2023.03.23 発行
◆水素:東レがドイツにおけるグリーン水素製造装置向け中核部材の生産を拡大(3月17日)
◆フィルム:凸版印刷がチェコに透明バリアフィルム生産拠点を新設(3月17日)
◆電子材料:石原産業が村田製作所とチタン酸バリウム製造のための合弁契約を締結(3月17日)
◆LNG:日揮HDがパプアニューギニア向けLNGプラントの基本設計役務を受注(3月17日)
◆メディカル:富士フイルムが創薬支援CROビジネスに本格参入(3月16日)
◆リサイクル:三菱ケミカルがアクリル樹脂製品のリサイクル推進活動を行う協議会へ参画(3月16日)
◆リサイクル:三菱ケミカルがポリカーボネート樹脂ケミカルリサイクルの世界初の事業化に向けた検討を開始(3月15日)
◆電子材料:FLOSFIAとJSRが世界初のP型半導体「酸化イリジウムガリウム」実用化に向けて進展(3月15日)
◆光触媒:三菱マテリアルが新たな結晶構造を持つ酸化スズの合成に成功(3月15日)
◆フィルム:東洋紡が犬山工場にOPPフィルムの生産設備を新設(3月13日)
◆電池材料:帝人が業界最薄クラスのガス拡散層を開発(3月13日)
◆価格改定
・日本ゼオンが合成ゴムコンパウンド・ポリブレンドを4月1日納入分より値上げ
・フクビ化学工業が断熱材 フェノバボードを4月1日 受注分より値上げ
・旭有機材がフェノール樹脂製品、RCS製品等を4月出荷分より値上げ
・DICが共押出多層フィルム「DIFAREN」を4月3日納入分より値上げ
・セメダインがセメダイン製品(接着剤・シーリング材 他)を5月1日出荷分より値上げ
◆水素:東レがドイツにおけるグリーン水素製造装置向け中核部材の生産を拡大(3月17日)
東レは、水素・燃料電池部材を開発・製造・販売する子会社Greenerity(独、以下「GNT」)において、グリーン水素製造用の固体高分子(PEM)形水電解装置向けに、その中核部材である触媒付き電解質膜(以下、CCM)」の増設を開始したと発表した。
GNTの本社が所在するバイエルン州に新たに第3工場を確保し、生産能力として、水電解装置能力1GW(ギガワット)以上に相当する生産設備を導入する。今回の増設により、水電解装置向けCCMの生産能力は従来比3倍に拡大する。第3工場の稼働開始は2023年秋を予定しており、さらにそれ以降の増設についても検討を進めていく。
また、GNT第2工場では、バスやトラックなど商用車や乗用車を含む水素燃料電池車で使用される燃料電池向けのCCMおよび膜・電極接合体(以下、MEA)」を生産する設備の増設を進めてきたが、今回顧客への供給を開始した。フル稼働時には、第2工場の燃料電池用CCM・MEAの生産能力も燃料電池乗用車出力換算で1GW以上の規模となり、燃料電池乗用車約1万台分以上に相当する。今後も業界トップメーカーとして、拡大する市場需要に対し安定供給体制を強化していくとしている。
◆フィルム:凸版印刷がチェコに透明バリアフィルム生産拠点を新設(3月17日)
凸版印刷は、透明バリアフィルム「GL BARRIER」の生産工場をチェコ共和国へ新たに開設することを発表した。
世界のパッケージ市場では、循環型社会の実現に向け、有限な資源を効率的に利用/再生産し、持続可能な形で循環させることが可能な環境配慮型パッケージが求められる。特に環境先進国である欧州諸国では、環境適性/リサイクル性能に優れたパッケージの需要が急速に高まっている。同社は、パッケージの脱アルミ化やリサイクル適性に優れたモノマテリアルパッケージ供給などに貢献する、優れた環境適性を持つ「GL BARRIER」を、これまで以上にグローバルへ拡大させるため、本決定に至った。
欧州における新工場設立により、日米欧3カ国での生産体制が確立する。新工場の稼働開始は2024年末を予定しており、2025年度までに海外パッケージ関連事業で売上高1,500億円を目指すとしている。
◆電子材料:石原産業が村田製作所とチタン酸バリウム製造のための合弁契約を締結(3月17日)
石原産業および完全子会社の富士チタン工業は、村田製作所との3社間で、2022年9月に積層セラミックコンデンサなどに使われるチタン酸バリウムの製造を行う合弁会社の設立に向けた基本合意書を締結しており、今回の取締役会決議に基づき、合弁契約を締結し、合弁会社『MFマテリアル』を設立すると発表した。
急速なIT機器の発展や自動車の電装化を背景として、積層セラミックコンデンサの需要は今後も拡大が見込まれており、これに伴い、チタン酸バリウムの重要性が増している。合弁会社では、同社、村田製作所が資金を拠出し、宮崎県でのチタン酸バリウムの生産能力増強のための第2工場の建設を予定する。
合弁会社では、同社、村田製作所が資金を拠出し、チタン酸バリウムの生産能力の増強を実施する予定としている。
◆LNG:日揮HDがパプアニューギニア向けLNGプラントの基本設計役務を受注(3月17日)
日揮HDは、海外EPC事業会社である日揮グローバルが韓国の現代建設と共同で、エクソンモービルがパプアニューギニアで計画しているLNGプラントの基本設計、および設計・調達・建設工事(EPC)に係る見積役務を受注したと発表した。
本役務は、同国のエルクアンテロープガス田の天然ガスを原料に、エクソンモービルが同国ポートモレスビーで計画している年産約400万トンのLNGプラントの基本設計役務である。
本LNGプラントでは、天然ガスを圧縮するコンプレッサーの駆動で、従来のガスタービンではなく、電動モーターによる「E-Drive」を採用する予定で、LNGプラント操業時のCO2排出低減に寄与するとしている。
◆メディカル:富士フイルムが創薬支援CROビジネスに本格参入(3月16日)
富士フイルムは、ライフサイエンス領域の事業成長を加速させるため、創薬支援CROビジネスに本格参入すると発表した。
同ビジネスの全体戦略を立案・推進する「CRO事業推進室」を2023年4月に新設し、新たな医薬品のシーズ探索や有効性・安全性評価などのサービスを提供する。
近年、医薬品市場では、化学合成で製造する低分子医薬品に加え、バイオテクノロジーを用いるバイオ医薬品の分野で新薬の研究開発が活発化している。また、現在、製薬企業やバイオベンチャーは、新薬開発の成功確率の向上と創薬プロセスの効率化を図るため、研究開発の初期段階から、高度な解析技術・ノウハウを有するCROと協業するケースが増えている。
富士フイルムは現在、低分子医薬品およびバイオ医薬品の開発・製造受託(CDMO)サービスを提供しているが、今後、創薬支援CROサービスの本格展開を図り、創薬研究から生産プロセス開発、治験薬製造、商業生産までカバーするトータルサポート体制を確立することで、医薬品産業の発展に貢献するとしている。
◆リサイクル:三菱ケミカルがアクリル樹脂製品のリサイクル推進活動を行う協議会へ参画(3月16日)
三菱ケミカルグループは、アクリル樹脂製品のリサイクル推進活動を行う「アクリルグッズ等再生利用促進協議会」に発起人として参画することを発表した。
同協議会は、広く社会全体へアクリル製品のリサイクルに関する啓発活動を行い、アクリル製品の再生利用を実現することを目的として2022年12月に発足した。
アクリル製品は、様々な用途で使用されており、近年ではアニメやアイドルの“推し活”で活躍するアクリルスタンドやアクリルキーホルダーが定番の人気アイテムになっている。同社はアクリル製品のリサイクルが地球環境保護に大きく貢献することを見据え、啓発イベントの実施や情報発信を行うとしている。
◆リサイクル:三菱ケミカルがポリカーボネート樹脂ケミカルリサイクルの世界初の事業化に向けた検討を開始(3月15日)
三菱ケミカルは、ポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂)ケミカルリサイクルの世界初の事業化に向けて、2030年に年間1万トン規模の処理能力の実現を目指す検討を開始したと発表した。
PC樹脂は透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性に優れており、自動車の内装部品などに使用されている。現在、使用済みPC樹脂は粉砕・溶融後に成形し直すマテリアルリサイクルによる再資源化が一般的だが、劣化したものや異なる樹脂が混入していると、十分な品質のリサイクル樹脂を得られないという課題がある。これに対して、使用済みPC樹脂を解重合して原料モノマーに戻し、再び重合するケミカルリサイクルを行うことで、より広い範囲の使用済みPC樹脂を高品質なリサイクルPC樹脂に再生することが可能になる。
同社は、現在福岡事業所に実証設備を建設中で、2023年8月の完工後、同年度中に実証実験を完了し具体的な事業化検討を進める予定としている。
◆電子材料:FLOSFIAとJSRが世界初のP型半導体「酸化イリジウムガリウム」実用化に向けて進展(3月15日)
FLOSFIAとJSRは、FLOSFIAがパワー半導体として展開するコランダム型酸化ガリウム『α-Ga2O3』(以下、酸化ガリウム)と組み合わせて使う新規P型半導体である、酸化イリジウムガリウム『α-(IrGa)2O3』(以下、酸化イリジウムガリウム)の量産における課題を解消するため、新しいイリジウム系成膜材料を共同開発したと発表した。
イリジウム元素は半導体としての量産適応例がなく、イリジウム源として入手可能な原材料は限られていることもあり、今回の共同開発に際しては、全く新しいイリジウム系成膜材料の開発に取り組んだ。
今回の研究成果を用いたJBS構造はFLOSFIAのコランダム型酸化ガリウム(α-Ga2O3)パワーデバイス「GaO」シリーズの第2世代ダイオードから適用予定である。また、100kHz以下の周波数領域で用いるインバーターその他の幅広い電力変換器のほか、MOSFETやIGBT等のトランジスタにも新規P型半導体「酸化イリジウムガリウム」の適用を目指すとしている。
◆光触媒:三菱マテリアルが新たな結晶構造を持つ酸化スズの合成に成功(3月15日)
三菱マテリアルは、同社従業員の参画する東京工業大学の研究グループが二酸化炭素を一酸化炭素に還元できる光触媒として、新しい結晶構造を持つ酸化スズの合成に成功したと発表した。
従来、太陽光エネルギーの半分以上を占める可視光によって機能する光触媒の材料では、高価な金属元素の含有や毒性を有する物質で構成されているなどの課題がある。近年ではある特定の結晶構造をもつ酸化スズが可視光のもとで光触媒として機能することが知られている。
同研究で合成に成功した新たな結晶構造の酸化スズでは、従来の酸化スズよりも幅広い可視光を吸収することができる。また、光を吸収することによって生成された電子の還元力が強く、二酸化炭素を一酸化炭素へ還元できる光触媒として利用できる可能性がある。
本研究は、二酸化炭素の利活用の一つとして、将来的には人工光合成システムへの応用が期待されるとしている。
◆フィルム:東洋紡が犬山工場にOPPフィルムの生産設備を新設(3月13日)
東洋紡は、犬山工場に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)の新シリーズである超高剛性OPPフィルム「パイレン EXTOP」をはじめ、食品包装・産業資材用途の各種OPPフィルムを生産する設備を新設し、2023年2月より一部銘柄の量産を開始したことを発表した。
今回新設した生産設備は、延床面積約1万平方メートルで、年間2万トンの生産能力を有する。また、一般的なOPPフィルムの約1.7倍の腰の強さを持ち、包装材におけるプラスチックの使用量や燃焼時の二酸化炭素排出量を削減できる「パイレン EXTOP」などを高効率に生産することが可能としている。
今後も環境に配慮した高機能なフィルム製品のラインアップを拡充、グローバルに展開することで、循環型経済の実現に貢献できるよう努めていくとしている。
◆電池材料:帝人が業界最薄クラスのガス拡散層を開発(3月13日)
帝人は、同社が開発した極細の繊維状炭素「PotenCia(ポテンシア)」を独自の紙すき技術を用いてパラ系アラミド繊維「トワロン」と組み合わせることで、業界最薄クラスとなる厚さ 50マイクロメートルのガス拡散層(GDL)を開発したと発表した。
ガス拡散層とは、燃料電池の内部に使用する部材で、水素や酸素を供給、電極の化学反応で生じた電子の集電、及び生成水の排水などを担うものである。
このGDLは、ポテンシアを使用したことで導電性に優れているほか、ポテンシア特有の柔軟性により燃料電池内部の触媒層を傷つけないという特徴を持っている。また、トワロンを使用したことでGDLの耐久性を維持しつつ、撥水加工が落ちづらくなり、撥水性にも優れている。これらの特徴により、製造工程の短縮化と、大幅な薄型化に伴う使用原材料の削減により、製造コストや環境負荷の低減に貢献するとしている。
◆価格改定
・日本ゼオンが合成ゴムコンパウンド・ポリブレンドを4月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、合成ゴムコンパウンド製品:20 円/kg
ポリブレンド(NBR/PVC):15 円/kg
・フクビ化学工業が断熱材 フェノバボードを4月1日 受注分より値上げ
値上げ幅は、フェノバボード各種・副資材:15~20%
フェノバボードR(断熱パネル):5~10%
・旭有機材がフェノール樹脂製品、RCS製品等を4月出荷分より値上げ
値上げ幅は、固形フェノール樹脂製品:5%以上
液状フェノール樹脂製品:6%以上
RCS(レジンコーテッドサンド)製品:5%以上
その他関係製品:製品毎に設定
・DICが共押出多層フィルム「DIFAREN」を4月3日納入分より値上げ
値上げ幅は、1連(500㎡)あたり200円(厚み20μm換算)
・セメダインがセメダイン製品(接着剤・シーリング材 他)を5月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15%以上