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2023年10月12日

2023.10.12 発行

HEADLINE

◆メディカル:クラレが再生医療用の細胞培養に向けたPVAハイドロゲルマイクロキャリアを開発(10月6日)
◆バイオマス:BASFがバイオベースの2-オクチルアクリレートを上市(10月6日)
◆非鉄金属:パンパシフィック・カッパーが2023年度下期における金属製品等の委託生産予定を発表(10月6日)
◆メディカル:日揮ホールディングスがバイオ医薬品およびmRNAワクチン原薬等の製造棟建設プロジェクトを受注
 (10月5日)
◆炭素繊維:東レが欧州における炭素繊維の生産設備を増強(10月4日)
◆電子材料:大日本印刷とマイクロ波化学が高い透明性と導電性を両立した透明導電フィルムを開発(10月3日)
◆リサイクル:東レがガラス繊維強化PPS樹脂のリサイクル技術を構築(10月3日)
◆水処理薬:多木化学が水処理薬剤の超高塩基度ポリ塩化アルミニウムの設備の増強を発表(10月3日)
◆非鉄金属:三井金属が2023年度下期の地金生産計画を発表(10月2日)
◆非鉄金属:三菱マテリアルが2023年度下期の地金生産計画を発表(10月2日)
◆ウレタン原料:東ソーがベトナムに粗MDIスプリッターを新設(10月2日)
◆電子材料:富士フイルムが米国半導体材料メーカーEntegris社の半導体用プロセスケミカル事業の買収を完了(10月2日)
◆不織布:三井化学と旭化成が不織布事業に関する共同新設分割による新会社の設立を発表(10月2日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・クラレがポリビニルアルコール樹脂を10月10日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS 

◆メディカル:クラレが再生医療用の細胞培養に向けたPVAハイドロゲルマイクロキャリアを開発(10月6日)
 クラレは、再生医療用向けにPVAハイドロゲルマイクロキャリアを開発したと発表した。
 マイクロキャリアとは、培養液の中で表面に細胞を接着させることで、3次元的に培養するための微小な細胞固定化担体である。
 本マイクロキャリアを細胞培養に使用するバイオリアクターに投入して足場材料とすることで、表面に細胞が付着・増殖し、大量の細胞を効率的に剥離回収できる。また、弾性率の高いPVAハイドロゲル製のため、バイオリアクターで強く攪拌しても破損せず、微細な破片や異物が発生しないという特徴を有する。加えて、PVAハイドロゲルは培養液を吸収して膨張するため、ポリスチレンなどのマイクロキャリアと比較して使用量を削減できるほか、透明で高い光透過性により、顕微鏡での細胞観察が容易である。
 クラレはPVAハイドロゲルマイクロキャリアを2024年1月より国内および米国をはじめとする海外で発売を開始するとしている。

◆バイオマス:BASFがバイオベースの2-オクチルアクリレートを上市(10月6日)
 BASFは、バイオベース原料として2-オクタノールを使用した2-オクチルアクリレート(2-OA)を上市したと発表した。
 本製品は、持続可能な非食用原料であるひまし油をベースとしている。2-OAはバランスのとれた溶解性を持ち、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)やn-ブチルアクリレート(BA)などの化石由来モノマーのバイオベース代替品として、接着剤のフォーミュレーションやコーティング用途などで容易に使用することが可能である。
 また、本製品は化石代替品と比べて性能面で優れており、コーティング剤における耐すり傷性の向上を実現し、接着剤においてはせん断抵抗性を示し、耐候性にも優れている。
 BASFは今後、EU、米国、日本など多くの国で拡販を進める方針としている。

◆非鉄金属:パンパシフィック・カッパーが2023年度下期における金属製品等の委託生産予定を発表(10月6日)
 パンパシフィック・カッパーは、2023年度下期における金属製品等の委託生産予定を発表した。
 2023年度下期の委託生産予定としては、銅は291,900t/期(前年同期:291,100t/期)であり、内JX金属精錬へ199,900t/期、日比共同製錬へ92,000t/期を委託する。硫酸は773,900t/期(前年同期:795,300t/期)であり、内JX金属精錬へ518,000t/期、日比共同製錬へ255,900t/期を委託する。また、金は15,200㎏/期(前年同期:19,800kg/期)、銀は143,200㎏/期(前年同期:153,900㎏/期)を委託生産する予定としている。

◆メディカル:日揮ホールディングスがバイオ医薬品およびmRNAワクチン原薬等の製造棟建設プロジェクトを受注(10月5日)
 日揮ホールディングスは、タカラバイオよりCDMO事業の拠点となるバイオ医薬品およびmRNAワクチン原薬等の製造棟建設プロジェクトを受注したと発表した。
 バイオ医薬品は、特定の細胞や組織に作用し高い効果や副作用が少ないことが期待できる医薬品として近年、急速に市場が拡大している。同プロジェクトは、タカラバイオの本社地区内(滋賀県)に、「遺伝子・細胞プロセッシングセンター3号棟」を新設するものとなる。同施設はデュアルユースの機能を担い、感染症パンデミック発生時にはウイルスベクターワクチン原薬等を製造し、平時にはCDMO事業の拠点として遺伝子治療用ベクター等のバイオ医薬品を製造する施設となる。
 また、同施設では、新たなバイオ医薬品の製造プロセスの開発・生産へ柔軟に対応するためシングルユース技術を適用し、GMPを満たす多品目の同時生産が可能な製造機能と品質管理機能を備える。同施設の竣工・引渡しは2027年の予定としている。

◆炭素繊維:東レが欧州における炭素繊維の生産設備を増強(10月4日)
 東レは、フランスの子会社Toray Carbon Fibers Europe(以下、CFE)において、レギュラートウの中・高弾性率炭素繊維の生産設備増強を決定したと発表した。
 カーボンニュートラル社会の推進を背景に、ビルドレートが回復する民間航空機の二次構造材やエンジン、ウラン濃縮回転胴、衛星用途、高級自動車等の用途に使用される中・高弾性率炭素繊維の需要が拡大する見込みである。これらの需要が拡大する欧州の拠点であるCFEでの生産設備を増強し、中・高弾性率炭素繊維を安定的に供給する。
 今回の設備増強では、CFEのアビドス工場の生産能力を増強し、現行の年産5千トンから6千トンに増強する計画である。2025年から生産を開始する予定としている。

◆電子材料:大日本印刷とマイクロ波化学が高い透明性と導電性を両立した透明導電フィルムを開発(10月3日)
 大日本印刷(DNP)とマイクロ波化学は、マイクロ波の照射によってナノメートルレベルを実現した銀の導電性繊維(銀ナノワイヤー)を用いて、高い透明性と導電性を両立した透明導電フィルムを開発したと発表した。
 従来の透明誘電フィルムでは、一般的にPETフィルムにITO(酸化インジウムスズ)を薄膜成形しているが、同製品はシート抵抗:30~70Ω/sq.の範囲においてITO膜の透明誘電フィルムと比較して高い透明性を維持することができる。また、透明導電フィルムに通電させることで、効率的にフィルム自体を発熱させることができ、LiDARに透明フィルムヒーターを適用した場合、凍結や結露を防止できるだけでなく、拡散反射低減により検出感度が向上する。これにより、寒冷地などでも安全な自動運転社会を実現することができる。
 DNPは、同製品のサンプル提供を2023年12月に開始する。今後、両社ではDNPが強みを持つ反射防止フィルムや液晶位相差フィルム等の機能性光学フィルムと組み合わせることで、ディスプレイ分野に加え、車両・自動運転用LiDARや通信分野おいても、透明フィルムヒーターや電磁波シールドといった新たな機能を提供するとしている。

◆リサイクル:東レがガラス繊維強化PPS樹脂のリサイクル技術を構築(10月3日)
 東レは、ガラス繊維強化PPS樹脂(PPS-GFRP)をリサイクルしてもバージン材の初期性能を維持することが可能な新技術を開発したことを発表した。
 PPS樹脂自体は長期間の使用後も劣化しにくい特長を有する一方、リサイクル工程において、配合しているガラス繊維が短く折損して、機械強度が大幅に低下する課題があるため、リサイクル率向上の障害となっていた。
 今回、東レは、PPS樹脂に特殊強化繊維を配合したマテリアルリサイクル用ペレットを開発した。これを、リサイクル品とブレンドし使用することで、樹脂成形品においてリサイクル材を使用した場合でも、バージン材と同等物性を維持することが可能となる。
 同社は既に、顧客の工場で発生した工程端材を基にマテリアルリサイクル用ペレットを配合したリサイクルPPS-GFRPを供給するなど、クローズドリサイクルの取り組みを開始している。今後、より多くのパートナー企業とリサイクルスキームの構築を進める予定であり、先ずは国内向けを中心にサンプルワークを展開し、リサイクル素材・製品の全社統合ブランドである「“Ecouse”TORELINA」として、販売する計画としている。

◆水処理薬:多木化学が水処理薬剤の超高塩基度ポリ塩化アルミニウムの設備の増強を発表(10月3日)
 多木化学は、本社工場にて、環境配慮型製品である水処理薬剤の超高塩基度ポリ塩化アルミニウム「PAC700A」の設備増強を実施することを発表した。
 2024年3月の完成を目指し、生産能力を従来の約2倍に引き上げる計画である。PAC700Aは従来型PACに比べ凝集性能が高く、使用量を低減できるため、輸送費およびCO2の排出量の削減に寄与する。またPAC由来の産業廃棄物(汚泥)の発生量も低減できる他、気候変動による水質悪化にも柔軟に対応できるため、SDGsに貢献できる製品である。
 今後、同社はPAC700Aの普及促進とともに安定供給体制の構築に努めるとしている。

◆非鉄金属:三井金属が2023年度下期の地金生産計画を発表(10月2日)
 三井金属は、2023年度下期における地金生産計画を発表した。
 2023年度下期の生産計画としては、亜鉛は117.8千t/期(前年同期:107.3千t/期)、鉛は36.2千t/期(前年同期:34.9千t/期)、金は2.7t/期(前年同期:2.8t/期)、銀は64.6t/期(前年同期:64.8t/期)の生産を計画している。
 前年同期実績との比較について、亜鉛の増加理由は、2023年3月から4月に実施した八戸製錬の大規模定期修繕のためとしている。

◆非鉄金属:三菱マテリアルが2023年度下期の地金生産計画を発表(10月2日)
 三菱マテリアルは、2023年度下期における地金生産計画を発表した。
 2023年度下期の生産計画としては、銅は36,167t/月(前年同期:26,981t/月)、鉛は2,511t/月(前年同期:2,507t/月)、金は3,300kg/月(前年同期:3,423kg/月)、銀は28,000kg/月(前年同期:28,449kg/月)の生産を計画している。
 前年同期実績との比較では、銅については、直島製錬所において前年同期に実施した定期炉修が今期はないことから約17%増、小名浜製錬所は2023年4月からの完全子会社化に伴い約61%増、全体では約34%増となる計画である。金および銀の生産減については、主に受入量減によるものとしている。

◆ウレタン原料:東ソーがベトナムに粗MDIスプリッターを新設(10月2日)
 東ソーが、ベトナムにおいて現地法人を設立し、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDI)中間原料である粗MDIの蒸留分離設備(以下、スプリッター)を建設することを決定したと発表した。
 MDIは、スポーツシューズ、フィットネスウェアなどに使用される弾性繊維、リサイクル材を活用した木質ボード、断熱材など、幅広く使用されている代表的なポリウレタン原料である。近年は東南アジア、特にベトナム市場でのMDI需要が急速な成長を続けており、ベトナムに上流分離能力100,000トン/年のスプリッターを設置しMDIを生産することで、タイムリーな供給が可能となり現地の旺盛な需要を取り込み、拡販を図るとしている。
 本設備は、2024年11月に着工、2026年6月に完工、2026年10月に商業運転を開始する予定としている。

◆電子材料:富士フイルムが米国半導体材料メーカーEntegris社の半導体用プロセスケミカル事業の買収を完了(10月2日)
 富士フイルムは、米国の半導体材料メーカーEntegris社の半導体用プロセスケミカル事業の買収手続きを完了したと発表した。なお、今回の買収に要した資金は、約7億米ドルである。
 半導体用プロセスケミカルは、半導体製造の洗浄・乾燥工程で異物の除去や、エッチング工程にて金属や油脂などを取り除くために使用する化学薬品で、半導体製造プロセス向けの基幹製品である。現在、半導体の高性能化に伴って、半導体の微細化・多層化が進み、製造プロセスがより複雑化している。このような中、半導体用プロセスケミカルの使用頻度が加速度的に増え、その市場は年率11%で成長している。
 富士フイルムは、半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料を幅広く提供する製品展開、グローバルでの安定供給体制、高い研究開発力、顧客との強固な信頼関係を強みに事業成長を加速させ、2030年度には電子材料事業で5,000億円の売上を目指すとしている。

◆不織布:三井化学と旭化成が不織布事業に関する共同新設分割による新会社の設立を発表(10月2日)
 三井化学と旭化成は、不織布事業に関する共同新設分割により「エム・エーライフマテリアルズ」を新設し、本年10月2日に営業を開始したことを発表した。
 三井化学と旭化成は、1970年代初頭より日本国内外で独自性のある商品を開発し、衛生材料分野から産業材料、生活資材分野に至るまで幅広い用途で独自性のある製品をグローバルに提供してきた。エム・エーライフマテリアルズは、両社の技術やノウハウを融合させ、シナジーの最大化を図り、グローバルで存在感のある不織布メーカーとして、事業の成長、持続可能な社会の実現を目指すとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 10月契約価格は、1,010$/t(前月比+60$/t)
 国内価格換算想定値は156.8円/kg
・クラレがポリビニルアルコール樹脂を10月10日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、20円/kg

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