2022.03.24 発行
◆水処理膜:東レが超低圧・中性分子高除去RO(逆浸透)膜エレメントの販売を開始(3月17日)
◆不織布:王子キノクロスが植物由来の新不織布素材「キナリト」を開発(3月17日)
◆樹脂:旭化成が米国Genomatica社とバイオHMDに関する戦略的パートナーシップを締結(3月16日)
◆フードロス対策:旭化成が高断熱・密閉ボックスを活用した青果の新しい輸送方法を開始(3月15日)
◆有機:三井化学が高純度テレフタル酸(PTA)の国内生産を停止(3月15日)
◆電子材料:JSRがディスプレイ材料の上海技術センターを拡張、稼働を開始(3月15日)
◆電子材料:豊田合成が次世代パワー半導体向けGaN基板の大口径化に成功(3月15日)
◆樹脂原料:三菱ケミカルが植物由来原料を用いたエチレン、プロピレンなどの事業化の検討を開始(3月14日)
◆ゴム製品:横浜ゴムが平塚製造所のコンベヤベルト生産能力を増強(3月14日)
◆価格改定
・クラレがポリビニルアルコール樹脂を3月18日出荷分より値上げ
・カネカが発泡性ポリスチレン樹脂を3月22日出荷分より値上げ
・日本ポリエチレンがポリエチレンの価格を4月1日納入分より値上げ
・日本ポリプロがポリプロピレンの価格を4月1日納入分より値上げ
・デンカがポリビニルアルコールを4月1日出荷分より値上げ
・信越化学工業が塩化ビニル樹脂を4月1日納入分より値上げ
・大洋塩ビが塩化ビニル樹脂を4月1日納入分より値上げ
・東ソーがペースト塩ビ樹脂を4月1日納入分より値上げ
・カネカが塩化ビニル樹脂を4月1日出荷分より値上げ
・カネカが変成シリコーンポリマーを4月1日出荷分より値上げ
・カネカが樹脂改質剤を4月1日出荷分より値上げ
・日本ゼオンが化成品(石油樹脂、熱可塑性エラストマー、シーピーダイマー、イソプレンモノマー)を4月1日納入分より値上げ
・東洋紡が包装用フィルム製品を4月1日出荷分より値上げ
・タキロンシーアイがPETプレート製品を4月1日出荷分より値上げ
・中国塗料が塗料・シンナー類を4月1日出荷分より値上げ
・クラレがメタクリル樹脂成形材料を4月1日出荷分より値上げ
・クラレがMMAモノマーおよびメタクリル酸を4月1日出荷分より値上げ
・クラレが水添スチレン系エラストマー、TUポリマーのグローバル価格を4月1日出荷分より値上げ
・旭有機材がフェノール樹脂製品、RCS製品等を4月出荷分より値上げ
・日本ペイントが塗料・シンナー類を5月23日より値上げ
◆水処理膜:東レが超低圧・中性分子高除去RO(逆浸透)膜エレメントの販売を開始(3月17日)
東レは、シリカやホウ素などの中性分子成分の除去性能を大幅に向上させた超低圧RO膜エレメント「TBW-HRシリーズ」の販売を2022年4月より開始すると発表した。
近年、小型・高性能化が進む半導体製造などの電子産業においては、配線幅微細化に伴い、製造時に使用される超純水にはより高い純度が要求されている。高純度化のためには、電気的に中性で粒子径が小さいシリカやホウ素などの中性分子や、低分子量の溶解性有機物のさらなる除去率向上が求められている。東レは、低い運転圧力と高い溶質除去性能を両立しながら、中性分子成分の除去率を従来の2倍に向上させた新たなRO膜エレメントを開発した。
本製品により、電子部品の微細化に貢献するとともに、膜の性能向上に伴う水処理回数の削減や、電気脱イオン処理などの後工程プロセスの簡略化によるコストダウンも期待でき、さらに耐薬品性を向上させたことにより、廃水再利用用途などへの適用も見込めるとしている。
◆不織布:王子キノクロスが植物由来の新不織布素材「キナリト」を開発(3月17日)
王子ホールディングスのグループ会社である王子キノクロスは、植物由来の新不織布素材「キナリト」の開発に成功したことを発表した。
同素材は、植物由来のセルロースとポリ乳酸(PLA)を主原料としており、生分解性のある素材となっている。既存の真空圧空成型機を用いた立体成型ができ、プラスチック製の容器や梱包材の代替が可能であり、繭のような柔らかな手触りと温かみのある風合いも特徴で、環境への配慮とデザイン性を重視するアイテムへの展開が期待される。
また、同素材には、消臭などの機能を有する粉体の他、茶葉やコーヒーかすといった従来は廃棄されていたバイオマスを配合する事ができ、機能性の付与や廃棄物削減などの新しい価値の提案も可能としている。
◆樹脂:旭化成が米国Genomatica社とバイオHMDに関する戦略的パートナーシップを締結(3月16日)
旭化成は、米国Genomatica社と同社が現在開発中の「バイオマス原料をベースにしたヘキサメチレンジアミン(HMD)」(以下、バイオHMD)に関する戦略的パートナーシップに合意したと発表した。
旭化成が製造する、化石燃料由来のHMDを原料とするエンジニアリングプラスチックであるポリアミド66(PA66)は、自動車や電子製品向けの樹脂部品、エアバッグ向けの基布などの幅広い用途で使用されており、今後も世界的な需要増加が予想されている。一方で、カーボンニュートラルの実現に向けてGHG排出量の削減が課題となっている。
今回、旭化成はバイオマス由来原料を利用したPA66(バイオPA66)の検討を加速するため、バイオテクノロジーを用いた多様な化学品の製造技術と商業化実績を有するGenomatica社から、開発の初期段階からバイオHMDを優先的に利用し、PA66用原料としての可能性を評価・検討する権利を取得した。
今後は、このパートナーシップにより、バイオHMDと旭化成が有するPA66のポリマー重合技術を活用し、他社に先駆けて自動車やエレクトロニクス用樹脂部品、産業用途の繊維素材向けにバイオPA66を実用化することを目指すとしている。
◆フードロス対策:旭化成が高断熱・密閉ボックスを活用した青果の新しい輸送方法を開始(3月15日)
旭化成と農研機構は、スマートフードチェーン構築を目指し、2019年1月から共同研究に取り組んでおり、その一環として旭化成は、大手物流業者と連携し、青果輸送に取り組むことを発表した。
旭化成の「Fresh Logi密閉ボックス」を活用することで、輸送・保管環境(温度・湿度・ガス組成など)の適切な管理を実現でき、冷蔵システムが無い輸送手段を青果物の輸送に活用できるようになる。さらに、密閉ボックス内の輸送・保管環境をセンシングし、農研機構のデータ解析技術と同社のインフォマティクス技術を用いることで青果物の鮮度を推定・予測する「Fresh Logiシステム」を構築した。
旭化成は、これまで把握することが困難であった青果物の輸送・保管条件を可視化し、データに基づき流通を最適化することで、青果物の鮮度保持による「フードロスの削減」と輸送・保管の最適化による物流チェーンの構築による「環境負荷の軽減」に貢献するとしている。
◆有機:三井化学が高純度テレフタル酸(PTA)の国内生産を停止(3月15日)
三井化学は、岩国大竹工場の高純度テレフタル酸(以下、「PTA」)プラント(生産能力:40万トン/年)を2023年8月予定で停止することを発表した。
同社は1958年に岩国大竹工場にてテレフタル酸製造を自社技術により工業化した。精製工程追加と生産能力の向上を図りながら、最盛期には国内では75万トン/年を製造、海外輸出も行ってきた。2000年代半ばより中国を中心にPTA製造設備が急増し、市況が下落し国内需要も減少すると、PTA生産能力を削減し、合理化に取り組んできたが、国内でPTA生産を維持するための収益確保が困難との判断に至った。
同社グループの国内でのPTAの製造は中止するが、タイ法人であるGC-M PTA社(同社26%、PTTGCグループ74%出資のJV会社)からPTAを輸入し、同社が販売を行う事により今後も国内での販売体制を維持するとしている。
◆電子材料:JSRがディスプレイ材料の上海技術センターを拡張、稼働を開始(3月15日)
JSRは、中国におけるディスプレイ材料の技術サービス提供拠点である上海技術センターを移転・拡張し、稼働させたと発表した。
上海技術センターの敷地面積が拡張された事で、各種評価装置や小型の実機装置を充実させるとともに、LCDパネル材料で培った基盤技術や経験をベースに、OLED(有機ELディスプレイ)材料分野に対しても技術サービスを強化していく。
更に2020年9月発表のグローバル事業再編の一環としてJSR Micro Taiwanのラボ機能を上海技術センターに移管し、技術サービス機能の集約、及び台湾のディスプレイ顧客への技術サービス提供を継続するとしている。
◆電子材料:豊田合成が次世代パワー半導体向けGaN基板の大口径化に成功(3月15日)
豊田合成は、大阪大学と共同で、窒化ガリウム(GaN)を用いた次世代パワー半導体向け基板の直径拡大化に成功したと発表した。
パワー半導体は、産業機器や車、家電などの電力制御に幅広く使われている。現在、社会全体でのカーボンニュートラル実現に向けて電力ロスを低減できる次世代パワー半導体の実用化・普及拡大が期待されている。
同社と大阪大学は、環境省が主導する「GaN技術による脱炭素社会・ライフスタイル先導イノベーション事業」プロジェクトにおいて、ナトリウムとガリウムを混合した液体金属の中でGaNの結晶を成長させる手法(ナトリウムフラックス法)を活用し、世界最大級の6インチを超える高品質なGaN基板を作製した。
今後、6インチの基板量産化に向けた品質の評価などを行い、更なる品質改善と大口径化(6インチ以上)を進めていくとしている。
◆樹脂原料:三菱ケミカルが植物由来原料を用いたエチレン、プロピレンなどの事業化の検討を開始(3月14日)
三菱ケミカルと豊田通商は、バイオエタノールを原料とするエチレン、プロピレンおよびその誘導品の製造・販売を2025年度に開始することを目指し、事業化に向けた検討を開始すると発表した。
近年、持続可能な循環型社会の実現に向けて、プラスチックのリユース・リサイクルに関するニーズが高まっており、植物由来の原料を用いることによる持続可能なライフサイクルの実現も強く期待されている。
両社は、バイオエタノールを原料に100%植物由来のエチレンとその誘導品を製造し、そのバイオエチレンを原料として、国内初となる植物由来のプロピレンおよび誘導品の製造・販売に向けた検討を行う。
今後、バイオエチレン、バイオプロピレンおよび誘導品の市場ニーズを調査し、2025年度の事業化に向けて具体的な実現性評価を行い、ライフサイクル全体でのGHG削減効果の数値化を図るとしている。
◆ゴム製品:横浜ゴムが平塚製造所のコンベヤベルト生産能力を増強(3月14日)
横浜ゴムは、工業資材事業強化の一環として、平塚製造所(神奈川県)のコンベヤベルトの生産能力を増強すると発表した。
増強は段階的に実施する予定で、今回は約16億円を投資する。耐摩耗性、耐熱性、耐油性、難燃性、省電力性など使用用途に応じた多様な帆布ベルトの生産ラインを増設し、現在の生産能力を約1.3倍に高める。
今回の増強は今後想定される市場環境の変化に対応するために行うものであり、今年3月から着工し、2023年10月から生産を開始する計画としている。
◆価格改定
・クラレがポリビニルアルコール樹脂を3月18日出荷分より値上げ
値上げ幅は、日本:130円/kg 以上、ヨーロッパ:1.0ユーロ/kg以上、
アジアパシフィック、北米、南米、中東、アフリカ:1.1US$/kg以上
・カネカが発泡性ポリスチレン樹脂を3月22日出荷分より値上げ
値上げ幅は、45円/kg
・日本ポリエチレンがポリエチレンの価格を4月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、45円/kg以上
・日本ポリプロがポリプロピレンの価格を4月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、45円/kg以上
・デンカがポリビニルアルコールを4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、90円/kg
・信越化学工業が塩化ビニル樹脂を4月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、35円/kg以上
・大洋塩ビが塩化ビニル樹脂を4月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、33円/kg以上
・東ソーがペースト塩ビ樹脂を4月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、50円/kg以上
・カネカが塩化ビニル樹脂を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、30円/kg以上
・カネカが変成シリコーンポリマーを4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、50円/kg以上
・カネカが樹脂改質剤を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、耐衝撃性改良樹脂(カネエースB及びM): 50円/kg以上、耐衝撃性改良樹脂(カネエースFM):40円/kg以上
加工性改良樹脂(カネエースPA):50円/kg以上、耐熱性改良樹脂(カネカテルアロイ):40円/kg以上
・日本ゼオンが化成品(石油樹脂、熱可塑性エラストマー、シーピーダイマー、イソプレンモノマー)を4月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、70円/kg
・東洋紡が包装用フィルム製品を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP):450円/連(20μm換算)、
無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP):450円/連(20μm換算)
リニアローデンシティ・ポリエチレンフィルム(LLDPE):450円/連(20μm換算)
二軸延伸ポリエステルフィルム(PET):300円/連(12μm換算)
二軸延伸ナイロンフィルム(ONY):300円/連(15μm換算)
熱収縮ポリエステルフィルム(シュリンクPET):750円/連(30μm換算)
(連:500㎡)
・タキロンシーアイがPETプレート製品を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15%以上
・中国塗料が塗料・シンナー類を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、塗料全般:20~40%程度、シンナー類:20~50%程度、運賃:10%程度
・クラレがメタクリル樹脂成形材料を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、国内:20%以上、輸出:30%以上
・クラレがMMAモノマーおよびメタクリル酸を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、60円/kg
・クラレが水添スチレン系エラストマー、TUポリマーのグローバル価格を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、0.50 US$/kg
・旭有機材がフェノール樹脂製品、RCS製品等を4月出荷分より値上げ
値上げ幅は、固形フェノール樹脂製品:4%以上、液状フェノール樹脂製品:8%以上、
RCS(レジンコーテッドサンド)製品:5%以上、その他関係製品:50%以下
・日本ペイントが塗料・シンナー類を5月23日より値上げ
値上げ幅は、水性塗料:10~15%、溶剤系塗料:15~25%、シンナー類:30~35%、
粉体塗料:5~10%、機器類等:15~25%
(製品によっては改定率が上下することがある)
運賃:10~30%