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2022年7月7日号

2022.07.07 発行

HEADLINE

◆樹脂:DICの子会社が中国のコーティング用樹脂メーカーを買収(7月1日)
◆セラミック:日揮ホールディングスが日本ファインセラミックスグループの新生産拠点の始動を発表(7月1日)
◆AI:産総研、先端素材高速開発技術研究組合、日本ゼオンがNEDOのプロジェクトにて複数AI による複雑な材料データから各種機能を予測する技術を開発(6月30日)
◆ゴム:住友ゴム工業が天然ゴムの品種改良につながるバイオポリマーの合成に成功(6月30日)
◆医薬品:富士フイルムが欧米拠点に新たに総額約2,000億円の大規模投資を決定(6月30日)
◆有機:三菱ガス化学がCO2活用の環境循環型メタノールの社会実装について共同検討を開始(6月30日)
◆リサイクル:プライムポリマーが樹脂袋の水平リサイクルの推進を決定(6月30日)
◆電子材料:昭和電工が韓国のSK社と半導体用高純度ガス事業で北米協業検討覚書を締結(6月29日)
◆リサイクル:昭和電工がマイクロ波による使用済みプラスチックの新たなケミカルリサイクル技術の共同開発を開始
 (6月28日)
◆有機:DICがPTBP事業の撤退を発表(6月27日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・東亞合成が高純度無機製品を7月1日出荷分より値上げ
・東亞合成がカセイカリを7月1日出荷分より値上げ
・旭有機材がフェノール樹脂製品、RCS製品等を7月出荷分より値上げ
・クラレが水添スチレン系エラストマー(セプトン、ハイブラー)、TUポリマーを7月15日出荷分より値上げ
・信越ポリマーがポリカ波板関連製品を7月21日出荷分より値上げ
・東洋紡がポリエステルスパンボンド不織布を8月1日出荷分より値上げ
・昭和電工が苛性ソーダ及び次亜塩素酸ソーダを8月1日納入分より値上げ
・タキロンシーアイがインフラマテリアル製品を8月1日出荷分より値上げ
・セメダインがセメダイン製品を9月1日出荷分より値上げ
・クレハが家庭用品および業務用包装資材を10月1日納品分より値上げ
・富士フイルムが記録メディア製品を10月1日より値上げ
 
 

WEEKLY NEWS

◆樹脂:DICの子会社が中国のコーティング用樹脂メーカーを買収(7月1日)
 DICの100%子会社であるDIC(China)は、中国のコーティング用樹脂メーカーであるGuangdong TOD New Material(以下、TODNM社)の全株式を取得したと発表した。
 現在、DICは中国において2拠点体制でコーティング用樹脂を生産し、現地で販売しているが、既に両拠点ともフルキャパシティで生産しており、拡張余地が少ない。このような状況下、中国における事業拡大を実現するには、中国の顧客基盤を有するローカルメーカーの買収が最も有効な手段と判断し、接触を図ってきた。
 今後、2023年度中の生産能力倍増、顧客への提供価値向上、同製品のグローバル展開などを実現していく。また、中長期的には、インドIdeal社での生産拠点拡張と合わせ、アジア地域でのコーティング用樹脂の優位性を確立し、環境負荷低減と機能性付与に供する樹脂製品をアジア域に広く供給していくことで、2030年までに地域全体でシェア5%の獲得を目指すとしている。

◆セラミック:日揮ホールディングスが日本ファインセラミックスグループの新生産拠点の始動を発表(7月1日)
 日揮ホールディングスは、日揮グループの機能材製造事業会社である日本ファインセラミックス(JFC)が、昨年12月に昭和電工マテリアルズ(SDMC)との間で締結した同社セラミックス事業の譲受契約に基づき、本事業譲渡がクロージングし、JFCの100%子会社「JFCマテリアルズ」として事業を開始したと発表した。
 当面はJFCマテリアルズの営業活動はJFCが担い、同社は製造に特化して生産効率化や新規設備導入を図り、JFCグループの生産能力の向上、業績拡大に貢献していく予定である。
 今回の事業譲受によって、JFCグループの半導体製造装置用セラミックスをはじめとする構造用(エンジニアリング)セラミックスの製造能力は、譲受前と比較し約2倍に拡大することになるとしている。

◆AI:産総研、先端素材高速開発技術研究組合、日本ゼオンがNEDOのプロジェクトにて複数AI による複雑な材料データから各種機能を予測する技術を開発(6月30日)
 産業技術総合研究所、先端素材高速開発技術研究組合、 日本ゼオンは、NEDOの「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」(2016年度~2022年度)において、複数の人工知能(AI)を用いることで複雑な構造を持つ材料のデータを処理し、高速・高精度にさまざまな機能を予測する技術を開発したことを発表した。
 今回開発したマルチモーダルAI技術は、母材・添加剤・充填剤といったさまざまな配合を持つ材料(複雑材料系)に対して、深層学習(ディープラーニング)を適用する新しい技術である。画像や分光スペクトルといった異なる複数のデータを計測・統合することで、従来のAI技術を適用できなかった複雑材料系において2万分の1以下の所要時間で異なる複数の特性の高精度な予測が可能となる。
 今後は、開発した新規マルチモーダルAI技術を元に、幅広い材料系へと適用を進め、高分子複合材料、繊維強化プラスチック、ファインセラミックス、マルチマテリアルといった複雑材料系のマテリアルズ・インフォマティクスおよびプロセス・インフォマティクスを推進するとしている。

◆ゴム:住友ゴム工業が天然ゴムの品種改良につながるバイオポリマーの合成に成功(6月30日)
 住友ゴム工業は、東北大学、金沢大学、埼玉大学らと共同で天然ゴムの鎖長制御に重要な天然ゴム合成酵素の部位を特定し、この天然ゴムの鎖長制御に重要な部位をトマト由来酵素に組み込むことにより、自然界には存在しない構造のバイオポリマーの合成に成功したと発表した。
 トマト由来酵素の重要部位を、天然ゴム合成酵素の重要部位と置き換えた改変酵素では、天然ゴムと同程度の鎖長のポリイソプレンを合成する。この改変酵素を用いることで、天然ゴム合成酵素とは異なる開始基質を利用可能となり、その反応生成物として自然界には存在しないバイオポリマーの合成に成功した。
 今後、研究を進めることで、天然ゴムの収率改善やタイヤ性能向上に寄与する天然ゴムの生産につながることが期待されるとしている。

◆医薬品:富士フイルムが欧米拠点に新たに総額約2,000億円の大規模投資を決定(6月30日)
 富士フイルムは、バイオ医薬品CDMOの中核会社FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下FDB)の欧米拠点に、総額約2,000億円の大規模投資を行うと発表した。
 抗体医薬品市場は、既存薬の需要増に加え、抗体薬物複合体やバイスペシフィック抗体を用いた薬など新型薬の拡大により、年率10%を超えるペースで成長すると見込まれており、富士フイルムはこれまでバッチ生産方式と連続生産方式の両輪で、抗体医薬品の生産能力の増強を進めてきた。
 今回の投資は、医薬品の旺盛な製造受託ニーズを受け、最短で生産設備の立ち上げが可能なデンマーク拠点に20,000リットル培養タンク8基を追加導入する。本投資により、2026年までに同サイズのタンク保有数を、デンマーク拠点で20基、全世界で合計28基に拡大させる。
 また、世界最大のバイオ医薬品市場である米国にも戦略的投資を行い、欧米両市場で連続生産システムによる原薬製造体制を確立する。今回、テキサス拠点に連続生産システムによるGMP製造が可能な設備を導入する。稼働時期は2026年を予定している。今後、新薬開発を行う顧客との協働のみならず規制当局との連携で早期商用化を目指し、連続生産システムを用いた製造受託のグローバルな市場形成を図るとしている。

◆有機:三菱ガス化学がCO2活用の環境循環型メタノールの社会実装について共同検討を開始(6月30日)
 三菱ガス化学とトクヤマは、三菱ガス化学が新たに開発したメタノール製造技術を適用し、トクヤマの徳山製造所にて排出されているCO2と徳山製造所内で生じる水素を原料としたメタノール製造販売の事業化検討(FS)を行うことに合意し、覚書を締結したと発表した。
 同検討が事業化された場合、工場より排出されるCO2をメタノールの原料として再利用する日本国内での初めての商業プラントとなる。製造されたメタノールは、トクヤマで製造される化学品の原料として使用されると共に、三菱ガス化学の既存メタノール供給網を利用し、環境循環型の化学品や温室効果ガス排出の少ない燃料、水素源を必要とする需要家への供給が可能になるとしている。

◆リサイクル:プライムポリマーが樹脂袋の水平リサイクルの推進を決定(6月30日)
 プライムポリマーは、製品包装用の樹脂袋の水平リサイクルを推進すると発表した。
 樹脂袋の水平リサイクルはプラスチックのマテリアルリサイクルの具体策の一つであり、年内を目標に実施・展開する。
 樹脂袋の水平リサイクルの技術開発は既に目途を得ており、リサイクル樹脂袋を用いた製品保管等の物流における評価が完了した後、樹脂袋を使用している同社の全工場でリサイクル樹脂袋を展開する予定としている。

◆電子材料:昭和電工が韓国のSK社と半導体用高純度ガス事業で北米協業検討覚書を締結(6月29日)
 昭和電工と韓国の SK社は、半導体の製造工程で使われる高純度ガス事業の北米協業検討覚書(MOU)を締結したと発表した。
 アメリカ国内での半導体材料の需要の拡大に伴い、半導体ウェハーの回路形成(前工程)に使われる高純度ガスも需給がひっ迫し、半導体メーカーからの安定供給の要望が強まっている。一方、同社の半導体用高純度ガス事業は、アジアの生産拠点で生産・充填し、アメリカへ輸送するサプライチェーンを構築しているため、輸送コストアップや、物流ひっ迫時の供給不安といったビジネス上の課題があった。
 これらの課題に対応するため、同社と韓国SKの高純度ガス事業の社内独立企業であるSK Incマテリアルズは、共同で北米での半導体用高純度ガス現地生産の検討を開始した。両社は共創しアメリカビジネスの拡大を狙うとしている。

◆リサイクル:昭和電工がマイクロ波による使用済みプラスチックの新たなケミカルリサイクル技術の共同開発を開始(6月28日)
 昭和電工とマイクロ波化学は、マイクロ波を用いて使用済みプラスチックから基礎化学原料を直接製造するケミカルリサイクル技術の共同開発を開始したと発表した。
 同技術は、マイクロ波吸収体(フィラー)を活用してマイクロ波のエネルギーを使用済みプラスチックに集中的に与えることで、使用済みプラスチックを基礎化学原料へ効率よく分解する。そのため、従来の分解法と比較して分解時のエネルギー消費を抑えることが可能となる。
 両社は基本技術の確立に向け、本年末までに、マイクロ波加熱分解物の生成条件検討、目的成分の収率向上に向けた触媒等の探索、分解条件や分解プロセスの最適化などに取り組む予定としている。

◆有機:DICがPTBP事業の撤退を発表(6月27日)
 DICは、シンガポールの100%子会社であるDIC Alkylphenol Singapore(以下、DAS社)のPTBPの製造設備を、2023年6月を目途に停止し、同事業から撤退することを発表した。
 PTBPはフェノールとイソブチレンを原料として製造される化学品で、ポリカーボネート樹脂分子量調整剤、合成樹脂、印刷インキ、香料等の用途に使用されている。DICは、2004年にDAS社でPTBPの製造を開始し、その後グループの製造拠点を該社に集約したが、アジア域内の事業環境の変化に対し、競争力を維持することが困難と判断した。
 今後、新たな成長投資によって、高収益事業へのポートフォリオ転換の推進、資本効率の向上を目指すとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 7月契約価格は、1,290$/t(前月比▲15$/t)、国内価格換算想定値は182.0円/kg
・東亞合成が高純度無機製品を7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、高純度カセイカリ:120円/㎏以上、高純度炭酸カリ:110円/㎏以上
 液化塩化水素:20%以上、高純度塩酸:20%以上
・東亞合成がカセイカリを7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、液体カセイカリ:(固形換算)110円/kg以上、フレークカセイカリ:(有姿)110円/kg以上
 スーパーカリ:(固形換算)110円/kg以上
・旭有機材がフェノール樹脂製品、RCS製品等を7月出荷分より値上げ
 値上げ幅は、固形フェノール樹脂製品:22%以上、液状フェノール樹脂製品:14%以上、
 RCS(レジンコーテッドサンド)製品:12%以上、その他関係製品:製品毎に設定
・クラレが水添スチレン系エラストマー(セプトン、ハイブラー)、TUポリマーを7月15日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、0.33 US$/kg
・信越ポリマーがポリカ波板関連製品を7月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%以上
・東洋紡がポリエステルスパンボンド不織布を8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%~15%
・昭和電工が苛性ソーダ及び次亜塩素酸ソーダを8月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、苛性ソーダ :30円/kg以上(固形換算値)、次亜塩素酸ソーダ :5円/kg以上
・タキロンシーアイがインフラマテリアル製品を8月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、止水板及び関連製品:15%以上、遮水シート(塩化ビニル樹脂系、ポリオレフィン樹脂系):15%以上
 水膨張性止水材、接着剤など関連商品:10%以上
・セメダインがセメダイン製品を9月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%以上
・クレハが家庭用品および業務用包装資材を10月1日納品分より値上げ
 値上げ幅は、10~35%
・富士フイルムが記録メディア製品を10月1日より値上げ
 値上げ幅は、5~10%

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