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2023年11月16日

2023.11.16 発行

HEADLINE

◆電子材料:東レがカドミウムフリー素材による波長変換シート新製品を開発(11月9日)
◆CO2対策:三井化学が細胞膜酵素を用いた水素駆動型CO2還元反応によるギ酸生成系を開発(11月10日)
◆ガラス:日本板硝子がマレーシアの太陽電池パネル用ガラス生産設備を稼働(11月9日)
◆CO2対策:日本ガイシがCCUSに向けたCO2回収実証を開始(11月8日)
◆医薬品:富士フイルムの子会社が米国新拠点の大型設備でのバイオ医薬品製造をヤンセンより受託(11月8日)
◆複合材料:積水化学工業が鉄道枕木向け合成木材(FFU)の欧州生産工場を開設(11月8日)
◆リサイクル:AGCが太陽光パネルカバーガラスのリサイクル実証試験に成功(11月7日)
◆水素関連:コスモエンジニアリングと岩谷産業が水素関連プロジェクトのエンジニアリング事業協業のため合同会社を設立
 (11月6日)
◆塗料:DIC社およびDICデコール社がナトコ社と内装建材用塗料事業の譲渡契約を締結(11月6日)
◆価格改定
・信越ポリマーが塩ビ波板製品全般を12月1日出荷分より値上げ
   
   

WEEKLY NEWS

◆電子材料:東レがカドミウムフリー素材による波長変換シート新製品を開発(11月9日)
 東レは、有機蛍光体を用いたカドミウムフリー有機波長変換シート「ルミリカ」の信頼性をさらに改良し、高輝度液晶ディスプレイ向け新製品を開発したと発表した。
 液晶ディスプレイは技術進化が進んでおり、高輝度化と広色域化が求められている。高輝度化では、光の高強度化や部材温度の上昇に伴う光学部材の劣化が課題となる。
 広色域化では、量子ドットを用いた量子ドットシートが実用化されているが、カドミウム等の有害元素が使われている。カドミウムの使用量を低減した量子ドットシート(カドミウムレス)も開発されているが、依然としてカドミウム等の有害元素を使用しているのが現状である。
 同社が開発した有機波長変換シート「ルミリカ」は、波長変換材料として高色純度発光を示す有機蛍光体を用いた広色域液晶ディスプレイ用シート部材であり、カドミウムを全く含まない環境調和型の波長変換技術である。今回、同社は、有機波長変換シート「ルミリカ」のシート組成を改良することで、長期信頼性を改善することに成功し、高輝度の液晶ディスプレイへの適用が可能となった。
 今後、同社では2024年の実用化を目指し、研究・技術開発を推進するとしている。

◆CO2対策:三井化学が細胞膜酵素を用いた水素駆動型CO2還元反応によるギ酸生成系を開発(11月10日)
 三井化学カーボンニュートラルセンターは、CO2の削減方法として細胞膜酵素によるCO2の水素化反応システムを開発したと発表した。
 脱炭素社会の実現に向けた研究開発では、従来とは異なる常温常圧の低基質濃度の反応条件下でも高活性で安定な触媒を開発することが重要となる。そのなかで、同研究では阿蘇くじゅう国立公園内の温泉から新規に単離した細菌Citrobacter sp. S77株の細胞膜から高活性と高安定性の水素酵素とギ酸脱水素酵素を発見し、両酵素の精製と特性解析に成功した。
 また、カーボン担体と高分子ポリマーで細胞膜を固定化し、非貴金属酵素触媒による水素駆動CO2還元反応を構築することにより、常温・常圧反応条件下での高効率なギ酸生成系の開発に世界で初めて成功した。
 なお、同研究は細胞膜をカーボン担体と高分子ポリマーで固定化した高効率なCO2変換系の創成に関するものであり、今後、精製酵素系を用いたエネルギー変換システムの開発に役立つことが期待されるとしている。

◆ガラス:日本板硝子がマレーシアの太陽電池パネル用ガラス生産設備を稼働(11月9日)
 日本板硝子(以下NSG)は、マレーシアにおいて同社グループが進めていた太陽電池パネル用透明導電膜(以下:TCO)付きガラス製造設備の新設工事が完了し、火入れを完了したことを発表した。
 同投資では、マレーシア国内を中心に建築用ガラス、自動車用ガラスの製造・販売を行うマレーシアン・シートグラス社のジョホールバル工場にあるフロート窯にオンラインコーティング設備が新設される。生産されたガラスはNSGグループと長期にわたる戦略的パートナーであるファーストソーラー社の東南アジア地域の太陽電池パネル製造拠点に供給される。ファーストソーラー社は米国の大手ソーラーテクノロジー企業であり、環境効率の高いソーラーモジュールのグローバルプロバイダーである。
 同設備では太陽電池パネル用TCOガラスを今年の12月より生産する予定としている。

◆CO2対策:日本ガイシがCCUSに向けたCO2回収実証を開始(11月8日)
 日本ガイシは、本社地区のセラミック製品工場の横にCO2回収設備を設置し、9月より焼成炉の排ガスの一部からCO2を回収する実証を開始したことを発表した。
 CO2回収設備は三菱重工製で、1日あたりの回収量は約0.1トンである。また、2024年12月にはIHI製の設備を導入し、回収したCO2と水素を合成して都市ガスの主成分であるメタンを生成する「メタネーション」に取り組み、焼成工程で排出されるCO2を回収して再利用するCO2循環の実証を行うとしている。
 CCUSの実施にはコストがかかるという課題がある。また、セラミックス焼成炉の排ガスはCO2回収実証が多く行われている火力発電所などの排ガスに比べてCO2濃度が低く回収効率が悪いため、よりコストがかかる傾向にある。そのため、同社は実用化されている技術を用いて早期にCCUの実証を開始することで、焼成炉に適した設備仕様や運転条件を確立し、未利用低温排熱を活用するなどのエネルギーマネジメントを実施して、実用可能なコストで効率的なCCUSを適用することを目指すとしている。

◆医薬品:富士フイルムの子会社が米国新拠点の大型設備でのバイオ医薬品製造をヤンセンより受託(11月8日)
 富士フイルムの子会社でバイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、FDB)は、Johnson & JohnsonグループのJanssen Supply Group(以下、ヤンセン)より、FDB米国新拠点(ノースカロライナ州)の大型設備でのバイオ医薬品製造を受託することを発表した。
 今回のコミットメントは長期にわたるもので、これまでFDBとヤンセンが築いてきた良好な関係をさらに拡大するものである。今後、FDBは、長期にわたってヤンセンのパイプラインの治験薬製造・商業生産をサポートしていく。なお、米国新拠点は、2025年に本格稼働する予定としている。

◆複合材料:積水化学工業が鉄道枕木向け合成木材(FFU)の欧州生産工場を開設(11月8日)
 積水化学工業の環境・ライフラインカンパニーは、オランダのグループ会社SEKISUI ESLON内に建設を進めていたFFU製枕木の生産工場が完成し、オープニングセレモニーを開催したことを発表した。
 同社が製造する「FFU」は、軽量でありながら、耐久・耐候性、加工性に優れる合成木材である。鉄道の枕木用途に採用されてから40年を超え、現在、日本国内において多くの鉄道会社に採用されており、海外においても、2003年に初受注を獲得以降、ドイツ、イギリスなど欧州を中心に事業規模を拡大してきた。
 また、近年、環境配慮から高品質な木材の調達が難しくなったことや、木材の防腐剤として使用されるクレオソート油が発がん性の危険からEUで使用禁止となったことから、木製枕木においても代替品として樹脂製枕木の導入が世界中で進んでいる。
 これまで、FFU製枕木ほぼ全量を日本の滋賀栗東工場で生産していたが、海外における鉄道分野最大の需要地である欧州工場開設により、さらなる事業拡大とグローバル化を推進していくとしている。

◆リサイクル:AGCが太陽光パネルカバーガラスのリサイクル実証試験に成功(11月7日)
 AGCは、太陽光パネルカバーガラスのリサイクル実証試験に日本で初めて成功したと発表した。
 本試験はAGC横浜テクニカルセンターの建築用型板ガラス製造窯にて行われ、使用済みの太陽光パネルのカバーガラス約24トンを、原料カレット(ガラス端材)にリサイクルした。なお、太陽光パネルのガラス回収には、三菱ケミカルグループの新菱の太陽光パネルリサイクル商業生産ラインの加熱処理技術が用いられた。
 太陽光パネルの耐用年数は20~30年とされ、2030年代後半より年間数十万トンの廃棄が予想されている。このうちカバーガラスは、全体の重量の約6割を占めており、産業廃棄物として大量に埋め立て処理された場合には、深刻な環境負荷を引き起こすと懸念されている。
 今回の実証試験では、太陽光パネルのカバーガラスが、特殊な加熱処理によって板ガラスに再利用可能な原料カレットとなることが確認された。これにより、産業廃棄物の削減や、珪砂やソーダ灰など天然資源由来原料の節減が可能となる。また、原料カレットの利用促進に伴い、製造工程におけるGHG排出削減にもつながるとしている。

◆水素関連:コスモエンジニアリングと岩谷産業が水素関連プロジェクトのエンジニアリング事業協業のため合同会社を設立(11月6日)
 コスモエンジニアリングと岩谷産業は、水素関連プロジェクトのエンジニアリング事業協業のため、新会社「コスモ岩谷水素エンジニアリング合同会社」を設立したと発表した。
 同合同会社では、コスモエンジニアリングが持つ水素設備に関するエンジニアリング技術と岩谷産業が持つ水素供給ネットワークおよび水素関連機器の商品力を活用し、大規模水素サプライチェーンにかかわる水素関連プロジェクトを手掛けていく。
 水素は利用時にCO2を排出しないことから、カーボンニュートラルのキーテクノロジーとして発電・産業・運輸など幅広く活用されることが期待されている。コスモエンジニアリングならびに岩谷産業は、合同会社設立による水素関連プロジェクトのエンジニアリング事業を通して、脱炭素社会実現に向けた水素燃料の社会実装、また水素需要拡大を後押しするとしている。

◆塗料:DIC社およびDICデコール社がナトコ社と内装建材用塗料事業の譲渡契約を締結(11月6日)
 DIC社と100%子会社のDICデコール社は、内装建材用塗料(フローリングメーカーおよび化粧板メーカー向けの塗料)の製造と販売に関する事業をナトコ社へ譲渡することを目的として、事業譲渡契約を締結したことを発表した。
 今回の事業譲渡は、経営資源を5つの重点事業領域(サステナブルエネルギー、ヘルスケア、スマートリビング、カラーサイエンス、サステナブルパッケージ)へ集中させるDICグループと、両社の技術・製造ノウハウの融合で内装建材用塗料の更なる価値とサービスの向上を目指すナトコ社の経営戦略が合致したことで実現した。
 今後は、2024年7月にDICデコール社が保有する販売事業をナトコ社へ譲渡し、生産品目の製造移管をナトコ社へ進めた上で、2025年12月末までにナトコ社への製造事業の譲渡を完了させる予定としている。

◆価格改定
・信越ポリマーが塩ビ波板製品全般を12月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%

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