2022.06.02 発行
◆電子材料:三井化学が旭化成のペリクル事業を取得(5月27日)
◆電子材料:旭有機材が半導体向け電子材料の新工場を建設(5月26日)
◆化粧品:資生堂が最先端の生産技術を備えた「福岡久留米工場」を竣工(5月26日)
◆リサイクル:三井化学が軟包材マテリアルリサイクル設備の稼働を開始(5月26日)
◆バイオガス:エア・ウォーターがバイオガスからメタノールとギ酸を製造する光化学プラントのパイロットプラントを建設(5月26日)
◆ウイルス対策:東レが新たな抗ウイルス粒子を開発(5月26日)
◆接着材料:ポリプラ・エボニックと東レが長期耐熱性と耐加水分解性を備える多層樹脂チューブ素材を共同開発(5月25日)
◆LPガス:古河電気工業の「革新的触媒・プロセスによるグリーンLPガス合成技術の開発・実証」がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択(5月23日)
◆電子材料:昭和電工の「次世代グリーンパワー半導体用8インチSiCウェハー開発計画」がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択(5月23日)
◆エラストマー:ダウが植物由来の高性能ポリオレフィンエラストマー「ENGAGE REN」を発表(5月23日)
◆価格改定
・東ソーが中性無水芒硝(芒硝)を6月1日出荷分より値上げ
・東ソーが重炭酸ナトリウム(重曹)を6月1日出荷分より値上げ
・住友ベークライトが塩化ビニール樹脂製品、ペット樹脂製品、ポリカーボネート樹脂製品、アルミ複合板、ABS樹脂製品等を
6月1日出荷分より値上げ
・JNCがオキソ誘導品を6月1日出荷分より値上げ
・昭和電工が塩素化ポリエチレンを6月16日出荷分より値上げ
・昭和電工が塩酸を7月1日納入分より値上げ
◆電子材料:三井化学が旭化成のペリクル事業を取得(5月27日)
三井化学は、旭化成のペリクル事業取得に合意したことを発表した。
ペリクルは、半導体や液晶パネルの露光工程において、微細パターンが描かれたフォトマスクに塵が付着しシリコンウェハーやパネル基盤に結像することを防ぐために、フォトマスクのカバーとして使用される保護膜である。
近年、LSIペリクル市場における高精細化や品質保証水準の高度化への対応には、一層の技術開発および継続的な追加投資が必要となっていることから、ペリクル事業において高度な技術・強固な事業基盤を持つ旭化成との間で、同事業の今後の在り方について協議を重ねてきた。その結果、事業強化の観点から、三井化学が旭化成のペリクル事業を取得し、運営していくことが最善との両社結論に至った。
三井化学は本事業取得により、先端領域における同社の既存ペリクル事業と、旭化成が有する幅広いペリクル事業のポートフォリオを併せて事業拡大するとしている。
◆電子材料:旭有機材が半導体向け電子材料の新工場を建設(5月26日)
旭有機材は、愛知工場内に半導体用電子材料製造のための新工場を建設することを決定したと発表した。
新型コロナウイルスの影響から緩やかに経済回復する中で、コンピュータや通信機器市場の活況を受け、半導体需要が急拡大している。また、自動車の自動走行やスマートシティの実現に欠かせないロジック半導体に必要な技術の高度化も進んでおり、この環境は当面継続することが予想される。
同社は、旺盛かつ高度化する半導体需要に着実に応えるため、低メタル技術・合成技術・精製技術を用いて電子材料用の製品を製造する新工場を建設する。新工場建設のスケジュールは、2022年12月着工、2024年6月竣工予定としている。
◆化粧品:資生堂が最先端の生産技術を備えた「福岡久留米工場」を竣工(5月26日)
資生堂は、「エリクシール」など中価格帯のスキンケア製品の生産工場として、福岡久留米工場を竣工し、6月より本格稼働を開始すると発表した。
福岡久留米工場は最先端のIoTを取り入れた効率的な生産を特長とし、資生堂のスキンビューティー領域の生産をグローバルでリードしていく。今回の福岡久留米工場の投資規模は約450億円、生産能力は1.4億個(2026年)である。
同社は2019年に那須工場、2020年に大阪茨木工場を設立し、今回、福岡久留米工場の竣工をもって国内新3工場がすべて揃い、メイドインジャパンの高品質な製品をグローバルに安定的に提供する生産体制が整ったとしている。
◆リサイクル:三井化学が軟包材マテリアルリサイクル設備の稼働を開始(5月26日)
三井化学は、名古屋工場で軟包装フィルムを再生する軟包材マテリアルリサイクル設備の稼働を開始したと発表した。
三井化学は、印刷された廃棄フィルムからインキを除去し、ペレット化することで再度軟包装フィルムに再生するという、マテリアルリサイクルの実証試験を行っている。包装材に使用されているインキには、既存技術では除去困難なものも含まれるため、最適な洗浄剤の開発を進めている。
今回の設備稼働により、軟包装フィルムに適した再生材料の技術開発を加速させる。今年度は、廃棄フィルムの回収を一層拡大し、再生材料のサンプル供試を本格化する計画である。また、食品包装用フィルムの水平リサイクルについては安全性担保のための公的な仕組みが現時点でないため、各関係官庁などと新たな仕組み作りを行うとしている。
◆バイオガス:エア・ウォーターがバイオガスからメタノールとギ酸を製造する光化学プラントのパイロットプラントを建設(5月26日)
エア・ウォーターは、北海道にバイオガスからメタノールとギ酸を製造する光化学プラントのパイロットプラントを建設したと発表した。
この取り組みは大阪大学、北海道興部町、エア・ウォーター北海道、岩田地崎建設と共同で取り組みを進めており、2021年からはNEDOプロジェクトとして開発が進められている。
本技術は、二酸化塩素とメタンガスをフルオラス溶媒に溶かし、光を当てることで、常温・常圧下においてメタンをメタノールとギ酸に変換する技術である。本技術で用いるメタンは、北海道の酪農地域で導入が進むバイオガスプラントから得る。バイオガスをメタノールおよびギ酸に変換することで、FIT売電を主なビジネスモデルとするバイオガスプラントの新しいモデルの構築につながるとしている。
◆ウイルス対策:東レが新たな抗ウイルス粒子を開発(5月26日)
東レは、ウイルスを従来比約100倍の速度で不活化する即効性に優れる新たな抗ウイルス粒子を開発したと発表した。
従来のウイルス感染対策として、消毒液のような薬剤による消毒は即効性が高く有効である一方、短時間で揮発する。また、揮発しない金属系の抗ウイルス剤は、ウイルスを99.9%不活化するのに1時間以上かかるものが多く、即効性と持続性の両立に課題があった。
これに対して東レは、ウイルスに対する吸着性と酸化分解機能を付与することで即効性に優れる抗ウイルス粒子を開発した。同粒子はコーティング加工や練り込み加工にも対応が可能なため、同社は今後、マスクおよび医療用ガウン用途向け不織布など、飛沫感染や接触感染対策のため抗ウイルス性能が期待される製品に広く適用していくとしている。
◆接着材料:ポリプラ・エボニックと東レが長期耐熱性と耐加水分解性を備える多層樹脂チューブ素材を共同開発(5月25日)
ポリプラ・エボニックと東レは、ポリアミド樹脂(PA)とポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)の接着を可能とする接着材料を新たに共同開発したと発表した。
内層に東レのPPSトレリナを用い、外層にポリプラ・エボニックのPA12ダイアミドを用いた冷却配管用多層樹脂チューブ構成を開発した。
今回開発した樹脂チューブは、従来の多層樹脂チューブに比べて、耐熱性に優れ、130℃付近の高温環境下で使用可能である。また、冷却水に対してのイオン溶出が少ないという特性を有する。同チューブの構成は、一般的な樹脂チューブ押出装置で成形が可能であり、コルゲート成形も可能なため、強靭な機械特性を損なうことなく様々な形状での生産に対応できる。自動車をはじめ、産業機械も含めた冷却配管全般に向けた展開を目指すとしている。
◆LPガス:古河電気工業の「革新的触媒・プロセスによるグリーンLPガス合成技術の開発・実証」がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択(5月23日)
古河電気工業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の「CO2等を用いた燃料製造技術開発事業プロジェクト」に応募した「革新的触媒・プロセスによるグリーンLPガス合成技術の開発・実証」が採択されたと発表した。
同社は、グリーンLPガスの合成技術の確立と社会実装を目指し、北海道大学と静岡大学と連携して、生成率50C-mol%以上となるグリーンLPガス合成技術を確立する。その後、グリーンLPガスを年間1,000トン製造する技術の実証を2030年に完了する予定としている。
◆電子材料:昭和電工の「次世代グリーンパワー半導体用8インチSiCウェハー開発計画」がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択(5月23日)
昭和電工は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募したグリーンイノベーション基金事業の「次世代パワー半導体に用いるウェハ技術開発」に対し、「次世代グリーンパワー半導体に用いるSiCウェハ技術開発」を提案し、採択されたことを発表した。
本事業では、パワー半導体用SiCエピタキシャルウェハーとその原材料であるSiCウェハーを8インチへ大口径化させ、欠陥密度を1桁以上低減することで、次世代パワー半導体の低コスト化の実現を計画している。事業期間は2022年度から2030年度までの9年間としている。
◆エラストマー:ダウが植物由来の高性能ポリオレフィンエラストマー「ENGAGE REN」を発表(5月23日)
ダウは、同社の「高性能ポリオレフィンエラストマー(POE)ENGAGEシリーズ」に、サステナブルなブランドとなる「ENGAGE REN」を追加したことを発表した。
同品は、再生可能エネルギーと使用済み食用油などの植物由来の原料を用いて製造される。廃棄物の残留物や代替生産工程からの副産物のみを利用するため、これらの原料は余分な資源を消費せず、フードチェーンを阻害しない。また、同品は、最終用途において化石燃料由来のポリマーと同等の性能を発揮するため、配合を組み替える必要もない。
フットウェアブランドのクロックスが、この新しい素材技術を市場へ投入する最初のブランドとなる。今後、フットウェアへの植物由来ポリマーの割合を段階的に拡大していく予定としている。
◆価格改定
・東ソーが中性無水芒硝(芒硝)を6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、30円/kg以上
・東ソーが重炭酸ナトリウム(重曹)を6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、30円/kg以上
・住友ベークライトが塩化ビニール樹脂製品、ペット樹脂製品、ポリカーボネート樹脂製品、アルミ複合板、ABS樹脂製品等を
6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、20%以上
・JNCがオキソ誘導品を6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、22円/kg以上
・昭和電工が塩素化ポリエチレンを6月16日出荷分より値上げ
値上げ幅は、70円/kg以上
・昭和電工が塩酸を7月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、5円/kg以上