしている。

◆樹脂:ポリプラスチックスがLCP重合プラント新設を発表(9月1日)
 ポリプラスチックスは、液晶ポリマー(製品名:ラぺロスLCP、以下、LCP)について現地法人のPolyplastics Taiwan(以下、PTW)に年産5,000トンの重合プラントを新設することを決定したと発表した。
 ポリプラスチックスは、富士工場に年産15,000トンのLCP重合プラントを有しており、PTWではこれまでLCP製品のコンパウンド工程の生産を担ってきた。今回のLCP重合プラントの新設を受けて、PTWで重合からコンパウンドまでLCP製品の一貫生産が可能となる。稼働時期は2024年上半期を予定している。
 将来的には、PTWのLCP重合プラントを拡張することで、ポリプラスチックスグループ全体として年産25,000トンのLCP重合能力が実現するとしている。

◆ガラス:セントラル硝子が国内建築ガラス事業について一部事業譲渡及び拠点閉鎖(9月1日)
 セントラル硝子は、セントラル硝子販売(CGS)における一部事業の譲渡と拠点の閉鎖及び、セントラル硝子プラントサービス(CGPS)における一部拠点での生産中止を発表した。
 CGSの一部事業の譲渡と閉鎖については、2021年9月1日付にて、関東地区のCGS直販部門の一部拠点を事業譲渡し、事業譲渡対象外の拠点については12月末を持って閉鎖する。
 CGPSの一部拠点での生産中止については、2021年7月末につくば工場(茨城県)における複層ガラスの生産中止、2021年8月末に大石製造所(三重県)における建築用強化ガラスの生産中止を決定している。
 セントラル硝子では、国内建築ガラス事業につき、販売体制を生産規模に合わせた適正な販売拠点数まで縮小し、また、建築加工ガラスの生産体制も、生産性の高い拠点に生産を集約し生産能力を適正規模にするとしている。

◆ゴム:住友化学がエチレン・プロピレンゴムの販売終了を発表(9月1日)
 住友化学は、合成ゴムのエチレン・プロピレンゴム(EPDM)について、千葉工場にある製造設備を停止し、2023年3月末をめどに販売を終了することを決定したと発表した。
 同設備は1970年に操業を開始し、生産能力は4t/年である。同社は、これまで、製品の高付加価値化やコスト削減など事業の競争力強化に取り組んできたが、操業開始から50年以上が経過した製造設備の維持・補修費用は年々増加しており、今後、中長期にわたって安定的に収益を確保することは困難と判断しことから、販売終了の決定に至ったとしている。

◆太陽光発電:ENEOSホールディングスと日本板硝子が透明な窓用太陽光発電パネルの実証実験を開始(9月1日)
 ENEOSホールディングス(以下、ENEOS)と日本板硝子(以下、NSG)は、ENEOSが出資し、NSGが共同開発を実施している、米国ユビキタスエナジー社(以下、UE社)が開発した透明な太陽光発電パネルを、建物の窓として使用する実証実験を国内で初めて実施すると発表した。
 このパネルは、紫外線と赤外線をエネルギー源とする高効率の発電が可能であり、一般的な窓と同程度の透明度を維持しつつ、遮熱性と断熱性に優れていることから、建物の高いエネルギー効率を実現することができる。また、高層ビル等に活用できるため、広大な用地確保が不要であり、平置き型の太陽光発電と比較し、小さい敷地面積から多くの電力を生み出す可能性がある。
 今回の実証は、日本国内の日照、気候条件下におけるUE社製太陽光発電パネルの省エネ性能(遮熱・断熱性)および発電性能について検証するもので、ENEOSとNSGが共同で、1年間にわたり、NSGの千葉事業所内に設置した施設において定量的な評価を行うとしている。

◆水素ガス:エア・ウォーターがエア・ウォーター・ハイドロの水素ガス製造拠点リニューアルと生産能力増強を発表(9月1日)
 エア・ウォーターは、同社グループの水素ガスの製造・販売を行うエア・ウォーター・ハイドロが甲信越地区における水素ガスの安定供給体制を確立し生産能力を増強するため、同社の二本木工場(新潟県)に天然ガスから水素ガスを発生させることができる水素ガス発生装置「VHR」を設置することを決定したと発表した。
 これまで、二本木工場では、隣接する化学工場より水素ガス精製の原料ガス供給を受けていたが、「VHR」を導入し、都市ガスの配管供給を受けることで、コスト合理化とともに、原料ガスの供給量に左右されない、自社単独での安定的な水素ガスの生産が可能となる。
 新工場の稼働開始は2022年4月を予定しており、リニューアル後の生産能力は従来比1.3倍の計画としている。

◆反射板:大日本印刷が5Gの電波の到達エリアを拡げる電波反射板を開発(8月31日)
 大日本印刷は、第5世代移動通信システム(5G)で使用するミリ波を自在な方向に反射させて、ミリ波の到達エリアを拡げる電波反射板(以下: リフレクトアレイ)を開発したことを発表した。
 5Gの高速大容量通信に使われる4Gより高周波のミリ波帯の電波は、直進性が高く到達距離が短いという特徴があり、この課題の解消に向けて基地局や中継機器等を増設する場合は、多額の費用の発生や設置場所の確保などが問題となっていた。
 今回開発されたリフレクトアレイは、「周波数選択反射層」と「反射方向制御層」を分離して、個々の層の特性を制御しやすくしており、反射する周波数帯、基地局から受ける電波の入射角、電波を届ける反射角、反射波の広がり方を自由に設定できる特長を有する。
 同社は今後、通信キャリアを含めた各種通信関連会社等と共同で本製品の機能検証などを進め、2023年度からの実用化を目指すとしている。

◆電子材料:住友化学が半導体フォトレジストの生産体制をグローバルに強化(8月31日)
 住友化学は、最先端プロセス向けフォトレジストの生産体制を強化したと発表した。
 フォトレジストは、半導体製造プロセスにおける回路パターン形成に使用される感光性樹脂である。
 大阪工場で、液浸ArF(フッ化アルゴン)およびEUV(極端紫外線)フォトレジストの製造ラインを増設するほか、同社の子会社である東友ファインケムの益山工場に、液浸ArFフォトレジストの製造プラントを新設する。稼働開始の時期は、大阪工場が2023年度上期、東友ファインケムが24年度上期を予定している。
 今回、大阪工場での製造ライン増設に加え、事業継続計画(BCP)の観点も踏まえて、東友ファインケムへの製造プラントの新設を決定したことにより、同社グループの最先端プロセス向けフォトレジストの生産能力は、24年度に19年度比で約2.5倍になるとしている。

◆電子材料:ADEKAがフォトレジスト向け光酸発生剤の生産能力を増強(8月30日)
 ADEKAは、EUV(極端紫外線)をはじめとする半導体の先端リソグラフィ工程で使用される光酸発生剤の千葉工場の生産能力を従来比2倍以上に増強すると発表した。
 同社の光酸発生剤「アデカアークルズ」シリーズは、微細なパターニング形成と1ppbレベルの低メタル管理などの高品質を特長としている。今後、EUV露光の拡大が予想されており、従来のリソグラフィ向け光酸発生剤の技術革新が必要とされている。本投資では、従来では対応することが難しい1ppb未満の低メタル管理が可能な最新設備を導入する。また、導入を決定した生産設備では、微細化に伴い新たに必要となる半導体周辺材料の生産も計画している。
 今回の投資金額は27億円を計画しており、営業運転開始は2023年度中の予定としている。

◆AI技術:日本ゼオンが人工知能(AI)によって材料の構造画像を生成し、高速・高精度で物性の予測を可能とする技術を開発(8月30日)
 日本ゼオンは、NEDOの「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」において、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、人工知能(AI)によって材料の構造画像を生成し、高速・高精度で物性の予測を可能とする技術を開発したと発表した。
 従来は、コンピューター上で扱える材料は構造が定義できる低分子化合物や周期構造を持つ金属、無機化合物に限定されており、カーボンナノチューブなどの複雑な構造を持つ材料は扱えないことが課題であった。
 今回開発した技術により、従来はAI技術を適応できなかった様々な材料系についても材料選定から加工・評価まで一連の実験作業を高速・高精度にコンピューター上で再現(仮想実験)することが可能になり、材料開発のさらなる加速化が期待できるとしている。

◆樹脂:三菱ケミカルが設備の損傷によりエポキシ樹脂固体製品の製造を一時停止(8月30日)
 三菱ケミカルは、三重事業所内エポキシ樹脂固体製造設備において、設備の一部が損傷したことにより製品の製造を停止したことを発表した。
 検証の結果、該当設備の修復による復旧は困難と判断しており、復旧には長時間を要する見込みとしている。これにより、同社はエポキシ樹脂固体製品群といった一部対象商品に対して、当面の間希望通りの注文を受け入れることが困難としている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 9月契約価格は、980$/t(前月比▲85$/t)、国内価格換算想定値は112.9円/kg
・デンカがポリビニルアルコールを9月10日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、35円/kg
・昭和電工がグリシンを9月16日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、50円/kg以上
・信越ポリマーが業務用・営業用ラップ他関連商品を9月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%以上
・トクヤマが塩酸を10月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、6円/kg以上
・DICがポリスチレン製品およびスチレン系製品を10月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、12円/kg以上
・T&K TOKAがオフセットインキ及びインキ関連製品を10月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、UVインキ:150円/kg 、枚葉インキ:100/kg、オフリンインキ:80円/kg (いずれも中間色、特練、OPニス含む)  ※一部特殊品等は上記改定幅と異なる場合がある
・ユニチカが包装用フィルム製品を10月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、ナイロンフィルム(15µm換算):300円/連、複層ナイロンバリアフィルム(15µm換算):300円/連、ナイロンバリアフィルム(15µm換算):300円/連、ポリエステルフィルム(12µm換算):200円/連、ポリエステルバリアフィルム(12µm換算):200円/連  ※連=500m2
・東洋紡がポリエステルスパンボンド不織布を10月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、30円/kg
・東海カーボンがファインカーボン製品を10月より値上げ
 値上げ幅は、10%
・信越ポリマーがシリコーン・シーラント製品を10月出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上

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