2022.08.04 発行
◆色素:DICと米デビュー・バイオテクノロジーが赤色天然由来色素の新合成法に関する共同研究開発の第二フェーズを開始(7月29日)
◆CCS:日揮グローバルと川崎汽船がマレーシアにおけるCCS共同スタディへ新たに参加(7月29日)
◆樹脂:三菱ケミカルが英国でエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂の能力増強を決定(7月28日)
◆フィルム:東洋紡が超高剛性OPPフィルム「パイレンEXTOP」シリーズを開発、製品化を発表(7月28日)
◆熱導電性材料:三洋化成工業が高い熱伝導性と流動性を両立した絶縁性ウレタン放熱ギャップフィラーを開発(7月28日)
◆新エネルギー:東ソーが南陽事業所にバイオマス発電所を新設(7月27日)
◆ガラス:AGC Glass Europe社がLowカーボンガラスを2022年中に発売開始(7月26日)
◆接着剤:東洋モートンが新たに無溶剤型ラミネート接着剤および硬化剤を開発(7月25日)
◆価格改定
・タキロンシーアイがEVA樹脂製遮水シートを8月受注分より値上げ
・東亞合成が液体カセイソーダを8月1日出荷分より値上げ
・東亞合成が次亜塩素酸ソーダを8月1日出荷分より値上げ
・DICがエポキシ系可塑剤を8月5日納入分より値上げ
・デンカがクロロプレンゴムを9月1日出荷分より値上げ
・東亞合成が硫酸を9月1日出荷分より値上げ
・ユニチカおよびユニチカトレーディングが衣料用繊維を9月1日出荷分より値上げ
・日本製紙が液体用紙容器を10月1日納入分より値上げ
・日本東海インダストリアルペーパーサプライが段ボール原紙・特殊板紙を9月1日出荷分より値上げ
・セントラル硝子が建築用板ガラス製品を10月1日納入分より値上げ
・住友大阪セメントがセメント・固化材を10月1日より値上げ
・トクヤマがセメント及びセメント系固化材を10月1日出荷分より値上げ
◆色素:DICと米デビュー・バイオテクノロジーが赤色天然由来色素の新合成法に関する共同研究開発の第二フェーズを開始(7月29日)
DICと米国バイオベンチャー企業のデビュー・バイオテクノロジー社(以下、Debut社)は、赤色天然由来色素の新合成法に関する共同研究開発の第二フェーズを開始したことを発表した。
同共同研究開発は、化粧品や食品、ニュートリション用途に使用される天然由来色素の事業拡大を目的とし、今後2年間で特に明るく鮮やかな赤色を作り出すことに焦点を当てたものである。
2021年7月より、DICとDebut社で開始した天然由来色素の新合成法に関する共同研究の第一フェーズでは、公知の方法より1,000倍高い生産効率を達成し、本プラットフォームの有効性を実証した。今回開始する第二フェーズでは、第一フェーズで得られた知見を活用し、天然由来色素、特に鮮やかな赤色天然由来色素のサステナブルかつ高効率な製造プロセスを開発し、スケールアップを目指す。
植物由来で高純度、無臭といった特徴を持ちつつ、天然由来品が課題とする品質面・供給面での不安定性を解消した天然由来色素を、化粧品、食品、ニュートリション業界に早期に展開するため研究開発を加速させていくとしている。
◆CCS:日揮グローバルと川崎汽船がマレーシアにおけるCCS共同スタディへ新たに参加(7月29日)
石油資源開発(以下、JAPEX)、日揮グローバル、川崎汽船の3社は、マレーシア国営エネルギー会社Petroliam Nasional Berhad(以下、ペトロナス)とJAPEXが本年1月から推進する、マレーシアにおけるCCS(二酸化炭素の回収・貯留)共同スタディへ、新たに日揮グローバルと川崎汽船が参加を決定し、覚書に調印したと発表した。
本共同スタディは、マレーシアにおけるCO2地中貯留のための適地調査や技術的検討を、20か月程度の予定で実施しているものである。サラワク州にあるペトロナスのLNG基地からのCO2の回収・輸送や、将来的なマレーシア国外からのCO2受け入れの可能性などを含んでいる。
ペトロナスと日本企業3社は、候補地におけるCO2の地中貯留技術、排出量や回収可能量の試算を含むCO2の最適な回収・輸送方法、地中貯留したCO2のモニタリング手法などの具体的な評価において協力していく。また、今後の実証試験や事業化を視野に入れた経済性の試算や事業スキームの検討、CCSに関する法制度の調査なども実施する予定としている。
◆樹脂:三菱ケミカルが英国でエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂の能力増強を決定(7月28日)
三菱ケミカルは、食品包装材などに使われるエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂「ソアノール」の英国における生産能力を増強すると発表した。
ソアノールは、高いガスバリア性を有しており、食品包装材として用いることで、食品の風味や品質を長持ちさせ、食品廃棄物の削減に貢献することが可能である。また、ソアノールと同社グループの製品であるリサイクル助剤「ソアレジン」を組み合わせて使用した多層フィルムはリサイクル性の向上が認められている。近年の環境配慮型製品のニーズの高まりを受け、ソアノールの需要は世界的に拡大しており、今後も堅調な伸びが見込まれる。
今回の能力増強の着工時期は2023年4月、稼働開始は2025年7月を予定しており、生産能力は現行の18,000トンから、増強によって39,000トンになるとしている。
◆フィルム:東洋紡が超高剛性OPPフィルム「パイレンEXTOP」シリーズを開発、製品化を発表(7月28日)
東洋紡は、一般的な二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下「OPPフィルム」)の約1.7倍の腰の強さを持つ、超高剛性OPPフィルムの製品シリーズ「パイレンEXTOP」を新たに開発したと発表した。
同シリーズは、一般的なOPPフィルムと同等の腰感を維持しながら、フィルムの厚みを20%薄くすることができるため、プラスチックの使用量や、燃焼時の二酸化炭素排出量を削減することが可能である。また、一部の銘柄では、一般的なOPPフィルムよりも耐熱性を大きく向上させた。従来は他素材のフィルムが使われていた、加熱処理が必要な用途にも使用できるため、PP素材だけで構成されるモノマテリアルの包装材の設計が可能になる。
同社は今後、防曇タイプ、高耐熱タイプなどを取りそろえ、食品包装用途を中心に2022年秋より販売を開始するとしている。
◆熱導電性材料:三洋化成工業が高い熱伝導性と流動性を両立した絶縁性ウレタン放熱ギャップフィラーを開発(7月28日)
三洋化成工業は、高い熱伝導性と流動性を両立した熱伝導性材料(Thermal Interface Material: TIM)として、絶縁性ウレタン放熱ギャップフィラーを開発したことを発表した。
TIMにはシートやグリースのほか、硬化型の放熱ギャップフィラーがあるが、中でも、自動実装を導入しやすく、自由な設計を可能にする放熱ギャップフィラーの需要が近年拡大している。通常、放熱ギャップフィラー中の熱伝導性フィラーの量を多くするほど熱伝導性が高くなる一方で、粘度が高くなり、流動性が悪くなるという課題がある。
同社は、コア技術である「界面制御技術」と「ウレタン樹脂物性制御技術」を組み合わせてこれらを両立させ、高い放熱特性、低粘度で高い流動性、二液室温硬化タイプ、非シリコーン系、基材への高い密着性、絶縁性を有する放熱ギャップフィラーを設計・開発した。
また、同社品は、微細な凹凸表面にも追従し、効率よく熱を伝えることができるため、小型化、高性能化、高機能化が進む電子機器の熱対策に貢献できるとしている。
◆新エネルギー:東ソーが南陽事業所にバイオマス発電所を新設(7月27日)
東ソーは、南陽事業所(山口県)において、老朽化した自家用石炭火力発電所の一つを廃止し、新たにバイオマスを主燃料とした発電所を新設することを決定したことを発表した。
南陽事業所にある既存の自家発用火力発電所では、主に石炭を使用していたが、新設する発電所では、木質系燃料に加え、建築廃材やRPF(古紙および廃プラスチックを原料とする固形燃料)等の廃棄物系燃料も利用することで、多種多様な燃料の使用により、温室効果ガス排出量削減を図るとともに廃棄物の有効利用にも取り組む。将来的にはバイオマス専焼を目指し、これによりCO2排出量を年間約50万t削減する。
本発電所の発電出力は74MWであり、2026年4月に発電を開始する予定としている。
◆ガラス:AGC Glass Europe社がLowカーボンガラスを2022年中に発売開始(7月26日)
AGC Glass Europe社(本社:ベルギー)は、AGCグループとして初めてとなるLowカーボンガラスを2022年中に発売すると発表した。
同社は2010年に欧州ガラスメーカーとして初めて、板ガラスとコーティングガラスでCradle to Cradle(環境商品に関する第三者認証)を取得し、現在では欧州ガラスメーカーとして最も多くの製品の認証を取得・更新している。また、研究予算の50%をカーボンネットゼロに貢献する持続可能な製品やソリューションの研究に充て、サステナブルな建築用ガラス事業の実現に努めている。
今回のLowカーボンガラスは最新の製造設備の導入やその他の複合的な取り組みにより、製品ライフサイクルにおけるGHG排出量を大幅に低減した製品としている。
◆接着剤:東洋モートンが新たに無溶剤型ラミネート接着剤および硬化剤を開発(7月25日)
東洋インキグループの東洋モートンは、無溶剤型ラミネート接着剤「ECOAD(エコアド)EA-N6008」および硬化剤「EA-N5618/EA-N5633」を開発したことを発表した。
同製品は、溶剤型と比較し接着剤由来のCO2排出量を76%削減する。また、従来の無溶剤型ラミネート接着剤は層構成によって外観と物性との両立が困難であるが、従来とは異なる塗膜設計アプローチにより外観と物性の両立に成功した。
シャンプー・コンディショナーなどの詰替え用パウチや、ケチャップ・チリソースといった酸性内容物の個包装パウチなど、これまで溶剤型ラミネート接着剤での加工が中心であった分野で無溶剤型への切り替えを可能とし、用途拡大によりラミネート接着剤の脱溶剤化を加速させることで、CO2排出量の削減に寄与するとしている。
◆価格改定
・タキロンシーアイがEVA樹脂製遮水シートを8月受注分より値上げ
値上げ幅は、40%以上
・東亞合成が液体カセイソーダを8月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、固形換算30円/kg以上
・東亞合成が次亜塩素酸ソーダを8月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、6円/kg以上(タンクローリー)、10円/kg以上(ポリ缶、バッグインボックス)
・DICがエポキシ系可塑剤を8月5日納入分より値上げ
値上げ幅は、エポキシ化亜麻仁油(ELSO):75円/kg、その他エポキシ系可塑剤:34円/kg以上
・デンカがクロロプレンゴムを9月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、65円/kg以上、500ドル/トン以上、450ユーロ/トン以上
・東亞合成が硫酸を9月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、4円/kg以上
・ユニチカおよびユニチカトレーディングが衣料用繊維を9月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、10%~20%
・日本製紙が液体用紙容器を10月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、エヌピーパック:12%以上、フジパック:10%以上
・日本東海インダストリアルペーパーサプライが段ボール原紙・特殊板紙を9月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、段ボール原紙全般:15円/kg、特殊板紙:15%以上
・セントラル硝子が建築用板ガラス製品を10月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、フロート板ガラス、型板ガラス及び網入型板ガラス:35~40%、網入磨板ガラス:約30%
鏡製品:15~20%、加工ガラス製品(建装商品含む):25~30%
・住友大阪セメントがセメント・固化材を10月1日より値上げ
値上げ幅は、3,000円/トン
・トクヤマがセメント及びセメント系固化材を10月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、3,300円/トン以上