2022.10.27 発行
◆電子材料:東洋紡がセラミックコンデンサ用離型フィルムの生産体制を強化(10月20日)
◆有機:BASFが中国にネオペンチルグリコール工場を建設(10月20日)
◆炭素:デンカがタイ・SCG Chemicals社とアセチレンブラック製造販売事業を行う合弁会社設立に向けた契約を締結
(10月20日)
◆炭素:クラレがカルゴン・カーボン社ベルギー子会社における再生炭増設設備の稼働開始を発表(10月19日)
◆リサイクル:三井化学が廃プラ由来のケミカルリサイクルポリエチレンの生産を開始(10月18日)
◆生産技術:日本ゼオンが高岡工場で統合生産センターを竣工(10月18日)
◆リサイクル:大倉工業が異物混入を防ぐプラスチックのリサイクルスキームを確立(10月18日)
◆バイオメタン:エア・ウォーターが日本で初めて、家畜ふん尿由来の「液化バイオメタン」の製造を開始(10月18日)
◆建材:マナックがウッドプラスチックコンポジット事業譲受及び浜松ラボ開設(10月17日)
◆価格改定
・デンカが電子包材用シートを11月1日出荷分より値上げ
・デンカが食品包材用スチレン系シートを11月1日納入分より値上げ
・デンカがデンカサーモシートBOPSを11月1日納入分より値上げ
・東レがナイロン6糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロン66糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロンBCF糸(長繊維)、
ポリエステル糸(長繊維)・綿(短繊維)、アクリル綿(短繊維)、ポリエステル長繊維不織布を11月出荷分より値上げ
・プライムポリマーがポリエチレンを12月1日納入分より値上げ
◆電子材料:東洋紡がセラミックコンデンサ用離型フィルムの生産体制を強化(10月20日)
東洋紡は、敦賀事業所(福井県)に、積層セラミックコンデンサ(以下、セラコン)用離型フィルムのコーティング加工設備の新ライン(2号機)を増設し、2022年10月より量産を開始したことを発表した。
セラコンは、データ通信の高速化やデジタルトランスフォーメーション(DX)、自動車の電装・電動化や自動運転化の進展を背景に搭載点数が増加するなど需要が拡大しており、今後も年率7%以上での市場の成長が見込まれている。
同社は2020年6月より敦賀事業所にて、離型層のコーティング加工設備1号機の本格稼働を開始しているが、新たに加工設備2号機を増設し、今月より量産を開始した。これにより従来の1号機と合わせて、生産能力は従来の約2倍となる。
また、使用済みの離型フィルムを原料として再利用する取り組みを加速し、フィルムのグリーン化(バイオマス・リサイクル原料の使用や減容化)比率を2030年度に60%、2050年度には100%とする目標の達成に向け、リサイクル技術の開発・実用化を進めるとしている。
◆有機:BASFが中国にネオペンチルグリコール工場を建設(10月20日)
BASFは、中国の広東省の統合生産拠点において、ネオペンチルグリコール(以下、NPG)工場を新設すると発表した。
NPGは高い化学的安定性および熱安定性から、主に粉体塗料用樹脂の製造に使用される中間体である。粉体塗料は液体塗料に比べて揮発性有機化合物(VOC)の含有量が少ないため、環境規制の遵守を可能としている。
新工場の生産能力は年間8万トンで、2025年第4四半期に稼働を予定している。今回の新工場により、同社の世界におけるNPG生産能力は年間255,000トンから335,000トンに増強されるとしている。
◆炭素:デンカがタイ・SCG Chemicals社とアセチレンブラック製造販売事業を行う合弁会社設立に向けた契約を締結(10月20日)
デンカは、タイのSCG Chemicals Public Company(SCGC社)とアセチレンブラック製造販売事業を行う合弁会社設立に向けた契約を締結したと発表した。
デンカのアセチレンブラックは、導電材料であるカーボンブラックの一種で、アセチレンガスの熱分解によって製造される。同社は独自の熱分解合成技術により、金属、硫黄等の不純物が極めて少なく、超高純度かつ高い導電性を実現している。xEVのリチウムイオンバッテリー、洋上風力発電の高圧送電線ケーブル用途で使用され、近年需要が急拡大している。
合弁会社の設立後に両者共同で立ち上げる製造設備の生産能力は年間約11,000トン、2025年初の生産開始の予定としている。
◆炭素:クラレがカルゴン・カーボン社ベルギー子会社における再生炭増設設備の稼働開始を発表(10月19日)
クラレは、米国子会社Calgon Carbon(以下、カルゴン・カーボン社)の欧州拠点の一つであるベルギーChemviron(ケムバイロン社)のフェルイ工場における再生炭生産設備の増設工事および試運転が完了し、稼働を開始したことを発表した。
カルゴン・カーボン社は瀝青炭ベース活性炭のグローバルトップメーカーであり、使用済み活性炭を高温熱処理して再び性能を回復させる活性炭の再生事業においても、世界有数の地位を占めている。
活性炭は近年、水・大気の浄化など環境関連用途で広く使用されており、特に欧州では環境規制強化や、天然資源の持続的利用、二酸化炭素排出量削減などの環境意識の高まりを背景に、排出ガス処理、排水浄化等の工業用途において再生炭の需要が拡大している。
今回の増設分の生産能力は年産11,000トンとしている。
◆リサイクル:三井化学が廃プラ由来のケミカルリサイクルポリエチレンの生産を開始(10月18日)
三井化学は、Shell Eastern Petroleum(以下「シェル」)と廃プラスチック由来のエチレン調達に関する売買基本合意書を締結したと発表した。
これを受けて、三井化学グループであるプライムポリマーの子会社Prime Evolue Singaporeにおいて、廃プラ由来のケミカルリサイクルポリエチレンの生産に向けた取り組みを開始する。
シェルの廃プラ由来エチレンは、バイオマスやリサイクル原材料のISCC PLUS認証に基づくマスバランス方式により、既存のポリエチレンと同じ物性での廃プラ由来ポリエチレンへの展開が可能となる。
Prime Evolue Singaporeは、同社が製造・販売する「エボリュー」において、廃プラ由来のサーキュラーポリエチレンをラインナップに加え、供給するとしている。
◆生産技術:日本ゼオンが高岡工場で統合生産センターを竣工(10月18日)
日本ゼオンは、高岡工場(富山県)に統合生産センター(Integrated Production Center 以下、IPC)が竣工したことを発表した。
IPC は高岡工場における「ものづくり」の中核拠点として機能するだけでなく、太陽光発電装置や省エネ対応設備の導入によりCO2排出量削減に寄与、また自然災害対策も強化した施設としている。これまで各所に分散していたものづくり部門をIPCに集約することで生産における様々な情報が一元化され、より安定・安全な工場の実現を目指すとしている。
◆リサイクル:大倉工業が異物混入を防ぐプラスチックのリサイクルスキームを確立(10月18日)
大倉工業は、企業の物流センターや工場などから排出されるプラスチックのリサイクルにおいて、分別・異物除去により、従来は難しかった使用前と同じ製品に再生することを可能にするリサイクルスキームを確立したことを発表した。
プラスチックのリサイクルにおいては、異物の混入による品質の劣化のため使用前と同じ製品として再生することは困難であり、また、廃棄したプラスチックが、その後、どこでどのような方法で処理されているかを追跡できないことも課題となっている。
同社は、双日プラネットと協業し、回収したプラスチックの異物の除去を徹底して行い、品質劣化の少ない高品質リサイクル材を製造する方法を確立した。同リサイクルスキームにより、企業から排出されるプラスチックを使用前と同じ製品に再生し、同一企業へ資源循環させることで、廃棄量削減とリサイクル状況の可視化を同時に実現させることが可能になるとしている。
◆バイオメタン:エア・ウォーターが日本で初めて、家畜ふん尿由来の「液化バイオメタン」の製造を開始(10月18日)
エア・ウォーターは、家畜ふん尿由来のバイオガスに含まれるメタンを「液化バイオメタン(Liquefied Bio Methane、以下、LBM)」へと加工するセンター工場の建設を終え、LBMを初出荷したことを発表した。
エア・ウォーターは、環境省の実証事業の枠組みの下、家畜ふん尿由来バイオガスの捕集・輸送システムの確立や、バイオガスをLBMに加工するセンター工場の建設を進めていた。本実証事業において製造するLBMは、カーボンニュートラルなエネルギーであり、一般的なLNGの90%程度の熱量を有している。また、酪農が盛んな地域の未利用資源である家畜ふん尿を原料とするため、持続可能な国産エネルギーでもある。
今後、出荷先であるよつ葉乳業十勝主管工場において、液化天然ガス(LNG)の代替燃料として利用する実証試験を行い、LBMの品質実証を行うと同時に、サプライチェーン全体での温室効果ガス削減効果の検証を進めていくとしている。
◆建材:マナックがウッドプラスチックコンポジット事業譲受及び浜松ラボ開設(10月17日)
マナックは、トクラス(本社:静岡県)が行うウッドプラスチックコンポジット(以下、WPC)事業に係る材料開発、コンパウンド開発、その他一切の事業を譲り受けることにつき決議したと発表した。
マナックは、「ファインケミカル事業部」、「マテリアル・ソリューション事業部」、「ヘルスサポート事業部」の3つの事業を柱に展開している。このうち「マテリアル・ソリューション事業部」において、難燃剤関連から機能材料への発展策の一つとして、川下のコンパウンド分野を見据えた事業展開を模索してきた。このような背景のもと、トクラスが培ってきたWPCに係る材料開発ノウハウ、コンパウンド開発ノウハウを取得することで、シナジーを創出し、事業の川下展開に大きく寄与すると考えた。
今後は、マナックのWPCに係る材料開発やコンパウンド開発を行う「浜松ラボ」としてスタートするとしている。
◆価格改定
・デンカが電子包材用シートを11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、10円/kg
・デンカが食品包材用スチレン系シートを11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、30円/kg以上
・デンカがデンカサーモシートBOPSを11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、20円/kg以上
・東レがナイロン6糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロン66糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロンBCF糸(長繊維)、
ポリエステル糸(長繊維)・綿(短繊維)、アクリル綿(短繊維)、ポリエステル長繊維不織布を11月出荷分より値上げ
値上げ幅は、30円~50円/kg
・プライムポリマーがポリエチレンを12月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、6円/kg以上