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2023年11月30日

2023.11.30 発行

HEADLINE

◆包材:タキロンシーアイがモノマテリアル包装用ジッパーを発売(11月24日)
◆半導体材料:レゾナックがシリコンバレーに半導体後工程のR&D拠点を新設予定(11月22日)
◆放熱材料:積水化学が米国における放熱材料生産工場の量産を開始(11月22日)
◆脱炭素:日本ガイシが事業構成転換を加速するため新製品開発拠点を拡充(11月22日)
◆樹脂:三井化学が岩国大竹工場のポリエチレンテレフタレート(PET)の生産を停止(11月21日)
◆電子材料:JCUが新ブランド立ち上げ、次世代半導体向け表面処理薬品の開発を加速(11月20日)
◆医農薬:AGC若狭化学が福井県上中工場の大型製造ライン竣工式を実施(11月20日)
◆R&D:東亞合成が川崎フロンティエンスR&Dセンター設置を発表(11月20日)
◆CO2対策:日揮ホールディングス、石油資源開発、川崎汽船がマレーシアにおけるCCS事業化の検討に係る基本契約を
 ペトロナスと締結(11月20日)
◆炭素繊維:東レが炭素繊維のISCC PLUS認証取得ならびに生産計画を発表(11月20日)
◆価格改定
・DICが可塑剤を12月1日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆包材:タキロンシーアイがモノマテリアル包装用ジッパーを発売(11月24日)
 タキロンシーアイは、ポリエチレン単一素材からつくるモノマテリアル包装用ジッパー「MML-13E」を開発・発売したことを発表した。
 プラスチックパウチは性能を持たせるため、通常は複数の素材から成り立つが、分離が困難でリサイクルに向かないのが現状である。一方、モノマテリアル包装として使われるポリエチレン素材は熱により収縮しやすい特性から、ジッパーテープを取り付ける温度が高温であると波打ち・シワができて、美観性が難題とされてきた。
 同品は、独自の樹脂配合技術と異形押出成形技術により、一般的なポリエチレン素材ジッパーよりも収縮しにくい特性を具備し、加えて従来品と比べ製袋時の熱量を大幅に下げてジッパーテープを取り付けることが可能となったことから、リサイクル容易性と美観性の両立を実現した。
 今後、同社は3R+Renewableの観点での製品や仕組みの開発を推進し、さらなる環境配慮型製品の創出と拡大に向け取り組むとしている。

◆半導体材料:レゾナックがシリコンバレーに半導体後工程のR&D拠点を新設予定(11月22日)
 レゾナックは、シリコンバレーに半導体の先端パッケージ材料技術の研究開発センターであるパッケージングソリューションセンター(PSC)を新設する準備を始めたことを発表した。 
 PSCは日本国内では新川崎で実績があり、300mmウェハや500mm角パネルに対応する、レーザーダイシングや微細配線形成が可能な最新鋭の設備等を備え、2.xDや3D半導体パッケージなどの最先端プロセス・材料に関する試作・評価を一貫して行うことができる拠点である。今年は上半期までに世界150社からの訪問があり、こうした活動をより広げていくため、米国への拠点開設を決めた。AI向け半導体をはじめとした最先端半導体のパッケージング技術の最新コンセプト、及びトレンドをリアルタイムに捉え、材料開発に反映させていく計画である。
 現在、導入設備の調査検討、及び準備を進めており、今後クリーンルーム、設備を導入後、2025年度の運用を開始する予定としている。

◆放熱材料:積水化学が米国における放熱材料生産工場の量産を開始(11月22日)
 積水化学工業の連結子会社である積水ポリマテックは、EV(電気自動車)等環境対応車向け放熱材料の米国生産拠点を新設し、10月より量産を開始したと発表した。
 米国ではEVの普及が強く推進されており、米国市場の2025年度EV生産台数は、2022年度比で約3倍超となる400万台にのぼると予想されている。これに伴い、米国の各自動車メーカーやEVに搭載されるリチウムイオン電池(以下LiB)・電装品メーカーからの放熱ニーズが急速に拡大している。
 こうした背景から、積水ポリマテックは2023年1月にSEKISUI POLYMATECH AMERICA(以下SPA)を設立し、ケンタッキー州(米国)に新工場の建設を進めており、10月より本格的な量産を開始している。
 なお、SPAの放熱材料の生産能力は140万リットル/年であり、これは約70万台分のEVへの搭載量に相当する。同社は今後、放熱材料事業において、米国を加えた量産体制をベースに2025年度売上高200億円を目指すとしている。

◆脱炭素:日本ガイシが事業構成転換を加速するため新製品開発拠点を拡充(11月22日)
 日本ガイシは、カーボンニュートラル(CN)関連とデジタル社会(DS)関連分野への事業構成転換のため、本社地区に共創施設とCN関連製品開発エリアを新設することを決定したと発表した。
 熱田地区には、オープンイノベーションを推進し、独自のセラミック技術で社会に新しい価値を提供するための拠点として、新たな共創施設を建設する。竣工は2025年5月の予定である。また、同地区では、共創施設に隣接してDS関連の新製品開発を行う新研究開発棟を建設中で、2025年6月に稼働を開始する予定である。
 一方、瑞穂地区は、既存の自動車排ガス浄化用セラミック製品の開発・生産エリアの一部を、CN関連新製品の開発・試作エリアとして再編する。同社は現在、大気中のCO2を直接回収するダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)用セラミック基材を開発中である。DACエリアは2023年11月から稼働を開始しており、今後も段階的に整備・拡張して開発体制を強化し、2025年の実証試験参画、2030年の量産体制確立を目指している。さらに2025年6月には、CO2の回収・有効利用・貯蔵(CCUS)などに貢献するサブナノセラミック膜の開発エリア(分離膜エリア)も新たに整備し、CN関連製品の開発を推進するとしている。

◆樹脂:三井化学が岩国大竹工場のポリエチレンテレフタレート(PET)の生産を停止(11月21日)
 三井化学は、岩国大竹工場のポリエチレンテレフタレート(PET)プラントを2024年10月に停止すると発表した。
 同社では1984年にPET樹脂の生産を開始し、国内の飲料用PETボトル需要の伸長と共にPET事業を順調に拡大していたが、2013年以降、安価な海外品の輸入拡大とバージン樹脂を必要としない再生PETボトル需要が増加した。その影響により、同社のPETは低稼働を余儀なくされる状況となり、国内でPET樹脂生産を維持するための収益確保が困難であると判断し、生産停止を決定した。停止するプラントの生産能力は年間145千トン、プラント停止時期は2024年10月の予定としている。

◆電子材料:JCUが新ブランド立ち上げ、次世代半導体向け表面処理薬品の開発を加速(11月20日)
 JCUは、半導体向け表面処理薬品の新ブランド「TIPHARES(ティファレス)」を立ち上げ、次世代半導体の本格的な量産化に向けて取り組むことを発表した。
 その第1弾として、半導体チップ同士を高密度に配線接続する後工程向けの表面処理薬品である再配線層向け銅めっき薬品「TIPHARES RDP」と、チタン(Ti)/銅(Cu)スパッタシード層一括エッチング薬品「TIPHARES TCE」を市場投入する。これらは次世代半導体製造の後工程に必要な2μm以下の回路パターンを均一な高さで配線形成するための薬品である。
 今後も後工程に限らず、次世代半導体に必要とされるシリコン貫通電極(TSV)やメガピラー(垂直方向の接続電極)対応の表面処理薬品を2024年4月以降に市場投入するほか、ハイブリッド接合(ボンディング)対応薬品の研究を東北大学と共同で進めていく。これにより半導体の高速処理や省電力化が期待でき、自動運転や生成AIなどのデジタル社会の発展に貢献する。同社は、TIPHARESブランドで2027年3月期に10億円の売り上げを目指すとしている。

◆医農薬:AGC若狭化学が福井県上中工場の大型製造ライン竣工式を実施(11月20日)
 AGCの合成医農薬CDMO製造子会社であるAGC若狭化学は、上中工場において大型製造ラインの竣工式を実施したことを発表した。
本件は同社の製造能力を1.5倍に拡張する増設で、当初計画通り2024年第1四半期の稼働開始を予定している。
 今回の増設では、大型のマルチパーパス仕様の製造ラインを新設し、既存の中小型設備と合わせて様々な規模の幅広い化合物製造需要に対応できるようになる。また、同工場は2022年に開発と製造のシームレスな連携を高めることを目的に開発機能を強化しており、合成医農薬の製法開発からスケールアップまでより迅速に実現する体制を備えている。
 AGCグループは、合成医農薬CDMOを含むライフサイエンス事業を中期経営計画における戦略事業のひとつと位置づけ、積極的な買収・設備投資を行い、事業拡大を目指している。今後も医農薬市場の需要増に対応すべくCDMO事業を拡充していくとしている。

◆R&D:東亞合成が川崎フロンティエンスR&Dセンター設置を発表(11月20日)
 東亞合成は、新たな研究所である川崎フロンティエンスR&Dセンターを2024年夏に開所することを決定したと発表した。
 本拠点では、バイオケミカルや電子材料分野などの高度な研究を可能とする専門施設・設備を整え、メディカルケア、次世代電池、半導体・電子材料などの成長分野における研究開発および早期事業化を推進する。
 また、共同実験やデモ試験用のオープンラボスペースを設置し、首都圏および関東以北の顧客や大学を含めた社外研究機関等と連携して製品開発を進める。さらに、スタートアップ企業や海外顧客とも共同研究を実施し、独創的な製品を生み出すオープンイノベーションの拠点として活用することを目指すとしている。

◆CO2対策:日揮ホールディングス、石油資源開発、川崎汽船がマレーシアにおけるCCS事業化の検討に係る基本契約をペトロナスと締結(11月20日)
 日揮ホールディングス、石油資源開発、および川崎汽船の3社は、マレーシア国営エネルギー会社Petroliam Nasional Berhadの子会社であるPETRONAS CCS Ventures SDN(以下、PCCSV)と、マレーシアにおけるCCS(CO2の回収・貯留)の事業化実現に向けた検討の実施に合意し、4社による基本契約を締結したことを発表した。
 本検討では、今後、2024年の基本設計作業開始とその後の建設作業を視野に入れた準備作業に着手し、マレーシア国内で排出されるCO2に加え、日本など海外で回収されたCO2を船舶輸送し、海底下への圧入・貯留を2028年末に開始することを目指し、マレーシア国内の必要な設備の仕様や費用の積算、事業スキームなどの詳細な検討を進めていく。
 PCCSVおよび日本側3社は、2020年代中盤の事業化決定と 2028年末の操業開始を目指し、本検討を進めていく予定である。なお、本検討で目指すCO2圧入量は、事業開始時点でマレーシア国内および日本を含む同国外からの輸送分を合わせ年間約200万トン以上、2030年には同約500万トンを目標とし、さらに2030年代前半には同1,000万t以上への圧入量拡大も視野に入れるとしている。

◆炭素繊維:東レが炭素繊維のISCC PLUS認証取得ならびに生産計画を発表(11月20日)
 東レは、フランスの子会社、Toray Carbon Fibers Europe(以下、CFE)のラック工場およびアビドス工場で生産する炭素繊維について、持続可能な製品の国際的な認証の一つであるISCC PLUS認証を取得したことを発表した。
 同認証取得により、CFEはバイオマス原料またはリサイクル原料をマスバランス方式で割り当てて使用し、炭素繊維を生産、供給することが可能になり、バイオマス原料またはリサイクル原料を用いた炭素繊維の生産を2023年内に開始する。
 東レの愛媛工場も2024年3月までに同認証を取得し、2024年内に生産を開始する。また、東レの米国の子会社Toray Composite Materials Americaのディケータ工場では2024年内に同認証取得予定である。
 これにより、2024年内にも、日米欧の生産拠点でバイオマス原料またはリサイクル原料とする炭素繊維を生産する体制を構築し、世界各地の顧客への安定的な供給が可能となる。2023年末から環境貢献に強いニーズのある自動車やモバイル端末などの産業用途向けに炭素繊維の提供を開始し、今後は適用用途を拡大しつつ、将来的には航空、スポーツ用途にも用途を拡張するとしている。

◆価格改定
・DICが可塑剤を12月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、ポリエステル系可塑剤:28円/kg以上
 アジピン酸系可塑剤(DOA、DINA):26円/kg以上
 特殊可塑剤:25円/kg以上

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