2022.10.20 発行
◆エマルジョン:信越化学工業がカチオン性シリコーン皮膜形成エマルジョンを開発(10月14日)
◆メディカル:富士フイルム富山化学がアビガンについて新型コロナウイルス感染症を対象とした開発を中止(10月14日)
◆電子材料:藤森工業が電子部材事業強化のための設備投資を決定(10月13日)
◆有機:BASFが製品カーボンフットプリントがゼロのネオペンチルグリコールとプロピオン酸を発表(10月13日)
◆電池材料:第一工業製薬がリチウムイオン二次電池高容量化を可能にした負極用ポリイミド接着剤を開発(10月13日)
◆複合材料:王子ホールディングスがセルロースナノファイバー/天然ゴム複合材料を開発(10月12日)
◆繊維:東洋紡がタイにエアバッグ用ナイロン原糸の生産工場を竣工(10月12日)
◆無機:BASFがカオリン鉱物事業のKaMin社への売却完了を発表(10月12日)
◆コンパウンド:旭化成が中国の樹脂コンパウンド製造工場の生産能力を増強(10月11日)
◆電子材料:デンカが窒化ケイ素の生産能力を約1.5倍にする追加増産投資を決定(10月11日)
◆建材:デンカがポリエチレン製排水管「トヨドレン」の生産能力を増強(10月11日)
◆価格改定
・東洋紡が工業用フィルム製品を11月1日出荷分より値上げ
・東洋紡が包装用フィルム製品を11月1日出荷分より値上げ
・堺化学工業が樹脂添加剤製品を11月1日納入分より値上げ
・デンカがアルミナセメントを11月1日納入分より値上げ
◆エマルジョン:信越化学工業がカチオン性シリコーン皮膜形成エマルジョンを開発(10月14日)
信越化学工業は、繊維処理用途向けに業界初のシリコーン皮膜形成エマルジョンを開発したと発表した。
本製品は、従来のシリコーン皮膜形成エマルジョンではできなった不要な低分子シロキサンを低減した低VOCのエマルジョンである。
また、従来のアニオン(陰イオン)性のシリコーン皮膜形成エマルジョンでは、カチオン(陽イオン)性の成分に皮膜形成機能を付与できなかったが、新製品はカチオン性のため、イオン性が同じカチオン性の成分に皮膜形成機能を付与できる。繊維処理工程ではカチオン性の薬剤を併用することも多いため、イオン性が同じ新製品を使用することで処理槽での安定性が良好になり、作業性の向上につながる。また、従来品と比較して、繊維への付着性に優れている。
本製品は、主な用途である繊維処理用に加え、抗菌剤などの薬剤のバインダーや樹脂成形物のトップコート剤などにも適するとしている。
◆メディカル:富士フイルム富山化学がアビガンについて新型コロナウイルス感染症を対象とした開発を中止(10月14日)
富士フイルム富山化学は、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(以下、アビガン)に関して、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)を対象とした開発を中止したことを発表した。
同社は、2021年に、ワクチン非接種のCOVID-19患者に対する「アビガン」の重症化抑制効果の確認を目的に、目標症例数316例とした国内臨床第Ⅲ相試験を開始した。しかし、ワクチン接種率の向上や従来株と比べて重症化率が低いオミクロン株の流行などの環境変化を踏まえ、2022年3月に84例で被験者の組入れを終了した。
その後、84例で得られたデータの解析では、有意な結果が得られていないことを確認し、今後の対応を検討する中で、「アビガン」のCOVID-19を対象とした開発を中止したとしている。
◆電子材料:藤森工業が電子部材事業強化のための設備投資を決定(10月13日)
藤森工業は、電子部材事業拡大に向け、半導体周辺部材の開発・生産拠点である群馬県の沼田事業所及び昭和事業所に総額130億円の設備投資を行うことを発表した。
本投資では、既存設備の改造、新規精密塗工機の導入、ハイクリーン管理、スマート化、環境に配慮した生産体制の構築を目指す。世界的に需要が高まる、半導体パッケージ用層間絶縁材料「味の素ビルドアップフィルム」(ABF)の増産、精密コーティングサービスの強化、大容量高速通信を実現する次世代製品の開発に取り組む。
2023年着工を予定し、既存設備の改造により2024年から随時生産能力を拡張する。また、新規精密塗工機の稼働によって、2026年に現行の約3倍の生産能力となる予定としている。
◆有機:BASFが製品カーボンフットプリントがゼロのネオペンチルグリコールとプロピオン酸を発表(10月13日)
BASF(本社:ドイツ)は、製品カーボンフットプリント(PCF)ゼロを実現する、ネオペンチルグリコール(NPG)およびプロピオン酸(PA)を提供することを発表した。
BASFは、バイオマスバランス(BMB)・アプローチによる独自のフェアブント製造システム内の再生可能原料を活用して、NPGとPAの両方でゼロPCFを達成した。また、NPGの生産において再生可能エネルギーを使用している。
両製品は、ドイツのフェアブント拠点(統合生産拠点)で製造し、「NPG ZeroPCF」および「PA ZeroPCF」としてグローバルに販売する。両製品とも既存の製品と同じ品質および特性を備えており、製造に使用する際に既存プロセスの調整を行う必要がなく、容易かつ効果的に、購入した製品およびサービスからの排出量を削減し、バリューチェーン内に再生可能原料の割合を増やすことで、サーキュラーエコノミー(循環型経済)へのシフトに貢献できるとしている。
◆電池材料:第一工業製薬がリチウムイオン二次電池高容量化を可能にした負極用ポリイミド接着剤を開発(10月13日)
第一工業製薬は、高容量リチウムイオン二次電池の負極用ポリイミド接着剤エレクセル「EPIシリーズ」を開発したと発表した。
リチウムイオン二次電池の負極材は、従来使用されていた黒鉛からシリコン系材料に置き換えが進んでいるが、シリコン系材料は電池の充電で最大4倍に膨張することがあり、電極構造を破壊して電池が劣化する懸念があった。
今回、ウィンゴーテクノロジー(本社:岡山)と技術提携し共同開発したことにより、高容量なシリコン系負極材に適した接着剤の性能発現が可能となった。
開発品は、汎用品では得られない高強度、高弾性、高接着性を示すことから、膨張抑制に高い効果を発揮する。負極容量も最大で2.5倍になり、高容量負極材料を用いた電池の安定動作が可能になるとしている。
◆複合材料:王子ホールディングスがセルロースナノファイバー/天然ゴム複合材料を開発(10月12日)
王子ホールディングスは、木材原料由来であるリン酸エステル化セルロースナノファイバー(以下、CNF)と、同じく木材原料由来である天然ゴムとの複合材の開発に成功したと発表した。
天然ゴムは、伸縮性や耐摩耗性に優れ、かつ柔らかい特徴があり、タイヤ、ホース等の各種用途に使用されているが、その多くの用途では、硬さが重要な性能とされている。従来は、カーボンブラック(以下、CB)等を混合し、硬さを付与するが、一方で天然ゴムの特徴である伸びが損なわれるという課題があった。加えて昨今では、化石燃料由来の素材であるCBからバイオ素材への転換の要求が高まっている。
今回、CBの代替として、リン酸エステル化CNFと天然ゴムを複合化したゴム素材を信州大学との共同研究で開発した。この複合材は、天然ゴムの特徴である伸びを損なわず、CB配合並みの硬さを有している。CNF複合ゴム素材は、自動車産業などの各種産業において環境配慮型素材としての活用が期待されており、今後はサンプルの提供を開始するとしている。
◆繊維:東洋紡がタイにエアバッグ用ナイロン原糸の生産工場を竣工(10月12日)
東洋紡は、同社がタイの石油化学製品大手インドラマ・ベンチャーズ傘下のIndorama Polyester Industries PCL(以下「IPI」)と2020年11月に設立した合弁会社Toyobo Indorama Advanced Fibers(本社:バンコク)において、新たに自動車エアバッグ用ナイロン原糸の生産工場を竣工し、開所式を開催したと発表した。
エアバッグ市場は、自動車一台当たりの搭載点数の増加や新興国での装着率の伸長などを背景に、年率3~4%での需要拡大が見込まれている。
今回、IPIの工場敷地内に新設した原糸工場では、インドラマグループと同社のリソースを効果的に活用することで生産体制の強化を図り、エアバッグのグローバルな需要増加に対応する。
同生産工場の生産能力は年間1万1千トン(最大吐出量)であり、2022年10月より試験生産を開始し、2023年半ばの商業生産開始を目指すとしている。
◆無機:BASFがカオリン鉱物事業のKaMin社への売却完了を発表
(10月12日)
BASF(本社:ドイツ)は、米国ジョージア州に本社を置く世界的な鉱物企業であるKaMinへのカオリン鉱物事業の売却を完了したと発表した。
カオリン鉱石事業に携わる従業員は、北米、欧州、アジアを含め約440人で、2021年の売上金額は約1億7,100万ユーロである。
今回の売却は、米国ジョージア州の生産拠点、関連する鉱山、貯蔵施設、粉砕施設を対象としている。なお、共同で設置した石油精製触媒の事業活動は、BASFの触媒事業部が引き続き所有・運営し、同事業の売却には含まれないとしている。
◆コンパウンド:旭化成が中国の樹脂コンパウンド製造工場の生産能力を増強(10月11日)
旭化成は、同社保有の中国樹脂コンパウンド製造工場(中国江蘇省)において、最新鋭押出機導入による増設を決定したと発表した。
同社は、事業拡大を図ってきた中国機能材料市場において、自動車・太陽電池モジュール(PV)等の用途を中心にエンジニアリング樹脂の販売量を順調に伸ばしてきた。また、今後も成長が期待される電気自動車(EV)、第5世代移動通信システム(5G)、コネクタ、環境対応素材等の新規用途市場への拡販活動により、年率10%程度の販売増を見込んでいる。
同社は、中国江蘇省にコンパウンド新工場を建設し、2021年4月より本格稼働しているが、機能材料事業の拡大により、2024年度以降生産能力が不足する見通しのため生産能力および倉庫保管能力の増強を決定した。生産能力は、28,000t/年から8,000t増強して36,000t/年となる。稼働開始は2023年10月の予定としている。
◆電子材料:デンカが窒化ケイ素の生産能力を約1.5倍にする追加増産投資を決定(10月11日)
デンカは、大牟田工場(福岡県)の窒化ケイ素(粉体)に新たな設備投資を決定し、2023年前半に稼働を予定している設備増強分からさらに約 1.5 倍増の追加増産投資を行うと発表した。
xEV市場拡大に伴い、窒化ケイ素はインバーター向け放熱基板用途として需要が急増していることに加え、モーター用ベアリング用途での電食対策として従来素材からセラミックスへの転換が進んでおり、さらに需要が増える見通しとなっている。
今回増強する設備の稼働は2025年を予定しており、本生産能力増強により供給体制を強化するとしている。
◆建材:デンカがポリエチレン製排水管「トヨドレン」の生産能力を増強(10月11日)
デンカは、子会社の九州プラスチック工業(熊本県玉名市)で製造しているポリエチレン製排水管「トヨドレン」に関し、約23億円の戦略投資を行い、同市内に新たな用地を取得し、製造設備の移設並びに新規設備の導入による供給能力の増強を決定したことを発表した。
ポリエチレン製排水管は、水田の大区画化・汎用化整備による生産性の向上や、河川の緊急治水対策、国土強靭化工事による災害復旧および防災・減災対策など、社会資本整備に資する製品として需要量の増大が見込まれている。
今回の九州プラスチック工業での新用地への製造設備移設および新規設備導入により、同工場の生産能力を現行より約6割、在庫能力を2倍以上増強し、供給体制の更なる安定化に繋げていく。
今回の投資金額は約23億円を見込んでおり、稼働時期は2025年度上期の予定としている。
◆価格改定
・東洋紡が工業用フィルム製品を11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15%以上
・東洋紡が包装用フィルム製品を11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP):300円/連(20μm換算)
無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP):300円/連(20μm換算)
リニアローデンシティ・ポリエチレンフィルム(LLDPE):300円/連(20μm換算)
二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)※:400円/連(12μm換算)
二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)※:400円/連(15μm換算)
(連:500㎡)
※熱収縮フィルム「スペースクリーン」および透明蒸着フィルム「エコシアール」を含む
・堺化学工業が樹脂添加剤製品を11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、粉状安定剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト:5%以上
液状安定剤:10%以上
・デンカがアルミナセメントを11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、50円kg