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2023年11月24日

2023.11.24 発行

HEADLINE

◆CO2対策:千代田化工建設が三菱ガス化学向け新潟CCUSハブ&クラスター構想事業化に関する調査を受注(11月17日)
◆水素関連:三井化学が光バイオ触媒で空気と水からアンモニアと水素の同時合成に成功(11月16日)
◆アンモニア:JFEスチールが液体アンモニアタンク用鋼材の開発に向けた試験設備を導入(11月16日)
◆接着剤:日本板硝子が有害物質を含まないゴム補強材用接着剤を開発(11月16日)
◆水素関連:旭化成、Gentari、日揮HDがマレーシアでの水素製造プラントの基本設計に関する覚書を締結(11月15日)
◆CO2対策:ダイキンが溶融塩電解によりCO2をアセチレンとして再利用できることを実証(11月15日)
◆半導体材料:レゾナックが半導体材料サプライチェーン・マネジメントシステムを構築(11月15日)
◆レアメタル:住友金属鉱山が塩湖からリチウムを回収する実証試験を開始(11月14日)
◆カーボン:デンカがアセチレンブラック製造販売事業を行う合弁会社設立および生産プラント建設投資決定を発表
 (11月13日)
◆価格改定
・ユニチカが工業用ポリエステルフィルムを12月1日出荷分より値上げ
・東洋紡が包装用フィルム製品を12月11日出荷分より値上げ
・日本製紙が液体用紙容器全品を4月1日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆CO2対策:千代田化工建設が三菱ガス化学向け新潟CCUSハブ&クラスター構想事業化に関する調査を受注(11月17日)
 千代田化工建設は、三菱ガス化学(以下、MGC)より、新潟CCUSハブ&クラスター構想事業化に関する調査を受注したと発表した。
 本業務は、石油資源開発、MGC、東北電力、北越コーポレーション、野村総合研究所の5社がJOGMEC「先進的CCS事業の実施にかかる調査」に関する委託調査業務の公募において共同で受注した東新潟地域におけるCCS事業性調査に関連し、MGCより千代田化工建設がCCUSハブ&クラスター構想事業化に関する調査を受託し、実施するものである。
 本調査は、東新潟地域において、2030年までのCCS事業の開始を目指し、既設の化学工場、製紙工場、火力発電所から排出されるCO2の分離・回収、CO2の圧入・貯留地点、およびこれらを結ぶパイプラインにかかるコスト試算を含めた検討を参加5社にて実施するものであり、千代田化工建設は、水蒸気改質法による水素製造装置建設(以下、SMR)に向けた設備検討を実施する。
 千代田化工建設は、国内で製油所向けに建設された大規模SMRの半数以上の建設実績を有しており、2030年に向けての低炭素化における現実的な手法の1つとして、SMRにCO2分離回収装置を付加することで、製造されるブルー水素の供給計画に積極的に関与するとしている。

◆水素関連:三井化学が光バイオ触媒で空気と水からアンモニアと水素の同時合成に成功(11月16日)
 三井化学カーボンニュートラルセンターは、生体触媒の機能の一部を光触媒と電子伝達系を組み合わせることで、光バイオ触媒による常温常圧での窒素と水からアンモニアと水素の合成に成功したと発表した。
 肥料の合成やグリーン水素の輸送媒体としてアンモニアが期待されているが、アンモニアの合成には厳しい反応条件下での合成が必要であり、多くのCO2の発生を伴う。一方で、バイオ触媒では温和な条件で合成できるが、生成速度が遅い点が課題となっていた。今回の成果はカーボンニュートラル・エネルギー社会の実現や肥料の価格低下などに寄与し、持続可能な社会の実現に貢献する。
 同センターは今後、アンモニアの生成速度をさらに向上させることを目的に、電子伝達系の高速化等の向上などに取り組む。一方で、5年程度後より、実用化を考えてパネル型の反応器への応用を行い、実用性を三井化学と連携して進めるとしている。

◆アンモニア:JFEスチールが液体アンモニアタンク用鋼材の開発に向けた試験設備を導入(11月16日)
 JFEスチールは、液体アンモニア中における鋼材の応力腐食割れ発生のリスク評価を可能とするための試験設備をスチール研究所(倉敷地区)に導入し、2023年10月末より稼働を開始したと発表した。
 アンモニアを貯蔵・船舶輸送する際には液化されるが、液体アンモニアは、応力腐食割れ(以下、SCC)を発生させるリスクがある。一般的に、炭素鋼は高強度化に伴い、液体アンモニア中でSCCが発生しやすくなるため、発生リスクを適切に評価する必要がある。また、液体アンモニアは毒性ならびに可燃性の液化ガスであるため、高圧ガス保安法に則った建屋および試験設備を新たに建設し、材料の耐SCC性を評価できる試験を浸漬するだけでなく、さまざまな電気化学測定を実施可能にした。
 同社は今後、試験設備の活用により、アンモニアタンク用鋼材の開発を促進するとともに、試験方法・材料の標準化・規格化といった社会的ニーズにも積極的に応えていくとしている。

◆接着剤:日本板硝子が有害物質を含まないゴム補強材用接着剤を開発(11月16日)
 日本板硝子(NSG)は、グラスコード製品において、環境や人体への有害性が懸念される化学物質である、レゾルシンとホルムアルデヒド(RF)を含まないゴム補強材用接着剤を開発したと発表した。
 タイミングベルトやタイヤ、ホースなどのゴム製品には、強度や形態安定性を維持する目的で各種繊維が補強材として使用されている。その各種繊維とゴム組成物を接着させるプロセスにおいて、高い接着性能から、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)接着剤が広く使用されている。しかし、世界的に環境や人体に有害な物質を使用した部材などの使用制限が広がる中で、RFを含まない新規接着剤の開発が求められていた。
 今回開発した接着剤は、人体に有害なRFの代替として新規開発したカップリング剤を使用することで、有害化学物質が漏出するリスクを無くし、環境負荷低減に貢献する。また、従来のRFL接着剤と同等の接着性能を実現しており、さらには、ガラス繊維などの繊維コードの接着剤として広く使用することができる。本接着剤を使用したグラスコードのサンプリング提供はすでに開始されており、2023年度の上市を目指すとしている。

◆水素関連:旭化成、Gentari、日揮HDがマレーシアでの水素製造プラントの基本設計に関する覚書を締結(11月15日)
 旭化成、Gentari Hydrogen(マレーシア国営石油ガス会社Petroliam Nasionalのクリーンエネルギー事業の子会社であるGentariの100%子会社)、日揮ホールディングスは、マレーシアにおける年間8,000トンのグリーン水素製造のための60MW級アルカリ水電解システムの建設に向けたフィージビリティースタディを完了し、次のフェーズである基本設計(FEED)に移行するための覚書(MOU)を締結したことを発表した。
 同プロジェクトはNEDOのグリーンイノベーション基金に採択された「大規模アルカリ水電解水素製造システムの開発およびグリーンケミカルプラントの実証」のプロジェクトの一部として運用される。3社は、マレーシアでのグリーン水素の製造を通じて、日本とマレーシア、そして東南アジアの市場開発を推進し、脱炭素化に向けたグリーン水素の生産基盤を域内で確立していく。
 現在、2024年1月のFEED開始に向けて3社で準備を進めており、2027年の実証運転開始を目指すとしている。

◆CO2対策:ダイキンが溶融塩電解によりCO2をアセチレンとして再利用できることを実証(11月15日)
 ダイキン工業と同志社大学は、溶融塩電解によりCO2を合成樹脂の原料や金属の溶接で使用するアセチレンとして再利用できることを実証したことを発表した。
 今回、両者の共同研究により特定の金属塩化物と金属酸化物からなる高温の溶融塩にCO2を投入し、電気分解を行うことで、アセチレンの主原料であるカーバイドが合成できることを発見した。このカーバイドと水を反応させることで、アセチレンを生成することが可能である。
 将来的には、CO2を大量に排出する火力発電所や製鉄所などに同技術を活用することで、大気に排出されるCO2の削減に貢献することが期待できる。今後は社会実装に向けて、製造プロセスやエンジニアリングの研究を進めていくとしている。

◆半導体材料:レゾナックが半導体材料サプライチェーン・マネジメントシステムを構築(11月15日)
 レゾナックは、半導体材料の生産や出荷等に関する情報の一元管理・可視化を目的に、サプライチェーン・マネジメントシステムの構築を進めていることを発表した。
 同システムは、製品や用途ごとの在庫、販売データなどをクラウド上で管理し、ユーザーはアプリから各情報にアクセスし、データの入力を行うことが可能である。また、製造のプロセス条件やCO2排出量、製品品質から作業者の労働状態にいたるまで、各要素をデジタル化しモニタリングする。これにより、サプライチェーン上のリスクを早期に検知することが可能となる。
 同社は、半導体材料12カテゴリーについて既に7カテゴリー(半導体パッケージ用モールド材、モールド用離型フィルム、銀ペースト、チップ接着フィルム、ソルダーレジスト、感光性フィルム、絶縁コーティング材)の運用を開始しており、残り5カテゴリー(積層基板材料、実装用材料、異方導電フィルム、CMPスラリ、放熱シート)についても来年度末までに開始予定である。
 また、半導体が経済安全保障の観点から重要物資に位置づけられるなか、サプライチェーン上のリスクの早期検知や複数拠点間での連携強化による生産ラインの効率的稼働を目指すとしている。

◆レアメタル:住友金属鉱山が塩湖からリチウムを回収する実証試験を開始(11月14日)
 住友金属鉱山は、南米の塩湖かん水(塩分を含む天然水)からリチウムを回収する新しい技術の実証試験を、2023年中にチリ共和国で開始すると発表した。
 本技術は「直接リチウム抽出法」と呼ばれ、従来の塩湖かん水を天日で乾燥させるプロセスがある方法と比べて、短期間かつ環境負荷の低い方法でリチウムを回収することを可能にする。また、現在は不純物が多くリチウム回収が難しい塩湖からもリチウムを抽出できるようになる可能性がある。
 同社ではリチウム資源の安定調達や、金属資源の有効活用、環境負荷の低減に向け、実証試験を通じて本技術の実用化を進めるとしている。

◆カーボン:デンカがアセチレンブラック製造販売事業を行う合弁会社設立および生産プラント建設投資決定を発表(11月13日)
 デンカは、合弁相手先でタイ証券取引所に上場するSiam Cement Public Companyの完全子会社であるSCG Chemicals Public Company(本社:タイ、以下 SCGC社)の機関決定を条件として、アセチレンブラック製造販売事業を行う合弁会社の設立と、生産プラント建設投資の決定を発表していたが、本件についてSCGC社の取締役会にて決議されたことを発表した。
 アセチレンブラックはカーボンブラックの一種であり、xEVのリチウムイオンバッテリーや洋上風力発電の高圧送電線ケーブル用途で使用され、今後も同用途で需要の伸長が見込まれる。デンカは現在、アセチレンブラックを国内外計3拠点で製造するが、タイでの年間約11,000トンの生産能力を有するプラントの建設により、当該製品供給のさらなる安定を図るとしている。

◆価格改定
・ユニチカが工業用ポリエステルフィルムを12月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上
・東洋紡が包装用フィルム製品を12月11日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP):300/連(20μm換算)
 二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP):300円/連(20μm換算)
 リニアローデンシティ・ポリエチレンフィルム(LLDPE):300円/連(20μm換算)
 二軸延伸ポリエステルフィルム(PET):300円/連(12μm換算)
 二軸延伸ナイロンフィルム(ONY):500円/連(15μm換算)
 透明蒸着フィルム
  PETベース コート無し:300円/連(12μm換算)
  PETベース コート有:500円/連(12μm換算)
  ONYベース コート無し:500円/連(15μm換算)
  ONYベース コート有:700円/連(15μm換算)
 熱収縮ポリエステルフィルム:750円/連(30μm換算)
 注)連:500m2
・日本製紙が液体用紙容器全品を4月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上

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